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玉木氏の改憲発言に感じる違和感 「合意形成」とは何を指すのか

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政治
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最近の国民民主党の玉木氏、流石にちょっと発言のブレが看過できない状況なんだけど、どうやらその感覚は世間一般とズレているらしい。

国民玉木氏、改憲巡り首相に苦言「二分しちゃダメ」 産経の新憲法案公開は「議論が拡散」

2026/4/28 16:58

国民民主党の玉木雄一郎代表は28日の記者会見で、憲法改正の実現に向け、論点の拡散や左右の対立を避けるべきだとの認識を示した。

産経新聞より

この産経新聞の記事だが、玉木氏の発言は正論めいて聞こえる。しかし整理してみると、その時々で着地点を変えている印象が強い。風見鶏と言われても仕方あるまい。

発言の整合性を検証する

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憲法改正について

まず大前提として、今回の衆議院選挙を経て、自民党は少なくとも「改憲を掲げて信任を得た」と主張できる立場にある。

高市首相「憲法改正、時は来た」 就任後初の党大会、改憲発議に意欲

2026年4月12日 12時45分

自民党は12日、高市早苗首相(党総裁)の就任後としては初めてとなる党大会を都内のホテルで開いた。首相は「日本人の手による自主的な憲法改正は党是だ。時は来た」と主張。「改正の発議にめどが立った状態で来年の党大会を迎えたい」と語り、国会での改憲議論を加速するべきだとの認識を示した。具体的な改憲項目は言及しなかった。

朝日新聞より

そして、この選挙の時に一体何を掲げていたのか?について、今一度整理しておこう。

  1. 強い経済で笑顔溢れる暮らしを。
  2. 地方が日本経済のエンジンに。
  3. 我が国を守る責任。国際秩序を担う日本外交。
  4. すべての世代に安心と次世代への責任。
  5. 時代にふさわしい新しい憲法を、私たちの手で。

衆議院選2026より

5番目に明確に示したのが、憲法改正である。「新しい憲法を」と言っているので、或いは新憲法の制定か?とも思えるけど、中身を読めば改正することを明示している事は明らかだ。

  • ①自衛隊の明記、②緊急事態対応、③合区解消・地方公共団体、④教育の充実の4項目を中心とした憲法改正の実現に向け、「国民への丁寧な説明」を積極的に展開します。
  • 安定的な皇位継承のため、「皇族には認められていない養子縁組を可能とし、皇統に属する男系の男子を皇族とする」案を第一優先として、皇室典範の改正を目指します。
  • 旧氏使用ができないことで不便を感じられている方に寄り添い、旧氏の通称使用の法制化を目指します。
  • 衆議院選挙制度について、衆議院議長のもとに設けられた協議会での結論を得て必要な法改正を行います。
  • 一割を目標に衆議院議員定数を削減するため、次期国会において法案の成立を目指します。
  • 政治資金については、「禁止よりも公開」のもとに透明性・公開性の一層の強化を図ります。
  • 政治資金の在り方について、国民の信頼を確保する観点から、国会に置かれる有識者会議において幅広く検討を加え、令和9年9月30日までに結論を得て、必要な法制上の措置等を講じます。
衆議院選2026より

争点はあらかじめ示され、その上で選挙を戦い、勝利した。であれば、少なくとも改憲議論を進める政治的な正統性は得たと見るのが自然だろう。

議論のための議論ではない

そして、この憲法改正について高市氏はこの様に述べている。

首相は改憲について、「議論のための議論であってはならない。国民の負託に応えるためには、決断のための議論を行うべきだ」と述べた。改憲の発議には衆参両院で3分の2の賛成が必要で、自民は衆院で単独で3分の2を超えるが、参院では半数に満たない。与党内での議論はまとまっておらず、野党からの賛同のめどは立っていない。期限に言及することで、首相は党内外の動きを促す狙いがある。

産経新聞「国民玉木氏、改憲巡り首相に苦言~」より

自民党としても、「国民の負託」を得たという確証はあれど、現実問題として改憲の発議にハードルがあることは理解している。

そして、与党内でも「議論を二分するテーマ」であることは理解されているようだ。

そのうえでなお「進める」と言うのが、首相としての政治判断なのだろう。

こうした前提を踏まえて記事を読むべきだと思うのだが、どうやら別の見方をしている人物もいるようだ。

私の考える「さいきょうのけんぽうかいせい」

さて、玉木氏の発言を見ていこう。

玉木氏は今国会で衆院憲法審査会の委員に復帰しており、審査会の議論について「『私の考える最強の憲法改正』みたいな主張が言われ、議論がとっちらかっている」と違和感を示した。「支持者向けの発言が多い」とした上で、「合意形成が全てだ。あまり欲張らず、どこなら合意が得られるか冷静な議論をやるべきだ」と語った。

