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イスラエル・イラン紛争で邦人退避が始まる

安全保障
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やや遅い感じもするけれども、イスラエルの空爆が電撃的に行われたことを考えれば、これでも早いのかな。

イラン・イスラエル在留の日本人、19日にも陸路で退避へ

2025年6月18日 16:30

政府は19日にもイランとイスラエルにいる日本人の周辺国への退避に着手する。イランとイスラエル両国の軍事衝突を受け、安全確保を急ぐ。イランに滞在する邦人はアゼルバイジャンなどに、イスラエルの邦人はヨルダンにバスを使って陸路で移動する方針だ。

日本経済新聞より

空爆が行われたのは6月13日のこと。そこから全面対立に至るのに数日あって、空爆3日後の16日には、もう引き返せないところに至っていたと思う。

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安全第一で慎重に

困難な退避計画

どんなに速い判断でも、「避難の準備計画」を策定できたのは15日頃だと考えれば、4日でよう救助者の洗い出しとルートを確保して手配を終えたのだから、素早い対応だったと言えるだろう。

【速報】中谷防衛相はイスラエルとイランからの邦人退避に備え、自衛隊機をジブチに派遣すると表明した

2025年06月19日10時59分配信

中谷防衛相はイスラエルとイランからの邦人退避に備え、自衛隊機をジブチに派遣すると表明した

時事通信より

更に、邦人救助のために自衛隊機を派遣するところまで決めている。この辺りは、拠点があると言うところが強いとは思う。

邦人退避の拠点ジブチ なぜ自衛隊の拠点があるのか その重要性とは

2023年4月27日 13時00分

戦闘が激化したアフリカ北東部スーダンの在留邦人らの退避のため、自衛隊が近隣国のジブチを拠点に活動しました。ジブチはどのような国で、なぜ自衛隊が拠点を置いているのでしょうか。東京外国語大・現代アフリカ地域研究センターの武内進一センター長に聞きました。

朝日新聞より

スーダンからの邦人退避の時にも使われた拠点ではあるが、この拠点維持に関しては左派からの批判もそれなりにあるようだ。

画像: 海外に唯一ある自衛隊の大規模拠点をのぞいちゃおう

ただ、自衛隊にとっては使いやすい拠点とはいえ、今回の邦人退避に使う為に適切な場所かどうかは仕方がないとはいえやや疑問もある。

地図を見ていただければ分かるのだが、ジプチはイランやイスラエルからは余りに遠いのだ。

円を描いてみたが、黄色が半径3000km、黄緑が半径1000kmである。

陸路でジプチまで輸送はできない

というわけで、流石にイスラエルからですら陸路で3000km。イランからなら更に2000kmほどの距離があって、複数の国家を跨いで移動しなければならない。

在外公館などを通じて退避の希望調査を進める。陸路での退避に加えて、自衛隊機の活用も探る。外相の要請を受けて週内にも輸送機をジブチに派遣し、待機させる方向で調整する。

外務省は17日、イラン全土の危険情報を「レベル4」(退避勧告)に引き上げた。渡航を控え、安全に出国が可能なら速やかに国外に退避するよう求めた。出国する場合、在イラン大使館と緊密に連絡を取るよう呼びかけた。

日本経済新聞「イラン・イスラエル在留の日本人」より

おそらく輸送機はジプチを中継地点として使う計画なのだろう。

が、空はイスラエルの戦闘機が飛んでいるし、弾道ミサイルが撃ち込まれ、対空ミサイルが警戒している状況であるので、流石に危なくて空路など論外だ。

同年のイスラエルとイスラム組織ハマスの衝突時もイスラエルに自衛隊機が入った。

今回はすでにイスラエルとイランで攻撃の応酬になっており、両国に自衛隊機が直接飛ぶのは難しい状況にある。退避希望の邦人が多いイラン首都テヘランは港も遠く、陸路で近隣国に出国する方法が現実的と判断した。

日本経済新聞「イラン・イスラエル在留の日本人」より

イランからはアゼルバイジャンに陸路で、イスラエルからはヨルダンに陸路でひとまず移動する計画になっている。

その後は状況を見て、ということになるのだろうね。人によっては「判断が遅い」と文句を言われる人もいると思うが、無責任に「避難させる」と言ったところで実際現地のコーディネートが出来ていなければ意味がない。

