相変わらず凄いこと言っているな。
李大統領「政教癒着は国を滅ぼす道…大きな石を取り除いたら小石を取り除く段階に」
登録:2026-01-22 08:31 修正:2026-01-22 09:13
李在明大統領は、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の違法政治資金提供疑惑が発端となった「政教癒着」問題について「国が滅びる道」だとして、根こそぎにする考えを表明した。李大統領は、政教癒着行為をより厳しく処罰するための法改正の可能性にも言及した。現在、宗教団体の政治介入行為に対する処罰は政党法、公職選挙法、政治資金法などの政治関係法と一般刑法に則って行われている。
ハンギョレより
確かに、旧統一教会に限らず、宗教と政治の距離が近すぎる事例はどこでも問題になりやすい。
しかし、この発言は「政教分離」を掲げながら、実際には国家権力による宗教選別を正当化しかねない、かなり危険な一線を踏み込んでいる。
宗教と政治の深い闇
日本でも解散命令へ
日本国内でも、旧統一教会に対する解散圧力は続いている。尤も、宗教法人の解散は政治的スローガンほど簡単な話ではない。
旧統一教会、存立の瀬戸際に 解散命令、年度内にも高裁判断―安倍元首相銃撃
2026年01月22日08時43分
安倍晋三元首相銃撃事件は、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の高額献金問題が改めて注目されるきっかけとなった。昨年出された解散命令を不服として教団が即時抗告しており、年度内にも東京高裁の判断が示される可能性がある。命令が維持されれば、その時点で宗教法人格を失うことになり、教団は存立の瀬戸際に立たされている。
時事通信より
高額献金問題は、確かに被害者やその家族の人生を狂わせる大きな問題だ。だが、同様の問題は過去に創価学会など他の宗教団体でも指摘されてきた。
やるのであれば、特定宗教だけを狙い撃ちにするのではなく、同種の行為を行った全宗教団体に対して等しく適用されるべきだろう。
別に、旧統一教会を擁護する気はないのだが、安倍晋三暗殺事件に関わったテロリストも、死刑が求刑……されずに無期懲役だったね。その裁判では犯行動機の一端にはなったとされているけど、裁判を通じて旧統一教会のせいで恨みを募らせたという物語は否定されつつある。
そうすると、解散命令のスタートが間違ってたという話になるんだよなぁ。やはり不公平に感じる。
韓国でも政治と密接に
日本の話題を挟んだが、本題は韓国である。
李大統領は21日の年頭記者会見で、最近与野党が論議している旧統一教会と新天地(韓国の新興宗教)の政教癒着疑惑に関する特検について、「(野党「国民の力」は)内心はやりたくないのに、表向きそう言っているだけなのではないかという気がする」とし、「特検が合意に至らないことに備えて、検察と警察に合同で捜査するよう指示してある」と語った。旧統一教会に関しては与党「共に民主党」のチョン・ジェス議員らが教団から金品を受け取った疑いで取調べを受けており、新天地は2021年に「国民の力」の大統領候補を選ぶ予備選挙に介入した疑いなどで、検察と警察による合同捜査が進められている。
ハンギョレ「李大統領「政教癒着は国を滅ぼす道~」より
韓国大統領の李在明氏(ミョンミョン)は、「政教分離の原則が崩れることがあってはならない」と大上段に構えて、畑にある小石を排除するが如く、「取り除け」と語った。
なかなか過激である。
過激ではあるが、ミョンミョンがこの様な発言をするに至った背景はあるのだ。日本の旧統一教会の一件が切っ掛けになったような部分はあるのだが、かねてから韓国国内では宗教が政治と深く関わっていた。
韓国保守、強まる宗教色 キリスト教右派が「陰の支配者」に 与党取り込み拡大
2025/5/25 18:05
6月3日投開票の韓国大統領選は、革新系最大野党「共に民主党」候補の李在明(イジェミョン)前党代表がリードする展開となっている。
~~略~~
保守系与党に浸透する宗教右派は、全光焄氏率いる勢力だけではない。
日本統治下の1919年に起きた「三・一独立運動」の記念日を迎えた3月1日、国会議事堂前。警察推計で6万4千人を動員した光化門の太極旗集会と並び、5万5千人もの参加者を集結させたのが、1月に設立されたばかりのプロテスタント団体「セーブコリア」だった。拙速な大統領弾劾手続きを批判し、瞬く間に集会規模を拡大。この日は与党議員37人も参加した。
