まーた、アノ海域で同じ構図の衝突が起きた。
南シナ海でフィリピン船に中国船が衝突、両国が非難の応酬
2025年10月13日 12:57
フィリピン当局は12日、中国と領有権を争う南シナ海の南沙諸島パグアサ島付近で、中国の船舶が故意に同国政府の船に衝突したと発表した。一方、中国側はこの一件の責任はフィリピンにあると主張している。
AFPより
フィリピンと支那との小競り合いは激しさを増しているようで、前回の意趣返しという側面もあるようだが、南沙諸島周辺海域はきな臭さを増している。
嫌がらせは続く
過去にも衝突事故が
前回の記事のリンクをまず紹介。
8月11日、中国海警局の船(CCG-3104)がフィリピン沿岸警備隊の巡視艇「スルアン」に突っ込んできて、これをかわした結果、中国人民解放軍海軍の052D型駆逐艦「桂林」(DDG-164)にCCG-3104が衝突するという事態に。
両船とも大破する結果になって、支那は世界に恥を晒したわけだ。
この手のニュースは2024年にも何度か取り上げているが、とにかく支那はフィリピンに対する威圧行動を継続しており、事実上の嫌がらせ状態が続いている。
だから、「いつものこと」ではあるのだが、本来こんなことがあってはならないのだ。
十段線の不思議
そもそもこの話、何度も書くが支那の理由なき海洋侵略に端を発している。

支那は海洋進出をしてフィリピンやベトナム、マレーシアの領海を「俺の海だ」と主張。それがいわゆる十段線(説明図では九段線となっているが、最近一本増えたとか)の話。
しかし、この海域を「俺の海だ」という根拠はないし、国際的には今回の事故もフィリピン領海内で発生したもの。
国際法上、支那の主張にも行動にも一片の理もない。それでもなお、既成事実化を狙った行動を繰り返している。
自由で開かれたインド太平洋(FOIP)
日本としてもこの話は放置できない。これも何度も書くのだが、その理由は日本のシーレーンに重大な影響があるのだ。
シーレーンとは、日本の海上輸送路のことで、ちょうどこの海域を突っ切る形で船舶が通過する。

支那がこの海域を牛耳るようになれば、いつ何時、難癖をつけられるようになるかもしれないし、自由貿易の妨げになる。
日本は「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」構想を掲げ、地域諸国との安全保障協力を強化している。
外務省は小難しい概念を紹介しているが、具体的にはこんな活動もやっている。
フィリピンに対して、大型巡視船を供与したり、レーダーを設置したり、共同訓練をやったりと、忙しく動き回っている。
こうした動きに対して安倍、菅、岸田、石破と歴代総理が続けてきたのだが、おそらく高市氏は更にこれに踏み込んだ路線を選ぶと言われている。そのことが支那にとって非常に都合の悪いことではあるのだが。
放水銃の発射
というわけで、予備知識をおさらいしたうえで冒頭のニュースに触れていこう。
フィリピン沿岸警備隊によれば、12日午前9時15分(日本時間同日午前10時15分)、中国の海警船が漁業水産資源局の船に対して「放水銃を発射」したという。
沿岸警備隊は声明で「そのわずか3分後、同じ中国船がフィリピン船の船尾に故意に衝突し、構造に軽微な損傷を与えたが、乗組員にけがはなかった」と述べた。
AFP「南シナ海でフィリピン船に中国船が衝突~」より
状況からみて、どう見ての支那の行動に非があるのは明らかだが、支那側は「全責任はフィリピン側にある」と述べているらしい。
もう訳が分からない。
だが、残念なことに、この海域で活動する船舶にはカメラが搭載されるような指示が出ているようで、ばっちり写真に写っている。

この角度で突っ込んでこられると、フィリピン側としても避けるのは難しい。
放水銃を使っている様子も映っているが、本来、領海侵犯している側が使うアイテムではないのだ。
台湾とも連携
流石にこの事態に台湾としても他人事ではない。
台湾とフィリピンは領土問題で揉めているので、あまりこの分野での連携はしたくないのだろうが、それでも背に腹は代えられないのである。
中国抑止へ「日台比の協力枠組み」提案、林佳竜・台湾外交部長インタビュー
2025/10/14 06:30
台湾の林佳竜外交部長(外相に相当)が13日までに産経新聞の単独取材に応じた。林氏は中国の脅威を抑止するため、中国が設定する軍事的な防衛ラインである第1列島線に位置する日本や台湾、フィリピンが安全保障面で協力する枠組みが必要だと提案した。
産経新聞より
日本もこれに応えていく必要があるね。
まとめ
何故こんな暴挙を支那は続けるのか?といえば、フィリピン海軍の力がまだ弱く、押せば自分の領海だという事にできると思い込んでいるからに他ならない。
「力による現状変更」は、もはやロシアだけの専売特許ではなくなっている。
日本の国益も害する行為なので、日本としてもこれを放置するわけにはいかない。だからこそのFOIPなのだが、この活動もまだまだ弱い。
更にAUKUSへの拡張やインドとの関係性の深化、CPTPPの拡大など、この地域への影響力を強めていくしかない。
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