頑張って貰うしかないね。

追記

どうやら、出発は21日になったらしい。

空自輸送機、21日にも派遣 中東の邦人退避、ジブチで待機

2025年06月19日17時26分配信

中谷元防衛相は19日、交戦が続くイスラエルとイランからの邦人退避に備え、航空自衛隊の輸送機をアフリカ東部ジブチに派遣し、待機させる命令を出した。派遣するのはC2輸送機2機と約120人の隊員で、21日にも美保基地(鳥取県)を出発する方向で調整している。

産経新聞より

とりあえずはC2輸送機2機でジプチへ。

外務省によると、イスラエルに約1000人、イランに約280人の邦人が滞在する。このうち希望者について、政府は19日中にも陸路で近隣国に退避してもらう方針だ。ジブチには自衛隊の海賊対処の活動拠点があり、情勢の変化に応じて迅速な対応ができるように備える。

産経新聞より

でも、退避が必要な人員は千人以上に上るのだとか。なかなか大変だと思うけれども、頑張っていただきたい。

コメント

  1. 山童  より:

    イライラ戦争で親父がトルコの救援機に救われた者としては、今回の政府の動きはようやってる想うす。
    このままイランが体制崩壊してくれると、イラン市民も他国民も助かるが……果たして、そうは問屋が卸すかどうか?
    地上戦は両国の間にアラビア半島があるので考慮の外でしょう。なので制空権取ればイランの軍事力を根こそぎ……と考えているのがトランプの「無条件降伏」かと。そもそも当事国でなく調停する側が、宣戦布告もなく始まった紛争に無条件をつきつけるの異常な気がしますが、
    それは地上戦が無いとタカくくれるからでせう。
    んが、革命防衛隊が核を用いたらどうするか? 99%濃縮ウランでないと核爆発できないと言うのは10年前の常識。
    今はスマートウォッチの原子時計を組み込むだけで、インプロヴィゼーション方式起爆に必用な計算が出来る。
    つまり70%濃縮程度で核兵器になるわけです。そしてインプロヴィゼーション式ならガンバレル式のような大きさを必用とせず、イランが持ってるミサイルに搭載可能でせう。
    それに「汚い核」って手もある。高濃度の放射性物質を積んでばら撒く。
    いずれも滅ぶ覚悟ならできる。一億玉砕を叫びながら果たさなかった日本人には理解し難いけれど、彼らには「やる」可能性が残ってる。
    シーア派てのは「終末論者」なんです。
    本質的にドグマがそうなってる。
    8代目だかか何だかのカリフのアリーが
    お隠れになっており、最終戦争に現れて信者を救う……まぁお決まりの。
    私が宗教を気にしてるのは「そこ」なんですね。いい加減うんざりしてる民衆はアレと想うすが、上層部の坊主どもが終末カルト思想だと、どうなるか解らない。日本だって破滅寸前に出された天皇陛下の御英断に背き、宮城事件を起こした奴らいるでないすか。玉音放送原盤を奪おうとした連中いました。
    狂信者は常にいる。そこは見落とせない。

    • 七面鳥 より:

      横合いから失礼。

      今、NHKで「マルコポーロの冒険」の再放送を土曜の早朝にやってますが、イスラムはあの頃(劇中の時代)から何も変わってない、そんな気がしてなりません。
      むしろ、より非寛容に、狂信的になったのかも……

      • 山童  より:

        えっ!! 嘘でしょ??
        だって「マルコポーロの冒険」はNHKにも原盤が残ってないはず!
        たしかビデオ初期で、業務用ビデオテープが高額なため、他番組の録画に上書きされてしまったとか。
        なんてやねん??

        • 七面鳥 より:

          あちこちで発掘された原盤(イタリアだかどっかに吹き替え用の音無しがあったとか)とか、視聴者が残していたVTRやら録音したテープやらをかき集めて、合成して、リマスターして放送にこぎ着けた、らしいです。
          NHKの原盤は、水害で失ったんでしたっけ。
          八犬伝あたりは上書きしてたみたいですが……

      • 山童  より:

