近況は「お知らせ」に紹介するようにしました。「注意して下さい」もお読み下さい。
スポンサーリンク

膠着するウクライナ戦線に影響を与える長距離兵器

ウクライナニュース
この記事は約5分で読めます。

ウクライナ戦線には結構大きな影響のあるニュースなので、軽く言及して行きたい。

トランプ大統領は、ウクライナに対し、ロシアの奥深くに向けて長距離兵器を発射することを許可した

2025/09/29

ドナルド・トランプ米大統領は、ウクライナに対しロシア領への長距離攻撃を承認したと、キース・ケロッグ米大統領特使がFOX ニュースで述べた。ケロッグ特使は、トランプ大統領、J・D・ヴァンス副大統領、そしてマルコ・ルビオ国務長官が公式声明で、ウクライナ軍(ウクライナ軍)がその能力を用いてロシア奥深くへの攻撃を行えることを明確にしていると付け加えた。「立ち入り禁止区域はない」とケロッグ特使は強調した。

モスクワタイムスより

この話は、ウクライナ大統領の発言を「実現可能」にするものである。

スポンサーリンク

心理的効果も大きい

「ロシア深部攻撃」の意味するもの

ロシアにとってモスクはは他地域とは違う特別な地域である。故に、ウクライナがモスクワにアプローチするか否かというのは、極めて重要な論点となる。

ウクライナのゼレンスキー大統領、ロシア深部攻撃へ「準備済み」

2025年9月1日 9:16

ロシアの侵略を受けるウクライナのゼレンスキー大統領は8月31日、通信アプリに「国を守るために積極的な行動に出る。戦力と兵器は準備済みで、新たな(ロシア)深部への攻撃を計画している」と投稿し、ロシア領への攻撃を示唆した。また、今年1〜8月のロシア軍の戦死者と重傷者が計29万人に上ったとの見方を示した。

日本経済新聞より

ウクライナ側は、かねてより「ロシア深部攻撃」が可能である旨の言及をしている。ザックリ、「モスクワに届いちゃうよ」というコトだね。

トランプ氏も、大統領選挙活動中の去年末にこんな発言をしていたようだ。

ウクライナ攻撃すれば「モスクワ爆撃」とプーチン氏に警告、トランプ氏が主張 昨年の資金集め集会で

2025.07.09 Wed posted at 13:51 JST

トランプ米大統領が献金者の集う非公開の場で、ウクライナを攻撃すれば報復として「モスクワを徹底的に爆撃する」と脅して、ロシアのプーチン大統領に攻撃を思いとどまらせようとしたとの発言をしていたことが分かった。CNNに提供された音声で明らかになった。

CNNより

ただ、公式には割と慎重な姿勢を見せていたんだよね。

トランプ氏「ウクライナはモスクワ攻撃すべきでない」、兵器供与巡り

2025年7月16日午前 9:37 GMT+92025年7月16日更新

トランプ米大統領は15日、ウクライナのゼレンスキー大統領はロシアの首都モスクワを攻撃するべきではないと述べた。ホワイトハウス南庭で行われた記者団の質問に応じた。

CNNより

この7月16日のニュースは、7月9日のニュースを踏まえてのもので、恐らくは慎重な姿勢を見せる必要があるとの判断だったのだろう。この時期、トランプ氏はまだプーチン氏との和解を模索していたからね。もちろん、今でも調停者の演出には勤しんでいるんだけれど。

トマホーク供与

で、最近はもうちょっと揺さぶりが必要なのでは?という立場から、ウクライナに対してトマホーク供与を臭わせてきた。

米、長射程トマホーク供与を検討 ウクライナ向け=副大統領

2025年9月29日午後 9:46

バンス米副大統領は28日、長射程の巡航ミサイル「トマホーク」の入手を求めるウクライナの要請を検討していると明らかにした。

ウクライナのゼレンスキー大統領は米国に対し、欧州諸国にトマホークを売却するよう要請している。欧州諸国は米国から購入した上でウクライナに提供する。

ロイターより

トマホークの射程距離はバージョンによっても異なるのだが、2,500km以上のものもあって、ウクライナの何処からでもモスクアが狙えることになる。実際は射程が1,000kmもあれば十分なんだけれども。

米国のウクライナ担当特使キース・ケロッグ氏は、トランプ大統領がキエフは今やロシアに対する長距離攻撃を行えるはずだと示唆したと述べた。

「トランプ氏の発言、そしてバンス副大統領の発言を読むと、答えはイエスだ。深く突き刺す能力を使え。聖域などない」とケロッグ氏は日曜遅くにフォックス・ニュースのインタビューで語った。

