近況は「お知らせ」に紹介するようにしました。「注意して下さい」もお読み下さい。

ホルムズ海峡に異常アリ、どの国籍の船にもリスクがある現状

スポンサーリンク
中東
この記事は約7分で読めます。

エイプリルフール!

でも、本ブログは通常運転でお送りする。

ホルムズ海峡付近でタンカーにイランの攻撃、火災は鎮火 原油流出リスク

2026年3月31日午前 8:31

ドバイ当局はドバイ港の停泊地で30日にイランの攻撃を受けたクウェートの原油タンカーの火災が鎮火されたと発表した。

ロイターより

ドバイで停泊中のタンカーがイラン革命防衛隊(IRGC)によって攻撃を受けた。それだけ聞くと、割と日常的なニュースに思える辺りが、もはや感覚が麻痺している証拠だろう。

交渉の通用する相手ではない

スポンサーリンク

タンカー被弾

だけど、このニュースは色々示唆に富んだものである。

ドバイが何処にあるのか?といえばUAEにあることはご存じの方も多いと思うが、今話題のホルムズ海峡手前にあることを意識する人は多くないのでは。

これに先立ち、クウェート石油公社(KPC)は、イランが30日にドバ‌イ港の停泊地で原油タンカーを攻撃し、火災が発生したほか船体が損傷したと明らかにしていた。クウェート国営通信が報じた。KPCは原油流出の可能性を警告した。

攻撃を受けたタンカーはクウェート船籍の「アル・サルミ」。攻撃の報道を受け、米原油先物は3ドル(2.9%)超上昇し、1バレル=105.91ドルを付けた。

ロイター「ホルムズ海峡付近でタンカーに~」より

攻撃を受けたのはクウェート船籍の「アル・サルミ」号である。

30日にはサウジアラビアのラスタヌラ沖でもギリシャ所有のコンテナ船近くに飛翔⁠体が2回落下したと報告され、その他の船も危険にさらされている状態にあるのだとか。

ただ、アル・サルミ号は本来の標的ではなかった可能性がある。イスラム革命防衛隊は、イスラエルとの関係を理由に湾岸でコンテナ船を標的にしたと発表したが、船舶データによると、彼らが言及していたのはアル・サルミ号の隣に停泊していたシンガポール船籍のハイフォン・エクスプ‌レス号だ⁠ったもよう。

ロイターより

他の記事でも言及があるが、「アル・サルミ」号は本来の標的ではなかったらしい。それもそのはず、この船、実は向かう先が支那だったのだ。

ロイズとタンカートラッカーズのデータによると、タンカーにはクウェートとサウジアラビアからの原油200万バレルが積載されていた。ロイズは⁠目的地を中国の青島としている。

ロイター「ホルムズ海峡付近でタンカーに~」より

あーあ。

中国船3隻が「ホルムズ海峡通過」 中国外務省が発表 停戦を呼びかけ|FNNプライムオンライン
中国外務省は3月31日、中国の船3隻が最近、事実上の封鎖が続くホルムズ海峡を通過したことを明らかにしました。中国外務省の報道官は、会見で「最近、中国の船3隻がホルムズ海峡を通過した」と明らかにしました。船が通過した具体的な日時やタンカーなど...

通過できる船があっても、攻撃されるようでは話にならない。

暴走する革命防衛隊

もう1つニュースを紹介しておこう。

イラン大統領と革命防衛隊司令官の間で、戦争と経済を巡る溝が深まる

2026年3月28日 21:17 GMT

イラン・インターナショナルが関係筋から得た情報によると、イランのマスード・ペゼシュキアン大統領と革命防衛隊のアフマド・ヴァヒディ最高司令官の間で、戦争への対処方法や、戦争が人々の生活や経済に及ぼす悪影響について、深刻な意見の相違が生じている。

