思ったよりも、交渉が進まなかった印象だ。
日韓、エネルギー安全保障で協力 原油備蓄・相互融通を具体化―高市・李氏シャトル会談
2026年05月19日20時49分配信
高市早苗首相は19日、韓国の李在明大統領と同国南東部・慶尚北道安東市で会談した。中東情勢の混乱長期化をにらみ、原油や石油製品の備蓄強化や相互融通などエネルギー安全保障協力の具体化検討で一致。こうした内容を盛り込んだ共同文書を発表した。
時事通信より
印象としては、「シャトル外交再開」が最大の成果かもしれない。ん?日本のための成果はって?そんなものはない。
会談を行ったこと自体が成果
安全保障面では噛み合わない
折角なので、記事を読んでいこう。
首相は会談で「日韓両国がインド太平洋安定の要として役割を果たすことが重要だ」と強調。李氏は日韓について「重要なパートナー」との認識を示した。首相は会談後の共同記者発表で、日韓の安保協力に関し「着実に進展させたい」と表明した。
時事通信「日韓、エネルギー安全保障で協力~」より
まず、日本側が「日韓関係にとってFOIPは重要」と主張しているが、これについて。

既に、首脳会談前にFOIPに関しては、話題に出るとされていて、それは日本の閣僚がGW中に世界規模外交をやって、高市氏自身はFOIPに深く切り込んでいったのだが……。そういえば、韓国さんとは話ししませんでしたね?でも、わかってんな?という問い。
で、それに対して「日韓について重要なパートナー」と認識を示し、「日韓の」安保協力に関して「着実に進展させたい」と。おい、FOIPはどうした?
エネルギー問題
次に、エネルギー問題に踏み込んだのだが、これも煮えきらない反応である。
原油輸送の要衝ホルムズ海峡の事実上の封鎖により、日韓はともにナフサなど重要物資の調達不安に直面している。これを踏まえ会談では、首相が4月に打ち出したアジア各国へのエネルギー支援の枠組み「パワー・アジア」の活用についても議論。液化天然ガス(LNG)を含めた両政府間のエネルギー協力の進展に向けた「政策対話」の設置で合意した。
時事通信「日韓、エネルギー安全保障で協力~」より
ちなみに、「パワー・アジア」の話は、本ブログでは取り上げなかった枠組みだが、簡単に言うとチェンマイ・イニシアティブのエネルギー版という表現が近いのかもしれない。位置づけは違うのだけれどね。
誤解を招くといけないので、簡単に解説を。
「アジア・エネルギー・資源供給力強靱化パートナーシップ」に基づく現地企業への金融面での協力等について
2026年4月21日
4月15日(水曜日)に高市総理大臣は「アジア・エネルギー・資源供給力強靱化パートナーシップ」、通称「POWERR Asia(パワー・アジア)」を発表しました。同枠組みに基づき、我が国へのサプライチェーン上、課題が発生している現地企業に向けに、国際協力銀行(JBIC)、日本貿易保険(NEXI)から以下の金融面での協力等を実施しています。
経済産業省より
経済産業省のサイトでは、以下のような感じの説明をしている。
- アジアにおける、原油・石油製品等の調達やサプライチェーン維持のための融資などの「緊急対応」
- アジア域内の原油備蓄日数の拡大に向けた、備蓄・放出制度の構築
- 備蓄タンクの建設・利用、重要鉱物の確保・バイオ燃料といったエネルギー源多様化
- 省エネへの取組を通じた産業の高度化等の「構造的対応」に取り組むため、総額約100億ドルの金融面での協力等を行う
- 政府系金融機関等による緊急対応(国際協力銀行(JBIC)及び日本貿易保険(NEXI)から)
随分要約したが、雑に要約すると「困ったら日本に相談してね」というような感じの枠組みだね。
が、韓国はあまりこれに積極的ではなさそう。……時事通信のタイトル、間違っていない?エネルギー問題について「話し合う」ところまでは合意できたみたいだけれど。
アメリカを交えた北朝鮮対応
これも、「今回は持ち越し」という印象だ。
両首脳は先の米中首脳会談の結果を巡り意見交換。ロシアとの結び付きを強める北朝鮮の動向には、日韓共通の同盟国である米国を交えた3カ国の連携で対処する方針を確認した。
両首脳は日韓、日韓米の安保、経済安保連携を強化するため、緊密に情報共有し、協力することも申し合わせた。首相は、北朝鮮による拉致問題の即時解決に向けた李氏からの支持に感謝を述べた。
時事通信「日韓、エネルギー安全保障で協力~」より
まあ、変な事言われるよりは、マシかもしれない。
実際、韓国側としても対応に苦慮しているのだろう。これまでのような対北融和路線は、もはや現実的ではなくなっている。
安保協力強化という前提は置かれているが、それでも見えてくるのは、あくまで「アメリカを挟んだ関係」である。
拉致問題は……、韓国が日本を支援してくれた事実は知らないんだよね。なんだか間に入ってくれはするんだけど、成果は見当たらない。うんまあ、支援してくれれば感謝はするよ。
まとめ
一応、日本側のプレスリリースも紹介しておこう。
時事通信の記事を読みながらプレスリリースを見ると、プレスリリース側では随分と日本は韓国に気を使った印象はある。
が、丁寧に読んでも「認識を共有」「意見交換を行う」「意思を確認」ということを書いているけれど、何か関係が進んだという印象は受けなかった。
結局のところ、最後の一文が全てを表しているのだろう。
「日韓両政府間で緊密に意思疎通を続けていくことで一致しました」。
……うん、まあ、そういうことなんだろう。


コメント
政治レトリック満載で、韓国の(苦しい)表現力が笑えます。
高市政権がFOIP推しで、アジア・アフリカに外交の手を伸ばしている反面、韓国は「そうさせじ」と、日・韓関係はあくまで「1対1の取引き」を強調していますね。だから、FOIPはなし、両国関係も「重要なパートナー」であって”共通の価値観に基づく”ものではない、と。スワップのおねだりも、一時的な貸し借りだからセーフ、という建前なんでしょう。