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人型ロボット導入で半額CAR実現を目論む韓国

大韓民国ニュース
この記事は約6分で読めます。

うわぁ。

韓国自動車産業に革命?…ヒューマノイド導入で「半額カー」実現か

2025年8月19日 8:00 

韓国の労使間で毎年、賃金交渉によってあつれきが続いている中、自動車産業にヒューマノイドロボットを投入すれば、人件費が10分の1の水準にまで抑えられるという分析が出て注目を集めている。

AFPより

また凄いこと言い始めたな。

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もしかしたら韓国産業界の救世主に?!

テスラ社の後追い構想

そういえば、アメリカでもそんな事を考えている人が居たっけ。

テスラが人型ロボット「オプティマス」お披露目…マスク氏「あなたの友達になることもできる」

2024/10/11 14:10

米電気自動車(EV)大手テスラは10日、米カリフォルニア州で開催したイベントで、開発中の人型ロボット「オプティマス」を披露した。2026年に販売を開始し、価格は3万ドル(約450万円)以下に抑えるという。

讀賣新聞より

一般にも売り出す予定のテスラ社の人型ロボット「オプティマス」なのだが、工場で使うことを予定しているのだとか。

テスラCEOイーロン・マスク氏、人型ロボットを2026年にも販売…工場などでの利用想定

2024/07/23 12:53

米電気自動車(EV)大手テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は22日、2026年にも人型ロボットの販売を始める方針を明らかにした。人型ロボットは「オプティマス」と呼ばれ、工場などの生産現場での利用が想定されている。米メディアによると、価格は2万ドル(約310万円)以下になる可能性がある。

讀賣新聞より

なるほど、アメリカではすでに工場導入を見据えた計画が進んでいる。映画のような話だが、ロボットの完成度はかなり高いようだ。

取らぬ狸の皮算用

韓国で議論されているのは「このロボットを導入すれば車が安く作れる」という構想だ。

それに伴い、ヒューマノイドロボットが本格的に導入されれば、人件費の構造が急激に変わる可能性があるという。

チャン・ジョンフン氏はテスラの「オプティマス」の事例を挙げ、「10万ドルのロボット1台を5年間、24時間稼働させた場合の時給換算は約14ドルに過ぎない。将来的に生産量が増えてロボットの価格が3万ドルまで下がれば、時給は5ドル水準まで下がる」と語った。

これは中国の電気自動車工場における平均人件費(21〜22ドル)の4分の1、現代自動車の韓国工場の10分の1だ。

AFP「韓国自動車産業に革命?」より

過去の事例から考えても、工場に産業用ロボットが多数導入された時代があったが、「雇用が激減」には至らなかった。ましてやヒューマノイドの導入となれば、保守・調整など人間のサポートは依然必要だ。

この「オプティマス」に類するヒューマノイドロボットは、近年ではAIを搭載した自立判断ができる。だが、人間による細かなサポートはまだまだ必須。思い出して欲しいのは、お掃除ロボットで、コレが便利なようでいて結構不便。

「24時間稼働で時給換算14ドル」――いやいや、メンテナンスや故障リスクは計算に入ってるの?思わずツッコミたくなる。

ただ「休んでいる」人たちへの影響

問題は人件費だけではない。心配すべきは別の部分だ。

韓国で増える「休んでいる」若者【コラム】

登録:2025-06-12 07:51 修正:2025-06-12 10:01

最近の韓国の青年労働市場に見られる特徴の一つは「休んでいる」人の増加だ。統計庁が11日に発表した「5月の雇用動向」によると、20代(20~29歳)の休んでいる人の数は昨年5月には36万6千人だったが、今年5月には37万8千人となり、1万2千人(3.3%)増加している。韓国雇用情報院によると、今年第1四半期現在で20代の休んでいる人の数は約42万人で、2010年以降で最大規模だ。20代人口に占める割合も7.3%で、10年前の2015年第1四半期(4.7%)から2.6ポイント上昇している。この割合が7%を超えたのは今年第1四半期が初めてだ。

ハンギョレより

韓国の若年失業率は2025年1月の段階で、5.9%。特別悪いという感じはしない。

韓国政府が2024年の雇用動向を発表(韓国) | ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース

ただここに「働いていない人」を加えると、13%弱とかなり酷い数字となる。

工場の労働者はヒューマノイドロボットに任せることになると、単純に労働が奪われる人々が出てくる。だけど、「休んでいる」若者は労働のミスマッチで休んでいるのであって、何でも良いなら既に叩いているわけで。

韓国はアメリカ同様、ホワイト思考なのでブルーカラー労働者になりたい人は割と少ない。工場労働のうち軽作業だけであれば、ヒューマノイドロボットに任せたほうが良いだろうという発想は、そうした背景が大きく関わるのだろうと思う。もちろん、日本も似た傾向にある。

つまり、失業率の話をわざわざ出したが、おそらくは失業率にはあまり影響しない。が、仕事が増えたりもしないんだろうね。

有効求人倍率が!

