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消費税減税政策に正当性はあるのか

政治
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選挙が始まって、消費税の減税政策について各党が言及し始めた。しかし個人的には、消費税減税は筋の悪い政策だと考えている。

参政の公約は「消費税廃止」と「積極財政」が柱に…昨夏の参院選に続き「日本人ファースト」訴え

2026/01/23 21:50

参政党は23日、消費税の廃止と積極財政を柱とする衆院選公約を発表した。昨夏の参院選で掲げたキャッチコピー「日本人ファースト」を引き続き訴え、新たに「ひとりひとりが日本」と打ち出す。

讀賣新聞より

中でも問題なのが、れいわ新選組や参政党をはじめとする消費税の恒久廃止を掲げる政党である。

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どの程度家計の助けになるのか

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税収の減少が問題になる

先ずは、各党がどのような方針を出しているのか纏めておこう。

政党名消費税に関する主な公約内容期間・詳細
自民党食料品の消費税ゼロ2年間の時限的措置として検討
日本維新の会食料品の消費税ゼロ2年間の時限的措置。標準税率も8%へ
中道改革連合食料品の消費税ゼロ恒久的な免除。2026年秋からの実施を目指す
国民民主党一律5%に引き下げ賃金上昇率が物価+2%に安定するまでの時限的措置
日本共産党一律5%に引き下げ → 廃止緊急で5%に下げ、将来的には廃止を目指す
れいわ新選組消費税廃止速やかに廃止
参政党段階的廃止最終的な廃止を掲げる
社民党食料品の消費税ゼロ恒久的な措置
日本保守党食料品の消費税ゼロ恒久的な措置
チームみらい減税より社会保険料引き下げ消費税減税には慎重な立場

この中で、食料品の消費税ゼロを実現する場合に、年間およそ5兆円税収減になると試算されている。

与党の案だと、2年間の時限措置なので10兆円。一方で、家計への恩恵は年間で6万7,000円になると言われている。

さらに、消費税を一律5%に引き下げた場合には、年間12兆円~15兆円ほどの税収減になり、家計への恩恵は年間約14万円前後の負担軽減になると試算されている。

消費税を廃止すれば、24兆円~30兆円の税収減になる。

なお、この「税収減」というのはあくまで仮定の数字であって、減税分した場合の経済効果による増収分は加味していない

税収の上振れ

一方で、直近の税収動向を見ると、2024年度は過去最高を記録し、2025年度も高水準が続いている。

国税収が過去最高75兆円台、24年度・5年連続で更新へ…物価高で消費税や法人税が伸びる

2025/06/30 18:00

2024年度の国の一般会計の税収が75兆円台前半となる見通しになったことが30日、わかった。23年度(72兆761億円)を上回り、5年連続で過去最高を更新する。物価高を受けて消費税収が伸びたことに加え、好調な企業業績を反映して法人税収も増加した。

~~略~~

24年度の税収は、補正予算を編成した昨年11月時点では73兆4350億円を見込んでおり、約1・8兆円の上振れが生じたことになる。

讀賣新聞「参政の公約は「消費税廃止」と「積極財政」が柱に~」より

つまり、ここ数年は2~3兆円程の税収上振れが続いている。

長期的な見通しは不透明だが、世界情勢や物価動向が急変しない限り、数年程度は同様の傾向が続く可能性はある。

そうすると、財政的に無理のない範囲での減税というのは、年間3兆円規模ということが言えると思う。そして当然ながら、数年後には見直しが必要になる。

ドン引き政策

この前提に立てば、「消費税廃止」を掲げる政党は、まず信用できない。また、恒久減税を掲げながら、その財源や制度設計に触れない姿勢は、政策としての信頼性を大きく損なうと言えよう。

