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支那モバイルバッテリーの回収騒ぎの裏にあるモノ

中華人民共和国ニュース
この記事は約8分で読めます。

モバイルバッテリーの回収騒ぎが起こっていて、この話代わりと深刻らしい。

Ankerのモバイルバッテリー、回収数十万個に 急成長に品質の試練

2025年6月27日 16:36

中国系のモバイルバッテリー大手アンカー・ジャパン(東京・千代田)によるモバイルバッテリーの回収対象が数十万個に上ることが27日、分かった。手ごろな価格で日本で急成長してきたが、品質管理でつまずいた。築いてきたブランドを損なうおそれがあり、試練を迎えている。

日本経済新聞より

日本ではAnkerという支那系モバイルアイテムの大手がモバイルバッテリー回収をやっていて、僕自身も使っているメーカーだけに早速型番を確認したわけだが。

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経済が燻り始める

モバイルバッテリーから発火

しかし、Ankerは「そこそこ信用出来るメーカー」としての地位を確立していたはずなのに、この始末である。

で、コレだけであれば、別にこのブログで取り上げるつもりはなかったのだが(別に触れているしね)、この話はそんなに簡単な話ではないような感じなのだ。

それがこちら。

中国民航局、6月28日より「3C認証なしのモバイルバッテリー」の国内線持ち込みを全面禁止

2025/06/27 16:30

中国民用航空局(民航局)は6月26日、緊急通知を発表し、2025年6月28日から「3C認証を取得していない」「認証マークが不鮮明」「リコール対象製品である」モバイルバッテリー(充電宝)の国内線航空機への持ち込みを全面的に禁止すると発表した。

chinanews.jpより

この、モバイルバッテリーの航空機持ち込み禁止という措置は、過去に何処かで見たようなニュースである。

More airlines ban power banks being used in-flight

March 26 2025

Cathay Pacific will join Singapore Airlines and several other Asian carriers in banning ‘power bank’ battery packs being used or charged on board.

~~略~~

These battery packs were banned from checked luggage in 2016, following new rules set down by international aviation safety regulators, and can now travel only in carry-on cabin bags.

executivetravellerより

実は2016年頃に実際に発火騒ぎがあって、現在においても160Wh以下以上(43,243mAh)のモバイルバッテリーは持ち込み禁止である。

モバイルバッテリーの機内持ち込み、禁止する航空会社が増加 その理由は?
アジアの複数の航空会社が、リチウムバッテリーの機内持ち込みに関する規定を厳格化している。機内で相次ぐ過熱や発火事故を受けた措置だ。

航空会社によっては、もっとキビシイ規則を定めているところもある。

しかし、支那においてはそう言う話とは一線を画す話なのである。

モバイルバッテリーに関する過去の検査結果は芳しくない。2020年〜2023年にかけてのオンライン販売品の抜き取り検査で、不合格率はそれぞれ19.8%、25.0%、35.4%、44.4%と年々悪化。2024年初頭には、国家市場監督管理総局が88件のモバイルバッテリーを検査した結果、過充電保護などの安全項目で37.5%が不合格と判定された。

chinanews.jpより

なんと、国内基準(日本のソレより随分甘いらしい)で抜き取り検査をやったら、4割弱が不合格とかなりの打率である。

大量リコールが始まる

そして、複数の大手企業が製品の自主回収を始めたらしい。

こうした背景の中、複数の大手企業が相次いで製品の自主回収を発表。深圳市に本社を構えるロマス(羅馬仕)テクノロジーは6月16日、2023年6月5日から2024年7月31日に製造された三つのモデル、計49万台以上のモバイルバッテリーをリコール対象とした。理由は「一部製品が極端な使用環境下で発熱・発火の可能性があるため」としている。

ロマスは2012年設立、年間出荷台数は5000万件を超えるとされる。今回の規模は、2019年に同社が実施した3792台規模のリコールを大きく上回っている。

また、世界的な中国発電子ブランド「Anker(安克創新)」も2024年6月20日、基礎モデルのモバイルバッテリー約71万台を自主回収すると発表。これにより、両社合計のリコール対象は120万台を超える見込みだ。

ロマスは「一部電池セル原材料の供給元に起因し、非常に少数の製品に過熱現象が発生する可能性がある」と説明している。

さらに、中国の主要バッテリーサプライヤー「安普瑞斯」に関しては、同社が取得している70件以上の3C認証が「一時停止」または「失効」となっており、6月21日にはISO品質管理、環境、安全衛生の三大体系認証も一時停止となったことが判明した。

chinanews.jpより

Ankerの話も書かれているが、ロマス(ROMASS)の話もそれなりに衝撃である。AnkerよりもROMASSの方がやや大型のモバイルバッテリーを作っていて、ここのセルがどうやらEV等にも使われているらしいという噂が。

