おー、アメリカ、やったね。
【随時更新】米本土飛行の中国気球 戦闘機が撃墜 中国は反発
2023年2月5日 19時25分
アメリカ軍は米本土の上空を飛行してきた中国の気球を、南部サウスカロライナ州の沖合で撃墜しました。今後、気球の残骸を回収し分析を進めることにしています。
NHKニュースより
領空侵犯したのだから、撃墜されても仕方がないね。
領空侵犯の言い逃れは難しい
戦闘機で撃墜
F-22戦闘機を出撃させていたのは知っていたけれど、ミサイルで撃ち落としたか。
こちらの記事の続報ということになるが、アメリカ、容赦ないな。
アメリカのオースティン国防長官は、現地時間の4日午後、日本時間の5日、午前5時すぎに声明を発表し、南部サウスカロライナ州の沖合の領海の上空で、アメリカ軍の戦闘機が、アメリカ本土の上空を飛行してきた中国の気球を撃墜したと明らかにしました。
アメリカ国防総省の高官によりますと、現地時間の午後2時39分、日本時間の午前4時39分にF22ステルス戦闘機が気球に向けて空対空ミサイル1発を発射し、海に墜落させたということです。
NHKニュース「【随時更新】米本土飛行の中国気球 戦闘機が撃墜 中国は反発」より
嘗められたままではないところが素晴らしい。
これについて、バイデン大統領は、今月1日の時点で、できるだけ速やかに撃墜するよう指示していたことを明らかにし「軍は地上への被害を避けるため 気球が海の上に出るのを待っていた。撃墜に成功したパイロットたちをたたえたい」と述べました。
NHKニュース「【随時更新】米本土飛行の中国気球 戦闘機が撃墜 中国は反発」より
発見された時点では、領土の上空にあって撃墜すると破片が下に落ちてくるということもあって撃墜することはせずに関しを続けていたようだが、洋上に出た段階で撃墜した模様。
低速で飛行するとはいえ、高硬度を飛行する気球の撃墜はそれなりに難しかったと思うが、あっさりとやってのけたようだ。
強烈な不満
で、この対応に対して、支那は「強烈な不満と抗議」を示したようだ。
【速報】アメリカの気球撃墜に中国外務省「強烈な不満と抗議」を発表
2/5(日) 9:09配信
「偵察用」だとする中国の気球をアメリカが、大西洋上空で撃墜したことについて中国外務省は「強烈な不満と抗議」を発表しました。Yahoo!ニュースより
ルール上は、アメリカの領空を侵犯したのだから、撃墜されても文句は言えないのだが、支那は強烈な不満を示してみせた。
中国国防省の報道官は5日、談話を出し、「アメリカ側が武力でわが国の民間の無人飛行船を襲撃したのは、明らかに過剰反応だ。アメリカ側のやり方に厳重に抗議し、必要な手段を使って類似の状況に対処する権利を留保する」として、必要に応じて対抗措置をとる姿勢を示唆しました。
NHKニュース「【随時更新】米本土飛行の中国気球 戦闘機が撃墜 中国は反発」より
明らかな過剰反応ねぇ。

支那が「民間」だと主張する気球だが、支那の企業の大部分は国有企業である。
中国では、軍事装備の製造を担う複数の国有企業が、偵察や監視などを行う気球を開発しています。
このうち、中国軍の主力戦闘機を製造している「中国航空工業集団」は、15日間続けて任務にあたることができるとする飛行船のような形をした気球を開発したほか、宇宙開発を担う「中国航天科工集団」は、軽量で半径およそ40キロを監視することができるという気球を開発しています。
NHKニュース「【随時更新】米本土飛行の中国気球 戦闘機が撃墜 中国は反発」より
今回の気球が本当に偵察目的で使われていたかはハッキリしないが、アメリカが回収した破片から何らかのデータが得られる可能性はある。
アメリカ国防総省が中国の気球を撃墜したと発表したことについて、中国外務省は5日談話を出し、「中国はアメリカに対し、無人飛行船が民間のものであり、アメリカに入ったのは不可抗力で、全く予想外の状況だと何度も伝え、冷静かつ理性的に処理するよう明確に求めていた」として、強い不満と抗議の意を表明しました。
NHKニュース「【随時更新】米本土飛行の中国気球 戦闘機が撃墜 中国は反発」より
不可抗力だから、OKという発想は良くわからないが、支那も撃墜されるとは思ってはいなかったようだ。
気球の進路を操縦できるタイプだったか否かで、今回の話、アメリカが悪かったのか支那が悪かったのかが変わってくるとは思うが、基本的には支那が領空侵犯をやらかした事実は変わらない。これが一般的な航空機であればトラブルで何処かの飛行場に着陸などという流れになると思うが、気球だからねぇ。
今後、類似ケースについてどう対処していくのか?ということが話し合われる可能性はあるが、この気球がどんなデータ収集をしていたのかが分かると、又、色々と動きが出てきそうだ。
思いの外大きかった
バス3台分の長さ
さて、この気球だが、大きさに関する情報も出てきている。
中国気球の下部にあった物体、バス3台分の長さ 米分析
2023.02.05 Sun posted at 17:30 JST
米国本土の上空を飛行し、米軍戦闘機が東部沖の領海上空で撃墜した中国の偵察気球の問題で米国防総省当局者は5日までに、気球の下部に据えられていた物体の長さは約90フィート(約27.4メートル)だったとの分析結果を明らかにした。
米国の都市でみられる市内バスの約3台分の長さに相当し、気球の操舵(そうだ)装置と監視機器類で成り立っていたとみている。
気球自体はこの物体よりはるかに大きい形状だったとしている。
米国防総省のライダー報道官は先に、気球と下部の物体を飛行船とつりかご状の船室に例えてもいた。
CNNより
……また、随分とデカい気球だったようだ。そして、気球から吊り下げられていた装置も長さが27.4mと、巨大だったようだ。

