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EVを積んだ船がまた燃える → 20日漂流後沈没

中華人民共和国ニュース
この記事は約7分で読めます。

また、EV積んだ船が燃えちゃったよ。

EV800台積んだ貨物船で火災、アラスカ沖で放棄 乗員無事

2025年6月5日午後 12:05

海運会社ゾディアック・マリタイムは4日、電気自動車(EV)800台を含む車両約3000台を積んだリベリア船籍の貨物船で火災が発生し、乗組員はアラスカ沖でこの船を放棄したと発表した。

ロイターより

過去にも扱ったニュースがあったため、触れることにしたんだけれども、これって防ぐことは難しいの?

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燃えたら消火は難しい

過去にも火災が

先ずは過去の話。

2023年7月に、オランダ沖で正栄汽船(愛媛県今治市)が所有する自動車運搬船「フリマントル・ハイウエー」が火災を出して漂流、鎮火までに1週間を要した事件であった。

この記事では、2022年3月のポルトガル沖で自動車運搬船「Felicity Ace( フェリシティ・エース)」が火災を起こした件も紹介したけれども、この時は2週間後に沈没したんだっけ。で、今回もまたEV載せた船が火事になってしまったらしい。

この貨物船は5月26日に中国の煙台港を出発し、メキシコに向かっていた。最初にEVを積んだ甲板から煙が上がっているのが目撃されている。輸送していたEVのブランドは明らかになっていない。

ロイター「EV800台積んだ貨物船で火災」より

この記事では、何処のメーカーのEVが火災に巻き込まれたかは書かれていないのだけれど、支那の煙台港を出発したと書かれているので、お察しである。

煙台港から出港

なお、ここに出てきた「煙台港」は支那の港である。

自動車輸出で活気あふれる煙台港 中国山東省

新華社 | 2023-01-21 11:08:33

中国山東省煙台港の自動車積み出し埠頭(ふとう)は春節(旧正月)を前に、船積みを待つ車両が大量に並び、慌ただしい雰囲気に包まれている。

中国北方地域の自動車物流ハブで、山東省の自動車物流拠点でもある煙台港の2022年の自動車輸送台数は、前年比38・0%増の41万1千台だった。

新華社通信より

当然、支那製EVが積まれていたと考えるのが妥当であり、火災による被害額もかなりの額に上ると思われる。

そして、今回もまた放棄されてしまった。

ゾディアックによると、乗組員は消火にあたったが火が消えず、22名が救命ボートで退避。米沿岸警備隊が出動し、乗組員は近くの商船に収容された。火災を起こした船の回収に注力しているという。

ロイター「EV800台積んだ貨物船で火災」より

無事で何よりだけれども、それにしたってこの手の火災が発生すると消し止めることも容易ではない。

EVの普及も問題だけど、こんな感じに船便で送るのもなかなかリスキーだ。これで一掃、EVの価格が引き上げられる可能性がある。だって、船の保険も価格に乗ってくるのだから。

追記

本文とは全く関係ないネタだと思うのだけれど。

テスラ時価総額22兆円消失 過去最大、マスク氏とトランプ氏決裂で

2025年6月6日 3:35 (2025年6月6日 6:08更新)

米電気自動車(EV)大手テスラの株価が5日急落し、時価総額は前日比で約1520億ドル(約22兆円)減った。2010年の上場以来、1日の消失額で最大となった。イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)とトランプ米大統領の決裂が鮮明となり、経営の先行き不透明感を嫌気した売りが広がった。

日本経済新聞より

アメリカでEV販売のトップを走っているテスラだが、ここのところその勢いに陰りが。

まあ、テスラのEVの販売にもちょっと勢いがなくなってきているし、サイバートラックの失敗を取り戻すのもなかなか難しい。モデル2の開発中止の噂も悪影響になっている模様。

トランプ氏と中国の習近平国家主席が電話会談で関税協議の早期開催で合意したと伝わり、S&P500種株価指数は米東部時間の正午ごろまで前日終値を上回っていた。テスラ株の下げ幅拡大により同指数も下げに転じ、結局0.5%安で引けた。ダウ工業株30種平均も連れ安して108ドル(0.3%)安の4万2319ドルで終えた。

