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KF-21戦闘機の量産と輸出

韓国空軍
この記事は約11分で読めます。

KF-21戦闘機が完成した、という話は聞かないのだけれど量産は開始されている。

「ニッチ」探すKF-21、量産から輸出まで「本戦開始」

入力2025.01.31. 午前 9:53

韓国型戦闘機KF-21が本格的に活動する時期が近づいている。

昨年6月、KF-21 20機の最初の量産契約(1兆9600億ウォン)を締結した韓国航空宇宙産業(KAI)は先月、1243億ウォン規模の成果基盤軍需支援(PBL)契約を締結した。

NAVERより

そして、存在自体がニッチなKF-21戦闘機がニッチを探しているという不思議な記事である。ある意味自虐なのだろうか?

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F-16Vの需要が高まっている今が好機!…好機?

未完の大器

時折見かける、「KF-21戦闘機は優れた性能を持っている」という言説なのだが、出来上がって性能テストも終わっていないのに、何を評価してそのように発言しているのか意味が良く分からない。

「ステルス機高い? 韓国製いかがですか!?」 オリジナル戦闘機が爆売れしそうな理由 “中途半端さ”は狙いのうち?

2024.06.04

韓国が開発中の最新戦闘機KF-21「ボラメ」は、性能的には米露のステルス戦闘機と比べると一段劣ります。しかし、それゆえに大きなメリットと海外市場でのアドバンテージも見込んでいるとのこと。世界で売れるのでしょうか。

乗り物ニュースより

当ブログでは比較的引用頻度の高い「乗り物ニュース」ではあるが、KF-21戦闘機関連のニュースは、ややズレている気がするので引用を控えている。

「中途半端なステルス機」と見るのは浅はか 韓国オリジナル戦闘機KF-21“進化計画”の現在地とは お値段F-35超え!?

2023.11.26

韓国が独自に開発した戦闘機KF-21「ポラメ」は、F-22やF-35といった最新ステルス戦闘機と同じように見えますが、メーカーいわく目指すポジションはそこではないとか。開発目的について直接ハナシを聞いてきました。

乗り物ニュースより

いや、タイトルの付け方が問題であって、記事の中身は実態に即している印象なんだけれども、まあ、そこはいいや。

とにかく、「韓国には戦闘機開発経験がなく」「未だ完成していない」という2点はまず指摘しておきたい。

あ、あと、スペックは優秀!ということも。まあ、これに関しては韓国製兵器全般に言える事なんだけれども。

来年には空軍配備開始へ

そんな訳で、概ね完成に近づきつつも未だ完成したという報道のない状況のKF-21戦闘機なのだが、何故か既に韓国国内ではKF-21戦闘機は出来上がったという認識である様だ。

ハンファエアースペースをはじめとする主要協力会社も核心部品供給の準備を進めている。量産に入ったKF-21は来年から空軍に配備され、領空防衛任務に就く予定だ。

NAVER「「ニッチ」探すKF-21」より

来年って、2026年のことだよね?

現在のスケジュールだと、2024年量産契約を締結、開始し、2026年から量産機納入が始まる予定となっている。

スケジュール通りに開発は進んでいる(はず)だし、量産計画も始まった。何も問題はないぞ、という事かもしれない。何にせよ、今の所は不安要素はないのだ。

IRSTの開発にも成功した?しね。

KAI、防衛事業庁とKF21を20機契約 2026年から順次領空投入 ハンファシステムはAESAレーダーを供給

2024-06-25 16:01:59

韓国型超音速戦闘機KF21が量産に入り、2026年から順次大韓民国の領空守護に投入される。 韓国航空宇宙産業(KAI)は、防衛事業庁と2兆ウォンに迫るKF21初の量産契約を締結した。 ハンファエアロスペースとハンファシステムは、それぞれKF-21用エンジンと能動型位相配列(AESA)レーダーを供給する。

KAIは25日、防衛事業庁と1兆9600億ウォン規模のKF-21初の量産契約を締結したと明らかにした。 今回の契約にはKF21の計20台と技術教範·教育など後続軍需支援が含まれた。

KF21は現在、開発が80%ほど進んでいる。 KF-21は最初の試験評価を通じて航空機の優秀な性能と安定性を立証し、今回初めて量産契約を締結した。 体系開発が完了する2026年から量産機納品が始まる予定だ。 KF21は、最近退役したF4と今後退役するF5戦闘機に代わって、領空守護の任務を担うことになる。

毎日経済より

去年6月時点で開発は8割完了しているし、空軍に納入されてからテストは継続されるんだよね?

