初の赤字転落、ということは、今までは黒字だったのか?!その方が驚きなんだが。
中国太陽光パネル7社、初の赤字転落 過剰生産で市況悪化
2025年5月6日 17:30
中国の太陽電池主要7社の2024年12月期決算で最終損益の合計が比較可能な17年以降、初めて赤字となった。太陽光パネルの製造で圧倒的なシェアを持つ中国企業が生産能力を増強し、需要を大幅に上回る供給により市況が悪化したのが原因だ。
日本経済新聞より
個人的な嗜好を言わせて貰うと、「脱炭素社会」という頭の悪いワードは大嫌いである。オマエの身体は何で出来ているのかと。
と、それはさておき、とこの記事は冒頭引用記事自体は支那のニュースなんだけど、どちらかというと国内の発電事業の話であることを、予めお断りしておきたい。
太陽光発電事業者を取り巻く環境は厳しい
倒産増加
で、冒頭のニュースに関連する話になるが、最近こんなほのぼのニュースがあった。
「再エネ発電」が苦境 発電所の倒産、過去最多 2024年度
2025/05/06
2024年度に発生した、再生可能エネルギーなど発電事業者の倒産と休廃業・解散件数が過去最多の52件に達した。太陽光発電や木質バイオマス発電が特に影響を受け、維持管理コストや燃料価格の高騰、FIT制度の買取価格引き下げが主な要因となった。FIT制度終了に伴う減収や設備投資コストの増加が課題であり、再エネ発電事業者の淘汰が今後も進む可能性が高い。
帝国データバンクのサイトより
今まで、再エネ発電事業者の倒産が少なかったことの方が異常であって、寧ろ健全な流れである。ダメな業者は淘汰されるべきだからだ。

これを見ると、休廃業や解散する事例はこれまでも結構あったようなのだけれど、2024年は倒産8件、休廃業や解散が44件と過去最多となったとのこと。一方、倒産がこんなに少なかったというのは驚きである。
ただ、倒産件数だけでいえば再エネ発電事業者に限った話ではない。
2024年度(令和6年度)の全国企業倒産1万144件
2025/04/08
2024年度(4-3月)の全国企業倒産(負債額1,000万円以上)は、件数が1万144件(前年度比12.0%増)、負債総額は2兆3,738億7,900万円(同3.6%減)だった。
件数は、3年連続の増加で、2013年度(1万536件)以来、11年ぶりに1万件を上回った。
負債総額は、2022年度より3年連続で2兆円台で推移した。最大の倒産はMSJ資産管理(株)(旧:三菱航空機(株)、愛知)の負債6,413億円だったが、負債100億円以上が11件(前年度19件)と減少し、3年ぶりに前年度を下回った。また、同1億円未満が7,658件(構成比75.4%)と小規模倒産が主体だが、同1億円以上5億円未満が1,989件(前年度比8.5%増)、同10億円以上50億円未満が200件(同23.4%増)と中堅クラスで増勢が目立つ。
東京商工リサーチのサイトより
ここ数年、倒産企業数は増加しているので、再エネ発電事業者も例外ではなかったと、それだけの話である。
再エネ発電の苦境はFIT制度に関連する
そして、発電事業は電力価格や原料価格に左右される。
再エネ発電事業者の倒産では、発電設備などの投資に対して維持管理コストや、発電に使用する燃料価格が当初計画を上回り、採算性が低下したところに、再エネで発電した電気の買取価格を保証する「固定価格買取制度(FIT)」の水準が引き下げられたことで利益が見込めなくなり、事業継続が困難となるケースが目立った。実際に、太陽光発電事業を手がけていた いろは商会(2024年7月、破産)は、全国に8万ヘクタールの用地を確保するなど大規模な発電事業を行っていたものの、電力買取価格が低下したことで採算が合わない状態が続き、事業継続が困難となった。
帝国データバンクのサイトより
ところが太陽光発電事業者の場合、初期投資以降はメンテナンスにお金を必要とする程度であり、事業としては追加費用の出にくい優良企業であるはずだ。いや、あったハズと言うべきか。
この辺りは、どうやら借入金の返済負担が想定通りに行かなかったことが原因のようで、FITの水準引き下げは当初からいわれていたことである事を考えれば、そもそもの見通しが甘かったと言わざるを得ない。
あと、追加費用として発生する設備費としては、こんなものも。
「件数は減少も、1件当たりの被害は拡大」、太陽光盗難の新傾向
2025/04/30 05:00
春の大型連休(ゴールデンウィーク)が始まった。休み中の太陽光発電所で要注意なのは、電線の盗難である。
エネテクが受託している太陽光発電所における電線の盗難被害をみると、2025年は4月29日時点で全体の約1500カ所のうち12カ所で、1カ月平均3カ所とまだ多いものの、前年同時期の22カ所に比べると件数自体は減少している。
~~略~~
もう1つの新たな傾向として、盗難1件当たりの被害額が増加傾向にある。この理由は、犯罪集団がより「効率的に」盗難を実行していることにある。
メガソーラービジネスplusより
ご愁傷様と言わざるを得ない。
自業自得
とまあ、再エネ発電事業者の受難について言及したのだけれど、冒頭のニュースとは直接は関わりが薄い。
関連性が高いと言えば寧ろこちらの方のニュースだろう。
