おおお、別の記事を書いていたのだけれど、これは触れておかねば。
オーストラリア、最新鋭護衛艦「もがみ型」11隻導入へ
2025年8月5日 9:44
オーストラリアのリチャード・マールズ国防相は5日、次期フリゲート艦新造計画で、三菱重工が建造した最新鋭護衛艦「もがみ型」11隻を導入し、海軍力を強化すると発表した。
AFPより
有利だとは前から言われていたけど、これは日本の防衛政策にとってもかなり大きな意味がある。この際だから、日本からはもっと大きな提案をしていっても良いのでは?
日本からはもっと大きな提案を!
採用理由は?
去年末の記事がこちら。
オーストラリア海軍は、アンザック級フリゲートの後継艦導入を急いでいて、今年に入ってからは「最終候補は日本とドイツ」という報道が出ていた。
ドイツが提案していたのはMEKO A-200型。これは「受注後に詳細設計する」という方式で、しかもそのベースとなったMEKO 200型は、アンザック級の原型でもある。
そういう意味では「継続性がある」という評価もされていたが、実はアンザック級に対してオーストラリア海軍は不満も抱えていた。

そういう意味で、「有利」だと言われている反面、オーストラリア海軍にとってアンザック級に対する不満も結構あって、対空戦闘能力の不足だとか、戦隊構造的に被害制御能力が足りないとか、そんな部分で改善して欲しいという話はあった。
一方、もがみ型護衛艦は、「価格以外は合格」という評価だったとか。
もがみ改良型導入へ
そんなわけで選ばれたもがみ型護衛艦の導入ではあるが、最初の3隻は日本で建造して、残りをオーストラリアで建造という形を取るようだ。

豪新造艦、もがみ改良型導入へ 日本に伝達、少人数運用を評価
2025年08月05日09時57分
オーストラリア海軍の次期フリゲート艦新造計画で、豪政府は海上自衛隊護衛艦「もがみ型」改良型を導入する方針を決め、日本政府に伝えた。マールズ国防相が5日、記者会見で発表した。もがみ改良型とドイツの艦艇が最終候補に残っていた。従来の護衛艦よりも少数の乗組員で運用できる点などが評価された。
時事通信より
特に、ステルス性、機動性、モジュール構造、そして何より少人数での運用が可能な自動化システムが高く評価された。
豪政府は約100億豪ドル(約9500億円)をかけて新フリゲート艦を計11隻導入し、最初の3隻は日本で建造する。日本政府と、もがみ型を製造する三菱重工業は官民一体で売り込んでいた。2029年の納入に向け、日豪は価格交渉を進め、26年の契約成立を目指す。
時事通信より
2029年までに間に合うのかが焦点になるのだが、おそらく令和5年度計画艦(FFM-12で採用)で既に現行型の改良版のコンセプトは出来上がっているので、オーストラリアに納入する最初の3隻はこのコンセプトを参考に計画が作られるのだろう。
オーストラリアは2023年に大規模な軍備再編を発表。中国の海軍力への対応を強化するため、長距離攻撃能力の強化に注力している。
もがみ型は、強力な兵器を多数搭載した最新鋭のステルスフリゲート艦だ。
マールズ国防相は、老朽化が進むアンザック級フリゲート艦をもがみ型に置き換えるとして、2030年までにもがみ型の1番艦を就役させると述べた。
AFP「オーストラリア、最新鋭護衛艦「もがみ型」11隻導入へ」より
まあ、妥当な判断なんだろう。
なぜ今、豪海軍は急ぐのか?
背景には、オーストラリア政府が2023年に発表した大規模な軍備再編計画がある。中国海軍の増強に対抗するため、長距離攻撃能力の強化や新型水上艦の整備が急務となっている。
もがみ型は、強力な兵器を多数搭載し、高度なステルス性と自動化システムを兼ね備えた最新鋭フリゲート。今後のインド太平洋におけるプレゼンス確保の切り札になり得る。
だから、日本側の提案としては、こちらの記事で書いたように、「じゃあ潜水艦もどう?」というのはどうだろうか。
オーストラリアと原子力潜水艦の共同開発をしても良いんだぜ(ちょっと無理か)。
現実的には、AUKUSで原子力潜水艦の建造が進められるとして、三菱重工や川崎重工がその計画のサポートをする話になるとは思うのだ。或いは、AUKUSへの繋ぎとして、通常動力潜水艦を買ってくれても良いぜ!
ああ、そういえば日本は武器輸出三原則も見直さなければね。この際、同盟国、準同盟国であれば輸出可能にしたらどうかな。
追記
妄想的な話はさておき、日本側はオーストラリア向けの護衛艦製造を優先して作ることにしているようだ。
Australia picks Japan to build $10b frigates after fierce contest
2025/7/31
Japanese shipbuilder Mitsubishi Heavy Industries has won a fierce contest to build the Australian navy’s new fleet of warships, beating a bid from German rival ThyssenKrupp Marine Systems.
~~略~~
Japan has also said that Australia could receive the first of the upgraded warships ahead of its own navy — which the ABC has been told helped to tip the contest in its favour.
~~対訳~~
オーストラリアが日本を選定、$100億ドルのフリゲート艦建造を決定 激しい競争の末
日本の造船会社三菱重工業は、ドイツの競合他社ティッセンクルップ・マリン・システムズの提案を破り、オーストラリア海軍の新造艦隊の建造契約を獲得しました。
~~略~~
日本側はまた、オーストラリアが自国海軍よりも先に改良型艦艇の最初の1隻を受け取れる可能性があると表明しており、ABCが報じたところによると、これが契約獲得の決め手となったとされています。
ABCニュースより
令和5年度計画艦の納入計画がやや遅れる可能性は高そうだが、それでもオーストラリア向けの護衛艦建造を急ぐ意味はあるのだろう。
仕様が固まっていれば、建造自体はさほど時間を要しないだろうから、2029年納入というのはない話ではないと思う。
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