今日も今日とて、トランプ劇場。
トランプ大統領 導入予定の半導体関税措置 “来週中にも発表”
2025年4月14日 17時37分
アメリカのトランプ大統領は、今後導入する予定の半導体を対象にした関税措置について、「来週中にも発表するつもりだ」と述べ、近く関税率を表明する考えを示しました。 また、スマートフォンなどの電子機器への関税措置については大手メーカーなどと協議したうえで内容を発表するとしています。
NHKニュースより
ニュースになる男だけれど、メディアは情報を纏めきれずに混乱しているようだね。
誰にも真似できない
関税措置の穴
関税措置について、一律高関税なのはアメリカにとって都合が悪いという話であるように見える。
また、相互関税の対象からは除外し別の関税を課すとしているスマートフォンなどの電子機器については、大手メーカーなどとも協議したうえで、関税措置の内容を近く発表すると明らかにしました。
そして、「一定の柔軟性を示さなければならない」と述べ、一部の製品を対象から除外する可能性も示唆しました。
NHKニュース「トランプ大統領 導入予定の半導体関税措置 “来週中にも発表”」より
これについて、支那は勝ち誇ったコメントを出した。
中国「誤りを是正する小さな一歩」米相互関税からスマホ除外で
2025年4月13日 23時04分
中国政府は、アメリカがスマートフォンなどの電子機器を相互関税の対象から除外すると発表したことについて「誤りを是正する小さな一歩と言うべきだ」とするコメントを出し、相互関税の全面的な撤廃と対話による解決を求めました。
NHKニュースより
なるほど、交渉の成果であるということにしたいらしい。ただ、アメリカと支那とが水面下でにせよ外交交渉を行ったという話は聞こえてこない。いや、もちろん確実にしてはいるのだと思う。
ただ、支那が交渉の末、一部勝利をもぎ取ったという風に見える構図は違うのだろうと僕は考えている。
半導体を巡る憂鬱
確かに、事前に色々な根回しをして決めた話とは言い難い今回のトランプ氏の決断だが、しかし、流石に政権内にイエスマンを集めたとはいえ、今回のような混乱が生じないと誰も想像しなかったとは考え難い。
中国報復関税、米で製造の半導体企業に打撃-TIやインテルが株安
2025年4月12日 1:25 JST
中国が米国の半導体への新たな関税を発表したことを受け、米国に工場を持つ半導体製造企業の株価が11日下落した。
中国政府は同日、米国からの全輸入品への関税を84%から125%に引き上げると発表した。これを受け、中国の半導体産業協会は、半導体の原産国ではなく、製造国を輸入元とする基準を適用するとの緊急の通知を出した。
~~略~~
中国の関税は、米国で半導体の設計をしても製造はしていない企業は対象外となる。その結果、エヌビディアが一時3%高、台湾積体電路製造(TSMC)の米国預託証券(ADR)が一時4.5%高と、上昇した半導体メーカーも複数ある。
Bloombergより
ただ、影響はかなり大きく、想定外の事態も引き起こされたことは確実だろう。そして、その修正を行うところまでは恐らくトランプ政権は折り込み済みだ。
冒頭のニュースはそういった修正を行うよと言う意味で、トランプ氏が無秩序に政策を行って、支那に言われて慌てて修正したというような絵を描くのはちょっと違うのではないだろうか。
スマートフォンなどの電子機器への関税をめぐっては、中国などでiPhoneを製造しているアップルなど、大手メーカーへの影響や、アメリカ国内での製品の価格高騰を懸念する声が広がっていて、トランプ大統領の判断が注目されます。
NHKニュース「トランプ大統領 導入予定の半導体関税措置 “来週中にも発表”」より
何かトランプ氏が「スマホだけは除外するだろう」という噂が飛び交っているのだが、本当にそういう切り分けになるのかは疑わしいと考えている。
トランプ氏にウクライナ訪問を要請 ゼレンスキー氏
2025年4月14日 11:24
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は13日、ドナルド・トランプ米大統領に対し、ロシアの侵攻がもたらした惨状をよりよく理解するために自国を訪問するよう呼び掛けた。
AFPより
そういえば、ウクライナから秋波が送られてきているけれど、トランプ氏は忙しそうだよね。そういうお涙ちょうだいの呼び掛けは逆効果だと思うよ。
自動車への関税
そうそう、半導体関連の話もそうだったが、自動車関連の話も調整の話が出てきているね。
……当然、最初から分かっていたんだよね?
