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米国で支那工作員を摘発、日本では何故できないのか

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北米ニュース
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アイリーン・ワン事件!

米司法省、米カリフォルニア州の市長訴追 中国政府の代理人 次官補「憂慮すべき事態」

2026/5/12 13:27

米司法省は11日、米当局への届け出なく中国政府の指示を受けてプロパガンダ(政治宣伝)を発信したとして、米西部カリフォルニア州アルケイディア市のアイリーン・ワン市長(58)を連邦裁判所に訴追したと発表した。ワン被告は有罪を認め検察との司法取引に応じ、11日に市長を辞職した。

産経新聞より

なかなか衝撃的な事件である。

何故なら、支那共産党の指示で動いていた人物が、アメリカの地方自治体のトップにまで入り込んでいたからだ。

ただし、アイリーン・ワン氏はおそらく末端の工作員なので、もっと裏には組織的なアレがあると思う。

スパイ工作事件

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外国代理人登録法(FARA)とは異なる

スパイ天国と言われる日本でも、かなりスパイ活動が進められていると言われているが、取り締まる法律が無いので事件として表には出てこない。

が、アメリカはその手の法律があるので、取り締まりの対象になる。概形的にはそういう話なのだ。

司法省の発表によると、ワン被告は2020年後半から22年にかけて、米当局へ「外国代理人」としての届け出をせずに中国政府の指示を受け、地元の中国系米国人向けのウェブサイトを運営し、新疆ウイグル自治区でジェノサイド(集団殺害)は起きておらず、綿花栽培の強制労働も存在しないなどとする内容を掲載したとしている。

産経新聞「米司法省、米カリフォルニア州の市長訴追~」より

合衆国法典18篇951条に抵触するということで問題視された事件なのだが、この話に触れる前に少しアメリカの法体系に関して整理しておきたい。

アメリカで外国政府や外国勢力の影響力を規制する主な法律には、一般に「外国政府代理人禁止法」と混同されやすい「外国代理人登録法(FARA)」と、スパイ摘発に直結する「外国政府代理人届出義務違反罪(合衆国法典18篇951条)」の2つが存在する。

この2つは、外国人による政治活動を禁止するのではなく、外国人による無許可または無登録での政治活動を禁止する趣旨である。つまり、言論の自由の侵害とは別の次元の話なのだ。

沖縄県のワシントン事務所の話

FARAに関連する話としては、沖縄県のアレの話がある。

沖縄県ワシントン事務所問題:偽装民間企業が海外ロビー活動をした理由
サヨク界隈の話題をもう1つ。無理あった「沖縄県の政治活動」 米ワシントン事務所、株式会社を〝偽装〟2026/3/8 19:48沖縄県の米国ワシントン駐在事務所が株式会社として設立され、日本の国内法に反して運用されていた問題で、設立を支援した…

後ほど修正しておくが、この時書いた記事は誤解を生じる幾つかの問題がある。調査が不十分であったためで、この場をお借りしてお詫びして訂正させて頂きたい。

すなわち、以下の流れで沖縄県は行動した。

  • 平成27年(2015年)年4月:ワシントン事務所を立ち上げて、アメリカでロビー活動の準備開始。
  • 一般的な公的機関の海外事務所と同じように、非営利団体(NPOなど)としての設立を目指していた。
  • 米国務省からは「政治的だ」との理由で非課税事業者としての登録に難色を示される。
  • 民間組織(株式会社)としてFARA登録を適法(アメリカでは合法の意味)に行った。

非営利団体として登録するなら、外交を補佐する政府系の組織にしなければならないと思うが、沖縄県の狙いは政府とは違う動きだったので、当然、それは出来ない話となる。

で、アメリカでは適法に登録できたんだけど、日本においては色々法的問題があったわけで、その辺りは前の記事で言及したので割愛させて貰う。

18 U.S.C. §951(外国政府代理人届出義務違反)

いわゆる外国政府代理人届出義務違反罪(合衆国法典18篇951条)は、冷戦期の1948年のこと。旧ソ連の諜報活動が活発になって、スパイ防止法だけでは網をかけきれず、非伝統的な工作活動を力技で取り締まるためのやや乱暴な印象を受ける法律構成になっている。

ただ、冷戦後はあまり利用されていなかったのだが、政治ロビーを透明化するFARA(5年以下の禁錮)では近年の政治活動に対処できなくなって来たため、改めてこれを適用し始めたというシロモノである。

この951条は「事前届出なしに外国政府の指示で動いただけで10年以下の拘禁刑」にできる。

冒頭のワン氏は、支那の指示で活動していたことを認めたため、951条適用の典型例になってしまった。

ワン被告は有罪を認め検察との司法取引に応じ、11日に市長を辞職した。

産経新聞「米司法省、米カリフォルニア州の市長訴追~」より

日本国内でも市長が反日的な活動をするのは、割と目に付く。特に沖縄方面でね!で、それはさておき、ワン氏はアメリカでロビー活動を行って辞職した。

カリフォルニア州の市長、中国工作員の疑い 運営サイトで親中プロパガンダ 容疑認め辞職:時事ドットコム
【シリコンバレー時事】米司法省は11日、西部カリフォルニア州アルケイディア市のアイリーン・ワン市長(58)が、中国政府の指示で工作員として活動した疑いで訴追されたと発表した。ワン容疑者は司法取引に応じて容疑を認めているといい、市によると11…

