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HD現代の米造船所投資と、韓国内での米軍艦建造への障壁

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大韓民国ニュース
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コメントを貰った件を調べていたのだが、随分と問題が多い話みたいだね。

HD現代、米造船所投資も韓国での米軍艦建造は別問題…WSJ

2026.10.26. 07:47

HD現代など韓国の造船各社が米国造船業の再建に向け大規模投資に乗り出しているが、韓国の造船所で米海軍艦艇を建造するには、なお米国の法的・予算上の制約を乗り越える必要があると、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が25日(現地時間)報じた。

朝鮮日報「HD現代、米造船所投資も~」より

韓国には、対米投資でかなり重い課題が課せられている。

いや、正確に言うと、自ら進んで投資の内容を決定したのではあるが、これができるかどうかという話になると、大変に厳しい。

対米投資で韓国からドルを持ち出すのは、韓国にとって死活問題となるうえに、アメリカの製造業の痛み具合というのは、かなり深刻な状況だからだ。

それはそれ、これはこれ

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大統領権限とは別に議会承認が必要

おそらくは、この投資話においてHD現代に最初に降りかかるであろう障壁は、議会承認だろう。

トランプ政権は、米国造船業に相当規模で継続的な投資を行う外国造船会社に対し、自国で最大2隻の米海軍艦艇を建造できるよう認める案を提案した。しかし、これはまだ確定した制度ではない。

朝鮮日報「HD現代、米造船所投資も~」より

今回、HD現代が米建設会社キーウィット(Kiewit)と合弁会社を設立したとの報道があった。

来年からアメリカ国内に造船所を建設する予定で、2029年の本格稼働を目指すという。アメリカにとっては外国からの投資を呼び込むという意味で大変にスバラシイ話となるだろう。

ただし、トランプ政権が今年8月に公表した大統領覚書(海外艦艇建造例外措置)を振り返ってみると、以下のような内容となっている。

  • 条件:米国内の造船所に巨額の投資を行い、過半数の持分や新設を行うこと。
  • 特典:米海軍艦艇(水上戦闘艦、補給タンカー、輸送船の3種)の最初の最大2隻に限って、米国ではなく自国(韓国)の造船所で建造することを認める。

この約束は有効ではあるんだけど、約束に従って韓国内で軍関係の艦船の建造をしようとすると、それが容易ではないというのはちょっと困りものだよね。

「最大2隻の建造が可能」との約束があっても、実際に韓国内でアメリカ海軍の艦船を建造するためにはアメリカ議会の承認を得る必要がある。

議会の賛同を得るのは難しい

ところがこの承認がなかなか難しいようだ。

HD現代、米本土に造船所を直接建設…軍艦受注へ勝負手

2026.10.24. 00:39

世界1位の造船会社、HD現代が米本土に造船所を建設する。

~~略~~

今回の投資は、米国市場の高い法的障壁を乗り越えるための足場だ。米国は海軍艦艇と自国沿岸を航行する商船について、いずれも米国内での建造だけを認めている。その根拠法がバーンズ・トレフソン法とジョーンズ法だ。しかしドナルド・トランプ米大統領は今年8月、突破口を開いた。米国に造船所を新設または買収した外国企業に限り、米海軍艦艇の最初の2隻を外国企業の本国で建造できる例外を設けたのだ。

朝鮮日報より

現状、アメリカでの造船は絶望的な状況にある。

鍵となるのは、安定した仕事量の確保と収益性だ。米国は高い人件費と熟練工不足のため、船舶建造費用が韓国より2〜3倍以上高い。

朝鮮日報「HD現代、米本土に造船所を直接建設~」より

この建造費用が2~3倍以上というのが、何に基づいた数字なのか良く分からないが、建造効率だけの話ではあるまい。

人件費の問題を解消出来なければ、なかなか解消が難しかろう。

これにロボット溶接と自動化システムを組み合わせ、熟練工が絶対的に不足する米国で作業の遅れを防ぎ、人件費を画期的に削減する構想だ。全面稼働時には最大3000人を雇用し、米海軍の軍需支援艦などの補助艦や商船を建造するほか、他の米国造船所に船舶用ブロックを供給する拠点としても活用する計画だ。ブロックとは、船体を分割して造る大型組み立て単位を指す。

朝鮮日報「HD現代、米本土に造船所を直接建設~」より

一応、人件費が高くとも、熟練工が確保しにくい問題に関しては、ロボットの導入などによって解決しようとしているようだが、それがそう簡単にできるなら苦労はしないのだ。

実際、溶接のロボット化は進んでいるが、完全自動化というところまでは行かない。特に施工場所の検査をして問題があった場合の対応など、どうしても人手を要するケースが多いのだ。

その対応についてもトレーニングするのに、韓国内での研修が必要という位置づけで2隻に限り韓国内で建造が許可されたということなのだが、アメリカ議会と韓国政府の間には尚隔たりがあるようで。

しかし、関連予算の執行を裏付ける年次国防法案はまだ議会を通過していない。下院案は外国の造船所で建造した戦闘戦力用艦艇への資金支援を阻む一方、上院案には一部の非戦闘艦に限り、条約同盟国の造船所を活用できるようにする条項が盛り込まれている。