産経新聞「国民玉木氏、改憲巡り首相に苦言~」より

この言い回し、どうにも相手を一段低く見ている時に使われがちな表現に聞こえる。だが、この意見に合意が得られるかは別なので、それはさておこう。

では、国民民主党がどのような憲法改正の意見を持っているのか?に関して、確認しておきたい。

  1. 緊急事態条項の創設(最優先事項)
  2. 憲法9条への「規範力」の回復
  3. デジタル時代の人権保障(新しい人権)
  4. 統治機構の改革

……いや、1と2は国民民主党自身も提言していた話ではないか。

産経新聞社の試案のことはここでは議論しないが、高市氏に対して「二分しちゃダメ」と言いつつ、自らの党が掲げた方針はこれだとすると、主張に齟齬が出るのではないか。

国民民主党の掲げた内容と齟齬が出ないようにするのであれば、緊急事態条項と9条改憲はやるという話になるだろう。

でも、このテーマに強硬に反対してくる野党勢力がいるよね。そこは排除して良いということなのか、そこも乗れるようにしろという意味なのか。

国民民主の立ち位置については「右か左か、護憲か改憲かといった所に埋没しない。必要な立法事実に基づく改憲を国民に示したい」と説明。その上で「議論を拡散させず、『それはやめましょう』と言って、ガードレールからはみ出そうとする議論を、道のセンターに戻す役割が国民民主だ。合意できるテーマを絞り込み、条文の策定につなげていく」とアピールした。

産経新聞「国民玉木氏、改憲巡り首相に苦言~」より

玉木氏は原則論を繰り返しているけれど、内情を見ると「国民を二分する議論」に突っ込むことは避けられないと思うんだが。

合意形成の意味

さて、では、玉木氏はどの分野なら「合意できる」と考えているのか。

合区解消の改憲条文作成へ 玉木氏「理解得やすい」

4/21(火) 12:25配信

国民民主党の玉木雄一郎代表は21日の記者会見で、憲法改正の議論を巡り、参院選の「合区」解消を優先すべきだとの意向を強調し、党独自の条文案を作成すると表明した。

Yahoo!NEWSより

……あれ、選挙の時にそんなこと言っていたっけ。

(3)選挙制度改革

衆議院については、現行の小選挙区比例代表並列制の課題解決とより多様な民意の反映ができる制度として中選挙区連記制を一案として、選挙制度を見直します。参議院については、一票の格差問題で違憲判決が度重なっていることと、地方の声をより反映させる合区の解消等の観点もあわせて、衆参両院の役割を見直す等、選挙制度を見直します。また、自由で公正な選挙を妨げる行為の規制の強化と併せ、より選挙活動の自由度が増す規制緩和の両面から検討を加速し、公職選挙法の改正を行います。

国民民主党のサイトより

これの何処が憲法改正なのかと思ったら、どうやら、憲法47条の改正ということのようだ。その方針については、自民党が過去に提言している。

参院合区「47条改正で解消を」 自民改憲本部

2017年11月16日 20:00

自民党は16日、国会内で憲法改正推進本部(細田博之本部長)の全体会合を開いた。「1票の格差」是正のため2016年の参院選で導入した「合区」について、憲法47条を改正して解消すると大筋で一致した。改選ごとに「広域的な地方公共団体」から1人以上を選出する規定を追加する方針。一方で連立を組む公明党など他党の協力を得るメドは立っていない。

日本経済新聞より

なるほど。つまり「このテーマなら国民民主党としても乗りやすい」という判断なのだろう。

ただ、自民党にとって乗りやすい論点なのは理解できるとしても、国民民主党自身は選挙時に「公職選挙法の改正」を掲げていたはずだ。そこで急に改憲優先へ軸足を移すなら、説明は必要だろう。

まとめ

玉木氏の発言は正鵠を射ているようで、その実、風見鶏の本領発揮とばかりに意見の変節を繰り返している印象を拭えない。

意見を変えるなとは言わない。状況が変われば判断も変わる。だが、その説明なく「二分するテーマは避けるべきだ」と語るなら、やや上から目線に映るのも無理はない。

少なくとも、選挙で改憲を掲げ、その内容に沿って進めようとしている自民党に対して、一方的に苦言を呈せる立場かといえば疑問が残る。

少なくとも「二分するようなテーマはダメ」と語るのであれば、まず国民民主党内での合意形成こそ問われるのではないか。選挙時とは異なる方針を玉木氏が打ち上げ、その論点がやがて萎んでいく光景はこれまで何度も見てきた。老婆心ながら、今回もそうならないことを願うばかりだ。

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