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ホンダはなぜ半導体不足に沈んだのか――支那依存という経営判断の誤算

経済
この記事は約7分で読めます。

ホンダよ、何故、EVに全振りして支那に近寄ろうとしたのか。いまその判断のツケを支払わされようとしているのだよ。

ホンダ、日本と中国の工場で年末年始に稼働停止・減産 半導体不足で

2025年12月17日午後 5:42

ホンダは17日、半導体不足により12月から来年1月にかけて日本と中国の四輪工場で減産することを明らかにした。日本では埼玉県寄居町と三重県鈴鹿市の2工場で1月5―6日の2日間稼働を停止し、同7ー9日は生産量を減らす。

ロイターより

この生産調整が過渡期の苦しみなのか、これから地獄の釜の蓋が開く合図なのかは不明だが、いずれにしても当面は苦しい展開が続くだろう。

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半導体不足で生産停止

半導体の影響は支那の手による

具体的にホンダを締め上げたという訳ではないんだけど、この話はオランダのあの企業絡みで、結局のところは支那の影響下にあるという話になってしまう。

ホンダに1社調達リスク露呈、ネクスペリア影響1500億円 車7社決算

2025.11.14

日系自動車メーカーの業績が悪化している。米関税の影響で国内自動車7社の2025年4~9月期の連結決算は最終減益となった。今後はオランダに本社を置く中国資本の半導体メーカー、Nexperia(ネクスペリア)の製品供給が滞っている問題が追い打ちをかける。

日経XTECHより

「ネクスペリア」の話を出して、「ああ、あの話ね」と腑に落ちる人はさほど多くは無いと思うけれど、業界では随分とこのニュースに震撼したんだよ。

ネクスペリア社はもともとはフィリップス社半導体部門から派生した企業で、結構な勢いがあったのだけれど、2016年に支那の投資家コンソーシアムに売却される事態に。この時点ではNXPという社名であった。故にネクスペリアの社名を名乗って独立企業として発足した時には、支那企業の傘下にあったんだよね。

で、ロシアへのチップ供給問題(2023年1月)だとか、ランサムウェア被害(2024年3月)とか色々あったとことに、オランダ経産省が法律を盾にネクスペリア社の経営権を掌握したのが2025年10月のこと。

オランダ政府の介入

これ自体もかなり問題だとは思うんだけれどね。

半導体不足で自動車業界が再び混乱か、オランダ政府によるNexperia接収の衝撃

2025年10月23日 12時30分

世界の自動車産業と半導体サプライチェーンを揺るがす、異例の事態が発生しました。

オランダ政府は2025年9月30日(オランダ時間)、中国企業の傘下にある半導体メーカーNexperiaの経営権を掌握するという、極めて異例の措置を発動。この突然の決定を発端とした問題によって、同社からチップ供給を受ける自動車業界などで混乱が広がっています。

EE Timesより

これはかなり恣意的な法の運用だと指摘されているのだけれど、「オランダおよび欧州の経済的安全保障に対するリスクをもたらす可能性がある」と、オランダ政府側は指摘しており、この結果がなかなか悲惨だ。

同措置に基づき、Nexperiaは最大1年間、オランダ政府の明示的な許可なく、会社の一部の移転や現職役員の解雇およびその他の決定を行うことが禁止されました。そしてこの報復措置として中国政府が、中国で製造された同社チップの輸出を禁止したことで、欧州の自動車業界では供給網の混乱が一気に現実味を帯びています。

EE Times「半導体不足で自動車業界が再び混乱か~」より

当然ながら、支那は強烈に反発。放置しておけば技術を全て吸収できるような体制に踏み込めるはずだったのに、流石にそれを阻止されたので激怒。

輸出禁止措置に発展した。

ネクスペリアの親会社であるウィングテックは月曜日、同社の権利を守るための措置を講じ、政府の支援を求めると述べた。

この展開は、ここ数カ月、貿易や中国とロシアの関係をめぐって高まっている欧州連合と中国間の緊張をさらに高める恐れがある。

2024年12月、米国政府はウィングテックをいわゆる「エンティティリスト」に掲載し、同社を国家安全保障上の懸念企業として特定した。

この規制により、米国企業は特別な承認を得ない限り、リストに掲載されている企業に米国製の製品を輸出することが禁止される。

BBCより

それもこれもトランプ氏の影響もあるんだけど、流石にこんなところで代理戦争をやらないで欲しい。

支那はオランダに対して輸出荷規制を行った(支那国内にある企業で製造された製品の輸出を禁止)ので、そりゃ影響出るよ。これの影響をモロに受けたのがホンダだというわけだが。

