毎日新聞の記事を取り上げるのもどうかと思うんだけど、これは酷い。
事実上の減反政策を法定化へ 農水省方針 「需要に応じた生産」推進
2025/12/5 05:00(最終更新 12/5 11:43)
農林水産省が事実上の減反政策(生産調整)との批判がある「需要に応じた生産」を、法律に盛り込む方針を固めたことが判明した。
毎日新聞より
内容はそんなに間違ってないんだけど、何と言うか構成がおかしいんだよね。
減反政策にさせないために
政権批判目的か
そんなに長い記事ではないのだけれど、トピックスの整理をしておこう。
- 農水省がコメ生産における「需要に応じた生産」を法律に書き込む方針を発表
- コメ政策の基本原則を明記することで、政権交代で方針がブレるのを防ぐ
- 来年の通常国会で改正法案提出を予定
- 実情は人口減少に伴う減産方向なので、「減反政策では」との懸念
こんな感じなのだが、記事の中でちょいちょいおかしな論旨が混ざっている。
昨年夏から起きたコメ騒動は、需要量を見誤ったことによる生産量不足だったことを農水省も認めている。国が正確に需給を一致させる予測を出す難しさが露呈したため、石破政権はこれまでの生産調整政策を見直して増産へと歴史的転換を図った。
しかし石破氏が増産幅を明確に示さなかったため、供給過剰による米価暴落を懸念した自民党の農林族や農家らが反発。当時農相の小泉進次郎氏が妥協案として「需要に応じた増産」と呼ぶことで折り合った経緯がある。ただ「増産」の言葉が独り歩きし、生産現場は長年の生産抑制の反動から戸惑いが広がった。
毎日新聞「事実上の減反政策を法定化へ~」より
ここの部分は正しくて、石破氏が「外国にコメを売るために増産するぜ!」と発表した時には、このブログでも「そうだ、増産だ、輸出だ」と賛成したのだが、実際にどれだけ増産して、どのようなルートで輸出して、何処が買ってくれるのかは明らかにされなかった。
その結果、農相だった小泉氏が「需要に応じた増産」と火消しに走ったという経緯がある。
ただ、人口減少時代に需要の拡大は難しく、生産調整政策を進め、需要に応じて減産を続ければ担い手が減り続け、農村の衰退に歯止めがかからない弊害も指摘されている。需給バランスを一致させて目先の米価を高値に維持できても、長期的にはコメの自給力低下を招き、国産米の供給不足が常態化すれば、食料安全保障の確立にも悪影響を及ぼす恐れがある。
毎日新聞「事実上の減反政策を法定化へ~」より
ところが、需要予測の難しさと、需要減退傾向にあるのだから、今回の方針は実質、「減反政策になる」と結論しているのだ。
途中で論旨が変わっている
農政の問題で、特にコメの生産に関して課題として挙げられるのは、記事の中にあるように「需要予測の不備」と、「実態的な政策が伴わなかった」という点である。
つまり、石破政権でネックになったのは「単に、増産して輸出」といっても実際に売れるかどうか分からないという問題を解決できていなかった。
問題点は明確で、需要の創出に行政が関わっていないことが問題なのだ。
フードテックなど6分野、農水省が戦略策定へ
2025年12月5日 16:31
農林水産省は5日、省内に鈴木憲和農相をトップとする農林水産行政の戦略本部を設置した。食料の安定供給や地域の維持・発展を目的に、フードテックやコメの需要創造といった6分野を重点テーマに定める。各分野で戦略を策定し、2026年の経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)などに盛り込むことを想定している。
日本経済新聞より
最新の農水省の方針としては、フードテックやコメの需要創造というテーマを定めて進めていくとしている。
フードテックとは、生産から加工、流通、消費等へとつながる食分野の新しい技術及びその技術を活用したビジネスモデルのこと。これ自体もコメの需要創造には繋がるのだけれど、食に関する技術開発に関しては日本は変態的なものがあるので、是非とも頑張ってほしい。
毎日新聞は、このあたりの話を完全に落としているんだよね。
心配があるのは分かるんだけど、煽るだけが新聞の仕事じゃないぞ。もちろん、農水省の方針が正しいとは限らないけれども、これまで守りの方針しか示してこなかったことが、敗因である。攻めの分野もしっかり掲げたことは、大きいと思う。

これが当たるかどうかは不明だが、しかし攻めの姿勢を見せないと勝てないんだよ。
生産者にリスクだけ押し付けるな
これまでの日本の農政は、「農家に努力を求めるが、失敗しても国は責任を取らない」という精神構造に支配されてきた。
もし今回の「法定化」がまたもや “作るなと言うか、作れと言うかを政府が決めるだけの政策”に終わるのなら、何も変わらない。
行政はリスクを農家と共有しなければならない。石破氏が「コメ増産して輸出する」というのであれば、それを全部民間に押し付けてはいけないのだ。また、農家がやりたくないと思っていることをお願いするというのも間違っている。
行政は、市場が育つまでの期間、腰を据えて支援する必要がある。
まとめ
そんなわけで、農水省批判を展開している毎日新聞の記事を読みつつ、現状は違うんだよという話をお届けした。政府が需要創出まで見据えた農政を進めるのなら、それは歓迎すべきことである。
そう簡単ではないのだろうが、攻めの姿勢は大切である。



コメント
こんにちは。
「結論ありきの報道」ですからね……
事実を淡々と述べれば良いのに。
……あ、それだと、自民党の広報の方が早くて正確か。
※ドキュメンタリーは、誰かの手でドキュメンタリーとして編集されている時点でドキュメンタリーではない、的な意見を少し前にどこかで見ました。まさに我が意を得たりと思いました。報道もまったく同じだとも。
こんにちは。
今回の農水省改革の話は既に出ていた議論をベースにしたものなので、取材をすれば分かる程度の話なんですよ。
記事をとにかく早く書きたいというのは分かりますが、専門性の薄い、情報の網を張っていない分野に手を出しちゃった感じが出ていて、なんとも。
或いは、批判ありきだからかもしれませんか。