アメリカ、やりたい放題だな。
トランプ氏「大規模な攻撃を成功裏に実施した」 米国内法にのっとり作戦を行ったと主張
2026/1/3 18:46
トランプ米大統領は3日、自身のSNSに「米国はベネズエラに対する大規模な攻撃を成功裏に実施した」と投稿した。さらに同国の反米左派政権のマドゥロ大統領夫妻を拘束し、国外に移送したと発表した。同作戦は米国内法にのっとって行ったとも主張した。
産経新聞より
正直、アメリカが正義だとは欠片も思ってなかったけれど、本気でベネズエラ攻撃するとは思わなかった。
やっていることは、ロシアと変わらない。
電撃作戦を成功させたアメリカ
アメリカ軍によるベネズエラ侵攻
その予兆はあったし、トランプ氏がやりたかったことも分かる。
先日も麻薬密輸船を攻撃して、これもどうかと思ったのだけれど、今回はついにベネズエラの国内を直接攻撃に踏み切った。ベネズエラの首都カラカスを爆撃した上、ベネズエラ大統領夫妻を拘束したとか。もはや「圧力」などという言葉でごまかせる段階にはない。
トランプ氏がベネズエラ軍事施設攻撃を指示 米報道 マドゥロ大統領、全土に非常事態宣言
2026/1/3 17:20
米CBSニュースは3日、トランプ米大統領がベネズエラ国内の軍事施設などへの攻撃を指示したと報じた。米当局者の話として伝えた。米メディアによると、ベネズエラの首都カラカスで3日未明、複数の爆発があった。トランプ政権はベネズエラの反米左派、マドゥロ政権が麻薬密輸に関与しているとし、退陣を狙って圧力を強めてきた。
ベネズエラ政府は3日、米政権が自国への「攻撃」を実行したとして非難する声明を発表。カラカスや北部ミランダ州などにある軍事施設や民間施設が標的になったと説明した。
産経新聞より
流石に、国際法的にも宜しくない。
宜しくないのだが、アメリカを一方的に責め切れないのも事実だ。
囚人のジレンマ
ゲーム理論における囚人のジレンマの話は、このブログでも何度か紹介している。
協力した方が全体として良い結果になるのに、各個人が自分の利益を最大化しようと合理的に行動した結果、裏切りを選択して、かえって悪い結果を招く状況を言い表した話である。
短期的には裏切りの方が利益を最大化出来るように見えるのだが、実際には協力した時よりも得られる利益は少なくなってしまう。
国際社会において武力による現状変更を許してはならないという姿勢は、多くの国の利益を守ることになるのだが、その均衡を破った方が短期的利益を得られると判断する国が出るのである。
権威主義のロシアはウクライナに侵攻し、支那は海洋侵出を広げている。北朝鮮やイランも、そして麻薬輸出国家となったベネズエラも、だ。
そこに、ついにアメリカが加わった。
世界は、静かにだが確実にフェーズが変わっている。その中で日本は、どう向き合うべきなのか。かなり重い課題を突きつけられている。
ベネズエラと支那の接近
以前の記事にも書いたが、ベネズエラと支那はかなり親密な関係になっていて、経済的な支援を受けている状況ではあった。
支那から麻薬の原料が輸出されて、ベネズエラで合成、アメリカで売りさばくというような構図になっている。アヘン戦争かな。
米政府、中国の企業とタンカーに制裁-ベネズエラへの圧力強化
2026年1月1日 at 9:44 JST
トランプ米政権は、香港および中国本土に拠点を置く企業4社と、それらに関連する石油タンカー4隻を制裁対象に追加し、ベネズエラの石油輸出に対する圧力を強化した。
ロイターより
もはやベネズエラ経済は支那との関係が維持されないと成り立たない。尤も、経済崩壊状態になっているベネズエラを支援したところで、どんなメリットが得られるのかは良くわからないが。
米国はすでに、ベネズエラの石油貿易に関与している船舶や企業のリストを作成している。しかし、現地でビジネスを展開する中国企業を標的にするのはまれだ。トランプ政権とベネズエラのマドゥロ政権との対立に関わらないよう、中国政府にシグナルを送ろうとしている可能性がある。中国はベネズエラにとって最大の石油輸出先であり、石油はベネズエラの歳入の約95%を占める。
ロイター「米政府、中国の企業とタンカーに制裁~」より
アメリカは、何度も支那にメッセージを送っていた節がある。にも関わらず支那は、ベネズエラとの関係を深めていった。
マドゥロ大統領が最後に国営テレビに出演したのは、金曜日、カラカスで中国政府代表団と会談した時だった。
CityNewsより
支那当局者がベネズエラを訪れていたタイミングで、どうやらこの軍事作戦は実行されたらしく、支那の当局者も相当驚いただろう。
どのツラでその発言を?