イラン・インサイトより

この記事に先立って、僕はXでこんなポストを投稿している。

これに対して、「その話よく聞くけど、どの指揮系統でもトップは1人、どの指揮系統でも変わらない」とリポストしてきた人がいたのだけれど、話が噛み合わなかった。

イランは正規軍(アルテシュ)と革命防衛隊(IRGC)が別系統の組織として位置づけられている。

これは基礎的な知識なのだが、このことを理解されない価値が多い印象。

図4 イラン軍部機構図

この系統図はideの記事から引用させて貰ったものだが、イランでは最高指導者が絶対的な権力を持っている。ハメネイ存命の折には、こんな構図になっていた。

このブログでも散々指摘してきたが、イランの指揮命令系統は最高指導者に直属の形となっている。故に、「イラン大統領と革命防衛隊司令官の間で、戦争と経済を巡る溝が深まる」などという記事になるわけだ。

先日、外務大臣のアラグチ氏やイラン大統領のペゼシュキアン氏に停戦の意志があるとか、交渉によってホルムズ海峡を通過できるようになるような話が出ていたが、そんなわけはないのだ。

ホルムズ海峡を封鎖するテロリスト

テレビ局が誤報を垂れ流す中、国民の皆様には是非とも正しい認識を持って欲しいのである。

玉川徹氏「日本政府はイランと独自交渉を」ホルムズ海峡通過実現へ提言「米国の妨害はあり得ず」

3/31(火) 14:34配信

元テレビ朝日社員の玉川徹氏は31日、同局系「羽鳥慎一モーニングショー」(月~金曜午前8時)に出演。イラン情勢をめぐり、イラン側が事実上封鎖しているホルムズ海峡で、複数国の船舶の通過を許可しているとして、日本政府に対して「交渉をしているのかもしれないが、もしやっていないとしたら、(イラン側と)交渉できない理由を国民に明らかにすべき」などと指摘した。

Yahoo!NEWSより

元テレ朝の玉川氏など、本当のことを触れていることの方が少ないのだから、参考意見として聞くことはないのだが、それにしたって酷い。

イランとの交渉は日本政府とて試みてはいるのだろうが、「ホルムズ海峡を通過できるように」というのは、上の説明で分かる通り無理筋なのだ。

何故ならば、現在の最高指導者であるモジタバ氏は、指揮をしているかどうかも良く分からない状態。当然ながら交渉相手にもなっていない。

そして、イラン大統領や外務大臣は、交渉相手にすらならない。何せ、IRGCへの命令を下す立場にいないからだ。何ならアルテシュにも命令を下せない。

今やIRGCは指導者を失って自らの判断で行動するテロリストのような存在である。もともと、IRGC指揮下にあるコッズ部隊は外国向けテロ組織のような性質があり、随分と「テロを輸出している」と批判されてきた。それ故にIRGCにもその素養はあるのだろう。

何しろ自ら権益を抱え込んだ独立採算制の高い構造になっているのだから、命令を聞かなくとも政府から資金が止められることはない。パスィージが国内の治安維持をやっている以上は、取り締まりすらされない。

通行料

そして、イラン議会を始めとする、いまのイランの政体が信用出来るのか?という点にも、疑問を持っている。

イラン議会委、ホルムズ海峡の「通行料」徴収案を承認 報道

2026年3月31日 14:07

イランの議会安全保障委員会が、ホルムズ海峡を通過する船舶に対して通行料を課す計画を承認した。イラン国営メディアが31日、報じた。中東地域での紛争の影響で、石油やガスの輸送に不可欠なホルムズ海峡は現在、事実上封鎖されている。

国営メディアが委員会委員の話として伝えたところによると、この計画には「財務上の手配とリアル(イランの通貨)による通行料システム」「イランの主権的役割の履行」、および対岸のオマーンとの協力などが含まれている。

AFPより

通行料をどうやって取るつもりか議論できたのかは怪しいが、議会で「通行料を課す計画を承認」しちゃった。

もはやこの時点で国際法を守る気すらないことは明白なのである。

こんな議会と何の約束をするのか、という話にもなりかねない。当然、上の表からも分かる通りに、議会はIRGCに対する命令を出す権原はないし、どうやって通行料を徴収する気かも不明だ。

ホルムズ海峡に検問所でも作るのだろうか??