そして、このモバイルバッテリー回収に宅配業者を使おうとしたら、拒否されたというニュースがこちら。

宅配業者が受け取りを拒否したため、モバイルバッテリーのリコールは阻止された。ロマズはユーザーに自ら破棄するよう求めていた。

2025年6月22日

6月22日のFast Technologyによると、有名なモバイルバッテリーブランドのRomasが最近、約50万台のモバイルバッテリーのリコールを発表し、ネット上で白熱した議論を巻き起こしている。

リコールの理由は、一部のバッテリー原材料の供給源により、ごく少数の製品が使用中に過熱する可能性があり、極端な状況では発火の危険を引き起こし、安全上の問題を引き起こす可能性があるためです。

リコールが発表された後、消費者は配送上の困難に直面し、多くの宅配業者がパワーバンクの受け取りを拒否した。

vgover.comより

何が凄いって、ROMASSのカスタマーサービスが推奨するやり方である。

  1. モバイルバッテリーに十分な電力がある場合、まず電力を使い切ってください(少なくとも 25% 未満)。
  2. 常温のきれいな水を非金属製の容器に入れ、その水に大量の塩を加え、製品を容器に入れる様子をビデオで撮影します。
  3. 24時間浸します。モバイルバッテリーを完全に放電し、安全に不活性化します。
  4. モバイルバッテリーを鉄製の箱(クッキーを入れる一般的な鉄製の箱で結構です)に入れ、古いバッテリーの名前を書いた紙を乗せて、涼しい場所にある赤いリサイクルビン/リサイクルビンに入れてください。

なにかもう面倒くさい話が書かれていて、自分で処理してねというスタンスなのである。

こんな自分で排気する手段が推奨されるようなモバイルバッテリーを、誰が宅配したいか?という話なのだ。

EV電池で覇権を狙う

さて、こんな話をした後で紹介するニュースはこちら。

中国、EV電池に「燃えにくい」新基準 世界の主導権奪取狙う

2025年6月27日 13:00 (2025年6月27日 17:23更新)

中国の電気自動車(EV)関連企業が、同国政府が来年7月に見直すEV電池の安全基準への対応を急いでいる。電池の異常から一定時間は爆発や火災が起きないよう求めており、より厳格になるのが特徴だ。寧徳時代新能源科技(CATL)や比亜迪(BYD)など大手は対応を終えた一方、中小は淘汰される可能性がある。

日本経済新聞より

全く関係ないニュースを繋げて、偏向を狙っているのか?と言われればそれまでだし、やや陰謀論めいた推測になっている自覚はある。だが、この話には2つの可能性が示唆されると思っていて、無関係ではないと考えている。

1つは、そもそも支那のバッテリー製造規格はかなりいい加減で品質管理も甘く、信頼性を高めるためには有象無象を淘汰せざるを得なかった可能性。

もう1つは、大の虫を活かすのに小の虫を殺す戦略を選んだ可能性である。

信頼性という意味ではモバイルバッテリーの話と共通する部分が多く、このブログでも何度も紹介しているように、支那製EVの炎上のトラブルは支那国内でも外国でも絶えない。

それ故に各国で敬遠されつつある。

そして、製造過剰が支那経済を大きく毀損している実情があり、価格競争を背景に安く製造できるような「工夫」をそこかしこにするようになっているということ。これがメイドインチャイナを更に貶めている実情があるために、何とか対策を、ということなのかもしれない。

しかし、この話は不動産開発の時の失敗、つまり、習近平氏が「住宅は住むため」「投機対象ではない(房住不炒)」と、2020 年 8 月に「三つのレッド ライン」と呼ばれる負債伸び率上限の設定を業界に対して行った。そこから崩れ落ちるように不動産開発産業の悪化が始まったのは記憶に新しい。

勿論この話は、そもそも不動産開発を投機の対象としてオモチャにしていたことこそが問題で、規制そのものが悪かった(タイミングは最悪だったが)わけではない。

そこから、支那経済の悪化が表面化したわけだが、バッテリーの話もまさにそっくりな構図になりつつある。粗悪な支那製モバイルバッテリーなどあっちこっちに転がっていたのに、今更騒ぐ話か?というと、恐らくは狙いは別にあるのだろうというのが、僕の予想なのである。ハズレる可能性があるのはご了承頂きたい。

コメント

  1. arere より:

    〉〉現在においても160Wh以下(43,243mAh)のモバイルバッテリーは持ち込み禁止である。

    160Wh以下(43,243mAh)ではなく160Wh以上(43,243mAh)が正しいのではないでしょうか?