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34歳NY市長誕生、反トランプが勝ったNYの病理

北米ニュース
この記事は約9分で読めます。

アメリカも病んでるなぁ。トランプ氏の全てが正しいとは欠片も思わないけれど、だからってこんな候補者を選ぶニューヨーク市民は、自身の明日をしっかり見据えているのか。

反トランプが旗印、マムダニNY市政始動へ-ホワイトハウスと火花

2025年11月6日 3:14 JST

ニューヨーク市長選に勝利したゾーラン・マムダニ氏は今後、全米で「二番目に難しい仕事」とされる同市の舵取りに挑む。その行く手には、「最も難しい仕事」を担うトランプ大統領との対立という最大の試練が待ち構える。

Bloombergより

34歳のNY市長誕生!それも、民主党系候補でイスラム系のルーツを持つ人材である。ある意味逸材だが、NY市の混乱には拍車をかけそうだな。

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民主主義のコスト

今回の結論

いきなり結論から書くが、NYは外貨依存の税収があるから“短期的には”耐えられるだろう。しかし、吸引力が弱った瞬間に破綻方向へ転ぶ。

それが今回のニュースの本質だ。

移民の街になるニューヨーク

NY市長に民主党系候補が選ばれるのは割といつものことなので、そのこと自体には驚きはない。

だけど、よりにもよってこんな候補を立てるとは。

34歳のマムダニ氏は、生活費の負担軽減を掲げた公約を武器に、市長選で歴史的な勝利を収めた。民主社会主義者を名乗る同氏の得票率は50%を超え、無所属で出馬したクオモ前ニューヨーク州知事の約40%を大きく上回った。

Bloomberg「反トランプが旗印、マムダニNY市政始動へ~」より

ゾーラン・マムダニ氏が掲げる政策がスゴイんだよね。

勝利演説でマムダニ氏は強気の姿勢を示した。「ドナルド・トランプに裏切られたこの国に、彼を打ち負かす方法を示せるのは、彼を生み出したこの街しかない」と支持者に訴えた。さらに「専制的な権力者を恐れさせる唯一の方法があるとすれば、それは彼を支えた権力の仕組みを根本から変えることだ」と続けた。

~~略~~

マムダニ氏は、医療や食料支援をめぐる連邦資金だけでなく、不法移民の強制送還を推し進めるトランプ政権の政策でも対立が予想される。同氏は移民保護都市としての姿勢を強化し、移民の法的支援に1億6500万ドルを投じる方針を掲げている。

Bloomberg「反トランプが旗印、マムダニNY市政始動へ~」より

東京ともなかなか酷いことにはなっているけど、NY市はその比ではなくなるだろう。

移民推進のツケ

2022年春以降、NY市は20万人以上の移民を受け入れており、これまでに市は移民支援に総額で70億ドル(約1兆円)以上を費やしている。その方針を加速させるのが、今回の市長選出の結果である。

現状で、移民1人辺り1日387ドル(6万円弱)を負担しているそうだから、更にフリーランチ化が進みそうである。

NYC taxpayers have spent $308M on ongoing migrant crisis since July

Published Aug. 15, 2024 Updated Aug. 15, 2024, 10:21 p.m. ET

New York City taxpayers have spent $308 million on migrants since July 1 — bringing the total tab for the ongoing immigration crisis to nearly $5.5 billion, according to new numbers released by the city Thursday.

The figures — which were updated by the Adams administration to include spending since the start of this fiscal year — are hundreds of millions of dollars more than the $5 billion dollar price tab included in earlier city tallies first reported by the Post Tuesday.

~~対訳~~

ニューヨーク市の納税者は7月以降、継続する移民危機に3億800万ドルを支出

ニューヨーク市の納税者は7月1日以降、移民対策に3億800万ドルを支出しており、継続中の移民危機の総費用は55億ドル近くに達した。市が木曜日に発表した新たな数値が明らかにした。

アダムズ政権が本会計年度開始以降の支出を含めて更新したこの数値は、ニューヨーク・ポスト紙が火曜日に初報したで最初に報じられた50億ドルを上回る。

NEW YORK POSTより

凄いなぁ。

7月から8月までの1月で3億800万ドル支出したので、この勢いだと12ヶ月で37億ドル相当になる。最新のデータで22万人ほどいるようなので、ザックリ1人あたり1万~2万ドル(150万~300万円相当)を年間使っていることに。

NY市の税収は1050億ドル台なので、それでも「やれてしまう」のだろうけれど、残念なことに税収の柱は企業や観光業である。つまり、治安悪化や観光資源の質の低下などが起きると、外貨依存の高いNY市の財政は一気に悪化。外貨が稼げるうちは回るんだろうけど、移民受け容れを続けることがプラスになるかどうか。

政策実現できるか

更に言えば、マムダニ氏が掲げた政策を推進できるかどうかにかかっているといって良いだろう。

マムダニ氏は、就任後ただちに公約の実現に取り組むと誓っている。家賃の引き上げ凍結やバスの無料化など、掲げた政策は多岐にわたる。こうした公約を果たせなければ、勝利の熱気が冷めた後、進歩派支持層を失望させるリスクもある。

