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王毅氏が語る“軍国主義”という物語|日本世論は動くのか

中華人民共和国ニュース
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余りの言い分に苦笑いである。率直に言って、時代錯誤の印象を拭えない。

「軍国主義の亡霊」、高市首相に中国外相が警告-安保会議で対日批判

2026年2月14日 at 23:22 JST

中国の王毅外相は14日、第2次世界大戦中に日本が他国を侵略した歴史を引き合いに、軍国主義に回帰しないよう高市早苗首相に警告を発した。台湾を支持する同氏の姿勢はアジアにとって「非常に危険な展開」だとも非難した。

Bloombergより

支那外交部のトップである王毅氏の発言だが、先ずは鏡を見てはどうだろうか。

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支那の外交戦略と現政権の立ち位置

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王毅発言の真意

「軍国主義に回帰」という古い物語(ナラティブ)構成を持ち出した王毅氏だが、対日外交で繰り返し用いられてきた定型句である。今回もその延長線上にある。

有事の際に日本が台湾を支援する可能性を高市首相が昨年11月に示唆して以降、日中間では敵対的な雰囲気が強まる一方だ。高市首相の自民党が先週の選挙で歴史的圧勝を収めた背景には、日本が戦後の平和主義から転換し軍備を進めるべきだとする同氏の姿勢があった。

王氏は高市氏を名指しで批判し、台湾に関する同氏の発言は「中国の領土主権を直接侵害し、台湾が中国に返還されたという事実そのものを否定するものだ」と述べた。

Bloomberg「「軍国主義の亡霊」、高市首相に~」より

なんという言い草。

ただ、戦浪外交を前面に押し出した対日政策を打ち出している状態で、日本に対して融和的な姿勢を示すことは、習近平氏の「台湾は支那の核心的利益」という思想の否定に繋がるので、これは出来ない。

だから、「折り合い付けるためには、姿勢の変更を見せるべき」という意図を伝えてきていることは分かる。

強硬姿勢に屈するのか

ただし、この姿勢が今の日本に対して正しいのかは、議論の余地はあるだろう。少なくとも、現時点では余り効果を得られていないようだ。

日本の首相の大勝利は北京との対立激化を意味するか

2026年2月9日午後4時54分 GMT+9

高市早苗首相が総選挙で圧勝したことで、首相の強硬な安全保障政策に対する国内の反対が弱まり、中国が軍国主義への回帰と非難する防衛力拡大の推進計画が後押しされた。

~~略~~

「好戦的な行動と経済的な強制の波を考慮すると、日本は従うべきか、それとも毅然とした態度を取るべきか」と彼はXに記した。「日本国民は明らかに後者を選んだ。」

台湾の事実上の駐日大使である李毅揚氏は、高市氏を最初に祝福した外国要人の一人であり、フェイスブック上で、高市氏の勝利は日本が中国の「脅迫と圧力」に屈していないことを示したと書いた。

ロイターより

ロイターはティム・ケリー記者による分析を紹介していて、なかなか興味深いのだが、結局のところ先般の衆議院選挙は「日本の防衛力を強化する方針を日本国民が支持した」ことを示す結果であった。

そうすると、高市政権にとって支那に対して「圧力に屈する」姿をとることは、国民の付託を裏切る行為になるのだから、支那がいくら高圧的に振る舞っても、安易に方針転換することは難しい。

こちらの記事でも示唆したが、支那としては「強硬発言」と「弱い圧力」を日本にかけており、決定的に破綻することを望んでいないことが示唆される。

だが、習近平氏のメンツは守る、それが本音なのだ。

高い支持率に支えられる

直近の世論調査でも、その傾向は明確だ。

自民の政党支持率41%・中道8% みらい6%、国民民主・参政は低迷

2026年2月16日 2:00

日本経済新聞社とテレビ東京が13〜15日に実施した世論調査で、政党支持率は自民党が41%、中道改革連合は8%だった。国民民主党や参政党は一時期に比べて低迷する。初の衆院選で11議席を獲得したチームみらいは6%と上昇した。日本維新の会は5%となった。

日本経済新聞より

高市内閣支持率、ほぼ横ばい69% 国民会議「負担増も議論を」76%

2026年2月15日 19:00

日本経済新聞社とテレビ東京は13〜15日に世論調査を実施した。高市早苗内閣の支持率は69%で、1月の前回調査の67%からほぼ横ばいだった。「支持しない」は前回と同率の26%だった。

日本経済新聞より

自民党の支持率はちょっと上がり、高市政権に対する支持率は横這いだという評価であった。内閣改造によるご祝儀はなかったのだが、改造していないので当然といえば、当然かもしれない。

そして、意外に選挙結果を受けても日本国民は冷静だったとも評価できる。熱狂的な一時の雰囲気に押された選挙ということではなく、政策を評価したという意味だ。

まとめ

今回、中国側が改めて持ち出した「軍国主義」という言葉は、偶発的なものではない。

総選挙で防衛強化路線が支持され、内閣支持率も高位で安定する中、日本世論を直接動かす余地は小さい。そこで選ばれたのが、歴史認識に訴える古典的なカードだったのだろう。

このレトリックは、日本社会全体よりも、むしろ日本のオールドメディアとの親和性が高い。

「軍国主義回帰」という枠組みは、報道文脈に乗せやすく、見出しとしても強い。言ってみれば「バズるワード」だと判断したのだ。

しかし問題は、その影響力である。

選挙結果と支持率が示す通り、日本の有権者は防衛政策を争点として判断している。メディア空間での物語が、そのまま世論形成に直結する時代ではなく、選挙で示される民意とも逆行する。

もし支那側がこのカードに期待しているのだとすれば、その前提はやや古いかもしれない。「鏡を見たらどうか」と思える支那側の発言は、寧ろ高市政権に対する応援になってしまうのではないだろうか。

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