ロイター「米、長射程トマホーク供与を検討~」より

取り敢えずは揺さぶりだけでも十分と言うことなんだろう。

モスクワ攻撃

実際、ドローンを使った攻撃をウクライナは行っている。

ウクライナの無人機攻撃、モスクワ郊外で2人死亡

2025年9月29日 18:21 

ロシア当局は29日、首都モスクワ郊外へのウクライナの無人機攻撃で火災が発生し、子どもと高齢女性が死亡したと発表した。

モスクワ州のアンドレイ・ボロビヨフ知事はテレグラムで「昨晩、防空部隊が首都モスクワの南東に位置するボスクレセンスクとコロムナの2都市で4機のドローンを撃墜した」とし、「残念ながら、ボスクレセンスクで民家が火災に見舞われ、76歳の女性と6歳の孫が死亡した」と述べた。

AFPより

ウクライナとしては、積極的にはモスクワ直接打撃をしたくないという心情なのだろうけれど、ロシアは情報工作によってモスクワ市民にとって「戦争は別の世界での出来事だ」というような世論形成を行っている。

それでも、別の記事に言及したように経済が疲弊しているので、モスクワ市民も「ヤバイのでは?」と感じては居ると思う。

つまり、モスクワ市民の心理に働きかける効果がドローン攻撃にはあり、そしてトマホークを供与して貰うことで、更にロシア深部への攻撃を可能とできることを示唆する。

実際のところ、既にATACMSなどモスクワに届く牙をウクライナ軍は保有してはいるのだ。また、ドローンによってクレムリンを攻撃するなど、それなりにアプローチはしてきているウクライナだが、現状のロシア国内のガソリン不足に追い打ちをかける狙いがあるのだろう。要は情報戦の一環なのだろうと思う。

また、こういった報道はウクライナ国民に対しても、戦局の変化と希望をもたらすものである。

コメント

  1. 砂漠の男 より:

    最近ロシアがNATO諸国に挑発を繰り返し、それにトランプ大統領が苛立ち、
    ウクライナ戦争には停戦の気配すらしませんね。

    最近の動向ですが;
    ・露皇帝が支那対日戦勝軍事パレードに出席 紅皇帝、北の将軍との蜜月演出
    ・上海経済機構で、露支印が友好協力関係を演出
    ・ロシアがドローンでNATO諸国に対し領空侵犯を繰り返す
    ・ロシア・ベラルーシがポーランド国境近くで軍事演習を実施し、ポーランドは4万人の部隊を国境へ派兵 
    https://shorturl.at/7r2uL
    ・ラブロフ外相がUN総会で演説「NATOによる侵略に徹底的に対抗する」と煽る
    https://shorturl.at/n9Qcw
    ・ロシア政府が来年度予算案で「歳入の3割を軍事費」に充てると発表
    https://shorturl.at/XLQOo
    ・ロシア原潜がジブラルタル海峡近くで船内放射能漏れ? 露側から発表なし
    https://shorturl.at/cs881
    ・ロシア占拠のウクライナ原発、外部電源喪失で「危機的状況」とIAEA 露側は否定
    https://shorturl.at/0790U

    ロシアの動きがいろいろオカシイ。一番下と下から二番目はワザとか?

    • 木霊 木霊 より:

      ロシア、どうやって落とし前を付ける積もりなのか。

      随分とヨーロッパ方面にも喧嘩を売っていますし、戦略性があるのかないのか。
      紹介された内容も、合わせて一度記事に整理したいなーとは思っていますが。

  2. 七面鳥 より:

    こんにちは。

    ウクライナが「長い手」を解禁するとして。
    トマホークが無かったとしても、既にウクライナは「フラミンゴ」という、独自開発した長距離巡航ミサイル持ってるんですよね。
    モダナイズされたV-1みたいな、性能はそこそこだけどとにかくお安い、みたいな。
    https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/fire-point-has-secured-a-large-number-of-engines-for-flamingo-missiles/
    ↑GFさん情報。
    こいつでモスクワを飽和攻撃されたら、直接の戦果はともかく、心理的にはV-1落とされたロンドンの比じゃないでしょうね……

    ……まあそうなると、ロシアも「威信にかけて」反撃して来るでしょうけれど。
    それまでに防空体制整えておかないと<ウクライナ

    • 木霊 木霊 より:

      こんにちは。

      ありましたねぇ、フラミンゴ。
      結局今回のこの話ってやっぱりイメージ戦略的な意味合いが強いんですよね。