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世界標準に追いつく日本、個人輸入の“優遇税制”を見直し

政治
この記事は約4分で読めます。

コレはねぇ。やらざるを得ないかな。

個人輸入品の税優遇廃止へ 財務省、中国からの低価格品流入で対策

2025年11月2日 16:10

財務省は個人輸入品の税金を安くする制度を廃止する調整に入った。中国系の電子商取引(EC)サイトなどがこの制度を利用して日本向けに商品を安く販売しており、小売業者の輸入品と価格差がある。諸外国は輸入品の税優遇制度を見直しており、日本も対策を急ぐ。

日本経済新聞より

日本でも AliExpress / Temu / Shein が猛威をふるっているが、あれは単に「安いECサイト」ではなく、“個人輸入ラベルを使って関税の穴を通る商流”である。 要するに、制度の抜け道として動いている。

品質も内容も信用できない有料ガチャみたいなものなので、個人的には近づかないようにしているが。

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実態は “支那企業が制度前提を踏み抜いた” 話

元々の趣旨は「散発・少額」の個人輸入

さて、日本経済新聞はこんな説明をしている。

うんまあ、間違いじゃないんだけどね。

元の制度設計はこう:

  • 個人輸入は散発的
  • 金額は小さい
  • サプライチェーン単位ではない

だから税計算を簡素化するための優遇(“課税価格×0.6”)が設定されていたんだ。

ところが、この「散発・少額」という前提そのものを悪用してくるヤツが現れた。それが越境 EC だ。

“BtoC 大量出荷なのに、輸出段階で 個人宛ラベル を貼り替える” ──これで合法的に優遇枠に潜る。

小口大量発送+虚偽インボイスが常態化した結果、制度条件が完全に機能しなくなったのだ。

アメリカは先に動いた

アメリカも同じ理由だ。

米税関、非課税基準額(デミニミス)ルール廃止に伴い、国際郵便貨物の関税支払いガイダンスを発表

2025年08月19日

米国税関・国境警備局(CBP)は8月15日、少額貨物の輸入に対する非課税基準額(デミニミス)ルールの廃止に伴い、国際郵便ネットワークを通じて輸送された貨物の関税支払いに関するガイダンスを発表した。

ドナルド・トランプ大統領は7月30日、米国東部時間8月29日午前0時1分以降に通関する貨物からデミニミスルールの適用を停止し、同ルールの下で免税対象とされている800ドル以下の少額貨物に対しても関税を課す大統領令を発表した。

JETROより

シンプルに「制度前提の崩壊」を認定し、800ドル以下でも課税する方向に舵を切った。

さらに、

  • TEMU/Sheinによる市場荒らし
  • 虚偽申告品目(インボイス)
  • 麻薬輸送も混在

──つまり米国政府が問題視しているのは 単発の税逃れではなく供給網単位の透明性崩壊である。

eMarketerによると、Temuだけでも2025年に米国で300億ドル(約4兆5000億円)相当の商品を販売することになるようです。

GIZMODOより

何しろその商売の桁が違うのだ。これを優遇してやる必要性はどこにもない。

EU の動きも同調

EU も 2021 年以降、VAT(消費税)イコール化で、少額輸入でも販売国ベースで課税するルールに変更済み。 結果として、

  • EU 輸入品も小口大量のEC商流は課税対象
  • 個人ラベルでは優遇されない
  • デジタル通関で監視強化

──と、世界標準は「個人輸入だから無税」ではなく、実態に応じて課税する方向に移行している。

だから今回の“日本の廃止”は「税金を上げる」話ではない

現行法制では公正な取引と言えないというわけなのだけれど、しかし完全にクロというわけではなくグレー扱いだったんだよね。でも流石に放置できなくなってEUが先行しアメリカでも日本でも対応することになった。

しかしそもそも、この話はインボイスの正確性に問題があるのだ。

輸入するにあたって、少額の個人輸入品であることを偽装して送られてくる製品が、実は高額商品だったというのは、さほど珍しいわけではない。実際に、海外ECサイトで商品を買った場合に、PC部品を買ったのにラベルが衣料品になっているなど、珍しい話ではない。コレは完全に脱税行為である。

尤も、この話は高市政権になったから急に動き出したように見えて、実は以前から色々議論されていた話ではあるのだ。

中国発TemuやSHEINなど少額輸入品の免税措置「デミニミスルール」見直し、消費税課税へ

2025/05/15 15:00

財務省は、少額の輸入品への関税や消費税を免除する制度「デミニミスルール」を見直し、消費税を課税する方向で検討に入った。

~~略~~

米政府は「関税制度の抜け穴をふさぐ」として、5月2日から中国を対象にした免税措置を停止した。ほかにもベトナムが2月から制度を全廃し、欧州連合(EU)も見直しを進めるなど、各国で廃止や縮小に向けた動きが広がっている。

讀賣新聞より

世界的にもその方向に動き始めている。

本質的には、個別の税金が惜しいのではなく、財務省・CBP(米税関)が問題視しているのは、サプライチェーン全体の透明性が壊れると、税体系が機能しないという実態である。これもインターネットの発達による商取引の活発化の弊害といえるかもしれない。

まとめ

冒頭の引用記事のタイトルは「個人輸入品の税優遇廃止」となっているが、実態は“制度前提を破壊した越境ECを「個人」扱いから除外する”という話。

国家レベルで、ようやく不公正の是正に手をつけ始めたわけだ。

コメント

  1. 匿名 より:

    税制の変更も必要ですが、国際郵便の支那からの抜け道も潰さないとダメですよねぇ。
    国内ECで国内製造品購入しても何故か支那からの発送…
    予定通り到着すればまだ納得出来ますけど遅れて到着ですし