アメリカでもF-35Aの開発はそんな感じのスケジュールだったはずで、空軍納入が2011年5月で、初期作戦能力を獲得したのは2016年8月だった。

何処まで開発は進んでいるのか

AESAレーダーも優れたものが出来上がったという話だったし。

ハンファシステムも防衛事業庁とKF21に搭載されるAESAレーダー初の量産契約を締結した。 契約規模は1100億ウォン余りで、2025年8月末からKF-21に搭載される予定だ。 ハンファシステムは、最初の量産20台を皮切りに、今後、後続量産まで安定的にKF-21にAESAレーダーを供給する計画だ。

毎日経済より

実際に、AESAレーダーは今年8月末よりKF-21戦闘機に搭載される予定になっている、

……ん?

えーと、多分本体が組み上がるのが8月頃で、AESAレーダーは8月末からじゃないと組み付けられないって意味だよね、多分。

2022年7月に初試験飛行に成功したKF-21は、その後も超音速飛行試験などを行い、暫定戦闘用適合判定を取得した。試験過程で得られたデータは量産型機体の設計と製作に適用された。

NAVER「「ニッチ」探すKF-21」より

順調そうな記述は散見される。だから多分順調だということなんだろう。

輸出に積極的に!

とまあ、やや不安要素の残る完成度はさておき、生産台数が20機という状況がコスト上昇に拍車をかけていることを、この記事は憂いている。

そして、輸出しろと。

このようなコスト上昇を抑制するには、生産物量を最大限増やして規模の経済を確保、コスト削減を図らなければならない。しかし、韓国空軍が購入するKF-21数量は制限されている。輸出に積極的に出なければならない理由だ。

NAVER「「ニッチ」探すKF-21」より

まあ、韓国の兵器がダメとは思わないけど、初めて開発する戦闘機がいきなり売れるかといえばかなり怪しい。

確かにK9自走砲とかK2戦車は買い手が付いて大量生産をし、輸出する流れになっている。それは素晴らしいことだと思う。やや韓国企業の生産能力を上回っている点に懸念はあるが、そこに目を潰れば成功といって良いと思う。

でも、KF-21戦闘機は……。

しかし、損益分岐点を達成し、次世代航空武器システムの開発能力を確保するためには、韓国空軍の電力化に加えて輸出が必須だ。

西側武器を使うがF-35を導入できない国を対象にKF-21を輸出するには、国内のすべての能力を集めることが必須だ。空軍戦力化と輸出の試みを控えた今、真の挑戦はこれから始まった理由だ。

NAVER「「ニッチ」探すKF-21」より

共同開発する話に乗ってきたインドネシアすら及び腰なんだよねぇ、導入するのは。何故ならば、韓国初開発のジェット戦闘機だから。

性能が中途半端だという点は、必ずしも悪いことだとは思わない。記事が指摘するように高価なF-35Aやら値上がりしているF-16Vの導入できない国に向けて輸出する選択肢は残っている。

エンジン開発がキモ

でも、本当に輸出できるかはかなり怪しい。だって、エンジンはアメリカ製だしねぇ。F-35やF-16を輸出できない国にKF-21が輸出できるかと言ったら、エンジンだけでも怪しいと思うんだよね。記事ではエンジンを自国開発しろ!とか書いてあるんだけど、F414クラスのエンジンをいきなり製造するのは無理だと思う。

韓国内でハンファエアロスペース社がライセンス生産することになっているのだけれど、その実、ノックダウン生産に近いんだよね。

KF-21エンジンは米国GEのF414をハンファエアロスペースが生産する形態だが、国産化率が50%に満たない状況だ。

NAVER「「ニッチ」探すKF-21」より

実質2割程度の国産化比率であるという話もあったが、「50%に満たない」という表現に誤りはない。

開発にも前のめりだし、成功するんじゃないかな?