<独自>太陽光パネル価格急落 中国の生産過剰で半値 日本、依存脱却目指す
2024/6/22 10:19
太陽光パネルの価格が大幅に下落していることが分かった。世界市場をほぼ独占する中国の過剰生産が原因で、この1年で半値に落ち込んだ。今後も供給過多は続くとみられ、さらに価格が落ち込む可能性がある。安価な中国製品は世界中に流出しているが、エネルギー安全保障の観点から中国一国に頼ることは危険で、日本は同志国と連携し脱中国依存を進める。
産経新聞より
もはや焼畑農業のような状況で、とにかく過剰生産をして売り切ろうという支那に対抗できなくなっているのが、日本企業の現状である。
欧州では安価な中国製品が流入し、太陽光発電事業者の事業縮小や撤退が相次ぐ。日本は約20年前から中国勢に押されてシェアを落とし、現在はほとんどのメーカーが国内生産から撤退した。
産経新聞「<独自>太陽光パネル価格急落」より
冒頭のニュースを読んでからだと、まあ、自傷行為じゃないのか?と思わざるを得ず、こちらの記事に頂いたコメントの通りになっていて、何とも苦笑いするしかない。
戦略ミスで撤退
というわけで、国内の再エネ発電事業者の戦略ミスによる撤退が進んでいるという話と、支那の太陽光パネル製造販売が不振だというニュースをリンクさせてお届けしたが、産経新聞の記事で、「政府は技術や原材料で日本が先行する次世代太陽電池「ペロブスカイト太陽電池」の支援を強化する」とか言及していることも、「それって戦略ミスじゃないの」と危惧せざるを得ない話になる。
現状、ペロブスカイト太陽電池は未だ未だ課題が多いんだよね。また、シリコン系太陽光パネルの代わりになるという期待はしない方が良いと思うんだ。
太陽光発電が国内最安の電源に、供給価格が4円/kWh台まで低下
2024.05.20
日本のメガソーラー(大規模太陽光発電システム)の電力の供給価格が大幅に下がってきました。これまで、用地の取得コスト、施工費や人件費などの高さが響いて、国際的な水準より割高な状態でしたが、2024年になってコストダウンが進み、国際的な水準に並んできました。平均で6円/kWh割れ、安い例では同4円/kWh台に突入しているのです。
日経XTECHより
ただでさえ、太陽光発電による供給価格の低下が著しく、開発を進めても採算割れする可能性が高い。
もちろん、国内製造可能な、国内材料調達可能な技術開発という意義はあるのだけれど、シリコン系太陽光パネルの置き換えを目論むのは厳しい。迷惑な話ではあるが、そもそも同じ土俵で戦うのが間違っているのだ。
曲がる太陽電池、大都市圏に導入目標 東京都は55万世帯分構想
2025年5月4日 5:00 (2025年5月4日 16:25更新)
経済産業省は薄くて曲がる新型のペロブスカイト太陽電池について、近く東京、大阪、愛知、福岡の4都府県に導入目標の策定を要請する。平野の少ない日本で従来型の太陽光パネルの設置場所は限られる。東京都は2040年までに年間電力消費量で55万世帯分の設置目標を表明する。
日本経済新聞より
経済産業省はさぁ、こういうアホな数値目標設定止めようぜ。東京都も、55万世帯分の設置なんて、未だに海のものとも山のものともつかぬ状況なんだから馬鹿なことはよせ。数値目標を設定すると、斜め上の導入方法を選んで数字だけ達成しようという阿呆もいるし。国家規模でそんなことになれば、隣国を笑えないよ。
だいたい、ペロブスカイトって今の所未だこんな段階なんだから。

そりゃ、数値目標を掲げて、人参ぶら下げて民間企業に開発競争やらせようという狙いは分かるし、急いでいるのも分かるんだけど、ブレイクスルーが幾つかないと今のままでは使い物にならない。見込みありってことなのかもしれないが……。
この点に関し、経産省の日暮課長は、「ペロブスカイト太陽電池の初期需要は、フィルム型の特徴である軽量と柔軟性を生かし、現在主流の結晶シリコン太陽電池では設置できない場所をターゲットにする。政策的に支援していくのも、耐荷重性でシリコン太陽電池が置けなかった屋根や壁面などに追加的に設置するケースを想定している」と言う。つまり、ペロブスカイト太陽電池は、新たな太陽光発電の立地を開拓して新市場を創出することを目指し、シリコン型と戦わずに導入を進めることを想定する。
日経XTECHより
経済産業省とて分かっていないわけではないようだけれど、それでも建物に設置という時点で未だ未だ固定概念に縛られている気がするんだよね。発想を変えて……、そうだな、例えば輸送用のトラックの荷室の外装面に取り付けて燃費向上を図るとか、もうちょっと建造物から離れて考えて良いように思う。
今のところ他に思いつかないけれども、発想の転換は必要だと思うんだよね。
コメント
こんにちは。
焼き畑農法的ビジネス展開は、「国家の支援を得た企業」の得意技ですね。
サムスンがD-RAMで何をやったか……
ペロブスカイトには期待してますが、今は蓄電側、ナトリウム電池とか全固体リチウムとかのケツを叩く方が先かなと。
そのあたり、国に先見の明がある人が居ない、目先の帳簿しか見えないメクラばかりというのが今の日本の悲劇ですね……
というか。
本当に、政治と企業のトップ周辺の売国奴及びハニトラ引っかかってるヤツの一掃が必要ですよね……