日本経済新聞より

支那との交渉が早期妥結に向かっているという噂も(僕自身はその噂に懐疑的だが)株価に影響しているようだ。

テスラ、日本向け2車種生産終了へ EV販売低迷で

2025年3月6日 19:26

テスラは6日、電気自動車(EV)2車種について日本向けの生産を3月末で終了すると発表した。生産終了するのは高級EVの「モデルS」と「モデルX」で、在庫がなくなり次第販売も終了する。低迷が続く日本向け販売の縮小に踏み切った。

日本経済新聞より

日本での販売にも苦戦しているらしいね。正直、EVなんて欲しいと思わないし、EVだから買おうという気にはならない。

そして、EVを積んだ船が燃えてしまうと、保険が高くなるという話も出てくるので、更に逆風が吹いてしまうだろう。

追記2

コメントで続報の存在を教えて貰ったので、少し追記させて頂くことにしたい。

貨物船「モーニング・ミダス」が太平洋中部で火災に遭い放棄されるも乗組員は無事救助

2025年6月5日
6月3日、リベリア船籍の自動車運搬船「モーニング・ミダス号」が太平洋中部、アリューシャン列島の南西約300マイルの海域に放置されるという重大な事故が海運業界を襲いました。ロンドンに拠点を置くゾディアック・マリタイム社が管理する同船は、中国からメキシコへ向かう途中で火災が発生し、米国沿岸警備隊による迅速な救助活動が行われました。

maritime-hubより

ミダス……。プリュギアの都市ペシヌスの王が同じ名前で、「触ったもの全てを黄金に変える」とか「王様の耳はロバの耳」でも有名な人物だと知られている。ちょっと船の名前が不吉じゃありませんかね?

さておき、本文ではEV火災じゃないか?!と言うような論調で書いたのだが、HVが原因である可能性も否定できないようだ。

モーニング・ミダス号は3,048台の車両を積載しており、そのうち70台は電気自動車、681台はハイブリッド電気自動車でした。最初に電気自動車を積載したデッキから煙が出ているのが確認され、火災の発生源と船内の電気自動車バッテリーに関連する潜在的な危険性への懸念が高まりました。

maritime-hubより

だが、どちらも大型のバッテリーを搭載する点は変わらず、リスクも同等なので、どちらから出火したとしても不思議はない。

この事故は、電気自動車(EV)に関して海運業界が直面している継続的な課題を浮き彫りにしています。EVのバッテリーは、特に船内の密閉空間において火災の危険性があることが知られています。船上でのEV火災事故は、保険会社や海運会社に懸念を引き起こし、海上におけるEVの取り扱いと保管に関する安全手順の改善を求める声を高めています。

maritime-hubより

そして、当然指摘されるのがバッテリー問題。このあたりの論調もこの記事の本文の流れと同じなので特に突っ込む必要はないだろう。

ビデオ – 自動車運搬船「モーニング・ミダス」が漂流し炎上

2025年6月6日

米沿岸警備隊は6月5日の最新情報で、水曜日の上空飛行で同船が依然として炎上しているのが確認されたと述べた。しかし、モーニング・ミダス号が傾いたり浸水したりした兆候は見られなかったものの、火災による同船の被害範囲は依然として不明である。

seatrade-maritimeより

モーニング・ミダスアップデート

 

全長183メートル、12,250トンの自動車運搬船「モーニング・ミダス」(IMO番号:9289910)は、アラスカ州アダック島南方の北太平洋で火災に見舞われ、漂流を続けています。火災は複数の自動車デッキを焼き尽くし、船体の損傷がはっきりと確認されています。「モーニング・ミダス」の船尾は水面下に沈み、船尾には油の汚れが付着しているのが見えます。

shipwrecklogより

いくつか記事を当たってみたが、現状で消火の見込みは立っていないようだ。

追記3

まさかとは思ったが……。

中国発メキシコ行きの車運搬船、アラスカ沖で沈没 EVなど3000台搭載

2025年6月25日 3:49

電気自動車(EV)を含む3000台超を積んで中国からメキシコへ向かっていた自動車運搬船が23日午後、米アラスカ州沖で沈没した。3日に洋上で火災が発生し、乗組員22人が救助されていた。

