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進む実用型SMR──日立BWRX-300、東南アジア展開へ

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科学技術
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SMRの実験炉に関して、日立の話をしていなかったので触れておきたい。

日立とGEベルノバが、東南アジアにおけるSMR「BWRX-300」導入に向けた覚書を締結

2026年3月14日

株式会社日立製作所(以下、日立)とGE Vernova(GEベルノバ)は、本日、東南アジアにおける小型モジュール炉(SMR)「BWRX‑300」の導入機会を検討するため、覚書(MoU)を締結しました。本MoUは、東京で開催されたインド太平洋エネルギー安全保障閣僚・ビジネスフォーラムの場において、日本の赤澤亮正経済産業大臣と米国のダグ・バーガム内務長官による立ち会いのもと、署名されました。

日立のサイトより

このニュース、コメントで指摘頂くまで気が付かなかった。

日立製作所のSMRに関するニュースもチェックはしていただけに、もうちょっと気をつけておくべきだった。

日立が関わるSMRの建設計画

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BWR系SMRという「保守的な選択」

小型モジュール式原子炉(SMR)と言っても、実際には多数の種類があって、今回のBWRX‑300はその形式に関してはあまり先進的というわけではない。

形式としては沸騰水型原子炉(BWR: Boiling Water Reactor)と呼ばれるもので、世界の軽水炉の形式のうち加圧水型原子炉が74 %、沸騰水型原子炉が26 %である。日本では、この系譜として大型化したABWRを開発され、柏崎刈羽原子力発電所の6号機、7号機が有名である。

BWRX-300は、そうした既存のBWRをベースに安全性を強化した設計であり、炉心冷却を自然循環で行う点を除けば、技術的な飛躍は大きくない。

しかし逆に、枯れた技術で安全性を増した設計だと位置づけられる。

史上最速の審査通過が示す「設計の成熟度」

特筆すべきは、今回のステップ2完了に至るスピード感だ。BWRX-300は、英国の原子力規制庁(ONR)、環境局(EA)、およびウェールズ天然資源局(NRW)による審査を、過去のどの技術プロバイダーよりも早いペースで通過した。

Xeno Spectrumより

つまりこれは、「新規性」ではなく「認証の通りやすさ」を武器にした設計だ。

正直に白状すると、こうした性格ゆえに、これまであまり注目していなかったんだよね。

カナダで建設が進行中

その評価を裏付けるのが、カナダでの動きだ。

GEと日立、次世代原子炉SMR建設開始 カナダの州政府から認可

2025年5月9日 15:56

米GEベルノバと日立製作所の共同出資会社、米GEベルノバ日立ニュークリアエナジーは8日、カナダで次世代原子力「小型モジュール炉(SMR)」の建設を始めると発表した。SMRは生成AI(人工知能)で増加する電力需要への対応策として期待が高まる。カナダ・オンタリオ州政府から建設許可を受けたことで計画が前進する。

日本経済新聞より

去年の4月に1号機の建設工事認可が出ていて、5月には建設開始が発表されている。

本会合のプログラムの一環として、日米企業が共同開発を行う小型モジュール炉(SMR)の「BWRX-300」の建設が進むダーリントン原子力発電所を訪問しました。

経済産業省のサイトより

11月には「建設が進む」とされているので、計画通りであれば、2030年までに稼働してくれるはずだ。

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設備としては、原子炉としては小型に分類されるのだけれど、建屋の大きさはそれなりの大きさとなる。「主要建屋をサッカー場のフィールドに収まるほどコンパクト」と表現されているが、その程度の大きさはあるということでもある。

「小型」とは?とは思うが、従来の大型炉は「大型工業団地」程度の規模はあるので、比較的小型であることは間違いないのだ。大型炉の約10%の土地で建設が可能といえば、如何に小型化されたかが分かるだろう。

各国でも認可

そして、冒頭のニュースだが、「東アジアでも建設を進めるよ」という話。

カナダでも4基作ることになっている。

BWRX‑300をめぐる動きは、世界で着実に進展しています。カナダでは、オンタリオ・パワー・ジェネレーションのダーリントンの発電所サイトにおいて、初号機となるBWRX‑300の建設が進められています。2030年までの完成が計画され、西側諸国において初めて建設されるSMRとなる見通しです。現在、原子炉圧力容器をはじめとする主要機器の製造が進むとともに、現地での建設工事も計画どおり進捗しています。同サイトでは、合計4基のSMRが建設される計画です。

日立のサイト「日立とGEベルノバが~」より

カナダ以外にも、数カ国認可が下りているようだね。

カナダ BWRX-300初号機の運転認可を申請 | 原子力産業新聞
加オンタリオ州営電力のオンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)社は3月25日、加原子力安全委員会(CNS
BWRX-300が英GDAを完了 | 原子力産業新聞
米GEベルノバ日立ニュークリアエナジー(GVH)社は12月11日、同社製の小型モジュール炉(SMR)「BWRX
リトアニア BWRX-300導入可能性を評価へ | 原子力産業新聞
リトアニアのイグナリナ原子力発電所を運営しているアルトラ(Altra)社は2月25日、米国の首都ワシントンで、

カナダ・イギリス・リトアニア・ポーランド・アメリカと、それぞれ手続きが進んでいて、アジア諸国でも計画が進んでいる。

ロシアや支那でも別のSMRが作られているらしいので、早めの成果を期待したいところ。

まとめ

コスト、安全性、そして規制適合性というSMR普及のための「3つの難問」に対する明確な回答が、日立とGEがタッグを組んで推進するBWRX‑300であり、技術的な目新しさよりも確実性をとった。

建設コストは大型炉の約1/5とされ、出力は約2割に抑えられているが、これはモジュール化による量産を前提とした設計だろう。

位置づけ的には安全で手軽な原子炉設備という感じなんだろうね。

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