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韓国が第一列島線の「錨」になるのではないかとザワつく

大韓民国ニュース
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ちょっと不都合な話が出て、韓国メディアは少しザワザワしているようだ。

米軍将校「韓国は第1列島線の錨…在韓米軍は台湾紛争に関与」

2025.07.12 09:32

米国の専門家の間で「在韓米軍の役割を対北朝鮮抑止に限定せず、台湾紛争にまで拡張するべき」という主張が出ている。韓米間で貿易・通商パッケージディール交渉の可能性が高まり、トランプ米政権が在韓米軍の役割再編を交渉カードとして使用するという懸念が出ている状況からだ。

中央日報より

韓国の防衛政策の中にシーレーンという概念は無いようで、在韓米軍がシーレーン防衛の一貫として台湾防衛に出張するという話に対して、韓国人はかなり問題視しているらしい。

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韓国の防衛政策はどうなっているのか……

シーレーン防衛は必要

ええと、どうして日本がシーレーン防衛を言っているのか、理解されていないのだろうか?

おっと、その前にシーレーン防衛ってそもそも何?という話だけは整理しておこう。

シーレーン防衛とは、海上交通路(シーレーン)の安全を確保するための防衛活動を指し、日本のように資源輸入を海上輸送に大きく依存している国は、有事の際の海上輸送路を確保することは国民の生命財産を守る上で重要であり、国家の安全保障に関わる重要な概念である。

で、韓国にとってもその状況は日本とほぼ同じであるハズ。

これが大雑把な日本のシーレーンで、薄緑か水色の輸送路を確保することは極めて重要なのである。

米シンクタンク「アトランティックカウンシル」は10日(現地時間)、米海兵隊のブライアン・カーグ中佐の「韓国は第1列島線の理想的な錨になる」と題した報告書を公開した。

中央日報「米軍将校「韓国は第1列島線の錨…在韓米軍は台湾紛争に関与」」より

そして、どう見ても日本のシーレーンは韓国にも大きく関わっている。

韓国はロシアからのシベリア鉄道を接続する話とか、支那からの鉄道を接続する話なんかもあるので、完全に日本と同じだというわけではない。でも、「我が国は関係ない」というスタンスはヤバイと思うんだけどなぁ。

見て見ぬ振りしてきた韓国

だが、再三再四、アメリカから日米同盟と米韓同盟で三角形を維持していくことの重要性を説かれても、韓国はそこを理解してこなかった。

が、ここへ来てその風向きが少し変わり始めている。

カーグ中佐は報告書で「米軍を朝鮮半島に留めておく(韓米間の)協定、規定、文書はない」とし「韓米連合司令部の任務は北朝鮮の脅威に限定されず、韓国に対する外部攻撃を抑止して撃退することを含む」と主張した。

また「台湾の安保は朝鮮半島の安保とも無関係でない」とし「中国の台湾侵攻は米中戦争の触媒となるおそれがある。強大国間の戦争は水平的に拡大する傾向があり、中国の台湾侵攻が韓国に対する北朝鮮の攻撃につながる経路は多様だ」と指摘した。さらに「米国が中国の侵略から台湾を防御する場合、韓国も必然的に関与することになる」とも言及した。

中央日報「米軍将校「韓国は第1列島線の錨…在韓米軍は台湾紛争に関与」」より

この、アメリカの専門家の発言に動揺してしまっているというのだ。いやいま始まった話でもないんだけれども。そもそも、そんな基本的なところから行く?

むしろ、台湾防衛に手を出したくないというスタンスで、一体韓国の何が守れるというのか。

第一列島線の錨

記事を読んでいて出てくる「第一列島線の錨」という表現が、イマイチ意味が良く分からない。だが、多分、「重要な部分だ」ということが言いたいのだろうね。

カーグ中佐は韓国に対する安保資産投資の必要性を強調した。米国が中国に対応する過程で韓国が「第1列島線の錨の役割」をするとしながらだ。中国は海洋覇権拡張のために軍事戦略上の仮想ライン「列島線(Island Chain)」を設定しているが、「第1列島線」(沖縄-台湾-マラッカ海峡)は米国の立場では中国海軍力の膨張を阻止するべき境界線でもある。