沈没したのは、英ロンドンに本拠を置くゾディアック・マリタイムが運航する「モーニング・ミダス」(リベリア船籍)で、全長約180メートルの中〜大型船。

日本経済新聞より

沈没してしまった。

他のメディアが報じているのを見つけていないので確定と言いにくい部分はあるが、日本経済新聞のこの手の記事でガセネタという可能性は低いように思う。

コメント

  1. 匿名 より:

    再保険会社を調べてみたらバークシャー・ハサウェイも大手だった

  2. 七面鳥 より:

    こんにちは。

    >消し止めることも容易ではない

    何と言っても、火元に燃料と酸素が同居してますからね。
    水かけても消えない。燃え尽きる(反応が終わる)のを待つ以外に手が無い。
    化石燃料のタンクを(フェリー用でガス欠寸前とはいえ)ごちゃまんと並べてる車輸送船にとっては、これは致命的ですね。
    ※もう、EVはダンプ可能な露天甲板に並べて、火が出たら有無を言わさず海洋投棄!しかないんじゃないですかね……原因究明出来ないけど(燃え尽きたらどっちみち出来そうにないですが)

    まあ、消費者の手元で燃えなかっただけまだマシ、という考え方も……

    • 木霊 木霊 より:

      こんばんは。

      燃え始めたら止まらない。
      消費者の手に届いたら爆発するので、勝手に燃えてくれるだけの方が平和だとは思いますが。

  3. 砂漠の男 より:

    複数の公開情報に拠ると、今回不幸な火災事故に遭った自動車専用運搬船は、支那で建造されたモーニング・ミダス号で、3,048台の車両を積み込み、内EVが70台で、HVが681台だった。
    乗組員によると、火災はEVとHVの混載デッキで発生した。鎮火できず、船は放棄された。
    煙台港で積み込まれたEVは、上海汽車、奇瑞汽車、長城汽車の3社製品。煙台市には、GMと上海汽車のEVを含む自動車製造合弁企業があるそうです。

    https://maritime-hub.com/morning-midas-abandoned-after-fire-in-mid-pacific/
    https://www.youtube.com/watch?v=ZyOcEUho1ns

    • 木霊 木霊 より:

      ありがとうございました。
      未だに鎮火できていなさそうなので、しばらく漂流してもしかしたら沈没するかも?という観測もあります。
      何とか鎮火して欲しいところですね。

    • 砂漠の男 より:

      船主であるゾディアック・マリタイム社は、モーニング・ミダス号を鎮火して修理する意向を表明していますが、船内は火災で相当に損傷して、浸水もありそうなので、修理は難しいかも知れません。

      閑話休題

      自動車業界の友人に、EVの将来性について尋ねたところ、いまのEVタイプは、システムもサポートも不十分で、性能と信頼性でHVタイプに勝てない。仕切り直しが必要と言っていました。まぁ、納得?

      支那では、補助金狙いのEVが過剰生産され、敷地に店晒しの新車が新古車扱いで中古販売業者に流され、それが世界中にダンピング輸出されているという話があります。支那ならやりそう。
      モーニング・ミダス号にもそのテのEVが入っていたのかも?

      • 木霊 木霊 より:

        船の回りには水があるのに、鎮火には利用しにくいという皮肉な状況です。
        消えるのを祈るしか内状況みたいですね。

        EVに関しては、国内の状況は非常に悪い。給電できるポイントが少ないことと、二次電池の問題はやはり足を引っ張っていて、使うメリットよりもデメリットの方がなお大きい状況が続いています。海外、アメリカではEVが低調になりつつあって、イーロンマスクへの反感も手伝ってか、今後余り伸びていかない感じですね。
        EU各国は補助金切れが影響しているのと、電気代の高騰がジワジワと影響している感じです。
        支那ではご指摘のように過剰生産の問題が色々と出てきていて、別の記事にもしていますがかなり思わしくない感じですね。それが外国にも影響しているという(主に悪影響)のがまた面倒な。

        • 砂漠の男 より:

          モーニング・ミダスが6/25(水)に沈没したようですね。
          すでに米メディアで詳報されていますが、地元メディアによると、
          アリューシャン列島のアダック島沖深度約5000メートルの海底に沈んだと。
          (あのへんは深いね〜)
          火災は元より、浸水と時化が追い打ちをかけたみたいです。
          https://shorturl.at/y9iPn

          今回の海難事故は、色んな方面に悪影響を及ぼしそうです。