まあ、そんな気はしていたよ。
ポーランドと韓国、K2戦車の現地調達を巡り対立 ― 多くの摩擦により2028年の生産開始が危ぶまれる
2026年9月3日
政府レベルではポーランドは韓国製K2戦車の国産化に合意したが、実施の詳細をめぐって関係者間で意見の対立が生じた。
Defence-uaより
政治的に妥結したK2戦車のポーランド輸出には一定の意義があったし、K2戦車そのものを否定するつもりもない。
ただ、最終的に1000両を輸出というの、はちょっと破格というか、無計画というか。
K2戦車のポーランドでの生産に暗雲
順調?ポーランドでの生産
先ずは、この関係のまとめ記事を1つ紹介しておこう。

韓国の軍需産業は、K2戦車の輸出に成功し、ポーランド陸軍に既に第1次契約分が納入済みであるとされている。
- 第1次契約(180両):韓国国内の生産ライン(現代ロテムの昌原工場)で製造され、韓国軍向けの製造枠を一部後回しにする形で優先出荷された(これは2025年までにほぼ引き渡しを完了)。
- 第2次契約(180両):全数のうち韓国で造るのは約116両(K2GF)のみ。残りの約64両、および今後の数百両におよぶ「K2PL(ポーランド仕様)」は、ポーランドの国営防衛企業(PGZ傘下のBumar-Łabędy社など)の工場に製造ラインを新設し、技術移転をして現地の労働者に造らせる計画になっている。
冒頭に記事は、第2次契約分のうちポーランド国内で製造する分の話題のようだ。
ポーランドのPGZが主張するところによると、問題の一つはエンジンの整備であり、韓国国防省の代表団は、ポーランド側が推奨する「Wojskowe Zakłady Motoryzacyjne」ではなく、「Bumarem-Łabędy」機械工場での整備を希望しているという。
Defence-uaより
ポーランド国内で生産する予定の64両だが、これをどこでどう作るのかで揉めているらしい。
現地での揉め事は珍しくないので、別にそれ自体は大したことではないのだが、その結果、スケジュール遅延の可能性が高いことは問題視されているようだ。
その結果、2028年には戦車の生産を開始する予定のK2PLの現地生産の遅延の可能性について懸念が生じている。一方で、現時点では双方とも公式には計画通りに進んでいるとの立場を維持している。
Defence-uaより
なるほど。当初予定の2028年生産開始から遅延するのね。軍需関連の遅延はさほど珍しくはないので、これ自体は何とも評価がしにくい。
ポーランドが2022年に最初のK2を購入した際、現地生産は2026年に開始される予定だったことを思い出すべきだろう。しかし、現地の産業状況やプロジェクトの変更により、このスケジュールは2028年に延期された。
Defence-uaより
遅れているのはポーランド側の事情も大きいからね。

