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ウクライナはドローンでロシアの航空戦力を一斉攻撃

ウクライナニュース
この記事は約6分で読めます。

なかなか衝撃的なニュースである。

ウクライナ「ロシアの戦略航空機34%に損害」 損失1兆円、一斉ドローン攻撃で

2025/6/2 07:58

ロシアの侵略を受けるウクライナの情報機関、ウクライナ保安局(SBU)は1日、複数の露空軍基地をドローン(無人機)で一斉攻撃する特殊作戦「パウチーナ(クモの巣)」を同日実施し、露軍が保有する戦略航空機の34%に損害を与えたと発表した。ロシアの損失額は70億ドル(約1兆円)に上ったとした。ロシアも同日、国内5州の空軍基地がドローン攻撃を受けたと発表した。

産経新聞より

こういう戦略も成立するのか。

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驚きの戦略

ロシア空軍機の損害多数

今回の記事は、どちらが有利になったとかそういう話ではなくて、ウクライナが成功させた作戦がかなり衝撃的だったという話である。

ウクライナメディアがSBU筋の話として伝えたところによると、今回の攻撃で、早期警戒管制機「A50」や戦略爆撃機「TU95」、超音速戦略爆撃機「TU22M3」などを含む40機以上の露軍機を損傷させたとした。

事実であれば、露軍の爆撃能力が大幅に低下する上、核兵器の運用態勢にも影響が出ることが予想される。ウクライナは2日にトルコで予定される対露和平交渉でロシアの発言力を弱めるため、このタイミングで攻撃を決行した可能性がある。

産経新聞「ウクライナ「ロシアの戦略航空機34%に損害」」より

航空戦力を40機以上、割合にして34%の戦略航空機を失った大失態である。

早期警戒管制機A50は、以前も攻撃されて墜落したという話があったと思う。2024年1月15日に1機を撃墜、2月23日にも1機を撃墜ということで、15機導入したといわれる数少ないA-50を少なくとも2機失っている。コレを失うと言うことは、ウクライナに対する戦略的な爆撃手段を失うことを意味する。

今回は損傷ということのようだが、1機500億円相当ともいわれている。だが、戦略的な意味での弱体化はそれ以上の損失だと見積もられよう。

次、戦略爆撃機TU95は結構なロートルなのだが、未だに戦略爆べき機として運用され続けている機体だ。

エンゲリス空軍基地から離陸するTu-95MS

超音速戦略爆撃機TU22M3もそれなりに古い機体である。

Tu-22M3 ロシア空軍機

ただ、近代化改修されて搭載アビオニクスは刷新され、ウクライナ戦線では長距離空対艦ミサイルKh-22の発射プラットフォームとして活動しているのだとか。

噂レベルだが、Tu-95MS×8機、Tu-22M×4機、An-12×1機の完全破壊が確認されたとか。

トラックからドローン射出

で、今回取り上げた理由は、この作戦を成功させたのがドローンによる攻撃だったというものだ。

報道によると、SBUは、露防空システムによる撃墜を避けるため、各空軍基地近くまで移動させたトラックからドローンを発射した。露当局に拘束されたトラック運転手が「積み荷が何か知らなかった」と話したとの情報もある。ゼレンスキー氏は、作戦を準備するため露国内に潜入していた要員が作戦開始前にロシアを脱出し、安全な場所にいると述べた。

産経新聞「ウクライナ「ロシアの戦略航空機34%に損害」」より

なかなか驚くべき手法ではあるが、ドローンだからこそ出来た作戦であるとも言える。

トラックを使って国境を越え、各基地の近くにいって一斉にドローンを発射。多数の航空兵器を破壊したとしている。

一方、露国防省は1日、露中部リャザン▽北部ムルマンスク▽東シベリア・イルクーツク▽極東アムール▽西部イワノボ-の計5州の空軍基地がウクライナのドローン攻撃を受けたと発表。一部で航空機が炎上したとしたが、詳細な被害には言及しなかった。また、攻撃に関与した数人を拘束したとも主張した。

産経新聞「ウクライナ「ロシアの戦略航空機34%に損害」」より

まさかこんな作戦が成功するとは、誰が予想しただろうか。

ロシア国内にドローンを乗せたパレットを密輸し、それを各地に点在する航空基地近くに移動。

そして、各地を一斉にドローンで爆撃……。漫画かっ!

