経済終わっているのに、更に消費税を上げるとか。鬼か!
ロシア財務省 “消費税”引き上げ法案政府に提出 戦費ねらいか
2025年9月25日 8時46分
ロシア財務省は、日本の消費税にあたる付加価値税の税率をこれまでの20%から22%に引き上げる法案を政府に提出しました。
NHKニュースより
まあ、20%から22%への引き上げなので、数字だけ見ると「ちょっと上がった」程度の印象はあるよね。
- ロシアでは付加価値税(消費税)の引き上げが予定されている
- インフレ予測は否定的ではあるが、実体経済が反映されているかどうかは不明
実体経済はどうなっているのか
ロシアの消費税って
さて、日本と同じと考えるととてもおかしな話になりかねないので、まずは軽くロシアの消費税(付加価値税)の概要を押さえておこう。
<ロシアの消費税(付加価値税)>
項目 | 内容 |
---|---|
名称 | 付加価値税 |
標準税率 | 20 % (Avalara) |
軽減税率・ゼロ税率 | 社会的に重要な品目などには10%税率を適用する場合あり。 (The Moscow Times) また輸出など一部取引には0%が適用されることもあります。 (Avalara) |
対象 | 国内での財・サービスの供給、輸入などを含む幅広い取引に適用 (ウィキペディア) |
事業者の義務 | VAT 登録、請求書発行・記録、仕入税額控除、定期申告などが義務付けられている (Avalara) |
税収への寄与 | ロシア政府の税収において、付加価値税は主要な収入源の一つとされており、財政上の重要性が高い。 (The Moscow Times) |
Chat GPT君に調べてもらった付加価値税の説明である。今回は、標準税率20%に対して、今回2%引き上げという内容だ。
一方で、これまで優遇税率で10%としてきた、食料品や医薬品、子ども用品などについては引き上げないとして、国民生活への配慮を示しています。
NHKニュースより
なお、食品や衣料品などは10%なので多くの国民の生活には影響が薄いハズと、ロシア政府は説明している。でも、家電、衣料、外食、娯楽サービスなどには影響するので、生きていくには問題ないけど影響しないわけじゃない。確実に影響は出るのだ。
インフレに影響しないの?
ところで、気になるのはロシア経済が「終わっている」という話をしているのに、インフレ率に影響しないの?ということだ。
こちらの記事では割とこき下ろしたんだけど、ロシア経済はまあ酷い。物流が滞り、輸入依存部分は制限されており、供給が細っている状況だ。それでも戦時経済によるドーピングによってかろうじて持ちこたえている。長くは続かなそうだけどね。
ではインフレ率に影響するか?だけど、これは解説しているニュースがあった。
ロシア、財政赤字拡大でVAT2%引き上げへ
2025年9月24日
ロシア財務省は水曜日、急増する国防・安全保障支出を賄うことを目的とした新たな3カ年予算計画の一環として、来年から同国の付加価値税(VAT)を20%から22%に引き上げることを提案した。
~~略~~
しかし、Tインベストメンツのチーフエコノミスト、ソフィア・ドネツ氏は、 企業が利益率を維持するために価格を調整し、コストを事前に消費者に転嫁するため、財務省が提案したVAT率引き上げの全体的な影響は、来年最初の数か月で約1.5%のインフレになる可能性があると述べた。
「我々の基準では、より高い数字に慣れているので、1.5%はそれほど劇的な変化には思えません。特に、VATの影響がまず価格に転嫁されることを考えるとなおさらです」とドネツ氏は述べた。
モスクワタイムスより
「その後、消費者の購買力が低下するため、(2026年)第2四半期以降はデフレーション効果、つまり景気抑制効果が現れると予想しています。」