ロシアもまた、今回の事態にコメントを出している。
ロシア、米国のベネズエラ攻撃を「侵略行為」と非難
2026年1月3日 20:57
ロシアは3日、米国がベネズエラを攻撃したことを受け、今回の軍事行動に正当性はなく「武力による侵略行為」だと強く非難した。
AFPより
よくもまあ、そんなコメントを出せたものである。
まるで、ロシアのウクライナ軍事侵攻は「正当性」があるような発言でビックリだ。もっとも、今回の件でアメリカも、ロシアを非難する資格を失った。そしてロシアもまた、アメリカを非難する権利など持っていない。

まとめ
国際社会において「武力による現状変更は許されない」という建前は、もはや大国自身によって食い破られている。
ロシアがそれを破り、支那が踏みにじり、そしてついにアメリカまでもが「国内法」と嘯いて主権国家を攻撃した。正義の名札を貼り替えたところで、主権国家を爆撃し、国家元首を拉致した事実は消えない。
この世界でルールを守ることが損になるなら、次に裏切りを選ぶ国が出るのは合理的帰結である。囚人のジレンマは、すでに理論ではなく現実になっている。
その世界で、日本だけが「武力は使いません」「憲法があるので出来ません」と言い続けたところで、それが尊重される保証はどこにもない。
選択肢を持たない国は、立場を選ぶことすら出来ない。台湾の問題も目前にある。日本に残された時間は、もうないのだ。
追記1:綿密に計画された作戦
一夜明けて、アメリカ軍の作戦の概要が少しずつ明らかにされている。
ベネズエラ地上攻撃に米軍機・無人機など150機以上投入…マドゥロ氏の行動分析しタイミング見極め
2026/01/04 08:33
米軍制服組トップのダン・ケイン統合参謀本部議長は3日の記者会見で、ベネズエラへの地上攻撃と同国の反米左派ニコラス・マドゥロ大統領の拘束には、米軍の戦闘機や無人機など計150機以上の軍用機が投入されたと明らかにした。
讀賣新聞より
かなり大規模な作戦だったが、アメリカ軍は作戦実行に先立ち、マドゥロ氏の居場所を特定し、数か月間にわたり行動パターンや食習慣、服装、ペットの種類に至るまで分析し、攻撃のタイミングを見極めたという。
つまり綿密に計画された作戦であったと。
良いか悪いかはさておき、アメリカは、自身が敵と認定した相手に対して、国際法などを超えて武力行使をしてくるということが改めて明らかになった。
追記2:ベネズエラ国民大歓喜
さて、一夜明けてベネズエラ国民は、どうなったかというと。
軍事基地に黒焦げの車両 避難民から歓喜の声も―米のベネズエラ攻撃
2026年01月04日07時21分配信
トランプ米政権によるベネズエラへの軍事攻撃から夜が明けた3日、攻撃の標的となったベネズエラの軍事基地では「黒焦げの軍用車両」など被害の状況が明らかになった。国内の受け止めは期待や米国批判などさまざまだが、経済的・政治的理由から国外に避難したベネズエラ人からは歓喜の声が上がった。
時事通信より
歓迎される向きもあるようだ。
ベネズエラの政治が、如何に国民を苦しめていたかということなのだろうけれど、大統領が拘束されたからと言って、善政が期待できるのかというと、コレも不明。ただ、アメリカの関与は恐らく確実であるので、もしかしたら多少はマシになるかもしれない。
とはいえ、アメリカがやったことが許されると言うことではないんだけど。だって、どんな理屈を付けてでも他国を侵攻できるというのは、恐ろしい話だよ。
追記3:間接統治を宣言
さて、アメリカの狙いが徐々に明らかになってきたわけだが。
トランプ氏「米がベネズエラ運営」と表明 石油企業進出を推進、「西半球の覇権」宣言