世の中、想像もしていない方法で攻撃するからこそ、成果が出たということなのかもしれない。まあ、何処まで本当かは良く分からないんだけれども。

翻って、日本の基地の上空をドローンが飛ぶのは禁止されているけれども、実際に飛ばれた場合に防御する方法は現状ではまだ不十分なんだよね。そこのあたりの対策は急がねばならないだろう。海があるからといって、海を飛んで超えてくるとは限らないわけだ。

更にいうなら、日本側が同じ手段を行使できるような体制を整える必要があるだろう。防御するためには攻撃する方法を知らねばならない。

追記

気になったポストを拾ったので紹介。

戦術的にかなりグレーの方法だとはいえ、今回は攻撃目標が航空兵器だというところで、何とか国際法違反というところはクリアしそう?

追記2

もう1つ。

こちらは新しい記事にしようかどうか迷ったのだけれど、情報が少ないので取り敢えず追記という形でご紹介。

ロシア西部2州で橋崩落、列車脱線し7人死亡 ウクライナ国境付近

2025年6月1日午後 3:55

ウクライナ国境に近いロシア西部のブリャンスク州とクルスク州で、橋が崩壊して列車が脱線、少なくとも7人が死亡し、数十人が負傷したと、ロシア当局が1日未明に発表した。

ロイターは両事件が関連しているかどうか独自に確認することはできなかった。ロシア西部はウクライナの越境攻撃を頻繁に受けている。

ロイターより

ブリャンスク州とクルスク州の橋を攻撃したウクライナ軍だが、破壊方法は報じられていない。ドローンで攻撃した可能性も噂されているが、少なくともそれを断定して報じているメディアは今のところ見当たらない。「越境攻撃」とあるので、ドローン攻撃の可能性はありそうなんだけどね。

ともあれ、どのような手法にしろ輸送網の破壊と、死者が出ていることを伝えるのみで、これが兵站輸送に携わっている可能性なども触れられていない。単純に、「国際法違反だ」と主張しているだけだね。

まあ、ロシアも兵器で民間人を攻撃したり、インフラを攻撃したりとやりたい放題である。どの口がそんなことを主張するのはとは思うのだが、まあ、戦争だからね。

追記3

追加攻撃があったようだ。

ウクライナ、ロシア空軍基地2か所への夜間攻撃「成功」

2025年6月6日 18:27

ウクライナは6日、ロシアの空軍基地2か所に対する夜間攻撃が「成功」したと発表した。1か所はロシア南部、もう1か所はモスクワ近郊に位置し、どちらもウクライナに出撃する爆撃機が使用している基地だとしている。

AFPより

また空軍基地か。

警戒していたはずなのに、またやられてメンツ丸つぶれという感じなんだけど、おそらくウクライナ側で前回作戦に使わなかったドローンが残っていたんだろうね。在庫処分した感じなのだろう。

コメント

  1. 匿名 より:

    Tu-95とB-52の核兵運用型は主翼にストレーキ?が付いていて衛星画像で識別出来たのでしたよね?

  2. 砂漠の男 より:

    ドローンの運用を前提とする作戦とはいえ、露本国への縦深攻撃を実行してみせたウ軍の能力を過小評価できませんね。
    今回のスウォーム攻撃では、ドローン母艦が使用されたのでしょうか。興味は尽きません。
    方向を変えれば、支那や朝鮮への攻撃に応用可能な作戦という話にもなるので、防衛省には大いに参考になるはずです。

    • 木霊 木霊 より:

      個人的には高い評価をしております。
      トロイの木馬的なやり方が、現代にも通用するとは驚きですね。

      そしてご指摘のように、自衛隊でも実行可能な作戦になってくれると嬉しいのデスが。

  3. 七面鳥 より:

    こんにちは。

    つい二週間ほど前、退社時に、厚木基地方向から火災の煙が上がってるのを見まして。
    ※職場が近いので。
    後で調べたら、基地のフェンスのすぐ外の工場だか倉庫だかが焼けて、基地内からもフェンス越しに放水したそうです。

    何が言いたいかというと、そういうヤード的なものを利用されたら、今すぐでも日本国内の基地は全滅しかねない。
    掩体壕を今すぐ造るのは無理だから、ソフトキルだけでも何か考えないと……
    防衛省の中のヒトが頑張ってくれることを祈るのみです。

    • 木霊 木霊 より:

      こんにちは。

      日本の基地はテロリストの襲撃を受ける前提で防衛網の構成が出来ていないので、攻撃には脆弱かもしれません。
      何らかの手当てがしてあると良いのですが。