相変わらずだな。
防衛省「宇宙空間の防衛力強化方針」に中国政府「断固反対」と強く反発 宇宙空間をめぐる競争激化
7/29(火) 18:52配信
防衛省が中国やロシアを念頭に宇宙空間での防衛力を強化する方針を打ち出したことについて、中国外務省の報道官は「断固反対する」と強く反発しました。
Yahoo!ニュースより
防衛省の方針に噛みついた中国(以下、支那)の反応が、いつも通りで面白い。 自分たちがやってきたことを棚に上げ、よくここまで言えるものだ。
いや、本当は笑いごとではないんだけどね。
自分のやっていることは棚上げ
宇宙領域防衛指針の概要
この記事に出てくるのは、先日防衛省が発表した宇宙領域防衛指針の内容についてだ。
原文はまあまあ長いので、要約を載せておく。
宇宙領域防衛指針(2025年7月28日策定)概要
策定の背景・趣旨
- 宇宙空間は通信、観測、測位など国民生活の基盤であり、日本の安全保障にも不可欠な領域である
- 国際的に中国やロシアが軍事利用可能な衛星ネットワークやASAT(対衛星)技術の開発を進めつつあり、宇宙は戦場化の兆候を見せている。
強化すべき能力と方向性
- 迅速かつ的確な戦況把握
- 移動目標および滑空段階の極超音速兵器(HGV)のリアルタイム探知・追尾
- AIやデジタルツイン技術を用いた戦況の可視化
- 衛星通信の確保
- 次期防衛通信衛星の整備
- AIによる衛星オンボード処理と戦術通信
- 商用通信衛星(コンステレーション)の活用や、同盟国との相互運用性確保
- 機能保証(Mission Assurance)
- SDA(宇宙状況監視)能力の強化
- 衛星防護やシステム抗たん性の強化、障害時の迅速な代替対応体制の構築
- 相手側の指揮統制・情報通信の妨害能力
- 他国の衛星運用能力や情報通信への干渉を阻止する能力の確立を明記
総合的な施策体制
宇宙領域防衛指針より
- 民生技術と防衛力の連携による好循環の構築
- 宇宙関連技術・運用のための人的基盤、体制整備の強化
- 同盟国・同志国との宇宙領域における連携強化
詳細はPDF原文を参照してもらうとして、問題はこの中に「中国やロシアが軍事利用可能な衛星ネットワークやASAT技術の開発を進めている」と明記されており、それを監視・抑止する文脈が含まれていたことだ。
それが支那には気に入らなかったらしい。
いちいち細かいな。
宇宙空間でも軍事演習
しかし自分たちはどうかと言えば、衛星を使った宇宙空間での「軍事演習」を堂々と実施している。
中国、宇宙での衛星接近戦を演習 米軍に宇宙技術迫る「5つの物体で制御された動き」
2025/7/29 19:52
中国軍が宇宙空間で衛星同士の接近戦の演習を実施したことが29日までに分かった。米軍高官が明らかにし、中国の宇宙技術が米国に迫っていると警告した。日本防衛省は28日、中国やロシアの脅威に備えるため「宇宙領域防衛指針」を初めて策定したと発表。日本も宇宙空間の防衛能力強化を急ぐ。
米航空宇宙局(NASA)の職員減少が米国の宇宙開発に悪影響を与えると予想される中、中国は米国に対抗して月面や火星の探査計画を進めるとともに人工衛星の配備を加速。中国による宇宙の軍事利用に懸念が強まっている。
産経新聞より
当然ながら、日本もアメリカもそのことについて警戒はしているわけで、先日行われた宇宙空間での衛星同士の近接戦の演習にも警戒感を示している。
「5つの物体が制御された動きで出入りしたり、互いの周囲を回ったりするのを確認した」と明らかにした。
産経新聞「中国、宇宙での衛星接近戦を演習」より
技術的には人工衛星にエンジンを搭載しておけば、お互いの周囲を回ったり、近接したりということは可能だと思う。しかし、そもそも人工衛星は地上監視を目的としたり、地上との通信をサポートするのが主要な目的であり、近接戦をする必要がない。
コレが意味するところは何かと言えば、自国を監視する「目」を人工衛星を使って破壊することであり、それが実行可能である事を示したということになる。

これは、単なる技術デモではない。
それは、「実行できる」ことを暗黙のうちに誇示しているということに他ならない。
軍事化と破壊能力の実績
こうした宇宙の軍事利用は、いまに始まったことではない。
中国のスペースデブリが米国資産に及ぼす潜在的リスク
12月 17, 2022
米国は、地球低軌道に急速に蓄積するデブリが宇宙空間の米国資産を脅かす可能性があるとして、中国人民解放軍の活動を監視していると、米国軍の宇宙作戦責任者が2022年12月初旬に述べた。
~~略~~
中国の宇宙開発は、2007年に予告なしに行われたミサイルによる中国の衛星破壊実験によって国際的な批判を浴び、現在も危険なスペースデブリを発生させている。
中国政府は「宇宙は、自国の経済や世界経済環境だけでなく、軍事環境にとっても非常に重要な要素であると考えているため、能力を高め続ける中で、我々はそれを非常に注意深く観察し続けている」とディキンソン大将は述べた。
FORUMより
2007年にはすでにミサイルによる人工衛星破壊を成功させ、今度は衛星を衛星で破壊する能力を実証したわけだ。
いまや人工衛星は、経済・軍事インフラの根幹を支える存在だ。それを破壊する行為は、ネット・通信・測位などを一瞬で麻痺させる「インフラ攻撃」に他ならない。
そして残念なことに、こうした行為を国際法で規制する手段はいまだに整っていない。だからこそ、日本としては「自衛」の手段を持つしかないというのが防衛指針の主旨だ。
にもかかわらず、支那はこれを「脅威を煽る」「軍拡の口実」と言って批判する――冒頭のニュースは、まさにその構図である。
現実を見据え着々と準備を
というわけで、冒頭の話を「支那の茶番」と片付けたり、「支那が攻めてくるぞ!」と過剰に騒ぎ立てるなど、やっている場合ではない。
重要なのは、相手がすでに宇宙空間の軍事利用を進めているという現実を冷静に見据え、それに備えることだ。
宇宙はもはや「平和利用の理想郷」ではない。
いまや「現代の戦略的高地」となりつつあり、日本がその防衛体制を整えるのは当然の帰結である。
支那の報道官が日本の一挙手一投足に騒ぐのはお家芸なので、それにいちいち反応するのはバカバカしい話である。
コメント
こんにちは。
「てやんでいべらぼーめ、おとといきやがれ!」
くらい、誰か言ってくれませんかね。
※高市さんならワンチャン?
こんにちは。
日本の政治家でそれに類することが言えるのは、麻生さんくらいしか。