……いや、応援しているのは本当だ。ただ、若干不安要素が多いなぁと思っているだけで。そして、期待もしているんだ。

追記

超音速飛行について

コメントで突っ込みを頂いたので、改めて確認したのは2点。1つはスーパークルーズ性能の有無。もう1つはミサイル発射可能かどうかについて。

先ずは、飛行性能からだ。

KFXの設計要求には、「高速迎撃能力・超音速巡航能力、ある程度のステルス性能、そしてマルチロール能力を持つこと」が規定されていた。つまり、スーパークルーズ性能の獲得を当初は目指されていたことになる。

ただ、それが獲得できたかは現時点では判断が難しい。

韓国製戦闘機「KF-21」 初の超音速飛行に成功

Write: 2023-01-18 10:27:28/Update: 2023-01-18 10:29:33

韓国の独自技術で開発された戦闘機「KF-21(ポラメ)」の試作機が、超音速飛行に初めて成功しました。 

KBS WORLDより

報じられた超音速に関する記事はこの超音速飛行テストに関する1度だけ。

戦闘機の開発を行っている韓国航空宇宙産業によりますと、KF-21は2基のエンジンが搭載されていて、ステルス性能を備えています。全長16.9メートル、幅11.2メートル、高さ4.7メートルで、設計上の最高速度はマッハ1.81、航続距離は2900キロ、最大積載量は7.7トンです。

KF-21の1号機は、去年7月に初の飛行を行ってから、6か月間で80回余りの試験飛行を行いながら、飛行高度や速度を高めてきました。今回は、高度およそ1万2200メートルで飛び、3回にわたって音速を突破したということです。

KBS WORLDより

記事によると音速を突破したのは3回のみ。6ヶ月で80回余りの飛行試験をやって、音速を超えたのが3回。……少ないのでは?という感想を抱いたが、重要なのはそこではない。

設計上の最高速度がマッハ1.81というのは恐らく、F/A-18E/Fと同じF414-GE-400系列のエンジン2基を搭載しているからで、F/A-18E/Fがマッハ1.8を出せることに基づくものだろう。

韓国の次世代国産戦闘機 航空・防衛産業展で実物大模型初公開

2019.10.14 17:03

韓国の次世代国産戦闘機KFXのモックアップ(実物大模型)が、14日にソウル空港(軍用空港)で開かれた「ソウル国際航空宇宙・防衛産業展示会(ADEX)」(15~20日)のプレスデーで初公開された。

航空機メーカーの韓国航空宇宙産業(KAI)によると、この戦闘機は最大速度マッハ1.81(時速2200キロ)で、航続距離は2900キロ。

聯合ニュースより

実際、設計段階で発表された数値から変更されていない事から考えると、性能確認の最中であると考えた方が無難だ。分かっているのは、KF-21もマッハ1.0超を3回経験したことだけ。

防衛事業庁によりますと、今回の試験飛行で、KF-21が超音速飛行に必要な機体の構造的な安定性を備えていることが確認できたということです。

KBS WORLDより

その結果をもって、超音速飛行が可能であるとの判断だが、ではスーパークルーズ性能があるかというとやや怪しい。そもそもスーパークルーズ性能とは超音速巡航可能な性能であり、音速を超える事が出来ることを確認した程度で「スーパークルーズ性能あり」とはならない。

F/A-18E/Fにもスーパークルーズ性能があるとは聞かないし、F-15やF-16にも備わっていないので、KF-21に実現させる気があったかは疑問である。

F-22スーパークルーズエンベロープの作成より

機体形状の設計ノウハウがあったかどうかも怪しく、機体形状をF-22に近づけた感じのシルエットにした感じであった。風洞実験の結果はかなり良好な結果だったという風に報じられていた気はするんだけど。

ミサイルの切り離し

というわけで、飛行性能については今後の報道を期待するしかない状況なんだけれども。

では短距離ミサイルはどうかというと、AIM-2000とIRIS-T分離試験に成功している。

韓国製戦闘機「KF-21」 短距離ミサイルの分離試験に成功

Write: 2023-04-06 10:15:05/Update: 2023-04-06 15:56:18

韓国の独自技術で開発された超音速戦闘機「KF-21(ポラメ)」の試作機が、飛行中に短距離空対空ミサイルを分離する試験に成功しました。  
 
防衛事業庁が5日、明らかにしたところによりますと、「KF-21」の試作機の飛行中に短距離空対空ミサイル「AIM-2000」を分離する試験を行い、その様子を収めた映像を、動画投稿サイトYouTubeに掲載したということです。

