誤情報のせいではないよ。
ホームタウン事業撤回へ JICA、誤情報拡散で混乱
2025年09月25日10時12分配信
国際協力機構(JICA)は、アフリカと日本の4市の人的交流を図る「ホームタウン」事業を撤回する方針を固めた。関係者が25日明らかにした。同日中にも発表する。
時事通信より
追記だけで済ませようとも思ったけれど、一応整理しておく。
本当に誤解なの?
炎上したのは誤解のせいか?
先ず、どんな話だったのか。
リンクを貼っておくが、簡単にまとめると以下のような話になる。
- 2025年8月:JICAが、「アフリカ・ホームタウン」構想を発表。趣旨は外国人との交流を地域ぐるみでやっていこうというもの。
- 同日 :ナイジェリア政府が「特別ビザが出る」「移民推進」ととれる発表をし、外国メディアがそれを取り上げる。
- 発表直後:SNS等で「移民促進策だ」「特別ビザを出す」などという噂が拡散
- 8月28日 :外務省の松本政務官が記者会見。「説明をしても誤解が広まる」と発言
- 9月上旬 :外務省が「誤った情報」が拡散している旨の公式見解を公表
- 9月25日 :JICAはこの政策を撤回する方針を固め、正式発表を準備
なんというか、嵌められた感はあるんだけど対処は遅かったねぇ。
誤解を生んだとされる「ホームタウン構想」だが、特定の地域との結びつきを強め、交流を図ろうという趣旨だと説明されている。では、従来あった姉妹都市提携と何が違うのか?
- 自治体レベルでの技術協力(農業、教育、ものづくりなど)
- SDGs型の共同事業
- 地域企業の海外展開支援
ホームタウン構想では、このようなお題目が並べられていて、一見して意味の分からない状態になっている。しかし一皮剥けば、外国人労働力の獲得という側面が見えて、自治体によっては家族帯同を設計している部分もあったようだ。つまり、事実上の移民受け入れを想定していた可能性が否定できないのだ。
未だに誤情報を強調
しかし、対処が遅い上に未だに「誤情報」で「SNSが悪い」ですか。
事業を巡っては、SNS上で「移民の受け入れ促進につながる」との誤情報が拡散し、JICAや自治体への批判が殺到していた。
時事通信より
日本政府は建前では「移民を推進しない」と言っているけれども、本音では外国人労働力の獲得に邁進している。
この本音と建前のズレに付け込まれたたのである。
国際交流が目的だったが、ナイジェリア政府が「日本政府が特別なビザ(査証)を発給する」との誤情報を発信し、SNS上で「炎上」。自治体などへの抗議が相次いだ。
時事通信より
国際交流が目的で、交流できていなかったからナイジェリア政府が誤情報を流したのである。
ナイジェリア国内には色々あって、どうやらこれ初犯ではないらしい。しかし、だとしたら予見出来た出来事である。JICAに任せっきりで外務省も本件には手出ししていなかったことが、この事態を招いてしまったのだが、その反省がないと次も失敗するぜ。
ともあれ、この「ホームタウン事業」に関しては、撤回を発表したことは良かったと思うよ。でも、1週間以内くらいに対処すべき案件だよ、これ。遅い。
追記
さて、この問題が本当にこれで終わるのか?という点に関して、多くの人が疑問視するところだろう。
ホームタウン構想の発表から撤回に至までに1月以上の時間を要したのだが、ここには外交問題に発展しそうな根深い問題があると思われる。
- 初動の遅れ: 外務省は、ナイジェリア政府の誤報に対して速やかに対応したとは言えず、訂正を求めるまでに時間がかかった。この対応の遅れが、誤情報の拡散を許すことに繋がる。
- コミュニケーションの失敗: 松本外務政務官は「意図が十分に伝わっていなかった可能性がある」と述べ、説明不足を認める姿勢は見せたが、この発言も後手に回った印象が強い。
この一連の出来事は、単に「ホームタウン」という言葉が適切でなかった、という表層的な問題に留まらない。
- 政府機関間の連携不足: JICAと外務省という、国際協力の二つの主要な機関の間で、情報共有やリスク管理が不十分だった可能性が示唆される。
- 説明責任の軽視: 住民や相手国に対する説明が不十分であったため、不安や誤解が拡大した。
- 国際協力と国内世論の乖離: 国際貢献を目指す事業が、国内世論の反発によって撤回に追い込まれたことは、今後の日本の国際協力のあり方に大きな課題を突きつけている。
更に酷いのは、この問題の責任転嫁を図っている点だ。
- ナイジェリア側の誤報の強調: 政府は、ナイジェリア政府の誤った発表が問題の拡大に拍車をかけたことを強調した。しかし、なぜそのような誤報が発生したのか、その背景に日本側の情報提供の曖昧さや連携不足があった可能性については、十分な説明がない。
- SNSの誤情報に責任転嫁: 抗議や批判がSNS上で拡散されたことを強調し、国民が誤情報に惑わされたという構図を作り出そうとした。しかし、そもそもなぜ公式発表が十分に浸透せず、SNSの情報が信じられてしまったのかという、根本的なコミュニケーションの問題には向き合っていない。
外務省の体質が如実に表れたケースだとも言えるが、JICAの性質の問題点を浮き彫りにしたとも言える。外務省の体質とは、自らの責任である事を自覚してそのことを説明しない姿勢。そしてJICAの性質とは、現地での精力的な活動と成果を持つ一方で、外交的側面を自覚しない部分がある点だ。
JICAの問題点についてはこのブログでも触れているが、海外部隊として現地で活動している方々は精力的に着実に実績を積み上げているが、日本人特有の良い活動をすれば認められるという気質が拭えない。一方で、上部組織にいる方々は常に偉そうで上から目線である。実際に賢い人達なのだろうが、仕事してくれ。キミたちの仕事は現地部隊の外交的側面をサポートするのが役割であって、邪魔することが本業じゃないんだよ。
これは、外務省にお手紙だす案件ですね。
コメント
撤回というのは「ホームタウン」を別の名前に付け替えるだけなんじゃ…。
恐らくそうなんだと思いますよ。
ただ、移民政策推進が否定されたわけですから、「そうとられないよう」に微妙に方向修正して、看板掛け替えて出てくるでしょう。
個人的には、移民政策の推進は「外国人労働力の獲得」という意味で積極的に推進されていて、何とか労働力をという産業界や地方の要請に応えているのは実情なんだと思っています。そしてこの流れは止めるのは難しい。今回のこれで、その流れが遅くなっただけなのでは?と思っています。
今、在住している方に「帰って」といって、帰ってくれる人は少ないでしょうから、犯罪を侵した方は送り返すにしても、どちらかというと「居る前提」で対応する法案の成立を急ぐしかありません。事実上移民という方々は沢山いらっしゃる。居る以上はその事実を否定しても仕方がない。おかしな制度は止めるべきですが、それに伴って帰って頂けないのであれば、もう法律を作ってでも対応する。これ以上増やさないというのが、今できる最善なのだと思います。
この問題が明るみになり紛糾したあと、岩屋外相が「名称を変更する」と明言していました。
(さらにそのあとで「誤認だ」と繰り返し発言し、マスコミが一斉にケツ持ちを開始)
そもそも、アフリカ・ホームタウン事業のみならず、闇の深い移民推進政策を誰が進めているのか、について重要な示唆を提供しているつべ番組があったのでご紹介だけしておきます。
https://www.youtube.com/@kaneko.2nd/streams
自分は菅・岸田両氏が主管推進者(責任者)とみていますが。