このロビー活動なのだが、ウイグル人に纏わる話や法輪功に纏わる話だったようで。

「法輪功」とは何か

2004-02-05 00:00

「法輪功」とは、いったい何か。一口で言えば、中国の「オウム真理教」です。その教祖は現在アメリカにいる李洪志という人物です。「法輪功」も「オウム真理教」も他のカルト集団と同様ですが、教義や教祖への絶対服従と絶対崇拝を要求し、信者にマインドコントロールを施すのです。

某国日本大使館のサイトより

ウイグルについても酷いが、法輪功に対する支那の態度は更に苛烈である。過去に「人体の不思議展」という禍々しい展示物があったことにも関連するし、臓器移植の話にも関連するのだが……、まあなんだ、口に出すのもおぞましいので止めておこう。

この辺りは調べて頂ければおぞましい話が山のように出てくると思う。が、物的証拠を含めて調査することも難しいので、言及は避けておく。

ともあれ、こういった話に関して、支那のプロパガンダにしたがって広めていたのがワン氏だったということだ。

アルカディア市の市長

で、彼女の立場なのだが、カリフォルニア州アルカディア市(人口約5万3000人)はアジア系住民の比率が非常に高く、特に中国系コミュニティが集中している。

2020年アメリカ合衆国国勢調査によると、アジア系の住民が全体の64.9%を占め、市長になることも容易だったようだ。

そういえば、フィリピンで似たような話があったよね。

フィリピン女性市長に支那人スパイ疑惑
なんだか、現実の話とは思えないけれども、事実は小説よりも奇なりとは良く言ったものである。「中国のスパイ」疑惑のフィリピン女性市長、中国人だった…「指紋一致」2024.06.30 12:40南シナ海領有権問題で中国と対立するフィリピンで、「中…

こちらもなかなかの美人市長だったけれども、アメリカのアルカディア市長もなかなかである。

良くも悪くも、見た目は工作に重要な要素ということなんだろうと思う。実際に、この手の浸透工作に「よく使われる手法」なのだ。

アイゼンバーグ司法次官補(国家安全保障担当)は声明で「中国政府当局者から指示を受け、それに従って行動していた人物が公職に就いていることは極めて憂慮すべき事態だ。そうした外国政府との関係がこれまで一切公表されていなかったことはなおさら深刻だ」と強調した。

産経新聞「米司法省、米カリフォルニア州の市長訴追~」より

とまあ、罪状はともかくとしてやったことは当局の指示に従った工作で、罪に問われたのは、登録なしの外国政策に従った政治活動をしたということ。

当然ながら、工作員の一人という立ち位置なので、いわば小物。アメリカとしては司法取引して裏情報を得るとしても十分にメリットがあると考えたのだろう。

国家情報局設置を急ぐ

さて、この話は何処に着地するかというと、日本の「国家情報局」の設置の意義である。

「国家情報局」官民交流で人材確保へ 高市首相表明、参院で法案審議

2026年5月8日 19時27分

高市早苗首相は8日、政府のインテリジェンス(情報収集・分析)機能の強化に向けて設置を目指す「国家情報局」について、民間企業との交流などで専門人材を集める方針を示した。インテリジェンスに詳しい人材の確保は喫緊の課題となっている。

朝日新聞より

アメリカのアイリーン・ワン事件を冒頭に紹介したが、ワン氏本人は実は小物で、その裏にこうした工作を推進するための組織があり、おそらくアメリカ内部にネットワークを作っている。

スパイ防止法があり、外国代理人登録法(FARA)があり、外国政府代理人届出義務違反罪(合衆国法典18篇951条)のあるアメリカですら、この手の事件を未然に防ぐことは難しいのに、何れも持っていない日本が、狙われない理由はないのである。

実際に、おかしな首長が日本各地に点在していて、沖縄を含め本当に酷いことになっている。彼らがスパイだとか工作員だとか、そんなことを言うつもりは毛頭ないが、利用されている可能性は高いだろう。

だが、日本には、外国政府に利するどの行為が罪になるかすら定義がなく、野放し状態である。

その第一歩目が、「国家情報局」の設置であり、これを皮切りに安全保障インフラ整備をしていかないと、国益が守れない状況にある。

まとめ

スパイ防止法、外国代理人登録法(FARA)、外国政府代理人届出義務違反罪(合衆国法典18篇951条)の何れも、運用次第では問題を生じ得る法律である。

しかし、外国勢力による浸透工作や思想工作に対し、法的対抗手段そのものを持たなければ、国家は無防備になる。

戦前の日本でも、コミンテルンによる浸透工作や革命運動への警戒から、治安維持法が運用された経緯があった。無論、その運用には数多くの問題があり、拡大解釈や人権侵害が生じた歴史はよく知られていて、それを否定するつもりはない。

だが一方で、「法そのものが不要だった」と単純化してしまえば、外国勢力や過激思想への対抗手段を国家が放棄して良いのか、という問題に行き着く。「スパイ防止法は人権侵害に繋がる」というのは、まさにその文脈なのである。

必要なのは、適切な監視と統制の下で運用することである。日本は今まさに、その議論を避けてきたツケを払わされつつあるのではないか。

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