モスクワ・タイムスによれば、インフレ率は1.5%程度上がるだけよって話らしい。つまり、物価上昇はほとんど無いという分析だ。なかなかニュニークな分析である。
インフレ率が高止まっているので、早々上がらないという予測で、更にデフレを迎えるので結局景気抑制効果が得られると。
そんなバカな。
国防や安全保障のための財源確保が目的だとしていて、ウクライナへの軍事侵攻が長引くなか、戦費にあてるねらいがあると見られています。
NHKニュースより
更に、「経済への影響は少ないけど政府収入は増えるよ!」って、分析になっている。
闇市経済が始まる
ただ、実際はロシア当局の予測通りにはならないだろう。
先日取り上げたニュースの中に、「物々交換で!」という話があったことをご記憶の方も多いと思う。
ロイターが関係筋2人に確認した取引では、中国製の自動車がロシア産小麦と交換された。中国側のパートナーがロシア側に穀物で支払うよう求めたという。
ロイターより
これ、物々交換が横行するとどうなるのか?というと、闇市経済が始まってしまうんだよね。
闇市がなければ生きていけない北朝鮮国民
2017.7.30(日)
北朝鮮の国民の大多数は、闇市からの収入で生活している――。
北朝鮮国民が金正恩政権と距離を置き、政府の経済統制が空洞化している状況を裏づける珍しい世論調査結果が、このたび米国の民間研究機関から公表された。この調査では、ごく少人数ではあるが北朝鮮国内の住民に直接意見を聞いたという。
JB Pressより
北朝鮮は既に闇市が横行していて、経済統制に失敗して破綻してしまっている。2003年にはこれが公的に認められてしまったというのだから、もうめちゃくちゃである。
大東亜戦争後の日本も闇市経済が出来上がって、ハイパーインフレが起きてしまった。最終的にドッジ・ライン(1949年)などで金融引き締めを行い、統制を解除することで収束するんだけど、その後、ドッジ不況と呼ばれる大不況を招いてしまう。相当、経済的には混乱したんだ。
ロシア経済の今後
ロシアも北朝鮮やかつての日本のような流れをたどるだろう。恐らくは、市場を引き締めに掛かる可能性が高く、配給制などを始めるかもしれないね。確か一部では燃料の配給制が始まっていたハズなので、遠からず他の商品も似たようなことになる。
先のことは予測しにくいんだけど、少なくとも税収増にはならないと思うんだよね。
コメント
こんにちは。
かつて「ロシアでは兵隊は畑で採れる」と言われましたが。
今は刑務所で採れるみたいですが、現代戦は、兵隊の数も必要ですが、なにしろ装備に金がかかる。
足軽に竹槍持たせるのでもなく、マスケット銃配るのでもなく(銃配るのも、それなりに金かかります、このあたりから現代の消耗戦が見えてくる)、一通りの個人装備揃えると、まがい物のサバゲ装備でも目ん玉飛び出るほど金かかりますから。
なので「戦費も畑で盗る」方向にシフトチェンジしたのかなと。
戦時国債とか募金とか債券とか、そういう手に出ない(出れない)あたりがロシアですよね、いろんな意味で。
こんにちは。
畑から兵士がロシアのスタンダードとは聞きますが、寧ろウクライナでは畑の肥……(これいじょういけない
前線の兵士に供給されるガソリンも弾薬も随分と細っているようで。
ドローンは量産しているようですが、前線を前に進めるためにはどうしても歩兵が必要。なかなかキビシイ面もあるようですね。
政策金利の引き下げや消費税(輸出還付金)の引き上げは、ガスプロムとかルクオイルとかの巨大石油輸出企業のためのステルス支援にみえます。
ロシアではガソリンが不足しているという報道があったばかりで、石油産業が苦戦していることが伺えます。
帳尻合わせのしわ寄せは国民に行くので、ロシア国民はロシア政府に怒るべきです。
なるほどそういう見方もできますか。
国内企業もかなり苦戦しているでしょうから、その辺り配慮した可能性はありますね。
ガソリンの基地がまた破壊されていますから、この流れは変わらないと思います。