ただ、いずれにしても計画の後ろ倒しほぼ確定となった。韓国製をチョイスした理由が、早期納入実現だったことを考えると、第1次契約が早期に入手できたことを喜ぶべきか、その後の本番が遅れることを憂うべきか。
故障の疑い
とりあえず未確定情報ではあるが、他にも懸念する点はある。
今年、ポーランド軍に既に納入されたK2戦車のエンジンに技術的な問題があり、故障しているという情報が浮上したことを思い出してほしい。この件について正確なことは分かっていないが、こうした要因も交渉の行方に影響を与える可能性がある。
Defence-uaより
K2戦車の来歴を知っていれば納得の理由なのだが、詳細は不明なので迂闊なことは言えない。
また、ポーランド側は作業管理コストが高すぎると考えており、そのため複数の企業がプロジェクトへの参加を辞退する可能性を検討している。同時に、この問題に関する交渉において、韓国側の代表者はあまり柔軟な姿勢を示さなかった。
その他に挙げられた問題点としては、韓国が技術共有に消極的であること、必要な文書の一部が現状では韓国語のみで作成されていることなどが挙げられる。同時に、ポーランド側は情報保護に関する要件があまりにも一般的すぎると考えている。
Defence-uaより
作業管理コストの高騰も、よくある話なので何とも。ただ、契約条項に対する不信感については、やや問題があるようだ。
更に、エンジン回りに関するトラブルも詳細は不明ながらも、問題を複雑化させているようだ。
K2PLの仕様で揉める
他にも問題がある。実は、本質的にポーランドはK2戦車を導入するにあたって「ローカライズ可能だ」という点を考慮して採用決定している。
ところが、韓国陸軍に納入されているK2A1仕様ではそれに及ばず、K2A2仕様でもやや方向性が異なるのだと言われている。
K2PLプログラムにおける新たな展開。ポーランド製主力戦車が形になりつつある。
2024年3月20日 13:02
K2PL MBTに関する新しい情報に移る前に、このプログラムの背景についてもう少し詳しく説明しましょう。現代ロテムから入手した情報によると、ポーランド軍はポーランド版K2の開発から唯一の恩恵を受けるわけではないようです。これまでに、大韓民国陸軍はK2ブラックパンサーの基本型を3つの生産ロットに分けて調達しました。最後のロットから韓国陸軍向けだった車両の一部はポーランドに転用されました。
Defence24より
2024年時点では仕様すら決定していなかったK2PLだが、流石にそろそろ仕様が決定したのかな?と思っていたが、メーカーからは発表があったようだ。
ヒュンダイロテム社、ポーランド軍向けにカスタマイズされたK2PL戦車を発表
2026年9月8日
現代ロテムは、ポーランド向けに開発されたK2戦車の派生型であるK2PLを、現地生産の任務装備を搭載して初めて公開すると発表した。これは、同プログラムの現地化における重要な節目となる。
Korea Timesより
それによると、流石に当初要求されていた車両を延長した7軸化はあきらめたようだが、結構盛り盛りの欲張り仕様になっている模様。
- ハードキル式アクティブ防護システム(イスラエル製トロフィーAPSなど)の搭載
- 対ドローン用ジャマー(電子戦装置)およびリモートウェポンステーション(RCWS)の追加
- 砲塔や車体側面への追加装甲(モジュール装甲)の貼り付け
この辺りは最近のトレンドを反映した感じになっているね。
ただし、これをやると1つ大きな問題が出ると言われていて、これが解消する見込みが立っていない。それが重量増によるパワーパックへの負担増の解決である。
K2戦車も順調に2次輸出にたどり着けると思われたが、ポーランド輸出型のK2PL戦車の開発と現地生産工場の建設など事業範囲と契約規模が大きくなったため、協議が長引いていた。K2PL戦車は前面と側面に爆発反応装甲(ERA)を装着、ドローンに対処するジャマー(電波妨害装置)を搭載して防御力を高めたため、K2戦車に比べ重量が約1割増加している。
Wedgeより
これまで色々言及したように、K2戦車の開発において、パワーパックの国産化には散々泣かされてきた。泣かされたのが製造メーカーなのか、韓国陸軍なのかは定かではないが、非常に時間がかかったのは事実である。
そして、第4次生産には間に合ったものの、品質面にはやや不安な面があるようだ。
そこへ来て、重量を増やしたら、果たしてパワーパックが耐えられるのか?という問題が出るのは当然の帰結である。
まとめ
現地生産を決定した結果のトラブルは、避けては通れないものだとは思っている。だが、仕様で揉めるのはそろそろおしまいにしないと、いつまでたっても製造ラインは出来上がらない。
え?製造を担当するロテム社は仕様を固めたと上で書いた?いや、これはロテムの発表であって、韓国政府としてポーランドとの調整済みになっているかどうかは未だわからないのだ。往々にしてそういうトラブルは発生しがちだし、一番心配しているパワーパック関連の重量増に関する検証をしたという話が全く聞かれない。
つまり、現時点ではむしろ疑ってみるべき段階なのだろうと見ている。
したがって、韓国には輸出先のポーランドと様々な面で揉めているようだけれども、基本的にはクライアントは高めの要求を出してくるものだから、現実路線で何とか納められるように努力して欲しいものである。



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