もう、懲り懲りってことか。
インド治安部隊、毛派の31人を殺害と発表 「史上最大の作戦」たたえる
2025.05.16 Fri posted at 14:17 JST
インドのアミット・シャー内相は14日、共産党毛沢東主義派(毛派)の反政府勢力に対する「史上最大の作戦」を展開し、毛派とされる31人を殺害したと発表した。
CNNより
分かりにくいニュースなんだけど、カンボジアのクメール・ルージュ残党を掃討したという説明をしたら理解しやすいかも?実際には全然違うんだけど。
最悪なのは共産党
毛沢東主義は社会主義制度導入のための思想
過去に、このブログでもカンボジアの話に触れている。
習近平氏がカンボジアを訪問した際に、概略を少し説明していて、その中でポル・ポトの残虐行為を解説した。
そして、ポル・ポトが輸入して傾倒したのが毛沢東主義なんだよね。
ポル・ポトが具体的に何をしたかといえば文化大革命の再現で、知識人、技術者、眼鏡をかけている者などを虐殺した。その数170~300万人だと言われている。当時のカンボジアの人口が800万人程度だったと言われているから、その規模は凄まじいものだ。
自国民を170万人も虐殺したのだから、史上最悪だと思いきや、上には上がいる。それが本家の文化大革命でおそらくは合計2000万人を虐殺したと言われている。ヒトラーが900~1100万人程だと言われているので、軽くその上を行く。
ちなみに、我らがヨシフおじさんは国内で粛清の嵐を起こし、シベリア抑留などやらかし、トータルで2000万人を虐殺したとされ、毛沢東は文化大革命の他、大躍進政策を実施。その犠牲者総数は6000万人とも言われている。
こういった大虐殺を支えた思想が、毛沢東本人とポル・ポトは毛沢東主義(或いは毛沢東思想)に基づき、スターリンはマルクス・レーニン主義(或いはスターリン主義)に基づいていて、何れも社会主義をベースにした全体主義である。階級闘争論というクソみたいな考えに根ざす虐殺が世界にバラ撒かれたのは本当に遺憾である。
ヒトラーも国民社会主義を標榜していたので、根っこは同じかもしれないけどね。アレを全体主義と一括りにするのはやや乱暴だろうか?だが、ヨーロッパなどではナチはタブー視されるのに、ロシアや支那と仲良くしたがったというのは本当に意味がわからない。
おっと、話が逸れたが、要は毛沢東主義は碌でもないって話だ。
ネパールでの政権獲得
そういえば、過去にネパール空港の話も書いたんだけど、その時には毛沢東主義については触れなかった。
毛沢東主義からアプローチしたら、もう少し分かりやすかったかも?
ええと、ネパールの毛沢東主義は、現在のネパール与党であるネパール共産党(統一社会主義)に受け継がれている。これの前身がネパール共産党(毛沢東主義派中央)で、ネパール人民解放軍(2万人)を擁している。
この組織、一応、解散しているんだけど、結局、ネパール共産党(統一社会主義)に受け継がれているので消滅していない。で、ネパール内戦(1995年~2006年)を主導してネパール領土のかなりの部分を実効支配した過去がある。
アメリカから「お前ら、テロリストだろう」とテロ組織認定されたこともあったけれど、選挙で第一党になって見事テロ組織認定解除をもぎ取った。行動方針を修正したとはいえ与党になったのだから、凄いとしか言いようがない。そして、支那との親和性が高い理由もそのあたりにあるわけだ。支那は毛沢東主義には否定的なんだけどね。
ネパールというのは、そういう国なんだな。
故に、空港建設も支那との関連性が極めて高く、一帯一路構想の受け入れだって、そういった背景があったからこそとも言える。
で、どうしてネパールの話というかネパール共産党(統一社会主義)の話をしたかと言うと、インドにその姉妹政党があるんだよね、インド共産党毛沢東主義派というヤツだ。
インドでは極左武装組織と位置づけられていて、方針転換前のネパール共産党(毛沢東主義派中央)と仲良しだった。
反政府勢力
インド共産党毛沢東主義派は、西ベンガル州ナクサルバーリー地方で派生したので、ナクサライトなどとも呼ばれる組織だ。いや、正確にはナクサライトが代表的ではあるんだけどインド共産党毛沢東主義派の一派閥だというべきか。