アメリカの交渉相手

僕が不思議なのはアメリカだ。トランプ氏は一体「誰と交渉」をして、戦争を終わらせようとしているのか。

一節には、国会議長のモハマドバゲル・ガリバフ氏が交渉相手だとされている。上の指揮命令系統を考えれば、ガリバフ氏にも命令権はないのだが、この人物はIRGCの元最高幹部であった経歴があり、IRGCにチャンネルがあると期待されている。

というか、他に適当な交渉相手がいないというのが実情なのである。

トランプ氏、イランの交渉相手は「ガリバフ国会議長」と明かし…「体制は完全に転換した

2026年3月31日

米国のトランプ大統領は30日、米紙ニューヨーク・ポストのインタビューで、イランとの戦闘終結に向けた交渉相手は、同国のモハンマドバゲル・ガリバフ国会議長だと説明した。

~~略~~

イランについて、「体制は完全に転換した。我々は全く新しい相手と取引している」と主張した。その上で「彼らは今のところ、以前の政権よりはるかに理性的だ」と評価した。最高指導者モジタバ・ハメネイ師とのやり取りはないと説明し、「彼はおそらく生きているが、極めて深刻な状態だ」との認識を示した。

讀賣新聞より

アメリカも、モジタバ氏との連絡は取れていない模様。

まとめ

紹介したように支那向けの船であっても攻撃されてしまうのが、ホルムズ海峡の実情なのである。実行犯のIRGCには統制が効いておらず、交渉相手がその蛮行を止めてくれる補償もない。

もはや、イランは交渉の出来る相手ではないというのが現実なのである。

コメント

  1. 砂漠の男 より:

    トランプ大統領がSNSを使ったり、インタビューに答えたり、イロイロ発言してますが、
    たぶん時間稼ぎしているのだろうと思います。半分くらいの確率で、海兵隊と空挺部隊
    を使う限定地上作戦をやるだろうと思っています。どうもイランとの交渉は空蝉みたい。
    モジタバさんは、どこで何してるんでしょうね。

    • 木霊 木霊 より:

      トランプ氏の話はまた別の記事で整理しないとダメそうですね。
      新たに、演説をしているようですが……。

      モジタバ氏の動向が全く分からないわけですが、イランとしてはソレでいいのかと。謎です。

  2. 七面鳥 より:

    こんにちは。

    日本のように「国軍(ここでは自衛隊)は一つの組織だけであって国会の最高権力者を頂点とし、警察も一つの組織だけであって云々」という国家にいると、『警察組織がいっぱいある』『軍隊は国ではなく党に所属する』『国家に属さない軍がある』等々、他所の国の事情は理解出来なくなりますよね。
    ※アメリカの警察組織は複雑怪奇。ポリスとシェリフがいまだに良くわからない。
    ※八路軍が共産党の軍なのは周知の事実、と思いたい
    ※アメリカだって、陸海空と海兵隊の他に州軍が居る

    実際問題として、西側型の国家としての体を成していない現状のイランにおいて、誰と話すればいいのかは、多分誰にもわからないでしょう。
    モジタバ=段ボール氏の消息だってどうなっているのか……

    まあ、誰かと交渉して、その誰か以外を全部殺す、というのが一番わかりやすくはありますが……アメとイスラエルならやりかねん。

    • 木霊 木霊 より:

      こんにちは。

      段ボールのモジタバ氏には呆れましたが、でも実際あんな感じなんですよね。
      表舞台に出てこないのは、困った話です。アメリカとしては「終わったこと」にしたいようですが、イスラエルはとにかくすり潰すところまで流行るつもりっぽいですね。