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欧州で増加する山火事とその原因

欧米
この記事は約7分で読めます。

暑い最中に山火事とは、ヨーロッパは乾燥しているから燃えやすいようだね。

欧州止まらぬ山火事 猛暑と農村の「過疎化」で被害拡大 焼失面積は東京の4倍超

2025/8/31 18:00

南欧のスペインやポルトガルで、山火事の被害が止まらない。欧州連合(EU)では今年、山火事による焼失面積は8月末までに計100万ヘクタールにのぼり、東京都の4倍以上の規模に達した。記録的猛暑と乾燥が引き金になったが、高齢化による農村の過疎化がより深刻な原因だという指摘も強い。

産経新聞より

ただ、この報道にはやや違和感もあるんだよね。

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人為的要因割合が大半

本当に「熱波や猛暑」のせいなのか

冒頭に引用した産経新聞の記事では、山火事について2つの要因を列挙している。

  • 記録的猛暑と乾燥
  • 高齢化による農村の過疎化

どういうことなのかは、会員制の記事なので読めない。だから別の記事を参考に考えていこうと思う。先ずはBBCからだ。

ヨーロッパ南部各地で山火事、少なくとも3人死亡 気温も40度超に

2025年8月13日

ヨーロッパ南部の各地で猛暑による熱波を受け、数十件の山火事が発生している。これにより、少なくとも3人が死亡、数千人が自宅からの避難を余儀なくされている。

イタリア、フランス、スペイン、ポルトガル、バルカン半島の一部では、気温が摂氏40度を超える見込みで、健康への重大なリスクを警告する「赤色」の高温警報が発令されている。

BBCより

こちらは8月始めの頃のニュースだ。原因には全く触れられていないが、「猛暑による熱波」を理由に挙げている。

オード県の火災:「火災は道路脇で発生したようだ」と国家憲兵隊の広報担当者が報告。

2025年8月6日午後1時54分

「火災はリボーテの道路脇から発生したようです」と、国家憲兵隊の広報担当者エルワン・コワファール氏は8月6日水曜日、フランスインフォで報告した。オード県では火曜日から大規模な火災が発生している。コワファール氏によると、「人為的な発生源は確認されていないが、この点については疑問の余地はほとんどない」という。24時間足らずで、炎はすでに1万6000ヘクタールを焼き尽くし、時速5~6キロメートルの速さで燃え広がっている。

franceinfoより

キプロスの致命的な山火事は「不注意に捨てられたタバコ」が原因と報告書で判明

2025年8月29日午前1時52分更新

ニコシア、キプロス(AP通信) — キプロスで近年最も壊滅的な山火事の一つは、山道脇に捨てられたタバコが原因だったと米国の専門家らが木曜日に発表した。

米国アルコール・タバコ・火器及び爆発物取締局(ATF)の報告書は、火災の「偶発的な」原因は「不注意に捨てられたタバコが乾燥した植物に接触したこと」であると結論付けた。

AFPより

ところが、今年ヨーロッパ方面で発生した火事の事例を幾つか当たってみたが、大半は人為的なミスや放火に起因すつ火災発生で、燃え広がった理由が熱波(風)による高温・乾燥・強風だということのようだ。

そもそも、これまでの傾向から言っても、ヨーロッパ全体の統計では山火事の原因の7~9割が人為的要因であり、火事が拡大した理由が環境なのだとか。

山火事が広がりやすい環境

ただし、山火事が広がりやすいのには、特定の要因が重なる必要がある。

  • 冬季(11月~3月): 偏西風が強く、低気圧が頻繁に通過するため、降雨が多く、山火事のリスクは低い。
  • 夏季(6月~8月): 偏西風が弱まり、高気圧が張り出すことで晴天・乾燥が続きやすい。特に、偏西風が弱いと、乾燥した地域で火災が発生しやすくなる。

偏西風が弱くても、大気の乾燥を招くので火災になりやすく、偏西風が強いと、風によって火災が拡大しやすいということになる。

だから、今年は高温・乾燥・強風が重なったので、山火事が増えたってことだね。

ではこれが地球温暖化のせいなのか?というと、ややメカニズムが難しいのだが、「関係はしそうだ」ということみたいだね。

欧州各地で熱波 スペイン・フランスなどで最高気温40度超える

2025年7月2日 5時35分

ヨーロッパ各国はここ数日、熱波に見舞われていて、スペインやフランスなどでは1日も最高気温が40度を超えました。スペインでは高温の車内に取り残された2歳の子どもが死亡するなど影響が広がっています。