冒頭に引用した参政党の公約も、相当無理がある。

減税と社会保険料の削減で国民負担率を35%に▽消費税とインボイス制度を廃止▽減税と積極財政でGDP1000兆円に

讀賣新聞「参政の公約は「消費税廃止」と「積極財政」が柱に~」より

社会保険料の削減を言うのであれば、医療費改革などの具体策が先であるはずだ。しかし政党サイトを確認しても、その点は判然としなかった。

中革連の政策の酷さについては、既に別記事で指摘した通りである。

そもそも中革連は、政策自体が未確定な部分も多く、綱領すら候補者間で十分に共有されていないように見える。正直、議論の対象にするのも厳しい。

れいわ新選組の非現実性は今さら言うまでもなく、日本共産党も相変わらずという印象だ。

最低限、政策の実現可能性くらいは党内で詰めてから公表して欲しい

今のところは、野党では国民民主党くらいだろうか?政策的に評価できるのは。

参政党の税制はどこが問題なのか

折角なので、中途半端なツッコミをしていないで、参政党の税制政策に関して少し整理しておこう。

参政党の税制・財政政策は、一見すると「国民負担を下げる」「日本人の生活を守る」という耳触りの良い言葉で構成されている。

しかし、内容を整理すると政策というより願望に近い

1.数字が合わない(財源の欠落)

参政党は、以下を同時に掲げている。

  • 消費税の廃止
  • インボイス制度の廃止
  • 社会保険料の削減
  • 積極財政
  • 国民負担率35%
  • GDP1000兆円

まず、消費税の廃止だけで年間24~30兆円の税収減である。さらに社会保険料の削減を加えれば、軽く数十兆円規模の恒久的財源不足が生じる。

ここで重要なのは、「税収上振れ」や「経済成長」で埋められる規模ではないという点だ。上述した通り、現実の税収上振れは年2~3兆円程度であり、桁が一つ違う。この批判を避けるために「段階的に行う」と説明しているが、減税の効果が出る前提として経済の安定を仮定している点で、経済合理性に欠ける。経済は、日本一国で成り立つものではなく、国際情勢によっても大きく左右されるからだ。

2.「積極財政」で全て解決するという思考停止

参政党は、この財源問題を「積極財政」という言葉で説明を単純化している

しかし、

  • 積極財政=無制限に国債を発行できる
  • 経済成長すれば全て回収できる

という前提は、理論的にも実務的にも成立しない

仮に国債で穴埋めした場合でも、

  • 金利上昇
  • 円安加速
  • 輸入物価上昇
  • 実質賃金の目減り

といった副作用が発生する。

「国民負担率を下げる」と言いながら、別の形で国民に負担を押し付ける構造だ。

3.GDP1000兆円という“魔法の数字”

参政党は「減税と積極財政でGDP1000兆円」を掲げているが、これは工程も期間も示されていない目標値である。

参考までに、日本の名目GDPは現在およそ600兆円前後。

1000兆円にするには、

  • 労働人口の増加
  • 生産性の飛躍的向上
  • 技術革新や産業構造転換

といった極めて困難な条件が必要になる。

消費税廃止や社会保険料削減が、これらを直接実現するロジックは提示されていない。

4.社会保険料削減の中身が空白

参政党は「社会保険料削減」を掲げるが、

  • 医療費のどこを削るのか
  • 高齢者負担をどうするのか
  • 制度改革の工程はどうするのか

といった具体論がほぼ存在しない

社会保険料は、医療・年金・介護という実体のある支出に直結している。ここを削るには、必ず誰かの負担増か給付削減が伴う。それを語らずに「負担率35%」を掲げるのは、政策ではなくスローガンである。

政策実現性に乏しい

というわけで、中革連の綱領検証の時にも指摘したが、スローガンは良さそうに見えても、その中身がチグハグであるという印象は否定できない。

もちろん、スローガンを唱えるのが悪いとは思わないが、野党であってももう少し実現可能性のある政策を提示してくれなければ話にならない。

消費税廃止を訴える政党は、概ねそういう傾向にあるので、その中でも比較的「政策を語ろうとしている」参政党を取り上げてみたが、結果はご覧の通りである。

まとめ

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率直に言えば、消費税減税を弄るよりも、社会保障費の圧縮と社会保険料の引き下げを優先すべきだと考えている。減税による経済効果も最も期待できる層にアプローチする政策だしね。

その意味では、「チームみらい」の税制スタンスが、現時点では最も現実的かもしれない。次点で国民民主党だろうか。

ただ、選挙で勝たねば政策実現には結びつかないし、景気刺激策という意味合いでの消費税減税は、方策としてはアリだと思う。ただし、必ず時限立法とするか定期的な税率見直しを義務付けて、恒久措置にすべきではない

まだまだ各政党の主張する政策を確認できていないので、単一分野だけで断じるのは慎重であるべきだとは思う。

それでも予算措置を考えずにバラ履きだけを考えるポピュリズム政党に投票することだけは避けたいと思っている。

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