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ハンファオーシャン設計・建造の大邱級フリゲートの配管に亀裂

韓国海軍
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やってくれるな!流石!

ハンファオーシャンが設計した3100t級護衛艦で欠陥発見

入力 2025.05.20 11:00

ハンファオーシャンが設計・建造した海軍の3100トン級護衛艦数隻で配管に亀裂が発生する欠陥が発見された。 欠陥が発見された護衛艦は修理を終えた後、正常運用されている。海軍と防衛事業庁(防衛庁)は、欠陥が生じていない護衛艦も同じ配管が使用されたため、配管と構造を変更し、責任の所在を明らかにするための法律検討を進行中だ。

朝鮮日報より

はて、しかし「配管に亀裂」とは。

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設計思想がちょっと怪しい

配管に亀裂

北朝鮮のやらかしに続いて韓国軍の駆逐艦での話。流石、元祖お笑い韓国軍である。これに関しては、既にMony1様のところが記事にしている。先を越されてしまったので、後追い記事だね。

「韓国海軍フリゲートで配管不良」勝手にステンレスパイプ使って漏水。
北朝鮮で新型駆逐艦の進水式でコントのような失策があり、せっかく造った駆逐艦が水没しました。金ちゃんファミリー三代目の金正恩さんも激怒。「06月の党中央委員会全体会議までに引き上げろ」としているのですが、本当にできるかどうか分かりません。「北...

今回、問題になったのは大邱級フリゲートである。「また」らしいぞ?トラブルは別みたいだけれども。

大邱級フリゲートに関しては、こちらの記事で纏めてあるのだけれど、推進システムを弄ったのがねぇ。

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仁川級フリゲートを大きくしただけではなく、推進システムも刷新したのだけれど、ギアボックスに難のある韓国軍なので、「まあ、仕方がないか」という印象だね。

パラスト水配管が燃料タンクを貫通

ただ、今回のトラブルは推進システム周り(トラブルが解消したかは不明)ではなくて、配管周りの話らしい。

20日、防衛産業界によると、2022年大邱級護衛艦1隻で配管欠陥が初めて発生した。この配管は平衡水(船の重心を取るために船の中に入れる水)が通る通路で、燃料タンクを貫通するように設計されている。配管に大量の海水が通過して穴ができ、ここから漏れた海水が燃料タンクに入り込んで問題が発生したという。

朝鮮日報「ハンファオーシャンが設計した3100t級護衛艦で欠陥発見」より

平衡水(バラスト水)は、船体のバランス調整に使われるもので、大抵は海水をバラストタンクに取り込んで喫水を下げるという使い方になる。

で、どういう理由か走らないが、このバラストタンクに接続する配管を燃料タンクを貫通させる配置にしてしまっているらしい。更に、この配管の材質が変更されてしまったらしい。

防衛事業庁によると、2011年にハンファオーシャンが基本設計を行った当時は銅-ニッケル合金素材の配管だったが、後にステンレスに設計が変更された。

設計過程で配管の材質を交換することは、防衛事業庁や国防技術品質院(技品院)の承認事項ではないため、ハンファオーシャンが独自に変更したのだ。最初に欠陥が発生した護衛艦には、基本設計時に変更されたステンレス(SUS316L)ではなく、承認されていない別の材質のステンレス(SUS304L)が一部使用された。

朝鮮日報「ハンファオーシャンが設計した3100t級護衛艦で欠陥発見」より

ふむふむ。

銅ニッケル合金 → ステンレス(SUS316L) → 一部だけステンレス(SUS304L)

配管材料の変更は防衛事業庁の承認なくメーカー判断で行われたらしい。しかし、老舗メーカーがなぜこんな変更をしたのかは理解に苦しむところ。「下請けが勝手にやりました」ってなことになっているようだが。

耐食性が圧倒的に違う

どういうことかというと、「銅ニッケル合金」は海水冷却システムや海水淡水化プラントなどに使われる優秀な素材で、海水耐蝕や生物付着に対する強い耐性がある。よって、海洋環境では優先的に選ばれる素材と言って良い。

ステンレス系素材よりも、コスト面で高価になることが多いのだけれど、メンテナンスまで含めて考えた場合には、寧ろコスト圧縮するメリットが高いというのが一般的な認識である。

