ちょっと気になったニュースがあったので、こちらを紹介。
トランプ氏、米中露の核軍縮協議に意欲「十分可能」 米露条約は26年失効
2025/1/24 10:07
トランプ米大統領は23日、これまで米側が実現できなかった米中露3カ国による核軍縮協議に意欲を示した。スイス東部ダボスの世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)にオンライン参加し、述べた。中国が近く米露に匹敵する核保有国になると指摘し、中国の参加に期待を示した。
産経新聞より
無茶なことばかりをいうトランプ氏なんだけれども、これが実現すればかなり大きいと思う。それにしても、連続でトランプ関連の記事になってしまったね。
放置できない支那の核戦略
核軍縮の取り組み
トランプ氏の政策には緻密さはないのだが、分かり易さがある。そこにはメッセージ性もある。政治家というのは、かくあるべきだと思わせる点は評価したいと思う。
トランプ氏は中国が米露の核戦力に「今後4、5年のうちに追いつくことになる」とし、中国を含めた核軍縮協議の重要性を強調した。
産経新聞「トランプ氏、米中露の核軍縮協議に意欲」より
核軍縮の取り組みは、今まで散々失敗してきたので、これも成功するか?というとかなり怪しい。
怪しいが、アメリカのトランプ氏にしてもロシアのプーチン氏にしても支那の習近平氏にしても、核弾頭がかなりの予算がかかるという事情は変わりがない。だが、国家の威信をかけて開発している核兵器を「一方的に減らす」というのは、何処の国も色々都合が悪い。
特に、独裁色の強い支那やロシアにとって、「減らす」とは言い出しにくいという事情がある。そこで、トランプ氏は「一緒に減らそうぜ」と提案したわけだ。
この話は、「囚人のジレンマ」というゲーム理論に関わる話になる。
囚人のジレンマ
ここで、「囚人のジレンマ」について説明しておく。
Wikipediaにそのまま乗っている説明なのだが、そこはご容赦を。
前提として、共同して犯行を行った囚人Aと囚人Bがいて、二人とも逮捕された後に、検事が囚人Aと囚人Bにそれぞれ次のような司法取引をもちかけたとする。ここで囚人Aと囚人Bはお互いの選択が最後まで分からないものとする。
- 囚人Aと囚人Bの刑量はそれぞれ懲役5年と見積もられるが、二人とも黙秘したら証拠不十分で二人とも懲役2年だ
- もし片方だけ自白したら、自白した方は釈放、黙秘を続けた方は懲役10年になる
だから自白しろと。
だが、二人とも自白してしまうと懲役は5年になってしまうケースを想定すると、以下のような利得表に示されるような関係が成り立つ。
囚人B黙秘 | 囚人B自白 | |
---|---|---|
囚人A黙秘 | (Aは2年、Bは2年) | (Aは10年、Bは0年) |
囚人A自白 | (Aは0年、Bは10年) | (Aは5年、Bは5年) |
それぞれの立場から考えると、囚人Aも囚人Bもそれぞれ黙秘(協調)した方が得になると思われるが、万が一、相手が自白した場合には自分は損害を被ることになる。そうすると、互いに自白(裏切り)を選択した方が得と考え、結果的には囚人Aも囚人Bも裏切りを選択するという結果になるというのが、「囚人のジレンマ」という話だ。
ただし、これはゲームが1回しか行われないケースの話で、無限に繰り返されるゲームにおいては、協調を選んだ方が良いという結論になり得る。
その場合は、相手が一度でも裏切ったら次は自分も裏切るという戦略をとることができるとなっている。これをトリガー戦略という。
核軍縮は失敗する
つまり、核軍縮の取り組みは必ず失敗するのは、「囚人のジレンマ」は核軍縮にも適用されるからである。
だが、上で強調したように、「お互いの選択が最後まで分からない」という前提と、トリガー戦略が成り立つということを考えると、1つの結論を導ける。
トランプ氏はダボス会議で「核兵器に莫大な資金が費やされている」とも強調し、プーチン氏と中国の習近平国家主席に核兵器削減による政府の負担軽減を呼び掛けた。
産経新聞「トランプ氏、米中露の核軍縮協議に意欲」より
将来のことは分からないが、少なくとも第二次トランプ政権の期間中は、核兵器への投資を減らすことができるというメリットが生まれるわけである。
では、プーチン氏と習近平氏はどうか?というと、こちらには任期が無いに等しいので次のアメリカ大統領の選択次第ということになって、トリガー戦略をとる可能性が高い。そうすると、一時的には核軍縮は進む可能性が高い。
失敗するのは長期的な核軍縮であって、短期的には成功するだろう。
放置できない米露条約失効
そして、もう1つ放置できない理由がある。
それは、アメリカとロシアとの間で結んだ新戦略兵器削減条約が2026年に失効するという事情がある。
トランプ氏は1期目当時、米露間の新戦略兵器削減条約(新START)の延長を巡って内容の変更や中国を含めた核軍縮体制の構築を求めたが、露中が拒否。後のバイデン前米大統領が01年に新STARTの5年延長で合意した。
産経新聞「トランプ氏、米中露の核軍縮協議に意欲」より
