これはまた……。
米韓軍事演習「大幅縮小」 正恩氏との良好な関係強調―トランプ氏
2026年08月17日08時36分
トランプ米大統領は16日、SNSで、米韓合同軍事演習について、大幅に縮小するようヘグセス国防長官に指示したと表明した。日本時間17日開始の定例合同軍事演習「乙支フリーダムシールド(自由の盾)」を念頭に置いているとみられる。
時事通信より
ちょっと意図的なタイトルの付け方に見えて、この記事を読んだ時点で時事通信への不信感が先に立ってしまったのだが、合同軍事演習の大幅縮小そのものは、決して突然出てきた話ではない。韓国側からは以前から、合同軍事演習の縮小を求める声が出ているからだ。
しかし、今回の話で重要なのは、単に「米韓合同演習が減った」ということではない。
不協和音と思惑
韓国の立場
一応、公式な立場としては、韓国大統領の李在明氏(ミョンミョン)は、在韓米軍に撤退しろということは言っていない。
戦作権返還で在韓米軍撤退?…「出て行けと言っても出て行かない、中国けん制に重要」
登録:2026-06-29 08:52 修正:2026-06-29 10:13
韓国野党「国民の力」のチャン・ドンヒョク代表は先月8日、ソウル外国記者クラブの招きで海外メディア記者懇談会に出席し、「李在明大統領は在韓米軍を外国の軍隊と呼び、戦時作戦統制権(戦作権)の移管も性急に進めている」とし、「在韓米軍の撤退を考えているのではないかと多くの国民が心配している」と指摘した。
ハンギョレより
韓国野党からは厳しい追及はあるものの、あくまでも戦時作戦統制権の返還は求めるけれども、在韓米軍の撤退を求めてはいないというのが公式な立場である。
外交安全保障の元当局者は「戦作権が返還されると在韓米軍が撤退してしまうだろう」という主張について、「米軍が戦作権を持っていないと在韓米軍は撤退し、有事の際に積極的に介入してくれないだろうという漠然とした不安から生じたもの」だとして、「戦作権の返還が在韓米軍の削減や撤退を引き起こすという因果関係はない」と述べた。
ハンギョレ「戦作権返還で在韓米軍撤退~」より
ミョンミョン自身が左派革新系の思想の持ち主であるからといって、高利主義を追求している為に、決定的なことを言い放つほど愚かではないようだ。
戦時作戦統制権の返還を求める
ここで、ミョンミョンが要求した戦時作戦統制権の返還の話を、少しだけ整理しておこう。
韓国大統領、戦時作戦統制権の早期移管・選択的募兵制に意欲
2026年3月27日午後 7:46
韓国の李在明大統領は27日、米国からの戦時作戦統制権の早期移管を目指す方針を表明し、軍の自立の重要性を強調した。
国防省で軍幹部と会合した際、選択的募兵制なども含めた軍の近代化を進める考えを示した。
李氏は、ウクライナや中東での戦争、朝鮮半島の緊張を例に挙げ、韓国軍の最優先任務は北朝鮮の挑発に対応する態勢を維持することだと指摘。
「韓国と米国の堅固な同盟は朝鮮半島の平和と安定の柱だが、過度な依存は望ましくない」とし「戦時作戦統制権の移管は迅速に進める」と述べた。
ロイターより
戦時作戦統制権とは、戦争などの有事が発生した際に軍隊の作戦を指揮・統制する権限のこと。
韓国では朝鮮戦争勃発以降、韓国軍の同権限が在韓米軍司令官(国連軍司令官)に握られている。……正確には、韓国で維持出来なくなって戦時作戦統制権を連合国軍に委譲したのである。
そして、返還に関しては何度も話がでて、その度に延期されてきた。