2026/1/4 07:48
トランプ米大統領は3日、米国による南米ベネズエラ攻撃と同国のマドゥロ大統領夫妻の拘束・連行を受けて記者会見し、当面の間、米国がベネズエラを「運営する」と表明した。世界有数の原油埋蔵量を誇る同国に米石油企業を進出させ、収益はベネズエラ人と米国が受けた損失の補塡に充てるとした。「ルールに基づく国際秩序」を主導してきた米国の大統領が自ら他国の主権に介入する方針を宣言した。
産経新聞より
なかなか勝手な理屈ではあるが、これがまかり通ってしまうのか。
またトランプ氏は会見で、19世紀にモンロー第5代大統領が欧州との相互不干渉を宣言した「モンロー主義」を賛美し、自身の政権下で「(南北米大陸を含む)西半球での米国の覇権は確固としたものになる」と述べた。同席したルビオ国務長官は「マドゥロ氏はこの結果を避けるチャンスを拒否した」と指摘。ヘグセス国防長官は「これが力による平和だ」と語った。
産経新聞より
この時代に「モンロー主義」を持ち出してくるとはなかなかのものだが、トランプ氏の覚悟の表れという部分はより明確になったと言える。
乱暴だが、アメリカにとっての正解を目指していると言うことなんだろう。




コメント
ベネズエラ経由で中国人がオビロイドやフェンタニルを持ってアメリカに密入国
そりゃあトランプ大統領でなくてもアメリカ人はブチ切れる
追伸
中国は国策でやっている
そう、この話は、大国は好き勝手やっているけど、日本はどうするの?という点なのです。
国際法は日本を守ってくれませんから、自前でどのように国防体制をどうするのか?と考える必要があります。
ぶち切れるところまでは理解できるんですよ。
ただ、だからといってミサイルぶち込んで良いという話はまた違うわけで。
一連のトランプ政権の軍事・外交政策は、西半球(南北アメリカ大陸)での安全保障・権益確保に重心が置かれているのでしょう。
昨年はカナダ・メキシコ・グリーンランド・パナマを揺さぶりましたが、今回のベネズエラ侵攻も、米国の裏口(キューバ・メキシコ)と裏庭(中米・南米)の大掃除(支・露の影響力排除)の一環なのでしょう。
現在、支那の紅皇帝は党内抗争で自身の権威・権力が弱体化。露皇帝は戦争負担で青色吐息。どちらも身動きとれません。だから、米国には戦略的にいいタイミングだったのでしょう。
確かに、世界のフェーズが大きく変わったようです。
間違いなく、アメリカの安全保障のことを考えれば、中南米で火遊びする奴らが邪魔なのは確実。
そこにロシアや支那が手を突っ込んでいるのですから、まんまキューバ危機と同じ話ですね。
問題は、日本としてこの事態に対して理解を示すのか、距離を置くのか、態度をしっかり決める。その前提として、その決定の結果どうなるのかをしっかりシミュレートするという話をきちんとやれるのか、です。
新年早々、高市政権は試練が続きますね。
こんにちは、今年もよろしくお願いいたします。
・中国さん、訪問団送ったら急襲喰らってマジ涙目
・チャベスじゃなくてマドゥロ「捕まえてみろ!」って言ったらデルタが「来ちゃった♡」
なんか、中華訪問団が経済支援だなんだ締結した矢先にやられたとか。
訪問団のおかげでマドゥロの居場所が特定出来た、なんて話も聞きます。
とりあえず中華支援は焦げ付き確定らしいので、習近平は泣きっ面に蜂、王毅外相は首の心配でしょうね……
こんにちは。今年もよろしくお願いします。
コメントで短く纏められた内容そのままが、新しく書いた記事という形になってしまい大変遺憾であります(笑)。
ともあれ、もうそれ以上言及することでもないんですよね……。これからどうなるのやら。