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【コラム】ドローンの飛行を阻む日本の電波利権の現実

社会
この記事は約4分で読めます。

先日のコラムを書いていただいたコメントに電波の話があった。

ああ、そういえば日本には「電波利権」と呼ばれる問題があったよね。

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阻むのは電波利権

技術はあるのに、空は制限だらけ

都会の空をドローンが飛ぶには、様々な障害物を避けるために、データを送受信しながら飛ぶ。技術的には、都市部でも十分に自由に飛ばせるはずだ。しかし、現実は思ったほど自由ではない。

操縦用の電波は混雑し、FPVカメラ用の帯域も他の通信に干渉されやすい。その原因は技術の限界ではない。

根本には、日本の電波割当の旧態依然とした仕組みと、権益を守る利権構造がある。

ドローンに使用可能なのは2.4GHzと5.7GHz帯である。

これだけ見ても結構込み合っている印象があるよね。一方で、テレビに用意された周波数帯は、これに比べたかなり広域に設定されている。

つまり、新しい技術を実用化したくても、制度という見えない壁が空を覆っているのだ。ドローンは、単なる娯楽や趣味の話ではなく、日本の技術活用環境の現状が色濃く影響する。

地デジ化でも変わらない占有

地デジ化により、かつてのアナログテレビ帯域の干渉問題を理由に、広く電波帯を占有していた理由は崩壊した。

したがって、理論上は空いた帯域をドローンやIoT、5Gのような新しい技術に割り当てることは可能であるはず。

だが現実には、テレビ局が長期免許で広範な帯域を占有し続けている。結果、都市部の電波環境は新規参入者にとって過酷で、自由に活用できるスペースは限られる。

技術的には問題を解決する手段が存在するのに、実際には政治的・利権的制約が邪魔をしている。この皮肉な現状こそ、ドローンの自由な飛行を阻害する要因になっているのだ。

公共放送の皮肉な実態

そして広域の電波帯を占有しているのがNHKである。

NHKは本来、国民に公平に情報を届けるための公共放送として設立されたはずだ。しかし、現実はその目的から逸脱している。バラエティやアニメ、娯楽番組にまで手を広げ、民間市場を圧迫するのは周知の事実だ。

さらに巨額の予算を積み立て、新社屋の建設を進めている。建設費は657億円、放送機器まで含めると3400億にも上るという噂も。

建物が完成したNHK放送センターの情報棟
建て替え中のNHK放送センター

この膨大な資金と電波帯域の独占は、本来の公共性よりも利権維持に重きを置いているとしか思えない。国民に公平に情報を届けるという大義名分は、いつの間にか肥大化した組織運営の方便になってしまったのである。

技術は解決策を示すが、利権が邪魔

帯域の再割当や共用化といった技術的手段は、十分に存在する。

動的周波数利用や高度な変調方式を導入すれば、ドローンやIoTの無線利用は格段に効率化できる。しかし、制度上の制約や既得権益の壁が、それを阻んでいる。利権構造の前では、最先端の技術も思うように活かせないのが現状だ。

邪魔するもののないはずの空間で邪魔をするのが、地上にいる人間が作った利権構造というのは何とも皮肉である。技術の力は十分でも、社会がそれを活かす環境を整えなければ、宝の持ち腐れに終わる。

総務省、電波オークション制度創設へ 改正法が成立

2025年4月18日 14:27

通信用電波を価格競争で配分するオークション方式の導入を盛り込んだ改正関連法が18日の参院本会議で可決・成立した。限られた資源である電波の経済的価値を明確にして、有効利用を促す。

日本経済新聞より

総務省は重い腰を上げたように見えたが、まだまだテレビ局が牛耳っている電波帯にメスは入れられてはいないようだ。

経済閉塞感を打破するには

日本経済の停滞は、単なる景気循環や人口減少の問題だけではない。

新しい技術や事業が社会で活かされにくい制度構造も、大きな要因だ。

電波利権や公共放送の旧態依然とした運用は、その象徴である。ドローンやIoTのような技術を育て、経済の活力を取り戻すためには、まず制度改革が不可欠だ。技術は解決策を提供できるが、現実の制約を取り払うのは政治の手綱次第。

この皮肉な状況を見過ごすわけにはいかない。次世代に自由な電波空間を残すために、今こそ議論を始めるべきだ。

コメント

  1. 七面鳥 より:

    こんにちは。

    放送法そのものを見直す時期、というか、憲法含めて増改築しまくった法律を片っ端から立て直す時期に来ているのですよね。
    ただ、そうなると、リアルの区画整理同様、利権を手放さないジジイどもが……

    高市政権でその辺大鉈振ってくれることを祈ります。
    ※それが怖くて高市政権を潰しにかかってるのも丸見えですし。

    • 木霊 木霊 より:

      こんにちは。

      放送法もそうですが電波法には真剣に手を付けないと。
      そして、利権をぶち壊すのは必須項目ですから、もはや避けられません。新たな産業が生まれるように頑張ってもらうしかありませんね。