原発の新設を認めないという方針が示された。
再稼働には賛成しつつ、将来的には原発ゼロを目指す――そういう意味での「筋」は一応通っているのだろう。しかし、果たしてそれは政策として整合的なのだろうか。
中道、原発新増設認めず
2026年01月26日14時44分配信
中道改革連合の野田佳彦共同代表は26日の党首討論会で、原発の新増設を認めない立場を示した。
時事通信より
要するに、リプレースも不可、ということらしい。
次世代炉すら否定する「新規建設不可」という立場
反原発思想を明らかに
これだけ取り上げるのはフェアではない気がするので、こちらのニュースもあわせて引用しておこう。
中道、安保法「合憲」 原発再稼働を限定容認―基本政策
2026年01月19日19時27分配信
立憲民主、公明両党による新党「中道改革連合」は19日、次期衆院選で公約の土台となる基本政策を発表した。
~~略~~
原発の再稼働も、安全性の確認を条件に認めた。安保、エネルギーなどの分野で現実路線を鮮明にし、政権担当能力をアピールした格好だ。
時事通信より
原発の安全性の確認を条件に、中革連は再稼働を認める立場を表明している。少なくとも電力需要に応える積もりはあるようなのだ。
だが、素直に冒頭の方針「新規原発建設を認めない」という意味を解釈すれば、リプレースも次世代炉も含めて一切認めないという意味になる。
そうすると、再稼働を「現実路線」と位置付けながら、将来に向けた一切の原子炉建設を否定することになる。これは短期と中長期の政策が分断されており、エネルギー政策としての連続性を欠いている。
「現実路線を鮮明に」と言うのであれば、本来はせめて代替となる安定電源の提示が必要だ。
おそらく彼らの答えは「再生可能エネルギーの活用」なのだろうが、正直なところ、それで何がどれだけ賄えるのかは極めて怪しい。ドイツなどは失敗して方向転換したし、他の北欧国家も軒並み再生可能エネルギー発電だけではどうにもならないという結論だ。
その結果、再生可能エネルギー発電だけでは安定供給を担えない、という結論に各国が収斂しつつある。もしかしたら、「電力の安定供給」という概念が中革連にはないのかもしれない。
結局のところ、これは政策判断と言うより、反原発思想に配慮した政治的決断なのではないか。
そういう意見が駄目だと否定するつもりはないが、それは「政策」ではなく「イデオロギー」である。
一方韓国は方針転換した
中革連の方針がこの様に明らかになった一方で、韓国では逆方向の動きが出ている。
韓国大統領の李在明氏(ミョンミョン)は、新規原発の建設を容認するに至った。
李在明政権、「新規原発」建設方針を表明…敷地選定めぐる軋轢・核廃棄物対策はいかに
登録:2026-01-27 08:22 修正:2026-01-27 09:03
韓国政府は前任の尹錫悦政権時代に作られた国家計画に基づき、大型原子力発電所2基などを新たに建設する方針を発表した。今年中に敷地選びを始め、早ければ2037年の竣工を目指す。再生可能エネルギーの拡大を約束した李在明政権が、原発も共に使うしかないという「エネルギーミックス」を前面に掲げ、これまで批判してきた新規原発まで進めている。
ハンギョレより
個人的に、ミョンミョンのこの掌クルックル具合は結構好きだ。実利があると見れば、容易に方針転換をする。彼は左派的思想ではあるが合理主義者なのだろう。
あれだけ拘ってきた再生可能エネルギー発電方針と、どのような整合をとるかは見物ではあるが、少なくともこの方針表明は凄いと思う。
キム・ソンファン気候エネルギー環境部長官は26日、会見を開き「気候(危機)に対応するため、再生可能エネルギーと原発中心の電力運営が必要だが、他の国々とは異なり韓国は『エネルギー島国』でありながらも東西が短く、再生可能エネルギーの主力電源である太陽光だけでは(電力需給が)難しい」とし、第11次電力需給基本計画(電基本)の新規原発建設を計画通り推進すると述べた。
ハンギョレ「李在明政権、「新規原発」建設方針を表明~」より
言葉の意味は良く分からないけれど、環境部長官もその方針を示したので方針転換は決定的だろう。
また、原発建設を継続することは、将来的な原子炉輸出を考える上でも重要な判断となる。この点は韓国特有の事情もあるが、「建てられない国」が技術輸出できないのは当然だ。
