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韓国電力はまさかの電力料金前納を半導体2社に持ちかける

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大韓民国ニュース
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元ネタはMoney1様のところで指摘されていたのだが、朝鮮日報の記事では何がしたいか良く分からなかったので、別の記事を探していた。

韓国電力、Samsung・SKに25兆ウォン(約2.9兆円)の電気料金前納を提案…送電網投資の財源に

2026-09-03 09:55 (GMT+9)

Korea Electric Power Corporation(韓国電力公社)がSamsung ElectronicsとSK hynixに対し、今後5年分の電気料金25兆ウォン(約2.9兆円)を前払いする案を提案した。Samsung Electronicsが20兆ウォン(約2.3兆円)、SK hynixが5兆ウォン(約5,800億円)規模で、昨年の納付実績を基準に2027〜2031年分を算定した。

Financeより

そうしたら、Financeがもう少し分かりやすい説明をしていたので、これを元に紹介していきたい。

需要の先食い

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お金がない韓国電力

先ず、いきなり意味が分からないのだが、韓国電力公社がサムスンとSKハイニクスに対して「今後5年分の電力料金を前払いしてよ」と持ちかけたらしいのだ。

スゲぇ!

どんなトンデモ提案なのかと思ったが、実は「前払い制度」そのものは存在するらしいのだ。

電気料金前払い制度自体はすでに運用中の制度だ。顧客が料金を前払いすると韓国電力が前払い期間に応じて金利を支払う方式で、昨年の前払い額は約3,900億ウォン(約450億円)で、大半は国家機関が納付した。韓国電力は納付の利便性のために活用してきたこの制度を、大規模電力需要企業の送電網投資財源として拡大する案を検討している。

Finance「韓国電力、Samsung・SKに25兆ウォン~」より

こういった電気料金前払い制度そのものは、幾つかの方式ではあるが世界各国にあるようだ。

  • 一般的な「前払い(プリペイド)」
    • 途上国や低所得層向け:南アフリカやイギリスの一部などで見られる、少額ずつカードやアプリでチャージして使う「ペイ・アズ・ユー・ゴー(Pay-as-you-go)」方式が主流。滞納対策や貧困層の予算管理を目的としてる。
  • 先進国の大口・法人向け
    • デポジット(保証金):信用力の低い新規顧客や過去に滞納がある場合などに、数ヶ月分の料金を一時預かり金として納めさせるケースはある。しかし、これに高利な利息をつけて巨額のインフラ投資資金に流用するような仕組みは一般的ではない。

うん、まあOINK案件といえるかもしれない。

余り聞いたことの無い先払い制度を提案した理由に関してもMoney1様のところに解説があったので、先ずはリンクを紹介しておこう。

『韓国電力』またしても社債発行リスク。営業利益70%減少
韓国の『韓国電力』がまた社債発行量を増やしています。韓国メディア『ソウル経済』の記事から一部を以下に引きます。(前略)12日、債券業界によると、『韓国電力』は先週、2年9カ月物2,900億ウォン、3年物7,800億ウォンなど、総額1兆700…

ザックリ言うと、韓国電力にはお金がないのである。

電気料金は上げられない

実は、韓国電力にとって電気料金値上げは容易ではない。

韓国政府の公共料金凍結で韓国電力公社・韓国ガス公社の債務膨張に拍車、韓電債の特例期限2027年終了に懸念

2026-06-26 12:25 (GMT+9)

韓国政府が下半期の電気・ガス料金を凍結する方針を決定したことで、韓国電力公社(韓電)や韓国ガス公社(ガス公社)などエネルギー公企業の財務負担が深刻化している。

Financeより

韓国電力は、一応、分類上は株式会社ではあるが、株主構成は政府側51%、民間市場49%という構成になっており、公益性のために料金値上げを政府がコントロール出来る構造になっている。

しかし、資金不足に陥れば債券発行が可能なので、資金不足を債券発行で補うという手段をとり、それがまた問題になってはいる。

今年3月末基準で、韓国電力公社と韓国水力原子力(韓水原)、発電5社の借入金(短期借入金を除く)規模は総額113兆8,000億ウォン(約12兆円)に達する。韓電が74兆9,000億ウォン(約7.9兆円)で最も多く、韓水原(14兆7,000億ウォン)、中部発電(6兆3,000億ウォン)、南部発電(4兆5,000億ウォン)などの順だ。このうち南東・西部発電を除く5社が17兆4,000億ウォン(約1.8兆円)相当の外貨建て社債を発行しており、これは全体の借入金の15.2%に当たる。今年下半期だけでも、韓電は18億ドル(約2,900億円)、韓水原は5億ドル(約810億円)規模の外貨建て社債を返済しなければならない状況だ。

