日経ビジネスの記者は特許法を知らないのだろうか?
南鳥島沖レアアースに死角 中国が海底採掘特許で圧倒
2026.4.30
日本が中国依存からの脱却に向けて進めているのが、小笠原諸島・南鳥島沖のレアアース泥の採取計画だ。
日経ビジネスより
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レアアースの開発は加速すべき
出願数で負けている?
先ずは、記事の趣旨だけピックアップしておこう。
日経ビジネス「南鳥島沖レアアースに死角~」より
- 日本が目指す南鳥島沖でのレアアース採掘、官民で機運
- 採算性や難度の高い採掘など、課題も多い
- 海底採掘の特許では中国からの申請がこの10年で急増
なるほど、確かに支那が日本への特許出願を増やしていて、そのうち海底採掘の特許出願が目立つというのは事実らしい。
軽く検索したが300件以上は見つかった。そして、外国の特許もかなり多い印象ではあったが……、特許されたモノは殆ど見かけなかったぞ。一体、日経ビジネスの記者は何を心配しているんだろうか??
特許出願は出しただけでは権利化されない。審査され、それが有効なモノと認められて権利化されてようやく意味を持つ。だが、権利化されても維持のためにお金を支払わなければならないし、出願から20年が保護期間なので、早めに出願されたモノに関しては、影響は殆どないだろう。
何より、権利化したとして、それが日本のやっている開発の阻害要因になるのか?が、一番大切な部分である。
支那は戦略的に出願数を増やす試みをしているようだが、実際のところ雨後の竹の子のように出願したところであまり意味ないのだ。
レアアース開発を急げ
日本とアメリカは、共同プロジェクトとしてレアアースの開発を始めた。
呼応する動きも多い。3月20日には、日米両政府が重要鉱物の供給網強化に向けた共同プロジェクトを公表。こうした動きを受け、三菱マテリアルは同31日、レアアースの分離・精製を手掛ける米リエレメント・テクノロジーズへの出資を発表した。
三菱マテリアルはこれまでもレアアースのリサイクル研究を進めていた。ただ「原材料の確保やサプライチェーン構築に関する世の中の意識が高まらず、追い風になる状況がつかみにくかった」(同社の事業担当者)として事業化を見送っていたという。
日経ビジネスより
支那の特許出願が、こうした研究開発を邪魔するのが目的である可能性はもちろんある。むしろ多額の予算があれば、そういった方法での戦い方もあるので注意するに越したことはない。
そして、 今回のコレに関しては本当に心配する必要があるのかは疑問だ。
何故なら、例えば特許法93条の規定などがあって、本当に必要であれば公的に通常使用権の設定が可能である。
まあ、実際に設定されたことはないので、ハードルは高いんだけれどね。
効力の限界
なお、この話、もう1つ問題がある。
それは、特許権の効力は試験、研究のための使用には及ばない(69条1項)という規定があって、試掘には及ばないってコトだ。
だから、試掘や実証研究の段階で、直ちに「支那特許があるから何もできない」という話にはならない
商用化には10年以上かかるという指摘もあるが、現状のスケジュールで行くと2027年2月からの大規模試掘の実証に移行する予定になっているため、実用化までは最短でも5年程度はかかるだろう。
そうすると、その頃までに、
- どの特許が成立しているのか
- 維持されているのか
- 無効理由はないのか
- 実際に侵害関係になるのか
を個別に精査していけば良いのだ。
必要であれば無効審判で無効にするという手段も採れるしね。
つまり、今の段階から特許があるから危ないなどという話を考える必要はないのだ。少なくとも開発の手を止める必要はないだろう。
まとめ
日経ビジネスとしては、もしかしたら「特許出願数で負けてるじゃないか、この分野にもっとお金を使えよ」という趣旨かもしれないが、それは警鐘の鳴らし方を間違えている。
問題なのは、特許件数の多さなどではないからだ。
また、採掘コストが嵩んでコストが10倍以上になるという指摘もあったが、これも問題にならない。レアアースは、製品の中でほんの僅か使われる程度の素材なので、コストはその他の部分で吸収可能だからだ。
むしろ日本がやるべきは、怖がって足を止めることではない。南鳥島レアアース開発を、資源安全保障の柱として着実に前へ進めることだ。


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