Bloomberg「反トランプが旗印、マムダニNY市政始動へ~」より

そして……、この方針はトランプ氏の掲げた方針とは真逆なのが問題なんだよね。

実現性もかなり低い。

もちろん、公費を使えばバスの無料化や家賃引き上げの凍結などはやれるだろうが、かなりの税金を使うことになってしまう。

何故、マムダニ氏は勝てたのか

簡単に言えば反トランプ層の支持を得たのだけれど、話はもうちょっとややこしい。

米上院共和党、税控除上限巡り下院に歩み寄りも-4万ドル容認の方向

2025年6月24日 16:08 JST

トランプ米大統領が推進する大型税制・歳出法案を巡り、米共和党の上院議員は州・地方税(SALT)控除上限について、4万ドル(約580万円)とする下院案を受け入れる方向で調整を進めている。ただ、適用対象者の所得制限は引き下げたい考えだ。

Bloombergより

SALT cap と呼ばれる州・地方税控除上限の引き上げは、富裕層優遇と批判されやすいが、EITCなど低所得層支援もパッケージ化されているので、ニュアンスはもう少し複雑。

NYの生活費高騰が市民の生活の質の低下を招き、さらにトランプ氏の関税政策が物価高騰に寄与しているという怒りが背景にある。

NYは「移民の街」。だから、不法移民だろうと受け容れる傾向がある。そこがトランプ氏の政策と相容れない。

そういう票を上手いこと集めたのが今回の勝因であると解けるのである。

こういった危険な候補が当選しちゃうのは、民主主義のコストといって差し支えない。日本の首長選挙でも似た傾向があるけれど、NYの場合はかなりのインパクトになるだろう。

まとめ:今後のNY

というわけで、「上手く風を掴んだ」という感じのゾーラン・マムダニ氏で34歳にしてNY市長に上り詰めたわけだが、成功しても失敗しても衝撃は大きい。

NYという都市の吸引力・財務体力があるうちは保つかもしれないが、そこが弱り始めた瞬間に、移民受容が“財政の破綻シグナル”に反転するリスクがある。

NY市民は、相当高リスクな賭けにサインした。今後どうなるかは、極めてシビアだ。

追記

ちょっと説得力に欠けるなーと思う部分もあったので、少し追記しておこう。

NYの「1日の生活費」が桁違い、普通に過ごして7万円…ローカル住人が検証

2025年8月7日

ニューヨークは世界で最も生活費の高い都市の一つだ。ある調査によると、この街で快適な生活を送るには約13万6000ドルの年収が必要だという。

~~略~~

夜は、13ドルで7人制サッカーを楽しんだ後、ウィリアムズバーグの高級イタリア料理店、オーロラでディナー。前菜2品を友人とシェアし、メインとビールを1杯ずつで167ドル。夕食後、バーでネグロニを3杯飲んで48ドル。夜の支出は228ドル。1日の支出はなんと446.90ドル(日本円で約7万円)だった。 

DAILYSUNより

日本の感覚だとニューヨーク市長誕生は「不思議感」が出るんだけど。

現在2025年 ニューヨークのアパート賃料 高!

2025年06月09日(月)

・全市平均
    •    Zillowによると、ニューヨーク市の平均賃料は 月額約553,125円(3,575ドル)。これは米国平均(約325,500円)のおよそ1.7倍。

・Realtor.com調査(2025年第1四半期)
    •    0〜2ベッド:約521,575円(3,365ドル)(前年比+7.2%)
    •    3ベッド以上:約739,815円(4,773ドル)(同+1.2%)
    •    市区別では:
    •    マンハッタン:約696,725円(4,495ドル、+5.5%)
    •    ブルックリン:約581,940円(3,748ドル、+5.0%)
    •    クイーンズ:約511,190円(3,298ドル、+4.3%)
    •    ブロンクス:約466,550円(3,010ドル、+0.7%)

・高額帯のスタジオ・1ベッド・2ベッド
    •    スタジオ:約647,900円(4,180ドル)
    •    1ベッド:約816,315円(5,273ドル)
    •    2ベッド:約1,217,835円(7,857ドル)

海外住宅建材より

1日生活するのに7万円かかり、住宅費用は一月で50万以上。人気のあるところだと100万円を超えるのがザラ。

もちろん給料も高いのだけれど、生活費も居住費も滅茶苦茶高い。そりゃ、「家賃の引き上げ凍結」が刺さらないワケがないのだ。

コメント

  1. 匿名 より:

    パリ ロンドンと来てニューヨークも陥落か…
    リベラル系の人達って本当に自分の周りしか見えてないのか世界で移民問題が爆発してる先の2都市見えて無いのか。
    まぁあいつら自分なら上手く出来るって勘違いしてるから余計にタチが悪いとしか思えませんな
    後はこの連鎖が東京に繋がらない様に祈るしか

    • 木霊 木霊 より:

      なかなかに、強烈な人材が市長になりました。
      自分の住んでいる地域がそんなことになったら、絶望的な気分になれますね。

  2. 軍事オタクより より:

    トランプ大統領憎しで投票してるのですかね
    欧州も移民でどんどん荒れてるのに
    日本では◯ルド人は埼玉でえらいことになってますし
    日本も早く規制しなくてはどうなることやらですね