やっていることの方向性は悪くないと思うけれど、茨の道だよ。
石破首相 インド モディ首相と工場視察“経済安全保障で連携”
2025年8月31日 5時37分
石破総理大臣は30日、インドのモディ首相と宮城県の半導体関連の工場を視察し、経済安全保障分野の連携を進めていく考えを示しました。ことし後半にインドを訪問するよう招待されたことも踏まえ、首脳外交を通じて関係強化を図りたい考えです。
NHKニュースより
日本にインド首相のモディ氏を招いて、半導体関連工場の視察を一緒にしたというニュースが報じられたが、保守派からは割と評判が悪いらしい。
クワッドの下準備としての外交
外交に及び腰の石破氏がリスクを敢えて取った理由
普段は慎重すぎることで知られる石破茂首相が、あえてリスクを伴うインド首脳の訪日を受け入れた。
表向きは「経済安全保障の強化」や「日印連携」と説明されているが、皮肉な見方をすれば、自身の政治的存在感や保身を意識した行動とも受け取れる。もはや自民党内部では、総裁の座を辞して貰おうという流れが出来てしまっている。これに抗したいという思惑は石破氏には強いのだろう。
普段は外交に及び腰で、机上の安全策を好む人物が、ここぞとばかりに外向きの成果を演出する──政治家としての計算であれば「見事」と言っていいかもしれないが、これは外務省の振り付けだろうし、外交としてのリスクは極めて高い。
皮肉なことに、この「見せ場作り」は、失敗すれば即座に国際的信用を損ねかねない賭けでもある。
米印摩擦の中での接近──タイミングは最悪?
現状、米国とインドの関係は微妙に冷え込んでいる。原因はインドのロシア産原油購入に対する米国の強硬姿勢だ。
インドは「指図を受ける謂れはない」と強く反発しており、米国の圧力は一時的に摩擦を生んでいる。
このタイミングで日本がインドに距離を詰めることは、米国への当て擦りと見られる可能性が非常に高い。
確かに長期的な視点では、日印関係の強化は日本にとってプラスであり、米国が避けられないインドとの橋渡し役を日本が担う余地もある。しかし、それには高度な外交スキルと慎重なタイミング管理が必要である。
石破氏にその力量があるかどうかは、少なくとも現時点では疑問符がつく。
インドの独自路線──NATO型の同盟は馴染まない
インドは独立以来、戦略的自律性を外交の柱としてきた。
NATO型の集団防衛同盟に縛られることを嫌い、米国からの圧力にも「指図を受ける謂れはない」と反発する。
クワッドのような緩やかな協力は歓迎するが、「敵国を一方的に規定する硬直した同盟」には乗らない。
石破構想の「アジア版NATO」が現実的でないのは、この国是に正面からぶつかるからだ。そして、石破氏は自身のオリジナルだと信じている「アジア版NATO」の夢が捨てきれていないので、クワッドの下地作りという話に齟齬が出ない対応ができるのかはかなり怪しい。
石破外交のリスクと限界
今回の訪日は、上手く行けば政治的・外交的アピールになるかもしれない。
しかし、条件が揃わなければ失敗は目に見えている。
- 米国から「踏み絵」を迫られるリスク
- インドが独自路線を貫き、日本の思惑通りには動かないリスク
- 石破氏自身の外交手腕が不十分で、外務省の振り付けだけでは対応できないリスク
石破氏にとって最大の問題は、「政治的保身」と「現実的外交」の板挟みにある。
普段は安全策を好む彼が敢えてリスクを取ったのは、政治的な演出を意識しての行動かもしれないが、その分、失敗した場合の落差も大きい。
結論:タイミングとモディ氏に好印象を与えられたかが鍵
インドとの経済連携そのものは、むしろ強化すべき分野が多い。サプライチェーン強靱化、IT・製造・クリーンエネルギーなど、現実的メリットも少なくない。
しかし、タイミングと人物の力量が噛み合わなければ、今回の訪日演出は単なる「見せ場作り」に終わる。
石破氏が上手く立ち回り、米国への配慮とインドの自律性尊重を両立できれば、日印関係の強化と日米印三角協力の橋渡しという「政治的・戦略的成果」を演出できる。そういう意味で、新幹線に乗ってみたり、サプライチェーンの話をしてみたりというのは、悪手ではないだろう。
だが現状では、石破氏の外交スキル不足が否めず、皮肉にも「リスクだけを背負う外交」を行っている印象を与えてしまっている。保守派から否定的な指摘を受けるのも、「それは保身だろう」ととられているからなんだろうね。
モディ氏は老獪な政治家である。石破氏の底の浅さを見破られているとすれば、今回のコレが成功だったかはかなり怪しいんだよね。
追記
記事の内容について、石破氏への不安を吐露してはいるが方向性が違うとは思っていない。ただ、茨の道だよ、というだけで。
それはさておき、騒いでいる人がいたので、こちらも紹介しておこう。
JR東日本、インド高速鉄道の運転士を新幹線で研修
2025年7月29日 16:50
JR東日本は29日、インド政府が同国西部で進める高速鉄道計画に関し、運転士の育成に協力すると発表した。日本政府からの要請によるもの。7月末までに学科講習を実施し、8月からは新幹線を運転するための技能のカリキュラムに移る。
日本経済新聞より
さて、まずは7月末の記事を紹介して、次にこちら。
石破首相 インドのモディ首相と新幹線に乗車 導入へアピール
2025年8月30日 19時30分
インドで建設中の高速鉄道への日本の新幹線の導入に向けて、石破総理大臣はインドのモディ首相とともに東北新幹線に乗車し、安全性や時間の正確性などをアピールしました。また、そろって宮城県の半導体製造装置メーカーを視察し、両国で協力しながら半導体をはじめとしたサプライチェーンの強じん化を含む経済安全保障の強化を推進していく考えを示しました。
NHKニュースより
モディ氏をもてなす一環として新幹線の話があったことを紹介したのだが、どうやらこれに引っかかっている方がいるようだ。
インド新幹線は、日本がインドとの関係を深めるために推進した高速鉄道輸出の1つで、かなり危ういシーンもあったし工期の遅れもあるのだが、それでもまあまあ順調と言えるだろう。
で、インド人運転士の研修のところに挨拶に行ったら、「移民政策だ!」と騒いだ人が居たとか、居なかったとか。
うんうん、このブログでも移民政策っぽい流れがあることは紹介したけどさ、インド新幹線の話は全然関係ないから。
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