ネクスペリア依存

別に「ホンダのせいじゃない」とも言えるんだけど、ここからの半導体の供給に依存していたホンダは、チャイナリスクを甘く見すぎていたというしかない。

ネクスペリアチップ危機によりホンダはメキシコ工場の生産停止を余儀なくされる                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                  

2025年10月30日 17時15分

ホンダは、オランダに本社を置く中国系半導体メーカー、ネクスペリアからの半導体供給が途絶えたため、メキシコの自動車工場の生産を停止したと、ホンダの関係者が水曜日に発表した。

中国政府は、オランダ政府との対立の中、10月4日からネクスペリア製品の輸出を制限している。

~~略~~

ホンダをはじめとする自動車メーカーは、電子制御ユニットなどの部品にネクスペリア社製の半導体を採用しています。日本と欧州の自動車業界団体は、半導体不足が自動車生産に影響を及ぼす可能性があると警告する声明を発表しました。

JAPAN NEWSより

何というか、日産も致命傷ではあるんだけどホンダもねぇ。どうしてネクスペリア1社からの調達というおかしな選択をしてしまったのか。

恐らくは一社から一括調達をすることで、コストダウンを計ったのだろうけど、リスク分散をするのが商売の鉄則。特に支那絡みの企業で調達を選んだ辺り、ちょっと警戒感が薄かったかも……。

いやこれ、予想は難しい?でも、他社は一社で独占調達なんてやってないから、そういう意味では判断が甘かったと言うべきか。実際、ネクスペリアの危険性は数年前から指摘されていたしね。

まとめ

結局のところ、半導体不足による生産調整を余儀なくされたという「結果」が出たわけだけれども、支那を市場と定めてコストダウンに注力していくという経営判断そのものに間違いがあったと言わざるを得ない。

EV化を急ぎ、市場もサプライチェーンにも支那依存を高めた結果、政治と経済が衝突した瞬間に逃げ場を失った。経営判断としてはコスト対策と市場意識だったかもしれないが、効率化を優先した一社調達は、平時には美しく、有事には脆い。

技術力のある会社だけに、こう言うのは残念なんだけど。

コメント

  1. 軍事オタクより より:

    ホンダと日産の経営統合の話は流れたし
    2社とも読みが甘いですからね
    まさか志那の資本が入ってた半導体メーカーに部品を調達してたなんて私は知らなかです
    チャイナリスクがオランダにまで波及してたなんて
    パソコンも結構志那資本が入ってるから
    品不足になりそうですね(メモリーは特にそうです)
    リスク分散が大切だと痛感しますね

  2. 匿名 より:

    VWグループとBMWグループもネクスペリア以外から半導体を調達しようと苦労している

  3. 砂漠の男 より:

    >ホンダはチャイナリスクを甘く見すぎていた
    これまで支那投資を推奨してきた日本のシンクタンクですら、”チャイナリスク”に警鐘を鳴らしていますから、経営判断を誤ったのでしょう。
    支那には1万社以上の日本企業が進出していますが、そろそろ社運の明暗が別れる頃合いじゃないかと。
    日本人小学生が支那人に刺❍されても、まだ撤退を決断しない危機不感症は、企業の経営判断としてお粗末といえるでしょう。

    • 木霊 木霊 より:

      決断は早いにこしたことはありませんが、決断したからと言って直ぐ動けるとは限らないんですよね。
      ホンダはどうだったんでしょうか。

  4. 七面鳥 より:

    こんにちは。

    オランダと支那は「仲よくケンカしな」で知ったこっちゃないんですが、経済損失をバラ撒かれると話が違う。
    ※オランダは、旧植民地を旧日本軍に開放(八劫一宇で持って行かれた、とも言う)された恨みが結構根深いとも聞きますが。皇室とオランダ王室の付き合いがあっても、感情的には、というアンビバレンツがあるのかな。

    ホンダは、色々と判断ミスやってますから。日産ほどではないけれど……
    ※プレリュードが初期注文が凄いらしいけど、一発屋で終わらないと良いのですが。

    • 軍事オタクより より:

      七面鳥さんのおっしゃる通り
      オランダは防お困り国家の解放された事を恨んでいるとお話を私もお聞きした事がありますね

    • 木霊 木霊 より:

      こんばんは。

      オランダも色々と考えてのことだとは思いますが、結果がこれですから。
      なんというか、結果論で語っても仕方が無い部分はありますが、ホンダはやらかしましたね。