半導体の方もそうだが、自動車の話は誰がどう考えても分かりやすい話だったと思うんだが。
トランプ氏、自動車への関税一時免除を検討-国内生産整備へ猶予
2025年4月15日 3:21 JST 更新日時 2025年4月15日 6:12 JST
トランプ米大統領は14日、輸入自動車・部品に対する関税の一時免除の可能性について検討していると明らかにした。自動車メーカーが米国内の製造体制を整えられるよう時間的猶予を与えるためとしている。
「自動車メーカーを支援する何らかの措置を検討している」と、トランプ氏は大統領執務室で記者団に対し発言。自動車メーカーは「今後、米国内で製造する予定なので、少し時間が必要だ」と述べた。
Bloombergより
どちらかというと、自動車本体よりも部品が問題なんだが。
トランプ氏は記者団に、「私は非常に柔軟な人間だ。考えを変えるわけではないが、柔軟性はある」とした上で、「私は最近、ティム・クック氏とその事業全体を助けた」と、アップルのクック最高経営責任者(CEO)に言及。「私は誰も傷つけたくはない。しかし、最終的に米国は偉大なる地位を築くことになるだろう」と語った。
ただ、トランプ氏はこれらのハイテク製品に対しては最終的にセクター別の関税を課す方針だとしている。
Bloomberg「トランプ氏、自動車への関税一時免除を検討」より
何か細かい取り決めはこれからするという感じの報道になっているが、多分コレはその通りなんだろうと思う。
マッドマン・セオリー
結局のところ、トランプ氏の策略としては以前指摘したような「マッドマン・セオリー」を推進しているのだろう。
この点は、コメントでも指摘頂いているが、要は関係を修正するために強めの揺さぶりをかけたということなんだろう。それぞれの国との関係を全てやり直すために、関税をかけると脅して「俺のところに交渉に来い」というのが彼のやり方だったというわけだ。
Will Trump Negotiate Tariffs? Countries Start Using 90-Day Pause To Reach Deals With White House
Apr 10, 2025,03:03pm EDT
The White House is now negotiating trade deals with dozens of countries after President Donald Trump paused the worst of his sweeping tariffs for 90 days, with foreign countries suggesting the pause will give them breathing room as they seek to reach deals with the Trump administration.