その延期の判断は、何れも韓国側からの申し出である。
したがって、ある意味、韓国という国家の正常化のプロセスの一環であるのだから、歓迎すべき話なのだ。それを、韓国側の事情で引き延ばしてきたというのが実態である。
演習の縮小
しかし、ミョンミョン自身は何としても在任中に戦時作戦統制権の返還を実現したいと考えているようだ。
韓米合同軍事演習 野外機動訓練数が減少
2026/08/11 11:25
定例の韓米合同軍事演習「乙支フリーダムシールド(UFS)」と連携した野外機動訓練が昨年の44件から今年は14件に減少する見通しだ。韓米当局は今春の「フリーダムシールド(FS)」と連携した野外機動訓練も昨年の51件から22件に減らして実施した。李在明政権は任期内における戦時作戦統制権の早期移管を推進しているが、戦闘準備態勢確立に不可欠な韓米合同軍事演習の回数は逆に削減しているという指摘が出ている。
韓米軍当局は10日、「今年下半期の韓米合同軍事演習UFSを今月17~27日に実施する」と共同で発表した。UFSはコンピューター・シミュレーション基盤の指揮所演習(CPX)で、これと連携して実際の兵力と装備を移動させる韓米合同野外機動訓練を実施しなければならない。今回のUFSと連携した大隊級以上の野外機動訓練は14件で、野外機動訓練を全く実施しなかった文在寅政権の一時期を除けば過去最少規模だという。韓国合同参謀本部の関係者は「今年の訓練は計画段階から韓米が協議した。シナリオと連携した必須訓練を中心に実施される」と述べた。
朝鮮日報より
ミョンミョンは文在寅氏(ムンムン)の直弟子といえる立場なので、ムンムンの方針を踏襲する意向らしい。
一応は、机上演習を中心にやっても戦力低下には至らないということのようだが、現実はちょっと怪しいと思っている。
実際に兵力を動かさなければ確認できないものもある。部隊間の意思疎通、装備の運用、移動、現場での判断などは、机上演習だけでは検証しにくい。
そう考えると、野外機動訓練が51件から22件、そして44件から14件へと大幅に減少していることを、「単なる効率化」として片付けてよいのかは疑問が残る。
例えばこんな話が最近あった。

韓国軍が米軍無人機を撃墜しそうになった事案だが、両軍共に意思疎通を疎かにしていたが故に発生した事案で、お互いの信頼関係が損なわれつつあることを示す一例であると見て良いと思う。
またこの他にも、経済的な摩擦もあることは先日お伝えした通り。

必ずしも悪いことばかりでもないのだが、日本としては看過できない話が多い。何れも二国間の話ではあるんだけどね。
米軍基地返還の問題
そして、上にも引用したのだが、ミョンミョンは基地返還にも不満を持っている。
李氏は、在韓米軍基地の返還については、「あまりにも遅れているようだ」とし、「あれこれ理由をつけて返還しないが、これは本当に問題ではないのか」と指摘した。安圭伯国防部長官が、「米軍には対話に消極的な姿勢がみられる」と答えると、「だから先払いで(京畿道平沢の在韓米軍基地を)提供してはならないということだ」と述べた。平沢のキャンプ・ハンフリーズへの米軍移転が完了したにもかかわらず、今なお返還されていない基地が残っている状況を指摘したものとみられる。
東亜日報より
この返還が遅れている要因は、色々あるらしい。日本でもまま聞かれる話なのだが、基地返還の際には有害物質による土壌・水質汚染や埋設廃棄物が見つかりがちである。
日本の場合は、日米地位協定に「米軍の原状回復義務が明記されていない」ことに起因して、日本側の責任で原状回復を行うケースが多い。当然、アメリカでも同じことが発生して、コレに政府側が強く抗議して責任のなすりつけ合いをやっているので、既に米軍が立ち退いたにもかかわらず、返還に至っていない状況になっている。
アメリカの北朝鮮との関係改善志向
一方で、アメリカ側としても北朝鮮との交渉を持ちたいと画策しているようで。
トランプ氏は、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記との「非常に良好な関係」を強調し、米国が合同演習に参加することを「不満だ」と述べた。「演習は費用がかかる」とした上で、北朝鮮を念頭に「脅威でなく敬意を示してきた国に不適切かつ敵対的なシグナルを送ることになる」と主張した。
時事通信「戦作権返還で在韓米軍撤退?~」より
北朝鮮はロシアとの距離を詰めて、経済的な恩恵を受けている状況にある。が、それがいつまでもは続かないことを金正恩氏も知っているはずだ。
それを見越してのアメリカ側の揺さぶりであると思う。まあ、トランプ氏のいつものムーブという可能性も否定はできないが。
が、これが米韓関係にヒビを入れかねない状況ではあるのだ。
まとめ
ということで、朝鮮半島で激震が走る可能性も否定できない情勢になりつつあることは、認めねばならない。
実際、台湾有事の発生タイミングで、朝鮮半島有事が再燃する可能性も指摘されているので、それとの関係も今後は考慮していく必要がある。
良きにつけ悪しきにつけ、日本は周辺国の状況に影響されるのだから、こうした環境変化にも、常に目を配っていく必要がある。


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