イラン・カウントダウン!
イランの石油パイプラインが「3日以内に爆発」とトランプ氏 専門家らは否定
2026.04.27 Mon posted at 09:59 JST
トランプ米大統領は、米国によるイラン港湾の海上封鎖によってイランが石油を効果的に流通させることができなくなっており、機械的、地質学的な問題により3日以内に爆発が起きると主張した。
CNNより
「爆発が起きる」というのは、トランプ氏流の比喩みたいで、実際にはタンクが一杯になるという意味のようだね。
CNNのまとめで「石油は爆発しない」とかいう結論になっているのだが、そりゃ爆発はしないだろう。でも、そうじゃないと思うぞ。
イランの不都合な真実
もう貯蓄できない
先ずはCNNの内容を見ていこう。
トランプ氏はFOXニュースの番組の電話インタビューで、「膨大な量の石油をシステム内に流すパイプラインがあって、何らかの理由で、コンテナや船に石油を入れ続けることができずにそれが閉じられたとする。イランでは封鎖によって船がないから実際にそうなっているのだが、そうなると、パイプラインは機械的にも、地中でも、内部から爆発する」と述べた。
トランプ氏はさらに「それはまさに爆発するようなものだ」と付け加えた。「そして、あと3日でそうなると言われている。ひとたび爆発すれば、以前の状態に再建することは決してできない」
専門家らはCNNに対し、産油国が輸出できなくなった場合に何が起きるかについて、トランプ氏はひどく誇張していると語った。イランの石油施設は多くが停止しているため、爆発する可能性は低いという。
CNN「イランの石油パイプラインが~」より
トランプ氏は、本当の爆発するという意図で発言したのではなく、「爆発するようなものだ」と発言を修正しているが、文脈的には「使えなくなる」という意味で解釈すれば良いだろう。
発言の趣旨は、「コンテナや船に石油を入れ続けることができず」という部分を読むに、受け入れ体制が崩壊するという意味で捉えれば良いだろう。
トランプ氏の妄言と切り捨てても良いのだが、意味合い的にはアメリカ軍の封鎖によって、カーグ島からの輸出が停止状態にある。原油の生産は続けなければ、目詰まりを起こしてしまうため、継続的に続けている。それが臨界を迎えるよということで、慌てて老朽化タンカーを持ち出したという情報が出ている。
イランの絶望の幽霊船が進水する
2026年4月24日
米海軍による港湾封鎖の中、イランの石油部門への圧力が高まっていることを示す顕著な例として、テヘランはハルグ島沖で長年放置されていた30年前の超大型原油タンカー(VLCC)を再稼働させた。1996年に建造され、約200万バレルの原油を積載できるこの船、NASHA(IMO 9079107)は、現在、海上貯蔵施設として曳航されている。
energy news beatより
この話は、衛星画像などから確認出来る話のようで、アメリカ軍がカーグ島を攻撃する話があったけれども、こういう形で実現したと理解した方が良さそうだ。
カーグ島の位置づけ
過去の記事でも触れているが、イランにとってカーグ島(Kharg Island)は非常に重要である。何故なら、イラン産原油輸出の中核拠点であり、歴史的にイランの原油輸出の大部分を担ってきた。
つまり、ここが詰まるということは、単なる港湾トラブルではなく、国家財政の動脈硬化に近い。

こちらの記事には、攻撃されたらヤバいよという内容で説明したが、輸出の90~94%をこのカーグ島に集めているイランにとっては、まさに国家経済のクリティカルポイントとなる。

現在のイランの原油産出量は日量約320万〜360万バレルで、国内での精製・消費に回る分(約170万〜260万バレル)を除いた分全てが、カーグ島に集められる。
イラン経済は制裁下でも原油輸出収入への依存度が高い。
だから、輸出停止は、単に石油が売れないだけでなく、外貨不足・通貨安・財政赤字拡大へ直結する。
掘り出した原油を無駄にするわけにもいかず、それ故に老朽化したナシャを引っ張り出してでも、貯蔵量を増やそうという涙ぐましい努力をしているのである。
老朽化タンカー
で、ナシャがどの程度の備蓄が可能かというと、200万バレルなんだそうで。うん、焼け石に水だね。
カーグ島の原油貯蔵能力は、合計で約2,800万~3,400万バレル程度といわれており、200万バレルを追加したところで、2日程度延命するに過ぎない。
もちろん、1隻だけではないのだろうけれど、そんなに多数の老朽化タンカーがあるわけでもなし。
イランは米国のホルムズ海峡封鎖にどれくらい耐えられるだろうか?
2026年4月24日
ドナルド・トランプ米大統領は、イランは「財政的に崩壊しつつある」と主張し、米国によるイラン港湾の海上封鎖により、イランは1日に数百万ドルの損失を被っていると述べた。
~~略~~
「しかし、陸上にはまだ貯蔵能力があり(イランの現在の生産量の約20日分を賄える)、今後1週間は生産量の削減は緩やかに進み、5月には加速する可能性が高いと予想されます」と彼女は述べた。
海上情報機関であるタンカートラッカーズによると、イランはハルグ島で石油貯蔵スペースが不足する可能性に備え、NASHA(9079107)という名の古いタンカーを退役状態から復帰させたという。
ALJAZEERAより
アルジャジーラの観測では、原油の貯蔵の限界の関係で生産量の削減を進めることでコントロールするつもりのようだが、既に逼迫したためにナシャを持ち出したとしている。
トランプ氏の主張によれば、4月末にはこの余裕が無くなるとの話だが、アルジャジーラは未だ保つと考えているようだ。だが、いずれにせよ余裕は無くなっていくという事実は変わらない。
問題は、生産が続けられなくなって油井を閉じてしまうと、生産再開がかなり難しくなってしまうのだ。油田は停止すると、ワックス分の析出、圧力低下、水分混入などで原油が固まって流れなくなる。そうすると、再稼働には新たな油井を掘るよりもコストが必要になる。少なくとも、蛇口を開けたり閉じたりなどというお手軽なものではないってことだね。
ネットでおかしな発言を繰り返す境野氏のポストにこんなのがあった。
土日に働かせるな?原油トレーダーは24時間365日稼働しているよ?ちょっと意味が分からない。この辺りはこちらの記事で説明されているので、お読みいただきたい。

油井の生産は止められないのだから、原油トレードも止められないんだよ。
まとめ
アメリカのカーグ島制圧という噂が出ていたが、結果的には「こういう手」で来たらしい。おそらく、オプションとしてはカーグ島制圧は考えているだろうけれど、海上封鎖をした方が被害が少ないので、継続して効果が出るのであれば、この方針はしばらく続けられるだろう。
イランに残された日数は一体、何日くらいなんだろうね。


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