これだけの人が集まる様子を見ると、よくも悪くもアリ・ハメネイを中心とする信仰は強固だったということだろう。
ヒズボラとハマスがハメネイ師葬儀に参列 イランで弔問会談
2026年7月5日 8:17
イランの首都テヘランで4日、2月に米イスラエルの攻撃で殺害された前最高指導者アリ・ハメネイ師の国葬が始まった。数千人の市民が参列する中、親イラン勢力のハマスやヒズボラの代表団も弔問に訪れ、イラン政府側と会談した。
AFPより
先ずは、死後の安寧を祈りたいと思う。尤も、異教徒の祈りなど余計なお世話かもしれないが。
ともあれ、国葬が行われ、多数のテロリストたちもそこに集結し、「弔問会談」が行われたようだ。これはイランの今後を占う上で極めて大切な会談ではあるが、その先行きは明るいとは言えないようだね。
求心力の低下
テロの恩讐
AFPの報道を何処まで信じるべきかは悩ましいところだが、こんな市民の言葉も聞かれたという。
ハメネイ師の棺が安置された大規模礼拝施設「グランド・モサラ」前は、ハメネイ師の写真や国旗を手にした市民で埋め尽くされ、「アメリカに死を」「復讐、復讐」の声が響き渡った。
AFP「ヒズボラとハマスがハメネイ師葬儀に~」より
ハメネイが空爆によって殺されたと報じられているため、そのヘイトは全てアメリカに向かっている。ただし、実際に爆撃したのはイスラエル機だとも言われていて、実際のところは不明だ。爆弾によって死亡したかもわからない。そういう風に発表されているだけで。
そして、今のところ、アリ・ハメネイを弔う場に、息子のモジタバ・ハメネイ氏は顔を見せていないようだ。
「本当に生きているのだろうか?」と疑念をイラン国民の中にも生みかねない。後継者として期待される人物が国葬という最大の政治イベントに姿を見せないこと自体が、体制の不安定さを印象付けてしまうからである。
そして、モジタバ氏の不在はさておき、国政は進んでいくようだ。
国営メディアによると、レバノンの親イラン武装組織ヒズボラは、労働相などを歴任したモハメド・フネイシュ氏が率いる弔問団を派遣。一方、パレスチナのイスラム組織ハマスは声明で、弔問団は政治局長のモハメド・ダル氏が率い、バッセム・ナイム氏などの幹部も同行すると発表した。
両代表団は4日、葬儀に参列し、イランのアッバス・アラグチ外相とそれぞれ会談した。
AFP「ヒズボラとハマスがハメネイ師葬儀に~」より
外相のアラグチ氏が参列していて、各国の弔問団に対応していたことを考えれば、この機会で話を進めるのは自然。問題は、どういう方向性で話を進めているかである。
一般的な葬儀と比較するのはどうかと思うが、喩えるなら、喪主が姿を見せないまま、参列者への挨拶や焼香の案内だけが淡々と進んでいくようなものである。イラン国民にとっては、今後の国政を象徴するようで不安になるだろう。
不安定な停戦合意
さて、この葬儀を執り行うにあたり、イランは停戦に合意をしている。
イスラエル、ヒズボラと停戦合意 極右閣僚は「レバノン全土を焼き尽くせ」と主張
2026年6月20日 10:25
米政府当局者は19日、イスラエルとレバノンの親イラン民兵組織ヒズボラが現地時間同日午後4時(日本時間同10時)からの停戦で合意したと明らかにした。
同当局者が匿名を条件にAFPに語ったところによると、この停戦はイスラエルおよびイランとの協議を経て、米国とカタールによって仲介されたという。
AFPより
イスラエルがこれを機に大暴れしているので、停戦はそれを理由にして何度もひっくり返されてなかなか合意には至らなかった。

これはイスラエル北部ガリラヤ地方の様子で、無惨なまでに破壊されている。レバノンとの交戦、ではなくレバノン国内で暗躍するヒズボラとの交戦でこんな状況になっている。