NHKニュースより

過酷な熱波のヨーロッパ なぜ急に暑くなっているのか

7/2(水) 12:22

夏でも比較的過ごしやすいイメージだったヨーロッパですが、異常な暑さが続いています。

Yahoo!ニュースより

要約するとこんな感じだ。

  • 高気圧が張り出してきて居座る、「ヒートドーム」ができていて、暑くなる。
  • 海水温も、平年より3度以上上昇
  • ジェット気流が蛇行している。
  • 北極の氷が溶け出して、反射率が落ち、結果的に熱が溜まりやすい。
  • 都市のヒートアイランド現象が事態を更に悪化させる

というわけで、全体的に気温が上昇する条件が揃っていると言うことのようだね。で、ジェット気流の蛇行が温暖化要因だと分析されているんだけど、北極の氷が溶けているのも事態の悪化を招く一因となっている。

ただ、これが地球温暖化なのか?というと、ちょっと極論であるような気はする。

過疎化が問題?

山火事の原因について、「過疎が原因だ」とする主張がある。

【写真特集】過疎化が招くスペインの山火事と生活破壊

2023年08月15日(火)12時00分

私はスペイン北西部ルーゴ県を拠点に、過疎化と環境問題の関係を調査するプロジェクトに取り組んでいる。

過疎化が始まったのは1960年代頃。それ以前はほとんどの土地は農地であり、周囲に広がる自生の森林は山火事を食い止める防火帯としての役割を果たしていた。

だが村々で過疎化が進むと老人が残されて、人口構成だけでなく、土地の構成も変わった。耕作放棄地に政策の後押しを受けた林業者が入り、木材や製紙原料の調達のためにマツやユーカリを大量に植林。共に燃えやすい樹木で、つまり過疎化と山火事は密接につながっている。

Newsweekより

夏のスペイン 各地を襲う歴史的山火事

2025/08/18

2025年の夏、スペインは近年に例のない規模の山火事に見舞われています。全国で延焼面積はすでに11万5,000ヘクタールを超え、数千人が避難を余儀なくされました。複数の自治州で同時多発的に火災が発生し、犠牲者も相次いでいます。

~~略~~

さらに背景要因として指摘されているのが、農村部の過疎化です。人口流出や高齢化により、かつて住民が日常的に行っていた森林や農地の管理が滞り、下草や枯れ枝が放置されたままになっています。その結果、火災の燃料となる可燃物が大量に蓄積し、ひとたび火がつけば瞬く間に広がる条件が整っているのです。

Newsweekより

結構、人為的要因で燃え広がるリスクが高まっている部分もあるようだね。

この話は、実のところ日本でも似たような話があって、近年、山火事が増えているようである。そういったニュースはここ数年良く見かけるようになった。

対策を急げ

というわけで、この記事で何が言いたかったかというと、「地球温暖化」を主張したところで対策ができるわけではない。

これはこのブログで散々指摘したことなんだけど、トップ4がもう二酸化炭素排出量を削減する気がなく、事実上対策にお金を使ってもあまり意味がないんだよね。

順位国名二酸化炭素排出量割合
1位中国10,707,220kt31.18%
2位アメリカ4,817,720kt14.03%
3位インド2,456,300kt7.15%
4位ロシア連邦1,703,590kt4.96%
5位日本1,081,570kt3.15%
6位ドイツ657,400kt1.91%

3位までで全体の5割を占めている。排出量削減を頑張っている5位、6位でせいぜい5%。ヨーロッパ全体(ロシア除く)で11.2%

そうだとすると、「温暖化のせいだ」と追求するよりも、他の要因の対策を急ぐしかないのである。1つは過疎化による類焼のし易さが上がっていることに対する対策。初期消火が迅速に出来る対策が必要で、無人機を増やすとかいう話をしているけれど、そもそも人為的なミスで燃え広がることが大半なのだから、そちらの周知徹底に力を割く方が良いのでは。

自然発火も結構多い山火事ではあるが、少なくともデータからはヨーロッパの山火事のウチ7~9割が人為的要因だと分かっているわけで。

そうすると、空中からの消火など、燃え広がった時に大量の水を投下するヘリコプターや航空機などを揃えるのも良いが、やっぱり初期消火が重要なのだ。

どうも、各国のメディアは、そういった話から逃げている気がして仕方がない。個人を責めるのは良くないとか、そういう話をするのとは別にして、出火原因を作らない。作ってしまったら即時対処する。燃え広がりやすい時期には特に注意だ。

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