酷い。
【独占】西小門駅、崩壊の前兆があったにもかかわらず、支柱や防護柵なしで安全診断を実施 ソウル市「列車が通過する区間であるため設置が困難」
2026年5月27日 10:31
去る26日、ソウル市西大門区の西大門高架橋の解体現場で構造物が崩落し、3人が死亡、3人が負傷した事故に関連し、ソウル市の関係者ら9人が安全診断に着手する前に、支柱の設置や安全帯の着用など、別途の安全措置が講じられていなかったことが判明した。
朝鮮日報より
写真を見て、「落下防止の措置はやってなかったのでは」と懸念していたんだけど、やっぱりやっていなかったようだ。
安全管理の話
アレもコレもやってない
昨日の記事の続報にあたる。

状況の整理をまずやっておこう。
当日の時系列
- 1:30~2:30頃
作業員がコンクリート床版(スラブ)の切断作業を実施。その際、構造物の片側が約2.9センチメートル沈下する異常(ずれ)が発見されたため、危険と判断し工事を一時中断。 - 14:00頃
異常を受けて、監理団長や現場管理所長、外部の専門家らが現場に集まり、安全診断(点検)を開始。 - 14:33頃
安全診断を行っていた最中、高架の上部床版と空中足場の一部が突然激しく崩落。崩れた残骸が高架下で作業中だった車両や関係者を直撃。
被害の状況
- 人的被害:
3人が死亡、3人が重軽傷を負った。死亡したのは安全診断のために現場に入っていた監理団長、現場管理所長、外部専門家の3名 - 交通への影響:
崩落した破片や残骸がすぐ近くの鉄道線路(ソウル駅~新村駅区間)に落下したため、京義中央線やKTXなどの列車運行が全面的にストップ、または大幅なダイヤ調整を余儀なくされ、大規模な帰宅困難や遅延を招いた
対象となった高架橋の背景
- 老朽化:1966年に竣工し、約60年が経過した非常に古い構造物。
- 危険性の認知:過去にもコンクリート片の落下事故が起きており、精密安全診断で「安全性未達」を示すD等級の判定を受けていた。
- 工事の進捗:2025年後半からソウル市発注のもと完全撤去に向けた工事が進められており、事故当時の工事進捗率は87.2%と、終盤に差し掛かっていた。
動画や写真を見ると違和感も
この情報を時系列で整理すると、ややおかしな話も。
- 解体作業中に2.9cm沈下確認
- 危険と判断して作業中断
- しかし支保工・クレーン支持・線路封鎖なし
- 関係者が内部に入って安全診断開始
- 点検中に崩落
昨日の段階で線路封鎖、交通封鎖などをしていなかったことは明らかで、記事でも言及していた。
昨日の段階で分からなかったことは、崩落防止の措置をしていたかどうか。
この関連動画を見ると、落下物防止のネットはあったみたいだけど、崩落を想定していなかった様子は見て取れる。
「安全診断のため『ガーダー』(橋梁など建設構造物を支える主桁)の間に関係者が入ったところ、ガーダーが崩壊したものと推定される」と説明した。
中央日報より
昨日引用した中央日報には、ガーダーが設置されていると書かれてはいたんだけど、どこをどう見てもそうは見えない。

単管が転がっているので、何らかの構造物は作っていたようだね。

全体像を見ると、割と大雑把に囲いは作ってあったようだ。この手のネットは、コンクリート片の飛散防止には効果はあるんだけど、それだけ。
支えはなかった
覆いはあっても崩落防止の主桁などの構造物がなかったようで、その原因がこちら。
ソウル市の関係者は27日、本紙との電話取材に対し、「解体現場の下を鉄道が通っており、高圧電流が流れているため、クレーンや支柱を設置するには線路全体を封鎖しなければならなかった」とし、「現場の状況上、支柱の設置などの追加作業自体が容易ではなかった」と明らかにした。
朝鮮日報「【独占】西小門駅、崩壊の前兆があった~」より
……容易ではなかった、って、用意しなくて良いということにならないんだよ!
クレーンや支柱もなし、線路封鎖もなし。それどころか、交通規制もしていなかったと。じゃあ、何をやったのさ。
優先してやるべきだった
なお、専門家はこんな指摘を。
専門家たちは、すでに崩壊の前兆が確認されていた以上、さらなる崩壊を防ぐための支保工が優先的に行われるべきだったと指摘した。
朝鮮日報「【独占】西小門駅、崩壊の前兆があった~」より
……いや、そこは専門家に言われるまでもない話。
大韓民国産業現場教授団のチェ・ミョンギ教授は、「解体工事現場では、構造物の沈下や亀裂などの異常兆候が発見された場合、安全診断に先立ち、崩壊が起こらないよう上からクレーンなどで部材を支えたり、下から支保工を施したりしなければならない」と述べた。
朝鮮日報「【独占】西小門駅、崩壊の前兆があった~」より
記事には安全帯の話にも言及はあるのだけれど、ソウル市の関係者は「コンクリートの落下に耐えられる安全足場」があったので、安全帯装着義務はなかったとの判断のようだ。
そこは今回は重要ではないと思う。
適切な運用だったのか
崩落現場の写真を見ると、単管は多数あるようだね。

崩落現場の写真を見る限り、仮設構造や囲いは存在したようだ。
ただ、本件で問題なのはその細部ではない。
続報で明らかになったのは、崩落の予兆が確認された後も、構造物自体を支える追加措置を講じないまま安全診断が実施されていたという点である。
まとめ
韓国における「安全不感症」は深刻なレベルである。
本件だけ見ても、想定されるリスクに備えていなかったことは明らかで、そんな話はこのブログでも幾つも取り上げて来た。
だから今更いうことではないかというと、人命に関わる話である。本件でも3名の尊い命が失われてしまった。
異常兆候が確認されたなら、まず現場を安全化する。支えられないなら封鎖する。封鎖できないなら人を入れない。本件で失われた3名の命は、その順序が守られていれば、防げた可能性があった事故ではないだろうか。先進国の仲間入りを胸を張って語るのであれば、現場の安全管理もまた、その看板に見合うものであって欲しい。



コメント
本当にアレもコレも用意してない。
記事を読んで絶句。
何か…対策以前の何かな気がする。
ええ、本日は酷い記事を書いてしまいました。
続報が2つも。
本当にアレもコレもやってない!
もはや対策以前の何かな気がする。
文化とか民族性とかそういうレベルの……。