Finance「韓国政府の公共料金凍結で~」より

そう、韓国は金利上昇局面にあり、借金への依存度が高い企業ほど資金調達コストが重くなる環境にある。

通常は、電力会社の運転資金は電気料金で賄われる。だが、その値上げが出来ないのに燃料費は高騰しているため、結果的に電気を売れば売るほど赤字になる構図になる。

その赤字を補填するために債券を発行しているのに、更に金利上昇局面では発行債券の利払いによって苦しめられるという歪な構造になる。

自転車操業といえば分かりやすいかもしれない。

前払いで手にするキャッシュ

で、冒頭の「5年分の前払い」を業績の良いサムスンとSKハイニクスにお願いする構図になったということなんだね。

キャッシュが手に入れば、債券発行の必要もないのである。

ただ、このキャッシュで何をやろうとしているかというと、送電網の整備などということになっている。

エネルギー業界関係者は「電気・ガス料金は物価安定の核心的手段だが、原価を適時に反映できなければ、赤字の累積と借入拡大が繰り返される状況が固定化されかねない」と指摘した。続けて「特にAI産業の育成と先端製造業支援のための電力網投資まで同時に推進しなければならない状況で、財務余力が弱まれば、国家エネルギーインフラ投資にも負担として作用しうる」と懸念を示した。

Finance「韓国政府の公共料金凍結で~」より

こちらで指摘される問題点の解決に前払い金を使おうというわけだ。確かに、送電網の整備は必須で、その為のキャッシュがないのだから、一見良い手のようにも思える。

だが、ここにはとんでもない落とし穴がある。韓国電力も分かってはいるのだろうが……。

前払いの弊害

自明な話ではあるのだが、「電気代を5年分先に払ってよ」とすると、5年分の電気料金は先に支払われても、その後の電気代収入は期待できない。売上げの先食いをしただけである。

更に、電気料金予測に基づく先払いなので、韓国政府が大幅値上げを許可するようなことにでもなれば、寧ろマイナスになってしまう。

ここは政権が変われば、値上げの可能性が生まれるので、無視出来ない要因ではある。でも、韓国電力としては「今、キャッシュが欲しい」ので、仕方のない判断ではあるのだが。

前払い金は韓国湖南地方と龍仁半導体産業団地に電力を供給する送・変電網建設に優先投入される。龍仁クラスターの早期完工と韓国湖南地方クラスター新設に伴う半導体の追加需要だけで20.6GW、圏域別AIデータセンター需要は7.9GWに達する。韓国電力は当初2038年までに送電網に72兆8,000億ウォン(約8.4兆円)を投資する計画だったが、関連事業が拡大し追加財源が必要な状況だ。

Finance「韓国電力、Samsung・SKに25兆ウォン~」より

一方、サムスンとSKハイニクスにもメリットはある。何しろ、送電網の強化をやって貰わないと、半導体産業団地に電力供給が覚束なくなってしまう。

また、韓国電力が社債発行を続ければ、韓電債が市場資金を吸収し、結果的に民間企業の資金調達環境を圧迫する可能性がある。その意味でも、前払いに応じることで韓国電力の社債依存を減らし、金融市場への負担を軽減することは期待できる。

もっとも、その場合はサムスンやSKハイニクス自身のキャッシュが拘束されることになるため、手放しで歓迎できる話でもないんだけどね。

まとめ

韓国電力による半導体2社に前納持ちかけしたことは、苦肉の策ではあるのだろう。だが、25兆ウォンは韓国電力の年間売上高の4分の1に迫る規模なので、資金繰りはかなり改善するものと思われる。

だが、将来的に見ると、「それは大丈夫なのか?」という懸念は払拭しにくいものがある。

やっぱり、電気料金は少しでも値上げしないと、韓国電力はやっていけないよ。根本的な収益構造が改善しない限り、同じ構図で繰り返すことになりかねない。

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