で、ステンレス系素材の中で耐食性に優れるのがSUS316Lなのだが……、なぜ、SUS304Lにダウングレードするのか。

確かに耐蝕素材として使われるSUS304よりもSUS304Lの方が含有炭素量を少なくすることで溶接部分の耐食性を高めてあるが、それだって「比較的耐食性が高い」レベルで、ステンレスの中の耐蝕グレードといえばSUS316Lということになる。

素材的にはSUS304LはSUS316Lと比べてモリブデン添加が行われていないために、どうしても耐食性で劣るのである。当然、SUS304Lの方がお安いのだが。

とはいえ、SUS304LもSUS316Lも海洋環境で使う素材ではあるので、全く駄目ということはないんだけど。

ただ……、気になる行がある。

承認されていないステンレスが使用された配管が使用されたのは、全体の131mのうち1.6m程度だ。ハンファオーシャンは、協力会社が間違えて他のステンレス配管を使用したと話した。ハンファオーシャンの関係者は「6m単位で供給するが、配管を加工する過程で協力会社が別の配管を使用した」と話した。

朝鮮日報「ハンファオーシャンが設計した3100t級護衛艦で欠陥発見」より

一部だけがSUS304Lになってしまっていて「間違えて使った」ということらしいのだ。そんなことあるか?SUS316L素材の配管がなくなってしまったので、手元にあったSUS304Lで代替してしまったというのが真相のような。

韓国人お得意のケンチャナヨ精神だ。

構造的欠陥では?

ただ、そもそも燃料タンクをバラスト水配管が貫通するというのが良くわからない。そもそも配管はどうしたって漏れるリスクのある構造物である。万が一漏れた場合に、燃料タンクを貫通していたら修理するのがとても大変だと思うのだが。

腐食に強い銅・ニッケル配管を使わなかったことについては、「銅・ニッケル配管を使うと燃料が汚染され、堆積物が発生する問題があり、当時はステンレスが最善の選択だった」という。

~~略~~

軍の関係者は「腐食に強い素材のステンレス(SUS316L)が使われた他の護衛艦でも穴が開いた。現在、問題が発生していない他の護衛艦も燃料タンクを迂回するように配管構造を変更している」と話した。

朝鮮日報「ハンファオーシャンが設計した3100t級護衛艦で欠陥発見」より

ここにも言及されているが、銅ニッケル配管を使わなかった理由が「燃料を汚染するから」というもの。いや、燃料タンクを貫通させたことが問題なのでは?

問題が生じた配管が貫通する燃料タンクは護衛艦内の発電機用燃料を保管する場所である。武器体系やエンジンなど重要な部品ではなく、重大な問題ではないと伝えられた。燃料タンクを貫通するように設計したのは、発電機整備などのための作業スペースを確保するためだった。

軍関係者は「通常数万本の配管が入るが、タンク外に回すと整備スペースが不足する」と話した。海軍が現在運用する多数の護衛艦も配管が燃料タンクを貫通するように設計されたという。

朝鮮日報より

駄目なかおりがプンプンするぜ!

なお、一般的な船舶を含めてそういう運用が本当にないかということなのだが……。

多くの船級協会(例:ABS、DNV、NKなど)やSOLASなどの国際規則において、燃料タンク内に他のシステムの配管を通すことは制限されているか、特別な安全対策が求められます。

基本的にバラスト水と燃料が交じることを嫌うために、やってはいけない事になっているか、設計的な工夫(漏洩防止のための隔壁が設けられるなど)が必要になるようだ。

多数の護衛艦、大丈夫か?というか、韓国製の船舶ってもしかしてこういう設計思想で作られるものなの?護衛艦だけかい?

海軍は問題が生じた護衛艦の一隻を自己修理した。配管が燃料タンクを貫通しないように配管を迂回設置したのである。もう一隻はハンファオーシャンと海軍が半分ずつ修理し、ハンファオーシャンは問題が発見された他の護衛艦も7月と10月に無償で修理する予定だ。

朝鮮日報「ハンファオーシャンが設計した3100t級護衛艦で欠陥発見」より

同じファミリーは全部修正されるらしいけれども、何だかなぁ。

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