日本国内ではイスラエルが無抵抗なレバノンを蹂躙しているような報道がなされている印象が強いが、抵抗していないのはレバノン軍であって、武闘派テロ組織ヒズボラはイスラエルに対して攻撃を繰り返している。
なお、イスラエルがレバノンを蹂躙しているのは事実であり、レバノン側もまた甚大な被害を受けている。
ベングビール国家治安相は声明で、「米国人には大変申し訳ないが、イスラエルは世界全体に対して、われわれの息子たちの血と市民の安全が交渉を有利に進める材料にならないことを明確に示さなければならない。レバノン全土を焼き尽くさなければならない」と主張。
「イスラエル人の母親1人が流す涙の一滴一滴に対して、レバノン人の母親1000人を泣かせなければならない」として報復を訴え、「近東においては、抑制された対応や自制で勝利を収めることはできない」と述べた。
AFP「イスラエル、ヒズボラと停戦合意~」より
そして、今なお睨み合っている状態。
落とし所を探りながら、期限を決めて停戦条件を詰めている最中ではあるが、イスラエル側には停戦する理由は薄いし、イラン側は出口を模索せざるを得ない状況。イラン経済を考えれば、直ぐにでも原油輸出を再開したいものの、それも難しい状況。
葬儀をキッカケに
取り敢えず、イラン政府としては今回の国葬をキッカケに求心力を高める目的はあったと言われている。
イラン、ハメネイ師葬儀で体制の結束誇示へ 4日テヘランで開始
2026年7月3日午前 8:59
イランでは前最高指導者アリ・ハメネイ師の葬儀など数日間にわたる大規模な式典に向けた準備が進められている。イスラム共和制への国民の忠誠を示し、革命の情熱がなお衰えていないことを示す狙いがある。
~~略~~
ただ、アナリストは団結と忠誠の表向きの姿の裏で、イスラム共和制への国民の支持は紙のように薄くなっていると指摘する。
ロイターより
イスラエル軍による激しい空爆や戦闘によって、多くのイラン市民も犠牲になり、家や日常を失っている。
混乱の中で家族の葬儀すら静かに行えなかった遺族が多数いる中、戦争の引き金を引いた張本人である指導者が、国費を使って「2000万人規模」などと謳う華美な国葬で送られる構図は、市民感情を逆撫でする以外の何物でもないのだ。
「空気が読めていない」どころか、国民の苦難に対する政権の「絶対的な無関心」として映っている。「アイツラに政治を任せておけない」という空気は広がっているのだ。
そして、今回、モジタバ・ハメネイ氏が登場しなかったことも、不満に拍車をかけている。指導者が、この期に及んで表に出てこない状況というのは、普通ではない。
まとめ
イランは、この期に及んでプロパガンダで国内をまとめ上げようとしているが、現実はそれに成功しているとは言い難いようだ。
おそらくだが、イランを救ってくれるのは民主主義などではなく、強く正しいリーダーなのだ。だが、統治に失敗したリーダーは不要で、顔の見えないリーダーでもこの現状を変えられることを信じさせることは難しいだろう。
だが、国葬にすら、葬儀を終えた後に体制を率い、停戦交渉をまとめ、親イラン勢力を束ねる「喪主」の姿は、最後まで見えてこなかった。「喪主」のいない葬儀がイランにとって「普通のこと」でもない限り、国民にも参列国の代表たちにも不安を与えるに違いない。
本来であれば、イランは停戦合意をまとめて不毛な戦いを終わらねばならない。だが、関係各国が同じ方向を向いているとは言い難い。特にイスラエルにどんな納得感を与えられるかは、この合意の大きなポイントと言える。
イランは出口のない停戦合意に対して、どんな答えを出すのだろうか。


コメント
イスラエル人一人の一雫に対して、
レバノン人1000人の……
ベングビール治安相の言葉が以下にそっくりで笑える🤣
「ドイツ人兵士ひとりの死に対して、
町を一つ消滅かせてやる」
By アドルフ・ヒトラー