これは日本上空を通過した機体(恐らく同一個体)のものだが、大きいというよりは「長い」と表現した方が適切なんだと思う。
気球の想定航路
そして、大きさだけで機能が判断できるワケでは無いが、気球の操舵が可能だったという可能性については既に示唆されていて、狙った航路を飛んでいた可能性は否定できなくなりつつある。

予想されている航路はこんな感じで、日本上空を通過していったことがわかる。仮にそれが本当だとすると、何故気が付かなかったのか?という点も問題になるな。
そして、これだけデカいものが墜落してきたらと思うと、そりゃ迎撃を躊躇う。アメリカ軍ですら海上にでてから撃墜しているしね。が、早いうちに捕捉出来たのであれば、もっと手前で撃墜できたはずで、コレだけデカいものが上空を通過して殆ど気が付かなかったというのは、アメリカ軍を含めて怠惰であったと言わざるをえない。
内モンゴルから出発
もう1つ。
中国気球、軍の戦略支援部隊が関与か…「内モンゴルの基地から打ち上げ」情報も
2023/02/05 23:33
米軍に撃墜された中国の偵察用気球について、中国軍で宇宙やサイバー、電子戦などを担当する戦略支援部隊が背後で運用に関与しているとの見方が出ている。同部隊は、製造コストが低く、撃墜されても人的被害のない偵察用気球を、衛星による偵察を補完する装備品として活用しているとみられる。
撃墜された気球は、同部隊が中国内モンゴル自治区で管理する衛星発射基地から打ち上げられたとの情報がある。同部隊は、戦略に関わる情報の収集を役割の一つとし、偵察衛星を運用して米軍の核兵器施設などの監視を行っているとされる。
ただ、衛星による偵察は上空通過の時間帯が限られ、雲の有無など天候条件にも左右される。中国軍の内情に詳しい関係者によると、中国軍は偵察用気球を衛星で常時監視しきれない場所に投入し、定点監視ができる態勢を整えようとしているという。
また、同関係者は気球の運用について、「戦略支援部隊は軍民融合を活用し、民間に運用させている」と指摘する。
讀賣新聞より
支那における「民間企業」のカテゴリーは、諸外国のソレとは違う。一般的に民間企業とは、公的機関に属さない民間が出資および経営を行う企業を指すのだが、支那の企業の殆どは、役員に共産党員を抱えなければならない規定になっている。
そして、資金供給も共産党より行われている実態がある。
そもそも支那における私有財産というのは、支那共産党が認める範囲内のものでしかなく、土地1つとっても企業が所有できるものではない。
今回の気球の正体がどのようなものであったかは、そのうち明らかになると思う。しかし、本当に民間企業の所有物であれば、その民間企業が前面に出てきてその所有権を主張しそうなものだが、そんな様子は微塵も無い。そういう意味でも、非常に支那の主張は疑わしい。
迎撃はラプターで
そうそう、アメリカがどうやって迎撃したかと言うことなんだが。

迎撃にはF-22「ラプター」が出撃し、サイドワインダーで撃墜した模様。
中国の偵察気球、F-22が撃墜 サイドワインダーで
2023年2月5日 12:45 JST
米国のオースティン国防長官は現地時間2月4日(日本時間5日)、中国の高高度監視気球を安全に撃墜したと発表した。米空軍によると、バージニア州ラングレー空軍基地の第1戦闘航空団のF-22「ラプター」戦闘機が、気球に向けてAIM-9X「サイドワインダー」ミサイルを1発発射。サウスカロライナ州の沖合約6マイル(約9.7キロ)、水深約47フィート(約14.3メートル)の地点に落下した。けが人はなかった。
~~略~~
F-22は高度5万8000フィートから気球に向けてサイドワインダーを発射。気球の高度は6万から6万5000フィートだった。
aviationwireより
F-22「ラプター」を日本の航空自衛隊は保有していないが、F-15Jは保有している。実用上昇限度が56000フィート(17km)なので、F-15Jでも撃墜は恐らく可能。
……可能なのかな?何れにしても好きに領空侵犯されるのはキモチワルイので、何とかし下さい。
追記
どうやら、現行法では日本国内において気球を撃墜できない模様。
佐藤正久氏の発信は、松川るい氏よりは正確だろう。現行法にて撃墜する法的根拠なし、という事になるとかなり厄介。ドローンが飛来する可能性も含めてリスクは高まっているのだから、早めに法制化して欲しい。
ああ、そういえば米軍が気球を回収したらしいぞ。
特に空軍の撃墜したシーンを映した動画は秀逸である。
なお、日本では迎撃可能か?という点について、防衛大臣は「やる」と答弁はしたが、佐藤氏は否定的な見解を示している。
F-15J+サイドワインダーでは少々迎撃は難しいのは現実かも知れないが、04式空対空誘導弾を使えば迎撃ができるのではないか?と分析する方もいる。佐藤正久氏の発言も気になるが、是非、宇都隆史氏にもコメント頂きたいところだ。
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