ただ、この新戦略兵器削減条約には支那が含まれておらず、支那は現状で好き勝手に核開発を進めている。
米国防総省 “中国の核弾頭 推定600発以上” 中国側は非難
2024年12月19日 19時05分
アメリカは、中国が保有する運用可能な核弾頭は去年より100発ほど増え、推定で600発以上だとする報告書を公表しました。政府高官は、核弾頭の増加に加え核戦力の多様化も進めているとして警戒感を示しました。
NHKニュースより
この推定核弾頭の数は、年々増え続けている。何れはアメリカやロシアを追い抜く可能性が高い。
そして、追い抜いた時にどのような発言力を保有するかは不明。
何より、核弾頭の数が明らかにされていないことこそが、アメリカやロシアにとっての深刻な脅威になる。
アメリカ国防総省が、中国が保有する運用可能な核弾頭は推定で600発以上だとする報告書を公表したことについて、中国外務省の林剣報道官は19日の記者会見で、「事実を無視し偏見に満ちている。中国脅威論をまき散らし、みずからの軍事的覇権を維持するための口実にすぎない」と非難しました。
NHKニュース「米国防総省 “中国の核弾頭 推定600発以上”」より
果たして支那は、条約を履行するかどうかはかなり怪しい。が、約束を取り付けることこそが大切なのである。なぜなら、支那の核弾頭の数の増加にブレーキを掛けられる可能性があるからだ。
結局のところ、この話は声を掛けるリーダーが居るかどうかというだけの話でもあるのだが、しかしそれを実行できるところが強いリーダーたる所以なのだろう。
コメント
とりあえず核軍縮しようがしまいが、全面核戦争しようと人類絶滅にはなりません。
理由は核の冬の放射脳塵は成層圏まで届かないからで、巨大隕石衝突や巨大火山噴火とは「そこ」が違う。過去に書きました。
んで、まぁ現在の文明を破壊するだけの核弾頭は米中露持ってるわけです。
電磁パルス攻撃に使っても破滅的。
んで、今さら何で核軍縮? 想うに……
①核戦力の中露との逆転を嫌う
②核保有国を国連常任理事いがいに、これ以上は広めたくない。とくにBRICS諸国。
んで、わーくににどういう影響あるか?
②が当たるてるならば、日本の核武装への逆風となる! そこ懸念してるんですよ。
トランプのやり方次第で、核武装への道が開けるかも…と期待していたので、かなりガッカリしてます。
とりあえずサイバー攻撃と防御の手段と兵力を増やす事でないすかね。核弾頭を持てないならば、核に匹敵するインフラへの攻撃力を持つしかないかと。くそっ!
兵力を使わない戦争を仕掛けているのがアメリカですね。
強いドルと軍事力を背景にした特殊ケースではあるますが、素直に凄いなと。
対する我が国ですが、真似ができない手法でありまして。
そして、御懸念通り恐らく我が国の核武装というところに関して、ハードルになる可能性はあるんですが……。これに関しては、支那に対する牽制的な意味合いで日本が核保有という交渉が成り立つのでは?という風に考えておりまして、やり方次第かな、と。
こんにちは。
政治、特に外交は、性善説じゃないんですよね。
①力でぶん殴って言うこと聞かすか。
②利益がある事を認めさせて、条件呑ませるか。
この二つしかない。
※騙す、というのもあるが、騙している時点、騙されたと気付く以前では②にあたると分類。
その意味で、強気で物事に当たれるトランプ氏を応援するものであります。
……ゲル?知らない子ですね……
※ゲルショッカーの方がまだマシかも。実行力だけはある。
こんにちは。
強いアメリカというのは、強烈な感じですが、トランプ氏のキャラクターだから成立するという気はします。
ゲルがこんなことを言い始めたら、正気を疑われそうですから。
こっちはLGBTの話なんてすけど、バイデン政権による圧の氷解が出てきてますね。ユーチューブ界隈ですが。
ゾンビゲームの金字塔にバイオハザードシリーズあります。あれは世界大会あるゲームで、そのへんの上位クラスはプロ配信者してるんですよ。
んで、これまでLGBT関連で沈黙していたネトフリやハリウッドの実写化で、
白人キャラを黒人に変えたりとか非難轟々たったに関わらず!そのキャスティングへの文句を公言する配信者は稀だった。原作ゲームに忠実詐欺を指摘するだけだったのに、ガンガンとキャスティングの人種変換をくさする配信者が増えてる。これ明らかにトランプ政権の方針転換と、大手テック企業が
DEI化中止のニュースで不満が大っぴらに語られるようになった想うんです。それはバイオ好き日本人なら誰もが知ってる配信者たちがこの数日に一斉に語りだしてるもの。彼らは企業案件を多く引き受けして、国外にも観られてる配信者たちだから、動向を観てホンネを語りだしたのは有るだろなぁ。とね。やはりトランプの剛腕は凄いと感じましたよ。
バイデン政権は、その辺りにかなり圧力を掛けていたようですね。
ハリウッドの風潮ももう少しマシになるのでしょうか?ディズニーはそれで大失敗しましたしね。
トランプ氏はかなり過激なので、何処まで歓迎すべきかは慎重になってしまいますが、それでも良い流れはできていると思います。