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日豪に求められる防衛力強化とその道筋

安全保障
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予想された展開ではあるが、まあ仕方はなかろう。

PM urged to hedge bets by boosting defence spending

June 27 2025 – 4:21pm, first published 4:15pm

Anthony Albanese is digging his heels in on lifting defence spending as the US heaps more pressure on its allies to increase their share.

NATO members agreed to spend five per cent of their economic output on defence and security, after calls by US President Donald Trump.

canberra timesより

NATOが防衛費5%まで増額を決め、当然ながらアジアにも同じことが求められる。これはオーストラリアの話ではあるが、日本にも同じことは求められている。

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何が求められているのか

求められる防衛力強化

しかし、バカ正直に5%を目指す必要が本当にあるのかどうかということと、外交的にどうあるべきかということは、しっかり考えるべきだろう。

この強化により、インド太平洋地域のワシントン同盟国にも同様の対応を求める圧力が強まり、ホワイトハウス報道官のキャロライン・リービット氏はオーストラリアなどの国も追随すべきだと述べた。

~~略~~

NATO諸国は国内総生産の3.5%を中核防衛に、さらに1.5%を広範安全保障に支出することが求められる。

これには、インフラストラクチャを軍事用に適応させ、エネルギー源を保護することが含まれます。

canberra timesより

NATOは防衛費5%目標で合意したということが伝えられているが、具体的には防衛費3.5%+広域安全保障に1.5%で合計5%という数字になっている。

比較的柔軟に対応して良いという意味である。

NATO首脳会議、防衛費「5%」目標で合意 トランプ氏「大きな勝利」

2025年6月26日

北大西洋条約機構(NATO)首脳会議(サミット)は25日、オランダ・ハーグで2日間の日程を終え、加盟各国が防衛費を国内総生産(GDP)の5%まで引き上げることで合意した。アメリカのドナルド・トランプ大統領からの数カ月にわたる圧力に応じた格好となった。

~~略~~

合意では、加盟各国は2035年までに、GDPの少なくとも3.5%を防衛費の中核部分に充て、最大1.5%を安全保障インフラに緩やかに関連する投資に支出する。

BBCより
NATOの一部加盟国におけるGDPに占める防衛費の割合を、2014年と2024年(推計値)で比較したグラフ。上からポーランド(1.86%、4.07%)、エストニア(1.9%、3.41%)、アメリカ(3.68%、3.19%)、リトアニア(0.88%、3.11%)、イギリス(2.14%、2.33%)、ドイツ(1.16%、2.1%)、オランダ(1.12%、2.06%)、フランス(1.82%、2.03%)、イタリア(1.13%、1.5%)、スペイン(0.92%、1.24%)。また、グラフにはNATOの従来目標である2%に点線が引かれている

そもそもNATO加盟国は目標として掲げていた2%ですら及び腰だった。スペインなどは今回も反対していたが、2014年では0.92%と日本の防衛費よりも低い。

集団防衛体制を構築するにあたって、「あいつに守ってもらえば良いや、うちは今大変だし」という発想が蔓延していたことが、その原因であり、EUの防衛力は極めて脆弱になってしまった。

平和のコストはただではない

その結果、アメリカがブチギレるということになる。もちろん、アメリカだけが頑張っているというわけではないし、条件が同じでもない。一律5%という数値目標を設定することは褒められた話ではないと思う。

だが、北欧諸国は急激に防衛力を整備しなければならない局面に立っていて、それは彼ら自身が理解している話でもある。

NATOサミットの中心はトランプ氏、欧州の「平和のカギ」か

2025年6月25日

オランダ・ハーグで24日から開催されている北大西洋条約機構(NATO)首脳会議では、ロシアのウクライナ侵攻が続くなか、欧州の防衛強化が重要な課題となっている。

現在のNATOはアメリカの軍事力に大きく依存している。そのため今回のサミットでは、ドナルド・トランプ米大統領の支持をいかに確保するかが焦点となった。

BBC NEWS より

そして、体制を整える前にアメリカに抜けられるのも困るのである。だからこそ、時間稼ぎする意味でもここは合意せざるを得なかったのだ。

オーストラリアの立場

では、オーストラリアはどうかというと、これまたなかなか大変な状況にある。

2年前に発表された防衛戦略見直しでは、さらなる資金が必要となり、オーストラリアが直面する戦略的状況に合致する必要があることが判明した。

カール博士は、オーストラリアは過去14年間に防衛費に多額の投資を行っており、実質的に支出は「ほぼ倍増」したと述べた。

~~略~~

オーストラリアが防衛予算を増額すべきかどうかという度重なる質問に苛立ちを見せる首相は、連邦選挙に持ち込まれた計画は実行されるだろうと述べた。

「我々が行っているのは、オーストラリアが必要とする能力を確実に確保することだ。それが我々が投資しているものだ」と、同氏は金曜日、シドニーで記者団に語った。

「中期的には570億ドル、短期的には100億ドル以上増加した」

canberra times

それなりの投資をする用意はあるのだが、オーストラリアの安全保障体制はかなり脆弱と言わざるを得ない。

だからこそAUKUSベースの潜水艦能力増強の他にも、駆逐艦を更新する話が出ている。オーストラリアは自分の身は自分で守る道を選んでいるのである。何より、お隣のインドネシアと仲が宜しくない。インドネシアが国防に熱心である以上は、放置もできない。それ以上に危険なのが支那なんだけれども。

日本はどうすべきか

というわけで日本の話に移行するわけだけれども。

こちらでも同じ話をしたが、先ずは海上保安庁を防衛省の下部組織に再編するのが第一歩である。その上で、予算を沿岸警備の名の下に増額して海上自衛隊との連携を深める方向でお金を積むというのが理想的だろう。

予算の目標値などどうでもよろしいが、しかし外交のために見せる数字は必要なわけで。オーストラリア辺りを巻き込んで、日本の駐留基地などを置かせてもらいつつ、三菱重工が出資するオーストラリアとの合弁会社を作って船舶の開発、建造を推進していくという体で、ある程度、インド太平洋の平和に寄与していくというスタンスを示せば、トランプ氏とて納得すると思われる。

結局日本はシーレーン防衛という大義名分があるのだから、将来的に台湾辺りまで含めた防衛体制の構築は必須なのである。

石破氏の目指すアジア版NATOには程遠いとは思うが、その体で石破氏を説得して先ずは準同盟国たるオーストラリアとの関係強化を図っていくのが一番良いと、僕は思うのだけれどね。

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