このインド共産党毛沢東主義派は反政府組織としてインド国内でテロ活動に従事していて、例えば西ベンガル州鉄道脱線事故(2010年5月28日)を引き起こすなどの工作をおこなっている。
鉄道を標的としたテロの脅威に対する注意喚起
平成22年7月6日
本日、外務省より以下の渡航情報(スポット情報)がでましたので、皆様にお知らせ致します。
1 7月5日付のインド地元紙は、マオイスト(インド共産党マオイスト派(CPI-M))が各報道機関に対し声明をテープで送りつけ、「鉄道の運行を妨害する」としてテロ予告を行うとともに、7月7日と8日の両日は列車を利用しないよう警告していると報じています。また、マオイスト側は7月1日のリーダー殺害に抗議することを本テロ予告の目的としている、とも報じています。
~~以下略
在ムンバイ日本総領事館のサイトより
他にも、マルチ・スズキのマネサール工場暴動事件(2021年7月18日)に関与したりと、様々なテロ活動を行っているようだ。
現在では随分とその勢力を落としているようだが、それでもテロ組織には違いない。これの掃討作戦をやったよというのが冒頭のニュースである。
シャー内相は、インド中部チャッティスガル州とテランガナ州の州境付近で治安部隊が21日がかりで反政府勢力を追っていたと説明。今回の作戦を「歴史的快挙」と位置付けた。
Xへの投稿でも「我々の治安部隊は毛派掃討作戦をわずか21日で完了した。この作戦で治安部隊に一人の犠牲者も出なかったことに満足している」と書き込み、兵士をたたえた。
CNN「インド治安部隊、毛派の31人を殺害と発表」より
ニュースに出てくるチャッティスガル州は過去にも毛派テロリストによって移動中の国会議員団が襲撃(2013年5月25日)されたり、治安部隊が襲撃(2014年3月11日)されたりした地域で、最近だと2021年にも襲撃事件があった。
インドの毛沢東主義派が治安部隊を襲撃、22人死亡
2021年4月4日 20:48
インドの警察当局は4日、中部チャッティスガル(AFPより
ほんっと、碌でもないな。今回の掃討作戦は、その雪辱戦という位置づけのものなのだろう。
インド共産党毛沢東主義派にとっては、カースト制度も市場原理主義もそれを指導する政府も、打倒すべき対象らしく、革命を起こして勢力を拡大するのが目的のようだ。その思想を広める対象が、農民や低カースト層で、貧しい人々を積極的に勧誘しているようだ。
内務省の発表によると、今回の作戦では毛派の潜伏場所計214カ所を破壊し、捜索を行って爆弾数百発を押収した。
CNN「インド治安部隊、毛派の31人を殺害と発表」より
そういった碌でもないテロリストが掃討されたのは喜ばしい。
インドの治安
ただ、単純に喜べばいいというものでもないようで、CNNはインド政府に対しても問題があると指摘している。
しかしインド政府の毛派撲滅作戦をめぐっては批判の声もある。毛派の支配地域の住民はインドの経済成長から切り離され、戦闘員として子どもを奪う毛派と、政府による襲撃の両方に脅かされている。
CNN「インド治安部隊、毛派の31人を殺害と発表」より
インドでは貧富の差が激しく、治安も宜しくない。更に先日紹介したように、国境付近ではパキスタンとも揉めている。
支那とも領土紛争があるしね。
インドではカースト制度もいまだに残っている地域があるので、「平等」というわけにはいかないのだけれど、前近代的というなかれ。長くインドの社会構造を支えてきた基盤に食い込んでいる制度なので、簡単に廃止することもできないのだ。
例えば、法律で「カースト制度禁止」「カーストに基づく差別を禁止」としたところで、施行日からなくなるわけではないのだ。西側の理論は通用しないインドでは、インド特有の制度を作り上げる必要がある。
こういった考えを無視するから、欧米の民主主義の押し付けが嫌われるんだけどもね。
コメント
ネパールの毛主義の連中って、なかなか現代的?な連中で、そこはクメルルージュより進化してると想う。
それは現場で観ると経済合理性が違う。
昔のネパールで毛沢東派ゲリラの「解放区」へ行くと関所があって「通行税」を取る。
でも、特筆すべきは「領収書」を出す!!