中央日報「米軍将校「韓国は第1列島線の錨…在韓米軍は台湾紛争に関与」」より

割と有名な話ではあるが、今も支那は公式には「第一列島線」「第二列島線」という存在は認めていないし、最近出てきた「第三列島線」に関しても認めてはいない。

ただ、実際の文書には幾度か登場しており、対外的には言っていないけど、内部では公然の秘密的な扱いにはなっているようだ。

つまり、支那の戦略上「第一列島線」「第二列島線」「第三列島線」というのは存在するのである。上の図には第一列島線だけが描かれているね。

そうすると、当然に韓国側もそれなりに対処する必要があるんだけど……。

ただ、これにかかる費用は韓国が負担することを期待した。カーグ中佐は「韓国で反中感情が強まっていて(米国の安保資産に対する)追加投資は受け入れられるはず」とし「防衛費分担特別協定(SMA)に基づき韓国が追加兵力派遣のための費用の相当部分を負担することになり、今後も維持費用を引き続き負担するとみられる」と伝えた。

中央日報「米軍将校「韓国は第1列島線の錨…在韓米軍は台湾紛争に関与」」より

何故、韓国の防衛に必要なコストを韓国が負担したくないと考えているのか良く分からない。いや、他人事ではなくて、寧ろ韓国軍も台湾海峡に展開するくらいのことを考えるべきだと思うんだが。

また、米国が北朝鮮や中国との軍事衝突時に必要な核心軍需物資も韓国に保管できるとした。これを中国との衝突状況に活用しても韓国政府は反対できないはずとしながらだ。

中央日報「米軍将校「韓国は第1列島線の錨…在韓米軍は台湾紛争に関与」」より

何かこう、支那のほうを「ちらちら」と見ながら防衛政策をやっているようで、煮え切らないなぁ。

韓国にとってのシーレーン防衛

なお、韓国にとっては、客観的には以下のような点においてシーレーン防衛を行わなければならないと考えられる。

なぜ韓国にとってシーレーンが重要か

  • 貿易依存度が非常に高い
     韓国はGDPの約70〜80%を貿易が占める典型的な貿易立国
     → シーレーンが途絶すれば、国家経済は大打撃を受ける
  • エネルギー資源の大半を中東から輸入
     原油・LNGはほぼ100%輸入依存であり、その大半は中東産
     → ホルムズ海峡やマラッカ海峡を通るシーレーンは生命線

というわけで、実際に韓国軍としても全くシーレーン防衛を無視しているわけではないのだ。だが、現実的には結構偏りがある。

韓国海軍のシーレーン防衛戦略

  • 清海部隊の常時派遣(ソマリア沖・アデン湾)
     → 海賊対処+シーレーン確保
  • 多国籍連携
     → CTF-151(多国籍海賊対処部隊)に参加
     → 日米との連携も模索
  • 戦力整備
     → 大型駆逐艦(KDX-III)・空母級揚陸艦・潜水艦を整備
     → 青瓦台は「戦略的機動艦隊」を志向
  • 「中東派遣決定」(2020年)
     → ホルムズ海峡警備のため独自派遣

一応、中東には積極的に海軍を派遣しているし、やや消極的ではあるが海賊対処という点では動いている。ホルムズ海峡にも海軍を派遣した実績があるしね。

ところが、韓国な近海においては非常に、異常に?消極的で、台湾海峡問題はノータッチ、自由で開かれたインド太平洋(FOIP)も独自のスタンスで対処するといって、他国との共同作戦には参加していない。

FOIPの定義・立場の曖昧さ

  • 韓国は「韓国版FOIP」(2022年〜)として独自路線を提案
     → 「自由で開かれたインド太平洋」には賛同するが、対中包囲網には加わらない姿勢
  • インド太平洋戦略を 経済・人道・海洋安全保障中心 に捉えており
     → 対中抑止色の強い日米主導のFOIPとは温度差がある

まあなんというか、「そういう傾向がある」という話なんで、本音はどうかは分からない部分もある。でも、報道に乗ってくる方針の端々に支那に対する配慮が色々見え隠れするわけで、その辺りは最大貿易相手国という位置づけもあって、仕方がないのかも知れない。

でも、支那はそういう関係にあっても簡単に締め付けをしてくる国なんだけどね。

そんなわけで、割と韓国としては他人事のシーレーン防衛だが、アメリカから常々「もっと真面目に考えろよ」という突っ込みが。今回の報道もそういう流れで釘を刺されたら、韓国メディアがざわついたという話なんだよね。

コメント

  1. kazmag より:

    イ・ジェミョンがこの辺り理解して動くとも思えない……というか、そこらへんうっちゃって人恒例の気取りや敵叩きに専念する姿しか想像できない。
    その結果、アメさんからお灸を据えられていいように使われるなら、日本にとっては、まあ良しだろうか…

    • 木霊 木霊 より:

      ミョンミョン(李在明)は機会主義者みたいなので、案外巧いこと乗り切る可能性もほんの僅かながらあると思います。
      深く考えない人のようなので。