~~略~~

防衛事業庁は先月28日、同じ戦闘機「KF-21」から、中距離空対空ミサイルを分離する試験にも成功しています。

KBS WORLDより

動画もあるね。

ただ、半埋め込み式で装着されたミサイルを分離したというわけではないようだ。

韓国初の国産超音速戦闘機 来年から量産へ=「暫定戦闘用適合」判定

2023.05.16 16:31

韓国の防衛事業庁は16日、初の国産超音速戦闘機、KF21(通称「ポラメ=若鷹」)が「暫定戦闘用適合」判定を受けたと発表した。2024年の量産開始に向けた要件を備えたことになる。事業構想から20年余りで、量産を間近にしている。

聯合ニュースより

だが、その後、暫定戦闘用適合が出されたので、テスト結果は良好だったと勘違いしていたのだが……。一体どんなテストが行われたのかは特に明らかにされておらず、実際に何が出来るのかも明らかではない。

防衛事業庁は来年からKF21の量産に入り、26年には最終的な「戦闘用適合」判定を得て、同年下半期に空軍への引き渡しを始める計画だ。

聯合ニュースより

もしかしたら、2026年に最終的な戦闘用適合判定が出る頃になったら、もうちょっと分かることもあるかも知れない。

……結論は「わからない」で大変申し訳ないんだけど。

コメント

  1. 匿名 より:

    KF-21はスーパークルーズ能力が有る事になっていますが、胴体下半埋め込みミサイルの発射時にトラピーズで押し出していないので音速を超えてミサイルが発射する気が無いのかな?

    MiG-31の胴体下にはトラピーズがあるので超音速飛行しながらミサイル発射が可能

    • 木霊 木霊 より:

      胴体下半埋め込み式のミサイルは、リンク機構でも使っているんじゃないですかねぇ。
      その辺りの紹介がさっぱりされていないのですが、少なくともミサイル発射テストには成功しているわけですから、多分何かからくりがあるんでしょう。

      • 七面鳥 より:

        横合いから失礼。

        発射試験、成功してましたっけ?見落とした?
        切り離し試験は成功したのは知ってますが。

        半埋め込み式ランチャーは、爆薬ボルトで切り離し&押し出し式だったかと@ベトナム戦頃のF-4のスパローとか。
        ※サイドワインダーは自走式でレールから前に離れる、でもF-22もF-35も「機体から離す」リンクはウェポンベイ内に内蔵してますね(してないと成立しない)。
        ※国産機の開発でも、ウェポンベイの作動試験はかなり力入れてましたから、空力的にも構造的にも「超音速で作動し、機体姿勢その他に影響しない」ウェポンベイドアの設計は相当に大変なのでしょう。ドア吹っ飛んでも困るし、開けた途端キリキリ舞いしてもダメだし……
        ※ミサイルを充分に機体から離せるシステムが無いと、発射した途端に機体に吸い寄せられて自爆しますからね……

        • 木霊 木霊 より:

          いえ、改めて確認しましたが、現状分かる範囲では切り離し試験だけですね。
          そもそも、切り離し試験も半埋め込み式のところから切り離していないんですよね。

    • 匿名 より:

      スーパークルーズ中はミサイル発射不可、と言う割り切りはマズイ理由の解説希望

      • 木霊 木霊 より:

        申し訳ない。
        「出来るのではないか?」というのは根拠のない話で、実際、どちらなのかを判断できる根拠も見つけられていないのが現状です。
        そもそも、スーパークルーズ性能が備わっているかすら、怪しいですし。

        • 匿名 より:

          いえ質問の仕方が悪かったですすみません。知りたいのは一方的な戦闘機運用でのスーパークルーズ中のミサイルの使い方と必要性です。
          素人考えでミサイルは低速の戦闘で使い、超音速で使う必要性は低かろう。なら機能を削る割切りも一つのコンセプトと思ったのですが、
          ここの話の流れからは必須の機能らしい。これが何故か教えて欲しいて意味でした。

          • 匿名 より:

            あ、一方的な戦闘機運用じゃなく、一般的な戦闘機運用です。

          • 木霊 木霊 より:

            追記させていただきましたが、これがどうにもはっきりしないのです。
            そもそもスーパークルーズ性能って本当にあるの?レベルなので、ご指摘のようにミサイルキャリア的な運用はありと割り切っている可能性はあります。
            空戦能力も随分と低そうですし、F22に似ている割にはそちらの方面の機能をオミットしている可能性も。

            何れにせよ、ナニカ分かればまた記事にするか、追記させていただきたいと思います。

  2. 匿名 より:

    テジャスみたいにアメリカからエンジン供給停止されたら終わりますね