ポーランドはスウェーデン製の潜水艦を選んだのか。
Sweden and Saab selected for Poland’s new submarines
26 November 2025
スウェーデン政府がポーランドに提案したサーブのA26型潜水艦が、現行のキロ級潜水艦の後継としてポーランド政府に選定された。現時点でサーブは契約を締結しておらず、発注も受けていない。
SAAB社のサイトより
ポーランドが潜水艦を調達するための新オルカプロジェクトを立ち上げ、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、スウェーデン、韓国がそれぞれ提案を出していた。
潜水艦受注合戦を制したのはスウェーデン
受注に失敗した韓国
コレに関しては、別の記事にコメントを頂いていたが、韓国もかなり力を入れていたようで。
8兆ウォン潜水艦受注戦の「呼び水」 「張保皐」をポーランドに無償譲渡
Posted November. 26, 2025 09:24, Updated November. 26, 2025 09:24
政府は今年末に退役予定の海軍初の潜水艦「張保皐」(SS-Ⅰ、全長1200トン級、写真)を、ポーランドに無償譲渡する方針を固めた。ポーランド海軍が全長3000トン級の新型潜水艦3隻を導入する総額8兆ウォン規模の「オルカ・プロジェクト」で、早ければ28日に優先交渉対象者が選定される中、国内防衛企業の受注を後押しする狙いがあるとみられる。
東亜日報より
実は、先日、張保皐級潜水艦の1番艦「張保皐」が退役したという記事を書いた。
驚いたことに、この退役艦をポーランドに無償譲渡する計画が持ち上がっていたのである。
何に驚いたかと言えば、これってドイツで建造した艦なんだよね。
- SS-061 張保皐 :就役1993年6月、退役2025年11月末。HDW社で建造
- SS-062 李阡 :就役1994年4月。大宇造船海洋で建造
- SS-063 崔茂宣 :就役1995年2月。大宇造船海洋で建造
(以下略:1隻受領、8隻建造)
2隻目からは韓国の国内で大宇造船海洋が建造していたとはいえ、ノックダウン生産方式であった。この張保皐級潜水艦の命名は武将縛りだったんだよね、真っ当な感じの。ただ、韓国で有名な武将って直ぐに払底してしまう。で、この次の孫元一級潜水艦(209型潜水艦)は、テロリスト縛りに……。
まあ、それはいいや。
ともあれ、ドイツでブロック建造をしてもらって、韓国内で組み立てる方式になったというわけだ。なお、あまりに嬉しくてスクリューの写真まで公開してしまってドイツに叱られたという微笑ましいエピソードがあったのもこの艦だったはず。
で、その艦を無償譲渡する計画……、韓国は「兵器の機密」という概念が希薄なのだろうか?
姜勲植大統領秘書室長が戦略経済協力大統領特使の資格で先月ポーランドを訪問した際にも、こうした意向を伝えたとされる。
東亜日報「8兆ウォン潜水艦受注戦の「呼び水」~」より
えぇ、競合相手にはドイツもいるんですが。ポーランド側も、そりゃ驚いたに違いないが、ドイツも驚いただろうね。
ゴトランド級潜水艦を貸与
とはいえ、この方式は受注を決めたスウェーデンのSAAB社もやるらしい。SAAB社が提案したのはA26型ブレーキンゲ級潜水艦だが、スウェーデン海軍も採用していて建造が遅延している。
んで、それが到着するまではA19型ゴトランド級潜水艦を貸与するって話になった。
ポーランド海軍は旧ソ連製のキロ級潜水艦を採用していて、流石に更新したいという話になっていた。西側の製品に慣れていないことも。いや、アレだ、ノルウェーからも中古潜水艦を買っていたっけ。あれは207型潜水艦(ドイツ製)であったか。
スウェーデン海軍 建造中の次世代潜水艦「A26」について竣工時期を見直しへ サーブ
2021.08.31
サーブは2021年8月27日(金)、計画遅延が露呈していたA26型潜水艦、いわゆるブレーキンゲ級潜水艦について、スウェーデン国防省傘下の国防需品管理局(FMV)から、開発と建造を継続し、加えて能力を拡張するよう通達があったことを明らかにしました。
A26型潜水艦は当初、2015年6月30日に建造契約が締結され、1番艦「ブレーキンゲ」が2022年に、2番艦「スコーネ」が2023年に竣工する計画でした。しかし、コスト超過とサーブ子会社コックムス造船所の建造能力による問題から、建造がスケジュール通りに進まないことが判明、海軍への引き渡しが2028年以降にズレ込む事態となっていました。
乗り物ニュースより
まあドイツ製という意味では、このブレーキンゲ級潜水艦もにた感じなんだ。A19型ゴトランド級潜水艦はスウェーデンのコックムス社で建造しているんだけど、A26型ブレーキンゲ級潜水艦もコックムス社で開発してスウェーデン海軍に供給する予定だった。ところが、コレがキャンセルになっちゃったんだよね。
ここの経緯がややこしく、コックムス社はスウェーデンの会社なんだけど、1999年にドイツのHDW社に売却されてしまい、2014年4月のキャンセル騒動に関与。なお、コックムス社は2014年7月にサーブ社に売却され、A26型ブレーキンゲ級潜水艦はサーブ社が受注するんだけどね。
ポーランド海軍にはドイツのTKMS社が212CD型潜水艦を提案しているんだけど、ドイツHDW社の親会社がTKMS社。ドイツは面倒な国だね。
A26型潜水艦は、オーストラリア海軍にも提案されていて、このときは受注に失敗。そういう意味では、ポーランドで取り返せて良かったのかもね。
無事に受注できるか
というわけで、ポーランド海軍はサーブ社のA26型潜水艦でほぼ決まったんだが。
「選定されたことを光栄に思います。ポーランド軍備庁との今後の交渉を楽しみにしています。バルト海向けに設計された潜水艦を含むスウェーデンの提案は、ポーランド国民にとって正しい選択です。ポーランド海軍の運用能力を大幅に向上させ、ポーランド経済に利益をもたらすでしょう」と、サーブ社長兼CEOのミカエル・ヨハンソンは述べています。
SAAB社のサイトより
直ぐに建造が進まなそうだから、A19型ゴトランド級潜水艦を貸し出しますよという話になったわけだ。
ポーランド海軍は3~4隻の潜水艦が欲しいらしいのだが、費用負担はどうなるんだろうね。2030年までに納入される見込みってことになっているけれど、円滑に話が進めば良いね。
ポーランド陸軍は韓国製兵器を爆買いしていただけに、韓国製の潜水艦も受注可能性が高いのでは?と噂されていたが、残念である。韓国も「8兆ウォン潜水艦受注するニダ」と息巻いていたからね。




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