~~対訳~~
ホワイトハウスは、ドナルド・トランプ大統領が90日間関税撤廃を一時停止した後、数十カ国と貿易交渉を行っている。
Forbesより
コメント頂いたリンク先の記事が、この辺りを如実に説明する記事で、トランプ政権としては危うい橋を渡っている実感はあるだろうが、「してやったり」という感じなのだろう。
全て点検する!という意味では、アメリカならではのやり方である。他のどの国もこんなやり方で交渉リセットは出来ないからだ。
それが「良いやり方」と言う積もりはないし、実に迷惑な話なのだが……。
「あなたは間違っている、と言うのは同盟国の振る舞いでない」首相、トランプ氏説得に苦慮
2025/4/14 11:27
石破茂首相は14日の衆院予算委員会で、トランプ米大統領が打ち出した「相互関税」をめぐる日米交渉に関し、「『あなたの言うことは間違いである』と言うことは、同盟国としての振る舞いだと私は思っていない」と述べた。論理を突き詰めたうえでトランプ氏の感情面を分析して臨む考えを示した。自民党の斎藤健氏の質問に答えた。
~~略~~
今後の交渉に関し、「ロジックの面、感情的な面、そして日米がこれからともに何を世界に実現しようとしているのかということについて、思いを共有する。これ以上ないほどの精緻の分析をして臨んでまいりたい」と強調した。「急いては事を仕損じる。同盟国ならではの関係を新たに築いていくいうことが重要だ」と述べ、拙速な交渉を否定した。
産経新聞より
石破氏は言っていることは間違っていないんだけど、アナタにその時間はないんだよ。そして、トランプ氏は商売人だから、スピードこそ命。実際、関税の話が出たときに真っ先に交渉を持ちかけて評価されたじゃないか。答えはソコにあるのに、そこが分かっていないのが致命的だよねぇ。
各国も、対処に苦慮しているだろうことは伺えるわけだで、トランプ氏のやり方は不評なんだろうね。交渉のツールとしてこれだけ広範囲に関税を使ってくるのは前代未聞ではあるが、まあ、個人的には「トランプ氏だから」という諦めはある。それよりも、コレを奇貨として自国内の問題を大きく解決するくらいの手はうてないのだろうか?そういう大きな政治的決断をすることこそ、政治家に求められていることだと思うのだが。
コメント
そこそこ!木霊様が最後に指摘してる部分。関税の件の評価も対応迅速だったから。トランプは「攻め立てること火の如く」なので「疾きこと風の如く」即応しないとダメです。「静かなること林の如く」は通用しない。
持ち時間の戦いってのは必ずあって、日本軍が香港陥落させた時だって、アレは英軍の防御線の穴を発見した現場の少尉が独断専行で進撃した事で、情勢がひっくり返った。待っていたら逆に日本軍が大損害を受けていた。
平時であれば石破的な「検討して熟考」が基本です。即座に返事すべきでない。
しかし世間には……例えが古いけど、懐に10円玉が1枚しかなく、今、会社が敵対組織のカチコミを受けようとしてる。
そんな時に要点を10秒で伝えねばならない……状況ってあるわけですよ。
謀略を仕掛ける時は「拙速より巧緻」ですが、相手の大攻勢を受ける時は「巧緻より拙速」が基本です。
石破は明らかに乱世のリーダーに向いてない。現況、コロナ、ウクライナ、ガザ……と世界は乱世の状況であり、なにかあった時に石破では「大惨事を引き起こす」というのがミエミエ。とっとと辞任しろ!
天下のトヨタ様の所は、会議資料にA4用紙1枚の資料しか許されないのだとか。一部だけの慣習かもしれませんが、その意図は明確。
会議に分厚い資料を用意しても誰も読まない。眠くなるだけ。要点を纏めて伝える能力がなければ、プレゼンすらさせてもらえないということのようです。
成功した企業は、それなりの理由があるのでしょう。
営業マンも最初の3分で相手の興味を引き出せなければ失敗する可能性がぐんと上がるらしいので。
トランプ大統領、最先端産業の製薬・医療や半導体・チップにも言及し始めましたね。
昨日のFOXニュースの配信には、これら最先端の戦略物資ともいえる医薬品や半導体を「米国内で製造したい」とのトランプ大統領の発言が取り上げられていました。
https://tinyurl.com/nk9paub7
また、WH報道官からは「ボールは支那側にある。支那は我々と取引する必要がある。我々が支那と取引する必要はない。」との声明が発表されました。
https://tinyurl.com/37mahnre
米国は明らかに関税政策を交渉ツールとして使っています。
そしてその真意は、これまでにグローバリズムによって奪われた米国民の仕事や利益を奪い返す、というトランプ政権の並々ならぬ決意の顕れなのでしょう。
トランプ政権のネックとなりそうなのが製薬・医療の分野だと思っています。
アメリカは結構その辺り難しい感じの制度になっているので、大鉈を振るうことができるのかどうか。
関税を外交ツールにできるのは、アメリカだからなのでしょう。
そして、一定の成果が上がりつつあるのが凄いですね。つきあわされるこっちとしてはたまりませんが。