これ大きい!
曰く、
「この書面を持ち歩く者は、我々の大義に賛同し進んでカンパした良い心掛けの持ち主である😂 その旅を邪魔せぬよう。またカンパを二重取りせぬよう、ここに同志諸君に伝えるものである。
〇〇地区 司令官補✕✕✕」
という具合に、二重取りして支持者😂が
「客離れ」しないように留意してる。
市場経済とか損失分岐というものを搾取側としても理解してます!
それに比べるとクメルルージュはダメダメっすね! 関所で袖の下を払って通行して帰ると、先払いした奴が「賄賂で銃殺」とかされてる。んで次の奴が「金よこせ通してやるから!」と、学習能力の欠片もない要求をして、そのうちまた銃殺😂
さらに解放区を抜け別の解放区に行くと、「A地区の司令官が決めた税などしらん。ここB地区の司令官はオレで、当然オレにも通行税を払え!」
と、当たり前のように追加請求する!
同じ組織なのに!
辺境で命がけで報われないミッションする
商売人にとって、同じ毛派でも、ネパールの奴らの方が「話の解る連中」なのは間違いない! ポル・ポト派と一緒にしたら悪いですよ。かつての商売で、そう記憶しる。
しかし「話のわかるテロリスト」ってなんですかね? まぁ商売人(トレイダー)とは「通行人」で「住民」じゃないんで。
住民としてはたまったもんでないのてせうが、私ゃあそこらに住みたくもないすすねぇ。そういうもんすよ、商人や旅人の視点ってのは。
そこは申し訳ないというか。
クメルルージュの話を出した方が理解しやすいかと思ったんですよね、インドの毛沢東派って余り有名ではありませんし、ネパールのも目立ちません。
しかし、その違いは歴然でありまして、片や大虐殺をやらかしたわけでして。
理性的なテロリストとは、矛盾したものに感じますが……。
まあ、彼らも人間なので多様性があると言うべきか。
横合いから失礼。
>経済合理性が違う
ちゃんとした若頭がいる経済ヤクザと、ただのチーマー、ゴロツキの集団の違いですね……
こういうのって、善悪とは別の次元ですからね。見る側の立ち位置によってコロコロ変わる。
(自称)正義のゴロツキだってナンボほどもいるのですよね。怖い怖い。
ですねぇ……ギャング組織でも統治能力が合理的で、地元に協力していると政府より頼れたりする。メキシコのカルテルが無くならないのは、要はメキシコ政府が腐りきってダメダメたからです。
日本だって闇市時代に三国人相手に日本人を護ったのヤクザたちですから!
よくモンペの日本人女性をレイプする米兵の図案でてくるんたけれど、アレは◯国や◯国人が多かったのを、米兵にすり替えていった傾向があるんですね。何故なのかは、ここの読者なら察しと想う。
んで、ヤクザとゲリラなど準軍事組織の違いは「政治思想」なんですけれど。
これが抵抗が長く長く続くと、その本来の目的意識を失ってくるんですね。
すると「組織継続」が第一目標になり、ギャングと変わらなくなってくる!
最前線にいる兵士はギャングもゲリラもテロリストも「生きるため」「食うため」にやってるんで、薬を売るのも、政府に反抗するのも「飯の種」でどうでも良い。武力による独裁政権などへの反抗は、反政府勢力として始まるので、テロリスト認定されるのはやむないのですが。それがダラダラと続くと本来の志を失い「組織継続の為にテロやってる」状態になる。その矛盾を抱え込むから組織は頭から腐ってゆく!
そういう意味で「革命テロリスト集団」よりも、「犯罪をビジネスとするマフィア組織」の方が、ブレない、継続性がある。そのように思われます。