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定期便と化したTu-95――爆撃機で示すロシアの「意地」

ロシアニュース
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選挙ネタを避けるので、やや古い話題で恐縮だが。

ロシア爆撃機が日本海上空を飛行 核搭載可能

2026年1月22日 21:15

防衛省統合幕僚監部は22日、ロシアの「Tu95」爆撃機2機が21日に日本海上空を飛行したと発表した。同機は核兵器を搭載できる。飛行経路の一部で護衛のための戦闘機も一緒に飛んでいた。

日本経済新聞より

ツポレフ爺さん、相変わらず元気である。

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ロシアの「意地」と「維持」

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選挙を意識した飛来?

ロシアの爆撃機が飛来するニュースは、定期的に見かける。

記事にあるTu-95は核兵器搭載が可能な大型爆撃機で、1956年に運用開始という年季の入った機体だ。とはいえ、アメリカ本土まで無給油で到達可能な約15,000kmの航続距離を持ち、現在も長距離パトロールや洋上哨戒に使われている。

ロシア軍機の動向について

令和8年1月21日(水)午後、ロシアの爆撃機(Tu-95)×2機及び 戦闘機×2機が大陸方面から飛来し、日本海上空を東進した後、島根県沖で変 針し、大陸方面に向けて北進したことを確認した。

統合幕僚部 報道発表資料より

なお、Tu-95が2機飛来しただけでなく、護衛として戦闘機2機が随伴していたようだ。

機種はSu-30SM、もしくはSu-35Sと推定されている。

さらに26日には、別の機体も確認されている。

ロシア軍機の動向について

令和8年1月26日(月)午後、ロシアの情報収集機(IL-20)×1機 が、大陸方面から飛来し、オホーツク海を経由し太平洋に進出した後、福島県 沖まで南下、反転し、オホーツク海を経由して日本海に至ったことを確認した。

統合幕僚部 報道発表資料より

情報収集機とはいえ、飛ばすだけで相応のコストがかかる。正直、「大変だな?」という感想しか出てこない。

そして、これに対処するため、こちらはスクランブル発進で戦闘機を上げるわけだ。かかった費用、対価として請求する!

日本政府への揺さぶり

こうした行動は昨年12月にも確認されており、最近は短いスパンで繰り返されている。

中ロ爆撃機、日本周辺で共同飛行 日本は「安全保障上の重大な懸念」伝達

2025年12月11日 10:50

中国とロシアの爆撃機が9日に日本周辺で共同飛行したことをめぐり、日本政府は10日、は中ロ両国に「安全保障上の重大な懸念」を伝えた。

AFPより

この時は、ロシアと支那が共同飛行したと報じられているが、仲の良さをアピールする一方で、日本政府に対しての揺さぶりが狙いだと分析されている。

当然、日本政府側は両国に「重大な懸念」を伝えたわけなのだけれど、特に意味のある行動とは言えまい。

ロシアとしては、「軍事的な威圧を行える能力と意思がある」と見せつけるためにも、この手の軍事行動は止められないのだろう。これ、止めちゃったら、「定期便すら出せないほど経済的に苦しいのか」というメッセージになってしまう。

その意味では、国内向けのアピールという側面も大きいのだろう。

日本国内の工作においては、「まだ核兵器を使える強いロシアに刃向かうべきではない」という言説を垂れ流す方々に働きかけることもあるらしい。彼らに言わせると、「ウクライナ侵攻を止めさせる為に、間に入って仲裁できるのがあるべき日本の姿」ということのようだ。

でも、冗談も休み休み言えというのが僕の感覚である。

  • ミンスク合意(2014年、2015年)を無視してウクライナ侵攻開始したのはロシア
  • 幾度も停戦交渉が行われているが、停戦条件として凡そウクライナが呑めないだろう高めの球を投げ続けているのはロシア
  • サハリン2事件(2006年9月)で、開発中止命令を突然出して日本の権益を毀損したのはロシア
  • 真岡郵便電信局事件(1945年8月20日)を忘れるな

挙げればキリが無いが、ロシアはまともに国際交渉を出来る相手ではない。また、ロシアにとって日本は格下扱いなので、対等に話ができるなんてことも幻想である。

ともあれ、圧力をかけることが外交ツールだと考えているロシアの実態を表す態様として象徴的な話であり、彼らは日本政府への圧力と自国民へのアピールのつもりなのである。それが成功しているかは別だが。

まとめ

というわけで、ある意味定期便となっているTu-95爆撃機の飛来だが、日本側は常にこれを警戒する必要があるし、ロシアはこの様な圧力を伴う外交をしてくる国家であるという証拠でもある。

ロシアは、経済的に厳しくとも、

  • 軍事力による外交を維持している、
  • まだ意地を見せられる、

という姿を示すことに価値を見出している。

もっとも、こうした姿勢をいつまで維持できるかは不透明だ。だからこそ日本としては、ロシアに対して「強い力」を示し得る立場を確保しておく必要があり、その前提となるのは、軍事力を伴う現実的な外交戦略である。

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