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支那BYDは販売台数が過去最高に、更に安値の攻勢を続けられるか

中華人民共和国ニュース
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焼畑農業かな。

BYD、5月の販売台数は今年最高-大幅値引きが奏功

2025年6月1日 20:31 JST

中国の電気自動車(EV)メーカー、比亜迪(BYD)の5月の販売台数は今年最高を記録した。先月下旬に実施した大幅値引きで顧客をショールームに呼び込むことに成功した。

Bloombergより

近所にBYDのEVに乗っている人が現れて、戦々恐々としている。駐車中に燃えませんかね?と。ただ、BYDユーザーが日本国内にもいるのを実感したのもまた事実である。

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低価格攻勢はいつまで続けられるのか

販売代理店が経営破綻

冒頭のニュースを引用した理由は、先日こんなニュースを見かけたからだ。

BYDの中国東部最大の販売代理店が経営破綻―仏メディア

2025年5月30日(金) 12時0分

2025年5月29日、仏国際放送局RFI(ラジオ・フランス・アンテルナショナル)の中国語版サイトは、中国の電気自動車(EV)大手BYDについて、中国東部最大の販売代理店が経営破綻したと報じた。

記事は、英ロイターが29日に中国メディア・済南時報の報道を引用して伝えた内容として、山東省でBYD車の販売店を運営していた済南乾城汽車貿易が経営難に陥り、済南市など同省の複数都市にある店舗で営業を停止したと紹介。少なくとも20店舗が空店舗または閉鎖されていることが判明したと報じている。

Record Chinaより

BYDの販売代理店が経営破綻したらしい。破綻したのは山東省でBYD車の販売をしている済南乾城汽車貿易という会社で、支那国内で20店舗ほどの閉鎖が確認されたようだ。

記事によると、済南乾城汽車貿易はかつて年間売上高30億元(約600億円)を誇り、1200人程度の従業員がいたという。同社は4月17日に「BYDの販売店戦略調整が会社のキャッシュフローを逼迫させた」としてBYDを非難する書簡を発表していた。BYD側は販売店戦略調整が経営難の影響ではなく、無計画な事業拡大と高レバレッジの運営体制こそが問題との認識を示しつつ、済南乾城汽車貿易に対して積極的な支援策を講じていることを明らかにしたとのことだ。

Record China「BYDの中国東部最大の販売代理店が経営破綻」より

この記事だけでは、BYD側に問題があるのか済南乾城汽車貿易側に問題があるのか判断できない。

奴隷労働で提訴

さて、別の記事を紹介しよう。これも30日に報道されたニュースなのだが、こちらもBYD関連のニュースだ。

中国BYDを提訴、建設現場の「奴隷労働」で ブラジル

2025年5月30日 12:53

ブラジルの検察当局は、中国の電気自動車(EV)最大手、比亜迪(BYD)とその下請け会社2社について、人身売買および建設現場の労働者に奴隷労働に近い悪質な労働条件を課した疑いで提訴した。AFPが29日に確認した司法文書で明らかになった。

ブラジル北東部バイア州の労働当局は昨年12月、同州カマカリにあるBYD工場の建設現場で、中国人労働者220人が「劣悪な労働条件」で働かされているのを発見した。

~~略~~

BYDの下請け会社、錦江建設ブラジルは奴隷労働の疑惑を否定している。

バイア州労働当局は「集団的精神的損害賠償」として2億5700万レアル(約65億円)の支払いと、労働者個人への賠償を求めている。

AFPより

こちらのニュースも、BYD側に問題があるのか錦江建設ブラジル側に問題があるのかが不明である。

ただし、上の販売店の破綻とこの建設会社の話は冒頭に紹介したニュースでリンクするように思われる。

値下げ攻勢

もう1つ、記事を紹介したい。

BYD「160万円」自動運転EVの衝撃…“爆売れ”トヨタ最新EV「bZ3X」との共通点とは

BYDがほぼ全車種に自動運転機能を搭載する。最も安いコンパクトEV「ドルフィン」(中国市場では海鴎:シーガル)は約160万円という驚きの安さで、高速道路での自動運転機能が搭載されている。テスラを抜いて世界一となったBYDに死角はあるのか。世界最大の自動車市場である中国で、今後各社の明暗を分ける要素とは何か。

SBBitより

この話は、去年のこのニュースともリンクする。

相次ぐ中国のEVメーカーの倒産により所有者はスマホアプリのアップデートやクラウドサービスに依存した機能へのアクセスを失いつつあるとの指摘

2024年08月30日 20時00分

中国ではテスラを抜いて世界で最も多くの電気自動車を販売したメーカーとなった「BYD」を含め、100社以上の電気自動車メーカーが生き残りをかけてしのぎを削っています。一方で、価格競争などに敗れた一部のメーカーは破産といった道を選んでおり、その結果車両のロックやエアコンなど、スマートフォンアプリで操作する機能が使用できなくなっていることが指摘されています。

Gigazineより

要はBYDは価格勝負をしているという話で、そのしわ寄せが色々なところに出てきているのでは?という懸念がある。

今のところは、あっちもこっちもという話にはなっていないようだが、値下げ攻勢が販売店や製造業に影響することは避けられないだろう。

BYDは5月下旬、最大34%の値下げを実施。同業他社も追随し、同社を含むEVメーカーの株価は急落した。大幅値引きに対し、中国自動車工業協会(CAAM)は5月31日にウェブサイトに掲載した資料で、「無秩序な価格競争は悪性競争を激化させ、企業の利益を一層圧迫する」と懸念を表明。具体的な社名には言及しなかった。

