激動の国際情勢が、また1つ動き出す。
北朝鮮が憲法改正、「平和統一」を削除 金正恩氏の権威強化の狙いも
2026年5月6日 21時55分
北朝鮮が憲法から「平和統一」といった文言を削除し、韓国を「別の国」とみなす条項を加えるなどの改正をしていたことが分かった。韓国について「もはや同族関係ではない」とし、平和統一をうたう従来の路線を転換した金正恩総書記の意向を反映した形だ。
朝日新聞より
北の将軍様、大きな決断をしたようだ。憲法改正によって、朝鮮半島の統一という目標を下ろしたらしい。
それにしても、あっさり憲法改正するもんですな。日本はまとまり無く憲法改正の道筋も未だ出来ていないというのに。
独立国家としての路線変更か
敵国認定
この決断について、歓迎する向きの楽観論もあるようだが、僕はそんな楽観的にはなれない。
削除された「平和統一」と「民族大団結」などの言葉だが、比較的平和を想起するような単語ではある。
それによると、従来の憲法にあった「平和統一」や「民族大団結」などの文言が削除された。さらに、新設された北朝鮮の領域を示す条項には「南を大韓民国と接している」と記されており、韓国が別の国であるとの認識を明確にした。
朝日新聞「北朝鮮が憲法改正、「平和統一」~」より
ただし、「南を大韓民国と接している」という表記から、全面的に韓国側の主張を取り入れたという意味合いを感じる。つまり、「同じ民族だから統一すべき」という論理を捨てたという意味なのだろう。それは、「民族大団結」を削ったということからも分かる。
これまでは、「南朝鮮」という位置づけで、その地域を統治しているのは非正規な政府だという形だった。だから統一すべきだという炉時空だったのだ。だが、今回は完全に別の国認定となっている。そうすると、「敵対国」の文字はないとはしているが、敵対国家という位置づけにしたと理解するべきではないか。
北朝鮮の改正憲法は「二つの敵対国家」の原則を反映している
公開日時:2026年5月6日 15:27:40
北朝鮮は改正憲法から統一と民族統一に関する記述を削除し、「二つの敵対国家」というドクトリンに沿って、北朝鮮地域のみを自国の領土と定義している、と専門家が水曜日にソウルの統一省で開かれた記者会見で述べた。
北朝鮮専門家でソウル大学政治学・国際関係学教授の李正哲氏は、憲法の前文と本文の両方から、「北半分」「祖国統一」「平和的統一」「偉大な民族統一」といった統一や民族主義に関連する用語が削除されたと指摘した。この改正は、2023年末に金正恩朝鮮労働党委員長が宣言した「二つの敵対国家」政策を反映したものだ。
コリア・ヘラルドより
この記事にもあるが、金正恩氏本人が「2つの敵対国家」政策を採っていたとある。
支配体制の強化
更に、今回の改正で「国務委員長」を明確に「国家元首」と定義したようだ。
今回の改正により、国務委員会委員長の権限はさらに強化され、同職が正式に国の「国家元首」と位置づけられ、憲法上の国家機関の階層において、初めて最高人民会議よりも上位に位置づけられることになった。
新たに追加された条項では、国務委員長に北朝鮮の核戦力に対する権限が与えられ、指揮権を移譲する権限も含まれる。
コリア・ヘラルドより
ザックリ言うと、権力を強化した感じ。
そして、核兵器のボタンも金正恩氏が持つことが明記されている。
おそらくは、イラン情勢を踏まえて、核兵器こそ最強という理解に至ったと考えるべきで、「民族統一」という足を引っ張る概念がなくなったことから、より国際社会と対等な立場だと印象付ける狙いがあるのだろう。
この見方に関しては、比較的多くの識者が共有しているようだ。

日本の隣国に「更にアブナイ国家が誕生」という理解で良いと思う。
「戦後賠償」の問題再燃
しかし、日本としてはどちらかというと「アブナイ国家誕生」というフレーズよりも、朝鮮人が口を揃えて主張してくるいわゆる「戦後賠償」問題と、拉致被害者の問題の方が大きくなると思う。
本来、朝鮮併合後に起こった出来事は、日本として行動した行為であって、朝鮮半島は寧ろ加害者側の立場である。したがって、賠償金を払う義務はない。
ただし、韓国とは国交樹立にあたって、日韓請求権協定(1965年)に定められた通りに支援の形で多額の金銭と共に技術提供なども行っている。つまり、朝鮮半島の国家に対しては賠償問題は最終的に終わっているのだ。韓国は北朝鮮の分もまとめて受け取っているという立場なので、もし必要であれば韓国からお金を貰ってくださいというのが日本の立場である。
とはいえ、拉致問題も残っているので、交渉のテーブルには「金銭的解決」という選択肢が残っている。現在の北朝鮮の立場は「解決済み」ということになっているが、立場を変えて「未だ残っている」という言葉を引き出せれば、即時返還要求をして、その見返りの支援というのは、政治的にはあり得るかもしれない。
幸いなことにというか、以前は、日本の立場として朝鮮半島には1つの統一国家しか存在しないというロジックだったために、韓国を通した交渉しか出来なかった。
が、以降は、直接的な交渉ができる可能性が増えたという見方も出来る。その場合には、北朝鮮を国家として認めて、国交を結ぶプロセスが必要になってくるのだけれど、この辺りもアメリカとの共同歩調は避けられまい。
問題が明確化した点はプラスだが、課題が増えたという意味ではマイナスだろうね。
まとめ
北朝鮮が単独国家であるという性格を強めた結果、日本はこれまでの対北朝鮮政策を見直さなければならない立場になった。
核兵器を保有した国家が誕生したと言う意味では、脅威が増えたと言う理解も出来るが、実質的には変化がないとも言える。寧ろ、直接交渉のルートが開拓しやすくなったという意味では、プラスかもしれない。何しろ、韓国は仲介役としては全くといって良いほど役に立たなかったから(表向きは、だが)。
今後の高市政権の課題が増えた一方で、拉致被害者問題解決の糸口が見えたとも言えるわけで、是非ともこの機会を活かすような交渉をして欲しい。


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