故に、合理主義者のミョンミョンは批判を受けようが「反原発感情に限界がある」ことを政策に反映した。
左派勢力として台頭した当初、ミョンミョンは原発を全て廃止する方針を掲げていたが、政権を握って以降は「エネルギーミックス」を唱え、最終的には新規原発建設の容認にまで踏み込んだのである。実現性は不明だが、少なくともその是非を含めた議論を進める段階には入ったと言えるだろう。
中革連の目には、こうした現実すら映らないのだろうか。
支那も原発建設を推進
既に触れているが、支那も積極的に原発の建設を推進している。
支那の場合は徹底的に割り切って、コストダウンのために大量生産に踏み切っている。これはある意味、小型モジュール炉(SMR)の発想に通ずる。
ただ、国内に100基を超える原発を作る計画があるので、隣国としては不安を禁じ得ない。今後、老朽化した原子炉が果たして支那に適切に運用されるのか?ということを考えると、かなり不安だ。
なにしろ、廃炉コストを嫌って、埋める、放置する、爆破解体する判断をしかねない。……流石に爆破解体はないと信じたいな。
ウイグルにあるロプノールの地は、1964年から核実験場として使われていた。当然、空中・地上で行われた核実験については知られているし、地下核実験も行われたとされている。
大気中に放出された放射性物質は、長い期間日本にも降り注いだ。

その実験場は今もそのまま放置されているといわれているが、支那はそれについて一切公表していない。
支那らしい対応ではあるが、原子炉もそうならない保証は何処にもない。
技術の劣化
こういった事情を考えると、「日本だけ新設しない」という選択にはメリットが見当たらない。特に、安全性を高めた原子炉が設計・建設可能であるなら、更新を進める方が合理的だ。
技術は、使わなければ失われる。そして一度失われた技術を取り戻すのは、極めて困難である。
過去にこの記事で触れていることだが、アメリカはスリーマイル島事件以降、34年ほど新規原発の建設は行われなかった。
東芝の失敗事例としてこれらの記事に紹介したが、東芝は今やパテントトロールと化したウエスチングハウス社を買収し、テキサス州での原発建造計画に参加して失敗した。
失敗した理由は明白。アメリカに原子炉建設技術者がいなくなってしまっていて、現地労働者によって建てられるハズの原子炉建屋はいつまで経っても完成しない。損失だけが積み上がったという事態に陥ったのである。
日本の原子炉建設も、今や大間原子力発電所と島根原子力発電所の2基のみになってしまった。幸いにも美浜原発に次世代炉の建設が計画されているので、完全に火が消えたわけではないが、継続的な建設なしに技術承継は成立しない。
中革連の方針は、事実上「原子炉建設技術の国内消滅」を容認するものでもある。
次世代炉であっても「新規建設」である以上認めないというのであれば、 技術継承も、改良も、将来の安全性向上も放棄することになる。
まとめ
というわけで、各国の事情も併せて中革連の方針に絡めて説明した。
中革連の「新規原子炉建設不可」という方針は、思想の一態様としては理解できる。しかし、政策として見た場合、技術承継・エネルギー安全保障・国際環境のいずれも考慮が不足している。
将来一切原子炉を造らないと決めるのであれば、次世代炉建設も出来なくなる選択肢を容認するという意味だ。だが、その覚悟と代替策が示されていない以上、単なる反原発原理主義のイデオロギーにしか見えない。
電力の安定供給が大前提にある以上は、次世代炉、核融合、そして技術の継承は必須。これらを含めたグランドデザインなしに語られるエネルギー政策は、空虚に響くのみ。
中革連は、その設計図を本当に持っているのだろうか。現時点で示されている限り、その設計図は存在しないように見える。政権担当能力を謳うなら、せめて代案は提示して頂きたい。






コメント
この人達はベース電源をどうする積りなんですかね
原発は特に加圧水型原子炉は
福島の件で改善されてるのに
太陽光発電がベース電源になると思っているのですかね
新規の原発はもっと改善されてます
但し使用済み燃料の件はいずれどうにかしないと駄目ですね
「ベース電源」という概念は理解されていないのでしょう。
彼らの口から聞いたことがありません。
「再生可能エネルギー発電を使って工夫する」とは言われますが、我々はその工夫こそ知りたいのですよね。