        マルコの時代(ルネサス)からイスラムが変わらないのは、敬虔な信者による反証が無かったからです。
        「チ」なる地動説を描いたマンガがアニメ化するようですが。
        コペルニクスは「科学者」でなく、
        自然哲学者(スコラ哲学)で、かつ敬虔な宗教者でした。彼が地動説を唱えたのは「信仰心」からです。
        神の創り給うた世界を照らすもの(太陽)は中心であらねばならない!という信仰心から天動説を否定する訳です。コレは「ケプラーの法則」のヨハネス・ケプラーもそうで、もともとキリスト教中心の世界観を証明する為に観測を続けてきたら、それを否定する結果が出てしまう。しかし、「これも神の創り給うた法則なのだ」と教会の方針に逆らい発表した。
        教会の方針(政治)と神の法則(自然)は一致するとは限らないという「ガチの信者」だからこその勇気が
        教会と戦わせる訳です。坊主でもの言うような世界には出来てない……この思いがデカルトの二元論を産み、
        心(人文)と科学(サイエンス)を分離する事が産まれ、それを孫世代のニュートンが天文物理へと応用。 
        さらに孫世代のカントがニュートンの検証から、人文とサイエンスを整理して、次の世紀(19世紀)に科学が振興するわけです。
        ここで解るのは「神への熱い信仰心」が研究の動機であり、その実験観測結果が教会のドグマに反した時に頑として主張したのも、神への信頼からでした!!
        つまり教会から見ると「信仰の白色テロ」なんですよ!
        共産主義のように外側に湧いたものではなく、南米の「解放の神学」のように、キリスト教信仰の内部から産み落とされた純結晶なんですね。
        初期の科学は!
        イスラム圏はオスマントルコがなかなか良いところまで行くのですが、
        何故かウイーン包囲に失敗したあたりから、こうした思想・神学・科学などの「知」の発展が止まりましたね。つまり分け目が出てくるのは
        17世紀以後の「自己の信仰を再確認する熱意」の差だと思います。

        • 山童  より:

          これは西洋と東洋の宗教思想・哲学の決定的な違いです。
          西洋哲学というものは、前任者の論に対して「反証」という形で発展し、反証に反証を重ねて
          城壁に石を重ねるがごとく展開してゆきます。
          イスラム圏を「東洋(アジア)」に比定するかは各種の論がありますが。おおむね我々が西欧と捉えるキリスト教文明の哲学とはそのように形成されてきている。ギリシャ由来の哲学はキリスト教会と緊張をはらみながら展開されてゆきます。
          東洋の場合、釈迦にせよ老子にせよ「悟って」しまうんですね。プロセスはともかく覚者となり悟った者からトップダウンで語られる。
          それを弟子たちが、ああでもない、こうでもないと解釈して、経典が増殖してゆく(笑)
          当たり前ですが、弟子や門徒は
          悟りに至ってないので、本質的に解らないんですよ(笑)
          キリスト教は根底にギリシャ哲学の反証主義を内包しているので、いやそれは違うのでないか? 的に(特に天文などの自然や宇宙などについて)反証を
          「観測」で固めるようになり、
          それが「科学サイエンス」へと発展していったし、それらは人文社会まで及び共産主義まで生んだ。科学も共産主義も、元はキリスト教と自然哲学の緊張関係から産まれてます。
          東洋的なる信仰は、トップダウン方式なので、経典の解釈の違いで分派する事はあっても、
          反証を重ねる形にならない!
          それが西洋で科学が発展した理由です。イスラムはもともと厳しい乾燥地帯で産まれているので、ドグマは「現状維持」的になりがちです。これはソロモンの別名であるスレイマンすら、
          どうしようもなかった。
          これが七面鳥様の感慨へのお答えとなりますかね。

          • 七面鳥 より:

            >経典の解釈の違いで分派する事はあっても

            ……あー……(日蓮宗とその分派でアホほど仲悪い創価とか、浄土真宗の東西の血で血を洗う抗争とかを見ながら)
            ※七面鳥は浄土真宗、東本願寺派に属します。属してるだけですが。
            ※でも生家の近所にあったのは西本願寺、築地にあるインド様式のアレです。

            かなり腑に落ちました。
            そして、科学的な考証をちょいちょい高圧的な教条主義の教会が弾圧する、と。
            当方の宗教は横に広がる感じですね。西方は縦深する感じ。

            してみると、「悟り」とは悟ること自体ではなく、悟りに至る努力をし続けること、とうっすら定義する日本の宗教観(これは武術の「道」も同じと理解してます)は異質なのか……

            ※「チ。」のアニメ、ものすごい内容でした。是非、どっかの配信でご覧頂きたく。

    • 木霊 木霊 より:

      終末論は否定しませんが、だからって核兵器利用されても困りますよね。
      現実社会に戻っておいで、と。

      彼らにとっては、「天国に行って祝福される」って常識なんですけれど、流石に巻き込まないでいただきたいかな。