産経新聞より
この記事、Geminiで整理しようとしたら陰謀論認定をされてしまったのだが、構図としては興味深い分類がなされている。
- 旧与党陣営(保守:国民の力 側)
- プロテスタント右派(キリスト教右派):牧師・全光焄の率いる勢力
- 世界平和統一家庭連合(旧統一教会):指導者・韓鶴子の率いる勢力
- 大韓仏教曹渓宗(最大宗派)の主流 :禅宗の流れを汲む「曹渓宗」のうち、自乗派と呼ばれる主流派組織が「国民の力」側に汲みしているとされる。
- 旧野党陣営(進歩・革新:共に民主党 側)
- カトリック教会:現全国司祭団・正義具の率いる勢力
- プロテスタント左派(進歩的教会):人権問題や南北交流を重視する勢力
- 大韓仏教曹渓宗(最大宗派)の支流:禅宗の流れを汲む「曹渓宗」のうち、参与仏教僧伽会と呼ばれる組織が「共に民主党」側に汲みしているとされる。
大雑把な分類なので、宗教内部でも意思統一されている訳ではないようだ。そして、韓国の選挙ではこうした勢力の動向が色濃く反映される。
ミョンミョンが、これらの影響を「全て排除」するという意味であれば未だマシだが、敵側の組織力を削ごうという意図であれば最悪である。そうであれば、これは政教分離というより、政治闘争の言語に近い。
旧統一教会は何故狙われたか
一応お断りしておくが、個人的には神道を信仰するのが実家の方針であったので、旧統一教会もどちらかというと敵側。それ以上に憎んでいるのは創価学会だが、まあそれはさておこう。
しかし、感情と制度設計は別である。
李大統領は「新天地は少なくとも2000年初めから(政治介入を)始めたようで、旧統一教会も多く介入したようだ」として、「(旧統一教会や新天地以外にも)一部のプロテスタント教会は説教の時間に『李在明は死ね。李在明を殺さなければ国が生き残れない」と牧師が繰り返し説教しているところもある」と述べた。そして「他のプロテスタント教会は、ひとまず(政治介入したかどうかの)境界がはっきりしないため今は放置しているが、自然と捜査しなければならなくなるのではないか」とし、「畑を耕す時に大きな石と小さな石を一度にすべて取り除くのは大変だからできない。大きな石を取り除いた後に砂利を取り除く段階が来るはず」と述べた。
ハンギョレ「李大統領「政教癒着は国を滅ぼす道~」より
ミョンミョンが口にしているように、旧統一教会は明確にミョンミョンの敵であったようだ。
そうすると、ハンギョレの記事を読む限り、「大きな石」が旧統一教会であり「取り除かれた」という認識であるらしい。
日本でも旧統一教会が排除されつつあるのだが、これももしかしたら同じ流れなのではないか。
旧統一教会は、今でこそその雰囲気は欠片もないが、国際勝共連合をルーツに持つ組織であり、韓国では「国民の力」側に協力していると。なお、旧統一教会は、日本の信者から資金を吸い上げて韓国の政治組織に資金供与を行っていたことも既に明らかになっているので、ある意味では勝共連合的な遺伝子は歪な形で残っていたと言えるかもしれない。
簡単に整理すれば、ミョンミョンがトップに座った段階で、敵方を排除した、そういう構図だ。韓国では「積弊精算」と言われる手法で、いつの時代にも新たに誕生した勢力によって旧勢力の排除が行われる。
まとめ
政治と宗教の関係は単純に善悪で切れる話ではない。
「政教分離」は重要な原則だが、「どこからが宗教なのか」という線引きは極めて曖昧だ。例えば、僕自身は日本共産党のあり方もある意味宗教的な関係だと見ている。また、公明党はほぼ宗教政党だし、参政党やれいわ新撰組の組織構成もかなり宗教色が強い。宗教ではないが、宗教的な動員手法だといえば、否定し難い部分があるだろう。
それらをすべて排除するのか――という話に必ず行き着く。
今回の話は韓国での話だから、日本の構図で説明するのは余り宜しくはないのだが、しかし、政治と宗教という構図は何処の国にもあることだという整理ならば、ある程度は理解の助けになると思って言及した。
だからこそ、排除よりも旗幟鮮明の方が健全ではないか。どの政党が、どの組織の支援を受けているのかを明らかにし、それを踏まえて有権者が選択する。
本来、民主主義とはそういう仕組みのはずである。
そうすると、韓国の今の動きというのは、宗教弾圧に繋がりかねない危険な動きか、或いは敵対勢力を政治的な力で叩き潰そうとする闘争の構図であると、整理できる。



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