Bloomberg「BYD、5月の販売台数は今年最高」より

BYDは売り上げ額が大きいので、まだまだ値下げに関する体力はあるのだと思うのだが、支那国内でこのやり方を追求すると、恐らくは先ず販売店への影響が出る可能性が高い。

自動車販売の仕組みは良く分からないので、仮定で申し上げるしかないのだが、例えば、メーカーから新車を購入して販売展開する仕組みになっていたとすると、大幅値下げを実施したことで実施前の価格で購入した分に関しては販売店が身銭を切って値下げするしかない。その値下げ幅が大きければ大きいほど影響は強く出ると思われる。

190万円で仕入れた車に200万円の値を付けて売るつもりだったのに、メーカーから150万円で売れと言われたら40万円の赤字を抱えることになる。流石に、値下げを指示した後の新車に関しては利益の出る額で仕入れさせて貰えるとは思うが、在庫分の値下げは販売店が被ることに。

ああ、支那の自動車販売の形態がこのような形でないかもしれないで、あくまで仮定の話である。

そうすると、今度はメーカーが製造工場に対して、「安値で売ることになったから安く作れ」ということになるだろう。

軽自動車を販売

さて、このブログで軽自動車の話に関しては、記事にしたことがある

この時は、日本の軽自動車のブランドには信頼と実績があって、そんなに簡単に牙城は崩せないのでは?という結論を出したけれども、安値であれば売れる可能性はあるだろう。

日本での販売「まだ少ない」 軽EVで接点拡大へ―中国BYD幹部

2025年06月02日07時10分配信

中国電気自動車(EV)大手、比亜迪(BYD)日本法人の東福寺厚樹社長が1日までに、時事通信のインタビューに応じた。日本市場の累計販売台数を約4800台と明かし、「まだまだ少ないというのが実感だ」との認識を示した。

~~略~~

来年投入する軽EVの価格は250万円程度となる見込み。基本性能は、日産自動車の「サクラ」やホンダの「N―VAN e:(エヌバンイー)」といった「(先行する)全ての軽EVをお客さま目線で比べ、詰めていく」と説明した。

時事通信より

正直、既に投入されている軽自動車よりも高ければ見向きもされないわけで、更に低価格に設定しなければ戦えないとは考えている。そうすると、支那国内の販売店や工場からは悲鳴が上がりそうだが、そこは補助金を突っ込めば良いのかな。

では幾らなら勝負になるのか?といえば、恐らくは200万円以下だろう。そして、支那であればそれは可能だ。

そうすると、日本の自動車メーカーは耐えられまい。

日本政府は補助金の出し方を考え直した方が良い。なんなら、トランプ氏に習って関税を引き上げても良いだろう。現段階で関税は0だからね。今後は、安全対策水準を満たさないEVに関しては、100%の関税をかけてもイインジャナイかな。

追記

あらあら、まあまあ。

中国自動車ディーラー、メーカーに車の大量出荷やめるよう要請

2025年6月3日午後 3:12

中国の自動車ディーラー団体は3日、自動車メーカーに対し、ディーラーに大量の車を引き渡さないよう求めた。激しい価格競争がディーラーの資金繰りを圧迫し、収益性を低下させ、一部ディーラーが閉鎖を余儀なくされているという。

中国工業情報省は先月31日、自動車業界の健全性と持続可能な発展にとって脅威だとして、業界に対して激しい価格競争に歯止めをかけるよう求めるとともに、価格競争への監督を強化する方針を示した。

ロイターより

なんというか、今回書いた記事の答え合わせをロイターがしてくれた感じである。

ディーラー団体は声明で、第2・四半期以降の新たな値引き攻勢の中で、自動車ディーラーが直面している状況はさらに厳しくなっていると指摘。車メーカーは合理的な年間生産・販売目標を設定すべきであり、ディーラーに車在庫を移転したり、車の保管を強要すべきではないと提言した。

ロイターより

これって、日本にBYDが進出してきて、安値展開をすると当然起こりうる話だね。これはやっぱり補助金出すのではなくて関税をかけておかないと。

コメント

  1. 匿名 より:

    BYDはGM・トヨタ・ホンダ・ルノーに次いでスプリット式ハイブリットシステムを実用化しプラグインハイブリッドを生産している
    フォードはトヨタのTHSを採用、マツダは輸出用にトヨタエンジンのTHS
    BYDはプラグインハイブリッド用にポルシェエンジニアリングの協力の元水平対向をエンジンを生産予定

    • 木霊 木霊 より:

      BYDのプラグインハイブリッドですか。DM-iとかいうシステムらしいのですが、今のところ日本には入ってきていないようで、2026年以降の計画みたいですね。
      総じて評価の高いシステムのようですが、販売されることになったらどう変わっていくのでしょうかね。

  2. 七面鳥 より:

    こんにちは。

    >200万円以下

    これに充電インフラ構築が上乗せされるのですね、わかります。
    都市部ならまだしも、田舎で給電スポットが過疎な所で商機ありますかね?
    自宅に充電器設置で更に百万ドン!だったら、七面鳥なら買わないです。

    • 木霊 木霊 より:

      こんにちは。

      給電スポットの整備次第という側面はありますが、安ければ売れるとは思っています。