朝鮮日報「WSJ「米造船業復興の核心パートナーはハンファ」~」より

「非戦闘艦に限り」が、アメリカ上院側の要請であり、下院は「外国の造船所で建造した戦闘戦力用艦艇への資金支援を阻む」と、かなり強硬な姿勢を崩してはいない。

随分と虫の良いことを言っているようにも聞こえるが、アメリカ議会側としては艦船の弱みを外国に知られたくはないという切実な問題があるだけに、この辺りを譲ることはあるまい。

何より、韓国が「同盟国として信用出来る相手なのか」という問題も大きく横たわっている。

投資効率の問題

さて、そういった問題を抱えつつ、韓国のHD現代が前のめりになってアメリカに投資を行い、なんとか利益を引き出そうというのが冒頭のニュースなのだ。

だが、HD現代が描いている未来絵図は随分とお花畑に聞こえるようで。

まず、HD現代が示した「来年着工、2029年稼働、現地人材3000人雇用」という青写真からして楽観的だとの指摘が出ている。2024年にいち早く米フィリー造船所を買収し、年数で3年目の運営に入っているハンファオーシャンの苦戦がその根拠だ。現在フィリー造船所が獲得した商船受注は、ハンファ系列会社による自社発注分を除けば、米海運会社マトソンから受注した3600TEU(1TEUは20フィートコンテナ1個)級の液化天然ガス(LNG)二元燃料コンテナ船3隻程度だ。それすら契約価格は1隻当たり3億3000万ドル(約4400億ウォン)で、韓国・中国での建造価格の2倍を大きく上回る。高騰した人件費と老朽化した供給網のため船価が急騰し、現地船会社でさえ発注をためらう悪循環が生じている。

朝鮮日報「『MASGA』第一歩踏み出すも~」より

流石に、朝鮮日報も「楽観的だ」と指摘しているようだ。

その理由は、韓国国内で建造する話とは別に、アメリカ国内で艦船を建造する場合にも、それなりにハードルが高いという事情があるからだ。

造船所を支える前後方の資機材生態系が荒れ地同然である点も難題だ。現在、HD現代重工業は韓国で2420社に達する1次協力会社から部品やブロックの供給を受けて船を建造している。一方、造船業の基盤が崩壊した米国では、ボルト1本、鋼板1枚まで期日通りに調達するのは容易でない。現地の供給網を新たに構築するには、膨大な時間と費用が追加でかかる構造だ。

朝鮮日報「『MASGA』第一歩踏み出すも~」より

実際、以下のような問題が指摘されている。

  • 熟練工の調達が困難
  • 賃金が高く、労働者のスキルが低いので建造が長期化しやすい
  • 鋼材や部品の調達ラインが寸断されているので、供給網の再構築が必要
  • 材料や部品の価格が高い
  • 労使の法律が韓国内のそれとは格段に厳しい

こういったハードルがあることは、HD現代も理解しているのだろうが、それを楽観的に捉えている側面があるという指摘なのだ。

だが、では対米投資に手を出さずに、韓国国内での投資を進めていこうという風に考えた場合に、それもまた難しい事情がある。

これは韓国国内でアメリカ軍の艦船を作る以上に厄介な話で、韓国企業全体で数年先までバックオーダーを抱えている上に、材料高騰とウォン高のダブルパンチで、受注した金額で果たして船を作ることが出来るか?という事情がある。更に少子化と人材枯渇という問題を韓国内で抱えているだけに、将来性を考えると、リスクヘッジのために投資先を分けておきたいという要望を抱えている。

つまり、バランスを見れば、まだアメリカで投資を行った方がマシというのが、HD現代の判断なのだろう。アメリカと韓国の両政府からの支援が期待できるという読みもあるのだろうが。

まとめ

韓国企業HD現代の対米投資の険しい道のりについて、少し言及させていただいた。

HD現代としては、生き残りをかけた投資という側面があり、一概に否定するような話ではない。だが、アメリカ国内の事情を鑑みても、かなり厳しいことになりそうだということを説明している。

素材・部品の調達、人材の調達や人件費の問題、そして労働環境を支える法律的な問題も含めて、なかなか先は長そうだね。勝算がないわけではないのだろうけれど。

コメント

  1. 山童 より:

    そもそも製造コストが高くて、
    納期がムダに長くて、
    ワーカーのスキルが低い、
    そのくせ人件費が高い!

    いや、それは上陸するんでなく、
    撤退するレベルの環境かと。
    なんか可愛そうなレベルの商談。

    それでも「やってます」態度を見せないとトンデモな事になるから嫌々やっているのか?
    中間選挙でトランプが死に体になったら、うだうだと先延ばしして、
    有耶無耶にしよう……戦術かと思いもしますが、これだけの規模のビジネスを始動させちゃうと、簡単には引っ込みつかないすね。
    なら本気なのかと言うと、
    正気を疑う前提条件ではある。

    • 山童 より:

      そういや、オーストラリアのフリゲート艦、木霊様も書いてらした。
      あれ日本に決まったんてすよね。
      もがみ型だか、いずも型だかに。
      あれの受注まけたから、米国艦船の受注欲しくてたまらないのすかね?