というか、失業率よりも深刻な話が。

スペック社会を生きる韓国の若年層

2024年12月25日

韓国の若年層の多くは、大企業や公的機関への就職を目指し、長期間に及ぶ就職活動(以降、就活)に臨む。語学力の向上や資格取得など、いわゆる「スペック」を上げることで自身の競争力を高めようとしているが、一様なスペック追求が、かえって就活市場での差別化を困難にしている。国内で過酷な競争環境に身を置く韓国の若年層にとって、海外就職は1つの道となる。

~~略~~

韓国の雇用状況は、日本よりも厳しい。求職者1人あたりの求人件数を指す有効求人倍率を見ると、日本は1を上回る「売り手市場」で、企業の求人が多い状態が続いている。他方、韓国は0.6倍前後と求職者に対して求人件数が少ない状態が続き、2023年(0.58倍)には日本(1.31倍)の半分以下の水準となっている(図参照)。

JETROより

有効求人倍率が低いのである。

要は、韓国国内で仕事がないんだよね。なんとなく、韓国の失業率と有効求人倍率の数字、辻褄が合わない気がするんだけど、これは過去に書いた記事と関連しているようだ。

韓国の地方では産業が死んでいるので若者は首都に集まってくるが、仕事がなく、雇用のミスマッチが起きる。実際の失業率は高くても「休む」ことにより数字は低く見えているけれど、そう云うカラクリにより実態を反映した数字とは言い難い。

また、有効求人倍率が低くなるのは、企業の元気がなく、労働者がハイスペックの求人に集中する傾向があるから、と、まあそんな感じの話になっているんだということだ。

そんな産業構造で本当に大丈夫?ヒューマノイドロボットはもしかしたらこのミスマッチの穴を埋める救世主になる可能性はあるけれど、それで良いのかはまた別の話だろう。産業構造を改革しないと内需を拡大することは出来ないし、産業は痩せ細っていく一方だ。安い車を作って売上が上がっても、企業の成長は覚束ないんじゃないかな。

黄色い封筒法

と思っていたら、アノニュースが。

黄色い封筒法(労働組合法2·3条改正案)が与党主導で国会本会議を通過した。

24日午前、国会は本会議で表決に付し、在席議員186人のうち賛成183人、反対3人で黄色い封筒法を議決した。

毎日経済ニュースより

ああ、これか。

この話は過去にも触れているのだが、割とヤバい法律である。

この法案が通って施行されると、韓国企業に対して下請け企業が労働争議を仕掛けてくる事態になる。

なるほど、工場労働者がヒューマノイドロボットに置き換えられれば、労働争議の心配だけはなくなる。これは、確かに解決策になりそうだ。

コメント

  1. BOOK より:

    こちら理系(民間ならメーカー)の方多いし、木霊さんがトピ挙げられたのは別意図ありそうと勝手に感じていますが それは一旦置いて身も蓋もない一般論(^^;

    どこのド・シロート・ジャーナリストかライターが言ってるのかと思いきや「サムスン証券のチャン・ジョンフン研究員」の電池技術シンポジウムでの公演(ワザト誤字放置、笑) ですか

    いやこれ良くて「シロートひっかけ話題作りによる売名」悪くすると「風評流布による株価操作」の類では?

    だって要するにこれ「自動化設備投資vs人件費削減」の損益分岐の計算でしょ?

     こんな計算は当然メーカー内部は日常的にやってるし、投資側≒銀行・証券 も頻繁にやるものですよね?
     「今更オマエの雑な計算に興味はない」
    がナカノヒト達の感想でしょう。「注目を集めている。」のはド・シロート・ジャーナリストだけでは?

    • BOOK より:

      あ、結論言い忘れ「日常的にやってる」≒「変化は漸近的」てコト。
      大きな流れ方向性はジョンフン氏の言う通りだろうけど、それはある日突然の革新変化ではなく「工場のロボット化率は少しずつ高くなっていく」と言う誰でも知ってるハナシ。

       尚この「変化が漸近的」であることはロボットがヒューマノイド化しても、投資が人間判断である限り変わりようが無い。ことは証券家のジョンフン氏が一番良く知ってるハズ