1966年に建設されたソウル・西大門の高架道路が、撤去作業中に崩落した。犠牲になられた方々には、先ずお悔やみを申し上げたい。
韓国・ソウルで高架道路が崩落 3人死亡=撤去の安全点検中
2026.05.26 19:46
26日午後2時半ごろ、ソウル市西大門区の高架道路の撤去作業中に一部が崩落し、作業員ら3人が死亡、3人が負傷した。
聯合ニュースより
老朽化高架の撤去作業中に一部崩落、ということなので、作業手順が拙かったのか、別に理由があったのか。だが、本日の論点はソコではないのだ。
安全管理は適切だったのか
安全点検中に崩落
安全点検の作業中に、高架の床板が崩落したとのことだが、工事中の崩落というではなかったようだが、残念なことに犠牲者を出してしまった。
事故は同日午前2時半ごろ、高架の一部を切断していた際、構造物が2.9センチ沈下し、その安全点検を行っている最中に起きた。西大門消防署の関係者によると、作業中に高架の沈下が見つかったため作業を中断し、午後2時に安全点検のため道路と梁の間に入ったところ、構造物が崩落したとみられる。安全点検には、死亡した3人のほかにソウル市の土木・道路担当者や民間業者、外部の諮問委員ら計9人が立ち会っていた。
聯合ニュース「韓国・ソウルで高架道路が崩落~」より
老朽化したインフラの撤去というのは、リスクを伴うモノだからね。崩落すること自体はある程度は仕方がない面はあると思う。
かなり大きな事故だったようで、中央日報は社説でも扱っている。
【社説】ソウル西小門高架道路崩落死亡事故、また露呈した安全管理のずさんさ
2026.05.27 11:02
昨日(26日)午後2時33分ごろ、ソウル西大門区の西小門高架車道撤去現場で上部床版の一部が崩れ落ち、現場所長や監理団長ら工事関係者3人が死亡し、3人が負傷した。
~~略~~
今回の事故は、昨日未明、高架車道の上部床版(スラブ)切断作業中に沈下現象を発見し、安全診断を行う過程で発生した。安全診断には、亡くなった現場所長と監理団長、ソウル市関係者、外部専門家も参加していたという。特に今回の事故では、危険兆候を感知して撤去を中断した後、関係者が集まり安全状態を確認していた途中で人命被害が発生した点を重く受け止めなければならない。
中央日報より
コレに関しては楽韓さんWebさんが動画をポストしていたので、紹介しておこう。
凄いな。
動画を見ると、高架の向こう側では普通に車両が行き交っており、崩落直前にはバイクが崩落地点付近に向かっている様子も確認できる。そして崩落後には、高架下を通過して走ってくる人の姿まで映っている。
少なくとも映像を見る限り、現場周辺が完全に封鎖され、厳格な立入規制が敷かれていたようには見えない。
交通規制なし?
何がスゴイって、崩落した高架の下が通行可能になっていたことだ。その内容はニュースに報じられた文面でも確認出来る。
救助された負傷者3人は30代、40代、50代の男性で、腰や頭、肋骨(ろっこつ)などを負傷した。負傷者はソウル市都市基盤施設本部と、現場近くの住民センターの職員だという。住民センターの職員は工事とは関係なく、高架の下を通りかかって被害に遭った。事故当時、現場付近には計13人がいたが、死傷者6人を除く7人は無事だった。
中央日報「【社説】ソウル西小門高架~」より
そのおかげで、工事に関係ない人が犠牲になってしまっている。
工事自体は未明に中断されているのだけれど、安全診断中に崩落(26日14時30分頃)する段階では全く交通規制がなされていない。工事中は交通に影響がないように深夜に行われたのだろうが、そもそも工事中断は安全性に懸念があったから中断されたはず。にもかかわらず、規制なし?
で、安全診断を行っていた作業員や、高架の下を通りかかっていた人が巻き込まれてしまったようだ。
韓国国土部「西小門高架車道の崩落によって見合わせられていた鉄道運行、早ければ土曜日始発から再開」
2026.05.27 14:10
韓国国土交通部が、ソウル西小門高架車道撤去現場の崩落事故により中断された鉄道運行復旧作業を、今週中に完了することを目指していると明らかにした。
中央日報より
そして原因究明がなされる前に復旧作業の完了スケジュールが発表されている。えぇ?急ぎすぎでは。
ただ、国土交通部は作業の進行状況によっては復旧のスケジュールがずれ込む場合もあると説明した。現場では構造物の劣化現象が多数発見されており、西小門高架車道は既に安全等級D等級判定を受けた状態だったと伝えられた。
中央日報「韓国国土部「西小門高架車道の崩落~」より
なお、安全等級Dとは、インフラ点検において最も悪い評価(日本だと区分IVに相当)で、対象区間への立ち入り禁止や、車両・歩行者の通行規制がなされる区分である。落下防止ネットの設置、仮補強などの実施も求められる。

老朽化は仕方ないにせよ、どうして通行禁止措置がなされなかったのか。
仮補強は行われたのか
そして、1つ気になっているのは、崩落防止の措置は行われたのかどうか?という点だ。

なんとなく、足場は形成されている感じには見える。
事故は高架車道撤去現場の安全点検過程で発生した。西大門消防署災難管理課のイ・ジョンム課長は、「安全診断のため『ガーダー』(橋梁など建設構造物を支える主桁)の間に関係者が入ったところ、ガーダーが崩壊したものと推定される」と説明した。
中央日報より
あー、「ガーダー」と呼ばれる構造物は、施工された結果っぽいぞ。その構造物ごと崩落したようで、何の意味があったかは不明。
報道される情報を集めると、老朽化してかなり危うい状況にはあったらしい。
全長492メートルの西小門高架車道は1966年に竣工した。2019年、高架下部にコンクリート片が落下する事故などが発生し、市民の安全への懸念が高まる中、精密安全診断で「安全性未達」を示すD等級判定を受けた。昨年8月から撤去工事に入ったソウル市は、来月末までに作業を完了することを目標としていた。撤去工事の進捗率は87.2%だった。ソウル市都市基盤施設本部が発注し、株式会社ホンファが撤去工事を担当した。監理はスソンエンジニアリングが担当した。
中央日報より
安全点検中に、限界点を突破しちゃったということのようだ。落下防止策も不十分だった可能性はありそうだ。
まとめ
撤去作業はかなりアブナイ作業となる。
こういったトラブルも完全には防ぐことは難しいと思うが、万が一のことを想定していれば、もう少し被害者は少なくて済んだかもしれない。
老朽インフラの更新時代において重要なのは、「事故をゼロにできるか」ではなく、「危険を前提に現場を管理できるか」である。
安全等級Dとは、一体何だったのか。



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